アンケートの回答を依頼された場合、どのような目的で、どのような見返りがあるのかなどは回答者は気になるものです。また、合間に回答するためには気軽にシンプルに回答できるものであるかも重要なポイントでしょう。今回は、アンケートの作成方法や、回答者が答えやすいアンケートを作成するコツ、無料で使えるツールなどを解説していきます。
アンケートの作り方
アンケートを実際に作成する際、どのような手順でどのようなことに着目して進めればよいのでしょうか。ここでは、アンケートの作り方の手順を解説します。
- アンケートの目的やターゲットなどを明確にする
- アンケートの回答形式を決める
- 質問文を作成する
- 質問に対する選択肢を作成する
- アンケートを実施する方式を決める
- アンケートの質問票を作成する
- 実施前の最終確認を行う
アンケートの目的やターゲットなどを明確にする
最初に整理しておきたいのは、アンケートを行う目的です。目的はできる限り具体的に明らかにしておきましょう。目的が具体化されていないと、「誰に」「何を」回答してもらうかということを決めることができません。
次に、アンケート対象者となるターゲットの設定です。これは上述の目的が明確になっていることで設定しやすくなります。目的とターゲットが明確になったら、あとはどのような方法でどこでアンケートを行うかということも具体化させていくとよいでしょう。
アンケートの回答形式を決める
代表的なアンケートの回答形式としては、下記のようなものがあります。同じ質問内容であっても質問の聞き方によって得られる回答が異なるため、それぞれの回答形式の特徴を事前に把握しておくようにしましょう。
回答形式 | 回答方法 | 説明 |
シングルアンサー | ・ラジオボタン ・プルダウン |
複数の選択肢から回答を1つだけ選ぶ形式 |
マルチアンサー | ・チェックボックス | 複数の選択肢から複数の回答を選ぶ方式 |
フリーアンサー | ・テキストボックス | 意見や感想などを聞く際に自由に記載できるようにする |
スケール (尺度選択) |
ラジオボタンなど | 「どのくらい好きか」や「どのくらい満足しているか」など、回答者の段階を把握する時に活用する |
数値配分法 | ・テキストボックス ・ドロップダウンリストなど |
合計点100点や10点といった数値を用意された項目に配分して回答してもらう方式 |
マトリックス | ・チェックボックス | 複数の質問項目に対して同じ選択肢で回答してもらう方式 |
質問文を作成する
回答形式を決めたら、それに従って質問文を作成していきましょう。質問文は読み手である回答者の負荷にならないように、読みやすくわかりやすい内容であることが重要です。回答者が先入観を抱いてしまうような偏りのある表現や、読み手によって受け取り方が変わるような曖昧な表現は避けるようにしましょう。また、個人の思想や信条、身体的特徴など、感情に触れるような質問も避けましょう。ひとつの質問について論点はひとつにして完結にまとめることが重要です。
質問に対する選択肢を作成する
設定した回答形式のなかに選択式のものがある場合、質問に対する選択肢を作成する必要があります。選択肢は多すぎず少なすぎない数を用意し、回答者が「どれもあてはまらない」という場合のために「その他」も用意しましょう。選択肢の内容が重複していたり、迷ってしまう内容が多くあったりすると回答者の離脱の恐れがあるほか、「その他」ばかりの回答になることで、せっかくのアンケートのデータを得られなくなるため、リストアップした選択肢は整理してわかりやすくしましょう。
アンケートを実施する方式を決める
アンケートの内容が具体化できたら、どのような形でアンケートを行うかという実施方式を決めていきます。アンケート実施方式には、大きくわけて、インターネットで行う「オンライン方式」とアンケート用紙に記述してもらう「オフライン方式」があります。オンライン方式は、メールやExcel・Wordやオンラインドキュメントを用いる場合と、アンケートツールを用いた場合などがあり、短期間かつ低予算での実施が見込めます。一方、紙のアンケートの場合、用紙を作成しなければならず、簡単に設問数などを変更できるオンライン方式と違って、一度完成したら簡単に修正するのは難しいという点があります。
アンケートの質問票を作成する
実施方式の項目でも触れましたが、完成したアンケート内容は、オンラインであればアンケートツールなどを用いて質問フォームを作成し、オフラインアンケートの場合は紙の質問票を作成します。
実施前の最終確認を行う
アンケートフォームに落とし込み、完成したアンケートは、誤字脱字がないか、回答しにくい内容はないかなどの最終的な確認を行いましょう。実際のアンケートを行う前に必ずテスト回答をしてみることも重要で、回答者と同じ目線に立つことにより、見落としていた修正点が見つかることもあります。
チェックポイントとしては下記のとおりです。
- 設問数は多くないか
- 考えるのが難しい設問はないか
- 選択肢にモレはないか
回答しやすいアンケートを作るコツ
ここまでアンケートの作成方法について解説しましたが、アンケート対象者が回答しやすいアンケートにするには、さらに理解しておきたいことがあります。ここでは、回答しやすいアンケートを作成するコツについて解説していきます。
- アンケートの趣旨を説明する
- 個人情報の記入を不要にする
- 回答にかかる時間の目安を伝える
- 質問文や選択肢はシンプルでわかりやすい内容にする
- 質問や選択肢の数は最小限に抑える
- 回答者へのプレゼントを用意する
アンケートの趣旨を説明する
アンケートの趣旨や目的を回答者が理解できないと「何に必要なアンケートなのか」と不信感を抱いてしまうことも考えられます。回答者が疑問や不安を抱くことなく快く回答できるように、誰に対して何を目的としたアンケートであるか、回答結果をどのようなことに使用するのか、といったアンケートの趣旨を説明しましょう。
チェックポイントとしては下記を確認するとよいでしょう。
- 何の目的で実施する調査なのか
- 誰を対象としたアンケートなのか
- アンケート結果をどのように利用するのか
個人情報の記入を不要にする
どこに自身の個人情報が伝わるのか、個人情報の取扱いは回答者が心配になる点です。氏名や住所、メールアドレスなどの個人が特定できる情報が回答結果として必要ない場合には、匿名や無記名での回答ができるようにしましょう。無記名であることで回答者側の本音や詳しい回答を得られる見込みがあります。アンケート結果によって個人を特定されることはない旨や、氏名の記入が必要な場合には個人情報の取扱い方法をしっかりと説明し、回答者が不信感を抱くことのないように留意しましょう。
回答にかかる時間の目安を伝える
アンケートを回答する際、回答者は休日や通勤など何かの合間を使って回答する場合もあるでしょう。そんなときにアンケートの回答がどの程度時間がかかるのかわからないと、回答をあきらめて離脱してしまうことも考えられます。そのため、アンケートの回答にかかる時間の目安は提示しておくことが重要です。回答にかかる時間は短いほうが回答者も答えやすく、オンラインであれば10分程度が目安といえるでしょう。
質問文や選択肢はシンプルでわかりやすい内容にする
質問文を作成する項目でも解説しましたが、質問文は読み手である回答者の負荷にならないような読みやすい内容であることが重要です。専門用語や難しい漢字の使用は避けて、ターゲットとする回答者の誰が読んでもわかるような簡潔な文章にしましょう。選択肢についても、複雑な表現は避け、シンプルな内容にしましょう。
質問や選択肢の数は最小限に抑える
先に説明したように質問や選択肢をシンプルにすることとあわせて、設問数、質問のなかの選択肢は最小限にすることにも注意が必要です。回答にかかる時間を目安に、何問なら回答可能かということを調整しましょう。設問なら20問程度、選択肢は多くて10個となるのが目安です。回答者の当てはまる回答がない場合も考えられるため、その他の項目を設けておくことも重要です。
回答者へのプレゼントを用意する
アンケートを回答する際のモチベーションには、プレゼントや謝礼の有無が関係することもあります。アンケートに積極的に答えることができるように、価値を感じられるようなプレゼントを用意しましょう。ただし、回答者が予想する以上の過剰な謝礼にしてしまうと、謝礼だけを目的として回答することも考えられ、正しい回答にはならないことも懸念されます。アンケート内容に従って、回答者自身も価値を考えられるような報酬の設定を行いましょう。
無料で使えるアンケート作成ツール3選
オンラインでアンケートを行う場合に、無料で使えるアンケート作成ツールを用いることで予算を抑えることができます。ここでは無料で使えるアンケート作成ツールについて3つ紹介します。
- Google Forms
- CustomForm
- formrun
Google Forms
Google社が提供するフォーム作成ツールのGoogle Formsは、Googleドキュメントに文章を記入するようにアンケートが作成でき、無料で利用できます。アンケートフォームに情報が入力されると、その内容が自動的に集計され、グラフ化されます。
参考:Google Forms: オンライン フォーム作成ツール | Google Workspace (2024年8月時点)
CustomForm
CustomFormは株式会社ゴーゴーラボが運営する、無料でも利用できるアンケートフォーム作成ツールです。無料のプランでもアンケート結果はCSV形式でダウンロードでき、アンケートフォームの数に制限なく作成できます。作成したフォームのURLをブログなどに設置でき、SNSでシェアすることも可能です。有料プランにすることで自動返信メールの設定や広告の非表示にも対応することができるようになります。
参考:アンケートフォーム作成サイト CustomForm (2024年8月時点)
formrun
株式会社ベーシックが運営する「formrun」は、クリックやドラッグ&ドロップでアンケートフォームが作成できるウェブフォーム作成システムです。社内向け、顧客満足度、商品・サービスの利用状況などさまざまなテンプレートが揃っており、無料プランでも設問数は無制限です。無料プラン以外にもトライアル期間があるため、お試しでの利用もできます。
参考:無料で試せるフォーム作成ツールならformrun(フォームラン) (2024年8月時点)
アンケートの目的別テンプレートをご紹介
どのようなアンケートを進めたいかという目的によって、どのような内容が適しているのかが異なってきます。ここでは、アンケートの目的別のテンプレートを紹介します。
顧客満足度アンケート
自社の商品・サービスについて、顧客がどの程度の満足度を抱いているのかを図るための顧客満足度アンケートです。顧客満足度アンケートは、年齢・性別などの属性や、商品・サービスを知った経緯、購入した理由、現在の満足度などを加えておくことで、どのような属性にニーズがあるのかを把握することができます。
顧客満足度アンケートのテンプレートを下記のボタンからダウンロードできます。
顧客満足度の調査にぜひご活用ください。
ホテル利用者の顧客満足度アンケート
利用者の満足度調査アンケートは、利用者が商品やサービスを利用してどのような感想や要望があるかを調査するのに活用できます。常に一定のサービスを保つために定期的に実施するとよいでしょう。
ホテル利用者の顧客満足度アンケートのテンプレートを下記のボタンからダウンロードできます。
ホテル利用者の顧客満足度調査にぜひご活用ください。
従業員満足度アンケート
従業員満足度アンケートは、いまの職場にどの程度満足しているかを調査する際に活用できます。アンケートの用途や業務内容などにあわせて内容を調整するとよいでしょう。
従業員の満足度アンケートのテンプレートを下記のボタンからダウンロードできます。
従業員の満足度の調査にぜひご活用ください。
まとめ
今回は、顧客や従業員などさまざまな対象に向けたアンケートの作成方法について解説しました。アンケートを作成する際には、どのような目的で誰を対象に何を聞きたいのかを具体化することが重要であり、回答者に対しても、アンケート結果の利用先などを明確にすることで、より回答しやすいアンケートが実現します。無料で作成できるアンケートツールなどを活用しながら、意義のあるアンケートを作成してはいかがでしょうか。
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