企業が開発・販売する商品やサービスの魅力を顧客に伝える方法として「セミナー」があります。セミナーを開催すれば、顧客に直接、商品やサービスの概要を説明できるので、企業の意図が伝わるだけでなく購買意欲も高められます。
しかし、「セミナーを開催しても顧客がなかなか集まらない」「どうすればたくさんの顧客がセミナーに来てくれるのだろう」と思う人も多いのではないでしょうか。
今回は、セミナーの集客数を増やすコツや具体的な集客方法、セミナー実施後の効果測定方法について詳しく説明します。
セミナーの集客数を増やすコツとは?
セミナーの集客数を増やすコツには、次の4つがあります。
以下では、これらのコツについて詳しく説明します。
ターゲットとコンセプトを明確にする
セミナーを開催する場合、まずターゲットとコンセプトを明確にする必要があります。
「誰のどんな悩みを解決するのか」がはっきりしているほど、「このセミナーに参加すれば課題が解決できそうだ」と思ってもらえる可能性が高まります。
ターゲットとコンセプトが決まると、自然とキャッチコピーの訴求も鋭くなります。
たとえば、「顧客管理を自動化するツール」を販売する企業であれば、以下のようにターゲットやコンセプト、キャッチコピーが考えられます。
誰の | どんな悩みを | キャッチコピー |
IT企業勤務の営業責任者 | 受注数が目標に達せず困っている。営業を強化したくても、人員も限られている。 | 「受注数も人員も足りない…」とお悩みのマネージャー必見!注力すべき顧客を可視化する方法 |
反応が得られそうな媒体を選ぶ
セミナーの告知方法にもいくつか種類があるため、より集客効果が高いと見込まれる手法を選ぶことが大切です。
コンセプトやキャッチコピーがよくても、ターゲットとする顧客に届き、魅力を感じてもらえなければ、セミナーに足を運んでもらえません。
具体例として、「ターゲット層がSNSをよく利用しているから、SNS広告でセミナー情報を配信しよう」「シニア層をターゲットにしているから折込チラシでアピールしよう」といった方法が挙げられます。
曜日や時間帯を決める
適切な媒体でセミナー開催の告知をしても、開催日時によっては顧客の都合と合わず参加してもらえない可能性があります。
たとえば、土日休みのビジネスパーソンは、月曜日や金曜日は業務やミーティングで何かと忙しい人が多いと言われています。また、9時台など朝早い時間帯は朝礼などの会議が固定で入っている企業も多いでしょう。
セミナーへの参加率が高まる日時は、業種によって異なります。
開催後のアンケートで参加しやすい曜日や時間帯をヒアリングできれば、開催すべき日時を決めやすくなります。
特典を付ける
セミナーの集客数を高めるには、特典を付けるのもおすすめです。特典を設けることで、「特典があるなら一度行ってみよう」「特典が充実しているからサービスを利用しても満足できるだろう」と思ってもらいやすいからです。
具体的な特典として、無料ワークブックの配布やノベルティグッズなどが挙げられます。試供品や次回来店時に使えるクーポンといった特典を配布すると、特典を持ち帰って企業の商品を体験してもらったり、再来店を促したりすることが可能です。
オンラインでセミナー集客する方法
先述したように、セミナーの集客方法はたくさんあるため、適切な手法を選ぶにはそれぞれの特長を知る必要があります。
まずは、オンラインでセミナー集客をする方法について説明します。
自社ホームページ・オウンドメディア
自社ホームページは、掲載内容を自由にアレンジできるので使い勝手のよい集客方法です。セミナーサイトに掲載料などの手数料を払う必要もないので、コストを抑えた集客もできます。
また、社内でオウンドメディアを運営しているのであれば、記事の中に自然な形でセミナーを紹介することで、効率的にターゲット層を集められます。
メルマガ
メルマガは、購読者に対して直接セミナー情報を発信できるのが特長です。
リアルタイムで通知できるため、セミナーの企画から開催までの期間が短くても効率的に顧客を集められます。
また、「商品やサービスの案内→セミナーの概要説明→セミナー申し込み方法の説明」のように、何通かに分けて送付することで段階的に興味や関心を高められるのも、メルマガのよいところです。
自然な流れでセミナー開催情報をアピールできるので、顧客の不快感や違和感を抑えて告知できます。
SNS
インターネットやスマートフォンが普及した現代は、SNSを利用して情報発信や情報収集する人も多いため、ターゲット層によっては広くセミナー情報をアピールできます。
「BtoB向けの商材のセミナーのため、ビジネス目的で利用する人も多いFacebookで宣伝しよう」「不特定多数の人に広く情報発信したいからX(旧Twitter)を使おう」といったように、SNSごとの特長を活かした情報発信をすれば、より多くのターゲットにセミナー情報が伝わります。
インターネット広告
インターネット広告は、検索エンジン上で特定のキーワードが入力されたときに広告を表示させる「検索連動型」や、ユーザーの年齢や性別、居住エリアといった属性にあわせて広告を表示させる「ディスプレイ広告」などがあります。
特定の属性を持つ顧客に対してダイレクトにセミナー情報をアピールできるため、参加する可能性が高い人のみに効率的に集客ができます。
不特定多数の人に広告宣伝するテレビCMや新聞広告といった媒体よりも費用対効果を高めやすいため、コストを抑えてターゲット層にアピールすることが可能です。
セミナーポータルサイト
セミナーポータルサイトは、セミナー情報が集約されたサイトです。
「セミナーに参加したい」と前向きに考える顧客がアクセスするので、ほかの媒体でアピールするよりも集客効果を高めやすいのが特長です。
また、セミナーポータルサイトには、「ビジネス系のセミナーが充実している」「マネー系のセミナーが充実している」のように違いがあります。
より多くのターゲット層に興味を持ってもらうには、サイトごとの特長を把握して適切な媒体にセミナー情報を掲載する必要があります。
オフラインでセミナー集客する方法
ここまでは、オンラインでセミナー集客をする方法について説明しました。
セミナーへの集客数を増やすには、オンラインだけでなくオフラインの集客方法を実践することも大切です。以下では、オフラインでセミナー集客する方法について詳しく説明します。
DM(ダイレクトメール)
DMは、顧客のもとに郵送でセミナー情報を配布する方法です。オンラインの集客方法とは違い、封筒のデザインを工夫したり「引換券」のような特典を添付したりできるのが特長です。
また、必要に応じて手書きのメッセージやイラストを載せられるので、受け取った人に温かみのある印象を与えることもできます。SNSとは違って文字数や掲載内容に制限がないので、自由度の高いアピールができます。
チラシ
セミナー開催情報が記載されたチラシを作成し、集客する方法もあります。
具体的な配布方法として、新聞折込チラシで配布する方法や従業員が直接配布する方法、業者に委託して配布する方法などがあります。
チラシに目を通してもらうには、デザイン性の高さを重視してほかのチラシと差別化を図ることが大切です。「100名様限定の特別セミナー開催」のように、キャッチコピーを設定すると、より興味や関心を高められます。
テレアポ
もし顧客の電話番号を知っているのであれば、顧客に直接電話をかける「テレアポ」もセミナー集客に活用できます。
しかし、突然電話をかけて「セミナーの案内をしたいと思います」と伝えると不快感を与えてしまうかもしれません。そのため、名目としては「顧客の近況を伺う」というスタンスで連絡し、話の流れでセミナー情報を伝えると不快感を与えにくくなるでしょう。
知り合いに口頭で案内する
これまで伝えた方法は、成果が出るまでにある程度の時間や費用がかかるものでした。
しかし、知り合いに会ったときに口頭でセミナーの案内をすれば、費用をかけずにセミナーに興味を持ってもらえます。
口頭でセミナー情報をアピールするためには、「エレベータートーク」を準備しておくのがおすすめです。
エレベータートークとは、アメリカのシリコンバレーで発祥した言葉で、「エレベーターに乗り合わせた間のような短時間で、自分の言いたいことを端的に伝える会話術」のことです。
立ち話の中で長々とセミナーについて話をすると不快に思われかねないので、エレベータートークで端的にセミナーの魅力を感じてもらえるようにしておきましょう。
近しいテーマのセミナーに参加する
企業が開催するテーマに近いセミナーへ参加すると、参加者に自社のセミナーをアピールすることができます。
また、セミナー参加者は、すでに「セミナーに参加しよう」という意思決定をしているため、自分のセミナーの集客にもつなげやすいでしょう。
ただし、あからさまな集客活動をすると、セミナーの主催者に嫌がられる場合があるので注意が必要です。先ほどの口頭で案内する手法を参考にして、短時間でセミナーの魅力を伝えると自然にアピールできます。
紹介でセミナー集客する方法
セミナー集客は、自分自身でおこなう方法だけでなく、紹介で集める方法もあります。
以下では、紹介でセミナー集客をする方法について詳しく説明します。
知人に紹介を依頼する
自社の従業員だけでセミナー集客をすると、集められる人数は限定的になります。
しかし、知人に紹介を依頼すれば、より多くの顧客を集めて商品やサービスについての話を聞いてもらえます。
紹介者数を増やすには、他社のセミナーに参加して名刺交換をしたり、パートナー会社と協力したりするのが効果的です。「紹介してくれたらセミナー参加費を〇%割引」のような特典を設けると、さらに参加者を増やせます。
口コミ
紹介による集客効果をさらに高めるには、口コミを活用するのが効果的です。
実際にセミナーに参加した人の声を広めることで、「役立つと感じた人が多いセミナーなら、自分も行ってみよう」と思ってもらいやすいからです。
口コミを広めるには、SNSを活用するのがおすすめです。
セミナー中にSNSへの投稿を促すとともに、「口コミ投稿者には、次回のセミナー参加費用を〇%割引する」のような特典を設ければ、効率的に口コミを増やせます。
セミナー実施後の効果測定方法
よりセミナーの集客力を高めるには、セミナー実施後の効果測定も大切です。
以下では、セミナー実施後の効果測定方法について詳しく説明します。
目標の達成度を評価する
セミナーを開催する前に目標を決めておくと、その達成度に応じて集客効果を評価できます。
目標の具体例として、「自社ブースへの来場者数を〇人にする」「セミナー中の受注件数を前年より〇%アップさせる」「アンケート回収率を〇%にする」などが挙げられます。
数値で評価できる目標を設定すれば、達成度を評価しやすくなるとともに改善策を立案しやすくなります。
分析ツールを活用する
来場者数の測定やアンケート回収といった方法は、手間がかかるだけでなく精度が低くなる場合がありますが、分析ツールを活用すれば、精度の高いデータを手軽に入手できます。
データを収集する際は、顧客の獲得から育成を自動化する「マーケティング・オートメーションツール(MAツール)」を活用するのもおすすめです。
ツールにもさまざまな種類がありますが、セミナー管理機能のついたMAツールを利用すれば、出席者のリスト自動作成や、どのような属性を持った層が参加率が高いのかを分析することが可能です。
また、SNSの分析ツールやGoogleアナリティクスのような無料分析ツールを利用すれば、インターネットで行ったSNS広告や検索連動型広告などの集客効果を、低コストで簡単に分析できます。
投資対効果を測定する
セミナーを開催するにはある程度の費用がかかりますが、それに見合った効果を得られているかを分析するには、「投資対効果」を測定することが大切です。
投資対効果は、次の計算式で求めます。
- 投資対効果=利益÷マーケティング投資額×100
利益には、セミナー経由で得られた収益から、開催にかかった費用、当日の人件費などを差し引いた金額が入ります。
投資対効果が高いほど、費用をかけてセミナーを開催するメリットが大きくなります。
この数値はほかのマーケティング施策を実施したときに比較できるので、企業に適した戦略を考えやすくなります。
まとめ
ここでは、セミナーの集客数を増やすコツや具体的な集客方法、セミナー実施後の効果測定方法について説明しました。
業種やセミナーの内容、規模などによって適した集客方法が異なるので、複数の手法を試してそれぞれの効果を検証することが大切です。ここで説明した内容を参考にして、セミナーの集客力を高めましょう。
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