ビジネスホテルやシティホテルなどのホテルの内装は、日常とは異なる特別感や落ち着きを求めて滞在する利用者が快適に過ごせる空間であることが重要です。利用者の満足度を高めるために、ホテルの内装はどのような点を意識すればよいのでしょうか。今回は、内装を施工する際に意識すべきポイントやこだわりたいアイテムについての解説、内装事例や施工会社選びの注意点などについて紹介します。

ホテルの内装で意識するべきポイント

ビジネスホテルやシティホテルなど、ホテルにおける内装は、利用者にとって満足のいく滞在となるための重要な要素です。利用者の満足度を向上させる内装とはどのようなものでしょうか。ここでは、ホテルの内装で意識するべきポイントについて5つ解説します。

非日常を演出する

ビジネスホテルは利用者が仕事から離れて充分な休息をとれるようにシティホテルであれば都会ならではの優雅な滞在やサービスを満喫できるように、日常とは違う特別感や癒しを感じられることが重要です。

そのためには、自宅にいるかのような生活感は排除し、非日常空間を演出しましょう。配線やリモコンといった生活感のあるものは隠すようにし、インテリアについてはレザーなどの高級素材をとり入れたり、テーマカラーを決めてシンメトリーなインテリアで視覚的な演出をしたりするのがおすすめです。アートや観葉植物などで空間にアクセントを加えるのもよいでしょう。

快適に過ごせる

ホテルの内装は、非日常感のあるおしゃれな演出であることももちろん大切ですが、なにより利用者が快適にのんびりと滞在を楽しめる内装であるかどうかが重要なポイントとなります。そのため、デザインや流行にとらわれすぎず、あくまで利用者目線に立って快適に過ごせるような色使いや素材選びに比重を置くことがおすすめです。

清潔感がある

休息をとるためのホテルは、室内そのものが清潔であることは大前提ではありますが、利用者が部屋に入室して見渡した際に清潔感や落ち着きを感じられるような内装であることも欠かせません。おしゃれや使い勝手にこだわるあまりに装飾や備品が多すぎるとまとまりのない乱雑な印象となり、統一感のないデザインや奇抜なデザインも清潔感を損ねることにつながります。ホテルはさまざまな利用者が訪れるため、誰にとっても清潔感や心地よさを感じられる内装であることがポイントです。

コンセプトを表す

「コンセプト」とは、概念や観念という意味を持ち、ここではホテルの基礎となる構想や発想のことを指します。シンプルモダン、和モダン、ラグジュアリー、アンティーク調などがホテルのコンセプトとしてあげられますが、家具や壁紙、色合いなどがホテルのコンセプトに沿った内装であることでも利用者に好印象を与えることにつながります。

一方で、コンセプトをもとに宿泊を申し込んだにもかかわらず、部屋に入ってみたらコンセプトとはまったく異なる内装だった場合には、利用者の不満につながる恐れもあるため、コンセプトと内装の統一感は意識する必要があります。

統一感を持たせる

コンセプトの項目でも解説したように、ホテルのロビーから通路、客室までに統一感を持たせることで、品のよさや落ち着きのある空間を演出することができます。床や壁紙の素材や色合い、照明の色など細かいところまで統一させることで、ホテル側のこだわりやおもてなしの細やかさを感じることができるでしょう。

ホテルの内装でこだわるべきアイテム

ホテルの内装を検討する際、何にこだわるかによって部屋の雰囲気がおしゃれで品のある仕上がりになります。どのようなものにこだわれば、どのような効果が期待できるのか、ここではホテルの内装でこだわるべきアイテムを6つ解説します。

ホテルの内装でこだわるべきアイテム
  • 間接照明
  • 隠す収納
  • ラグ
  • カーテン
  • 壁紙

間接照明

ホテルの照明は、使用用途にあわせて選択することで、利用者のニーズやコンセプトにそった演出をすることができます。種類としてはメイン照明としても使用できるスポットライトやテーブルライト、リビングといった広い空間に適しているフロアライトなどがあります。壁や天井に光をあてた反射光で部屋を照らす間接照明の場合、照射でできる陰影によって部屋に立体感が出たり、落ち着いた雰囲気になったりと、さまざまな演出ができます。そのため、非日常感を表現するにはこだわりたいアイテムのひとつです。

隠す収納

非日常を求めるホテルの室内は、隠す収納で生活感をみせない演出をしましょう。書斎に置いてある観光向けパンフレットや部屋着、ウェルカムドリンクの食器類なども引き出しや棚に収納するだけで生活感を抑えられることにつながります。シャワールームのシャンプーやトリートメント、石けんなどすぐに必要なアイテムについては、すべて収納してしまうと利用者にとって不便に感じられてしまうため、ボトルや備品を室内のインテリアと統一することでシンプルで上質感のある印象になります。

壁面の大きな鏡は、姿を映すための役割だけでなく、光を反射して窓のない部分に明るさを加える役割や、空間に広さや奥行きを出してくれる役割も持っています。壁にかけられる鏡であればスペースをとらず、清掃も楽にできるため、ホテル側にとっても利点があります。

ラグ

フローリングの部屋の場合は、スーツケースのタイヤや椅子などで床に傷がつくのを防ぐためにもラグは活用したいアイテムです。ほかにもほこりや花粉を繊維に吸着させることで歩くたびにほこりや花粉が舞い上がるのを防いだり、床からの冷気や熱気を防いだりする効果が期待できます。

また、ラグのデザインによってラグジュアリーな雰囲気を演出することも可能です。ラグの素材については、保湿性に優れたフランネルや吸湿性に優れたコットンなど、季節にあわせて変えてみたり、部屋全体ではなくテーブルや椅子の下に敷くことで内装にメリハリを加えたりすることができ、雰囲気作りに役立ちます。

カーテン

部屋のなかでも大きな面積を占有するカーテンは雰囲気作りには欠かせないアイテムです。設置するカーテンはほどよい厚みがあり、色や柄はカジュアルにならないように無地やストライプ程度のシンプルな柄を選ぶとよいでしょう。また、上部のヒダ山が3つある「三ツ山2倍ヒダ」であれば全体的なヒダに奥ゆきがあるためボリュームがあり上質感のある雰囲気になります。

スタイリッシュな雰囲気に仕上げたい場合は、光沢感のある生地を使用するとよいでしょう。カーテンは窓の大きさにかかわらず、天井から床面までのサイズのほうが天井を高くみせる効果が期待できます。また、モダンな雰囲気に仕上げたい場合はブラインドにすると閉めたときにスペースがとられず壁のようになるため、すっきりとした空間になります。

壁紙

壁そのものを変更するには大幅な工事や費用がかかってしまいますが、壁紙を変えるだけであれば低コストでさまざまな雰囲気を演出することも可能です。白系や暖色系などの膨張色の壁紙は空間をより広く感じさせることができます。白系であれば清潔感も与えてくれますが、全体を白にしてしまうとかえって落ち着かなくなってしまう可能性があります。そのため、家具や一部の壁紙はモノトーンにするなどでスタイリッシュに仕上げることが可能です。競合の他社と差別化を意識するのであれば、デザイン性のある壁紙を選んでラグジュアリー感を演出するとよいでしょう。

ホテルの内装事例

ホテルの部屋の内装は、ホテルのコンセプトやテーマにあわせて統一感を持たせることで、利用者が落ち着いて滞在できる部屋に仕上がります。ここでは「ラグジュアリー」「アンティーク調」「モダン」の3つのテーマにまとめた内装の事例を紹介します。

ホテルの内装事例
  • ラグジュアリーな内装
  • アンティーク調な内装
  • モダンな内装

ラグジュアリーな内装

ラグジュアリーなホテルの内装

高級かつ格調高さを強みとしたホテルの場合、内装においても上質な素材選びが重要となります。高級感を演出する大理石をはじめ、木材やレザー、ファブリックにも高品質なものを用いることで、見た目も手触りも豪華さを感じることができます。

また、金属やガラスをアクセントに用いたり、絵画や彫刻、華美な花瓶などのアクセサリーを配置したりすることでもエレガントさを演出できます。必要な箇所だけを照らす間接照明でもラグジュアリー感を演出する効果を期待できます。ラグジュアリー感を出したい場合には全体的にはダークカラーを用いると、より一層落ち着いた雰囲気を演出できるでしょう。

アンティーク調な内装

アンティーク調なホテルの内装

「アンティーク」とは製造から100年以上経過した工芸品や美術品のことを指します。まるで古美術品や骨董品を用いたような古きよき年代を味わえる「アンティーク調」の内装は落ち着きのある室内を演出してくれます。

床に絨毯を敷いたり、絵柄のついた壁紙を使用したりするだけでもアンティーク調の表現ができますが、ペンダントライトやクラシカルなシャンデリアを照明に用いることで、より一層アンティーク調の雰囲気の部屋になります。アンティーク調で家具を選ぶ場合は脚つきの家具を選んだり、壁にアートを飾ったりすることでもアンティーク調の雰囲気を強めることに期待ができます。

モダンな内装

モダンなホテルの内装

「現代風・今風」を意味するモダンテイストの室内は、無駄な装飾のないシンプルさで都会的な雰囲気がポイントとなります。あえて人工的かつ無機質なアクリルやガラス、ステンレスやスチールの家具を用いて、直線的でシャープな印象を演出しましょう。装飾は少なくし、モノトーンカラーを中心に2、3色に抑え、3色使う場合には、大部分を占めるベースカラー、変化をつけるためのアソートカラー、強調するためのアクセントカラーを7:2:1の割合にすると全体的にまとまった仕上がりとなります。

施工会社を選ぶポイント

いよいよホテルの内装をリニューアルしたい、新たに施工したいという場合、業者選びはとても重要です。最後に施工会社を選ぶ際のポイントについて3つを解説します。

施工会社を選ぶポイント
  • ホテルの内装の施工実績が豊富
  • 全国各地に営業所がある
  • ワンストップサービスが可能

ホテルの内装の施工実績が豊富

住宅やテナント店舗とは異なる部分の多いホテルの内装については、ホテルの内装に特化した知識や技術のある施工会社であることが重要であるため、これまでどのような施工実績があったかは事前にチェックしましょう。

施工実績が豊富であるということはそれだけの技術力があるということにつながり、これまでの実績をもとに、今回希望する内装が実現可能かどうかということも見極めることができます。打ち合わせを進めながら懸念材料が生じた場合でも長年の実績や知識により、的確なアドバイスを受けられることも見込めます。施工実績を知る際に、ウェブサイトに載っていなければ、どのようなホテルを担当したかを直接聞いてみてもよいでしょう。

全国各地に営業所がある

自身のホテルが全国各地にある、または今後広げていくことを見込んでいるという場合、その地方ごとに施工会社を吟味していくのは手間がかかります。希望している施工会社が全国各地で依頼できるのかを確認したうえで、さらに全国各地や海外でもどのようなホテルの内装工事の実績があるのかということも調べておくとよいでしょう。

ワンストップサービスが可能

建築における「ワンストップサービス」とは、営業・設計・施工管理をすべて一社で完結できる事業モデルのことであり、内装ひとつに関して複数の業者に依頼することなく、ひとつの施工会社ですべてを依頼することができます。そのため、コストや手間だけでなく、完成までの時間の短縮、トラブルの際の対応の時間も短縮できます。なんらかの問題が生じた際にその都度、対応してくれる業者を探すことなく、一元管理できる業者がいることはとても頼りになることでしょう。

まとめ

今回はホテルの内装について、おしゃれにするポイントやこだわりたいアイテム、施工を依頼する際の施工会社の選び方について解説しました。利用者が非日常的空間として利用するホテルの内装は、快適性や清潔感、統一感などが重要なポイントです。そのため収納や照明、カーテンなど細部にまでこだわり、必要な場合には施工会社に依頼しながら、完成度の高いホテルの内装を目指してみてはいかがでしょうか。

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