不特定多数のユーザーに広く情報を届けられるSNS。企業の商品やサービスの魅力を配信するためにSNSを活用する企業はたくさんあります。SNSは、ほかの広告とは違い、ユーザーが「魅力的だ」と感じた情報に「いいね」や「コメント」をすることで、さらに多くのユーザーへと情報が拡散する特長があります。

しかし、「思ったように広告効果が出ない」「ターゲット層に企業の情報を届けるにはどうすればよいのだろう」と感じる人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、「エンゲージメント」という概念に焦点を当てて、企業の情報を広めるコツを紹介します。

そもそもエンゲージメントとは?

そもそもエンゲージメントとは、「絆(きずな)」や「つながり」を意味しており、「engagement」という英語がカタカナ表記された言葉です。

エンゲージメントは、ビジネスシーンでも使われており、マーケティングにおいては「企業の商品やサービス、広告宣伝や記事、ブランドが顧客を引き付ける力」を指します。

エンゲージメントが高ければ、顧客の興味や関心を集めていると判断できるため、集客数や売上の向上といった結果につながりやすいです。企業が実施した施策の効果を上げるには、エンゲージメントを高める必要があります。

インターネット上でのエンゲージメント

近年、インターネットやスマートフォンが普及したことから、オンラインでマーケティングをおこなう企業はたくさんあります。

オンラインのマーケティングでは、ユーザーのエンゲージメントをリアルタイムで数値化することが可能です。アナログ時代のマーケティングはエンゲージメントを正確に把握するのが困難でしたが、現在は精度の高い情報をもとにして柔軟にマーケティング手法を切り替えられるので、より高い集客効果や売上の向上が見込めます。

オンラインでエンゲージメントを測定するツールはたくさんありますが、中でもSNSはエンゲージメントを無料で手軽に測定できるため、おすすめです。

以下では、ユーザーの興味や関心を分析するために重要な指標である「エンゲージメント率」について説明したうえで、代表的なSNSにおけるエンゲージメント率の計算方法を説明します。

エンゲージメント率とは?

SNSマーケティングにおけるエンゲージメント率とは、「企業が発信する商品やサービスに関する情報に対して、ユーザーがどの程度愛着を持っているか」を数値化したものです。

エンゲージメント率が高いほど、企業の情報発信に興味や関心を持つユーザーが多いと判断できるため、ユーザーが魅力を感じる投稿を心がけることで、企業ホームページへのアクセスや問い合わせ、来店や購入といった行動につなげやすくなります。

「投稿の閲覧数はエンゲージメント率に含まれるのだろうか」と疑問に持つ人も多いでしょう。SNSマーケティングにおけるエンゲージメント率には、投稿閲覧数が含まれません。

エンゲージメント率は、投稿に含まれるURLや画像のクリックや、「いいね」や「コメント」といったアクション数がカウントされます。閲覧数が多い投稿であればエンゲージメント率も高いとは限らないので覚えておきましょう。

エンゲージメント率を正しく計算して今後のSNSマーケティングに活かせるよう、以下では、代表的なSNSであるFacebook広告とX広告(旧Twitter広告)に焦点を当てて、その計算方法や確認方法を説明します。

Facebook広告でエンゲージメント率を計算する方法

Facebookは、友人や会社の同僚など、リアルなつながりをインターネット上で持ちやすいのが特長のSNSです。

また、20~40代と幅広い年代のユーザーが利用していることから、「リアルなつながりを重視するユーザーに情報を届けたい」「幅広い年代に商品やサービスに関する情報を伝えたい」という企業に向いているSNSです。

Facebook広告では、エンゲージメント率を次のように計算します。

  • (いいね!+シェア+クリック+コメント)÷リーチ数

リーチ数は、「いいね!」や「コメント」のように、広告に興味や関心を持ってアクションを起こした数ではなく、ユーザーのタイムラインに表示された回数を表します。リーチ数が多ければそれだけたくさんのユーザーに広告が表示されたことになりますが、広告に対する具体的なアクションがなければエンゲージメント率は高まりません。

SNS広告を利用して集客数や売上を高めるには、エンゲージメント率を高める方法を理解し、実践する必要があります。

参考:平成29年版 情報通信白書

Facebook広告でエンゲージメント率を確認する方法

Facebook広告でエンゲージメント率を確認するには、広告のレポートをFacebookの管理画面からダウンロードし、自分自身で計算しなければなりません。

通常の「Facebook投稿」では、投稿ごとにエンゲージメント数が表示されるので、そこからエンゲージメント率を計算できますが、「Facebook広告」では計算するのに手間がかかります。具体的な手順は、次のようになります。

  • 広告マネージャにアクセスする
  • エンゲージメント率を計算したい広告をクリックする
  • 「いいね!」や「コメント」など表示させたい要素を選択する
  • メニューバーに表示される「レポートボタン」をクリックしてレポートをダウンロードする

Facebook広告を複数出している場合は、広告ごとにこの作業を繰り返してデータを集計する必要があります。複数パターンの広告を用意しているときなどは、広告ごとのエンゲージメント率を計算し、エンゲージメント率が高い広告を参考に今後のマーケティング戦略を考えることが大切です。

X(旧Twitter)でエンゲージメント率を計算する方法

X(旧Twitter)は、Facebookよりも国内ユーザーが少ないものの、10~20代の利用者数が多いSNSです。そのため「不特定多数の若年層に向けて商品やサービスの情報を届けたい」という企業に向いています。

X(旧Twitter)では、エンゲージメント率を次のように計算します。

  • アクション(クリック・リツイート・返信・フォロー・いいね)の総数÷インプレッションの総数

インプレッションの総数は、「ユーザーのタイムライン上に広告が表示された回数」を表します。X(旧Twitter)のエンゲージメント数は、「クリック」や「返信」といったアクションを起こした「人数」ではなく、「アクションの総数」で計算されます。そのため、広告に対して1人のユーザーが「いいね」「フォロー」「リツイート」をした場合、エンゲージメント数が3つ増えます。

参考:平成29年版 情報通信白書

X(旧Twitter)でエンゲージメント率を確認する方法

X(旧Twitter)では、管理画面からインプレッション数やエンゲージメント率を確認できます。具体的な手順は以下の通りです。

  • 「プロフィールド設定」から「アナリティクス」を選択する
  • 「ツイート」をクリックすると、インプレッション数やエンゲージメント率が表示される

Facebook広告よりも簡単にエンゲージメント率を確認できるので、「分析の手間を抑えてSNSを運用したい」という人には、X広告(旧Twitter広告)の実施を検討してもよいでしょう。

また、エンゲージメント率を表示する画面で個別のツイートをクリックすると、エンゲージメントの内訳を確認することもできます。ツイートごとの傾向を手軽に把握できるので、今後の投稿や広告の内容を改善させるのに役立てられます。

SNS広告のエンゲージメント率を高めるコツ

SNS広告で集客数や売上を伸ばすには、エンゲージメント率を高める施策に取り組む必要があります。SNS広告のエンゲージメント率を高めるコツは、次の3つです。

以下では、これらのコツについて詳しく説明します。

顧客の興味や関心を高めるコンテンツを配信する

SNS広告エンゲージメント率を高めるには、顧客の興味や関心を高めるコンテンツを配信することが大切です。企業の商品やサービスに親近感を抱いてもらえれば、エンゲージメント率が高まるとともに集客数や売上も伸びるでしょう。

具体例として、「従来製品よりも性能が30%アップした新商品発売」「3日間だけの期間限定メニューのご案内!」といった内容が考えられます。このように、顧客の興味や関心を高める広告を配信すれば、エンゲージメント率を高めやすくなります。

顧客と積極的にコミュニケーションをとる

SNSは、企業と顧客で直接コミュニケーションを取れるツールでもあります。企業が一方的に情報発信するのではなく、顧客からのアクションに応える仕組みを設ければ、エンゲージメント率を高めやすくなります。

たとえば、「新商品や新サービスに関する疑問は、コメント欄で受け付けています」のような一文を投稿につけるなどの手法が考えられます。

企業の商品やサービスを利用したことがない人が、SNS広告を見て購入するのはハードルが高い場合もあります。購入前に価格や性能、製品保障などに関する疑問を解消できれば、来店や購入といった行動を起こしやすくなります。

キャンペーンや特典を設ける

キャンペーンや特典を設けて、商品やサービスをお得に手に入れられるようにすれば、多くの顧客に興味を持ってもらえます。

たとえば、「Facebook広告を見て来店した人は会計金額から〇%OFF」「企業の公式アカウントフォロー&リツイートでクーポンがもらえる」といった内容が挙げられます。「広告の詳細を見てみたい」「お得に利用できるなら一度店舗に行ってみよう」と思ってもらえれば、広告のエンゲージメントも高まります。

SNSで広告配信する際の注意点

SNSで広告配信すれば、たくさんの顧客に企業の商品やサービスをアピールできます。しかし、SNS広告を活用する際は、次の注意点を知っておくことも大切です。

以下では、これらの注意点について詳しく説明します。

通常の投稿よりエンゲージメント率が低くなる可能性がある

SNSでは、ユーザーが興味や関心を持つトピックやアカウントをフォローして、ユーザー自身の興味がある投稿だけをタイムラインに表示させる仕組みになっています。そのため、広告の内容によってはユーザーに興味を持ってもらえず、「いいね」や「コメント」といったエンゲージメントにつながらない場合があります。

通常の投稿で高いエンゲージメント率を出せていても、SNS広告で思ったような効果を感じられない可能性が高いことから、「SNS広告を出さないほうがよいのではないか」と思うかもしれません。しかし、広告配信の目的によってはSNS広告を積極的に活用したほうがよいケースもあります。

広告配信の目的を忘れない

先述したように、広告配信の目的によっては、SNS広告を積極的に活用したほうがよい場合があります。具体例として、次の目的が挙げられます。

  • 不特定多数の人に商品やサービスの魅力を伝えたい
  • Webサイトへの流入数を増やしたい
  • 電子クーポンを配布して集客数を増やしたい

このように、SNSならではの拡散力やホームページとの相性のよさを活かした戦略を考えている場合、SNS広告を活用するメリットが大きくなります。広告配信をする際は、広告の目的を明確にしたうえでSNS広告が適しているかを判断しましょう。

まとめ

ここでは、エンゲージメントの概念や、代表的なSNSにおけるエンゲージメント率の計算方法、エンゲージメント率を高める方法や注意点について説明しました。

SNS広告を活用すると、短期間で広く情報発信できるため、効率的にエンゲージメント率を高めることが可能です。また、リアルタイムで分析できるので、早期に広告効果を分析し、配信内容を修正することで、さらにエンゲージメント率の高い広告配信ができるようになります。

ここで説明した内容を参考にして、企業の商品やサービスへの興味・関心を高める広告を配信しましょう。

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