美容院の店舗数が年々増加傾向にある中で、顧客獲得のために何もせずにいるのでは、競争をリードすることは難しいです。一定の周期で来店する顧客を獲得する方法するために、広告宣伝を活用すると良いでしょう。広告宣伝には、主流となったオンラインによるものと、チラシや看板などを用いたオフラインのものがあります。どのような手法が効果的なのか、美容院の広告宣伝を検討する上でのポイントもあわせて紹介します。
目次
美容院で広告を打ち出す必要性
日常において、美容院を利用するのは人それぞれ一定の周期があり、人々はその周期やニーズにあわせて美容院を探します。一方で、厚生労働省が発表した「令和元年度衛生行政報告例」によると、令和元年度末の全国の美容院(美容所)の数は254,422軒で前年度比1.3%増となっており顧客獲得競争は年々激化しています。周期やニーズが偶然合致すればいいのですが、何もせずに顧客集めをするのは難しく、自店を周知させるためには宣伝広告を用いた戦略が必要となります。
美容院の広告予算の目安
広告宣伝の必要性はわかっていても、どれだけの予算を広告宣伝費として見込めばいいのでしょうか。
一般的に、美容院の広告宣伝費は他の業種と比較して若干高い予算が必要とされ売上に対して10〜15%が理想という意見もあれば、7%前後であれば美容院自体に負担なく続けられるという意見もあります。上述の通り美容院の軒数が年々増加しており、広告宣伝を幅広く継続的に行うことで顧客の認知度アップにつながりますが、むやみに広告宣伝を展開するのではなく、その都度広告の効果を検証しながらその費用対効果を検証していくのが賢明といえます。
インターネット・SNSを活用した広告
スマートフォンやパソコンの普及により、インターネットやSNSを活用した広告宣伝の手法は一般的であり、集客効果も高いものであるといえます。ここではインターネットやSNSを活用した広告の手法にはどのようなものがあるか紹介します。
ポータルサイトへの掲載
手軽に利用できるものとしてあげられるのは、美容院の検索・予約サイトのような、美容院や関連した情報を網羅した「ポータルサイト」への掲載です。代表的なものとして「ホットペーパービューティー」や「楽天ビューティ」があります。美容院の検索だけではなく、24時間いつでも予約が可能で、さまざまな特典を受けられるので、今すぐ美容院を探したいというユーザーに便利です。また、掲載する側も顧客の口コミを自店のサービスにすぐ反映できるという利点もあります。
インスタグラム広告
人気のSNSの一つである「インスタグラム」では、ビジネス向けの「インスタグラム広告」という広告ツールを展開しています。インスタグラム広告は掲載される位置により「フィード広告」「ストーリーズ広告」にわかれています。さらにフィード広告は、「写真広告」「動画広告」「カルーセル広告」「コレクション広告」の4種類にわかれており、ユーザーの投稿と同じフィード内に掲載されます。シンプルな写真やデザイン性のある動画を掲載することで視覚的な情報を伝えることができるほか、コレクション広告はユーザーが興味をもった商品にあわせてさらに多くの商品を表示させることができるというユニークさもあります。
リスティング広告
Google、Yahoo!などの検索エンジンで検索結果が表示された際に、「広告」「Ad」と記載されたものを見たことがあると思います。それが「リスティング広告」です。例えば、ユーザーがある地域の美容院を検索したい場合に「地域名 美容院」と入力して検索したとします。その検索キーワードに自店の広告が合致していれば上位に表示される仕組みです。そのため、検索キーワードに合致する明確な目的がある顧客の獲得には有利であるといえます。
ただし、リスティング広告の料金設定は定額ではなくクリックされた回数に応じた課金となっており、同じ検索キーワードを利用する競合店が多ければ金額が高くなります。検索キーワードは複数設定できるので、掲載当初はターゲットを絞りすぎない検索キーワードを選び、反響をみながら変更していくなど、精査しながら継続していくことで成果も徐々に得られるでしょう。
オフラインでの広告宣伝
インターネットの利用が一般的になっているとはいうものの、ポスティングや店頭看板などを利用したオフラインでの広告宣伝は、地域を限定した広告宣伝には有効といえます。オフラインでの広告宣伝にはどのようなものがあるか紹介します。
ポスティング
自店の周辺地域の住民にアプローチするのに一般的な方法が「ポスティング」による広告宣伝です。無作為にチラシを数回にわけて配布することが一般的です。何度も同じチラシを配布することは無駄に思えますが、回数を重ねることで見る人の目に留まる確率が高まり、それが店舗の認知度につながります。
ポスティングをする際は、デザインスキルがあればチラシ作成から自店で行うことも可能ですが、人件費や印刷代だけでなく手間を考えるのであれば、印刷から投函までを一括で行うポスティング業者もあるのでそちらを検討するのも一つの手です。価格は東京都内であれば1枚あたり5円前後が相場となっていますが、地域によって異なりますので、自店のコンセプトにあった業者を探してみましょう。
店頭看板
店舗の広告宣伝手段として軽視されがちなのが「店頭看板」です。目の前に店舗があるため必要性を感じずに、表札代わりとして認識している人も少なくないでしょう。ところが店頭看板は通行人に向けての広告宣伝として大きな役割を果たします。通行人が店頭看板を見つけてすぐに店舗が目に入れば、店舗の雰囲気を直接訴求することができます。
また、自店がおすすめするメニューや期間限定のキャンペーンなどの情報を発信することができるほか、QRコードを掲載するなどで自店のウェブサイトや掲載しているポータルサイトへアクセスできるようにすれば、広告宣伝の効果が一層高まります。
さらに、店頭看板や店舗まわりを常にきれいに整えておくことで、通行人に好印象を与え、口コミで広がるなどの可能性も考えられます。あらゆる有効性を考え、店頭看板の設置を検討してみるとよいでしょう。
旗広告
店頭看板と同様に店舗まわりの広告宣伝として検討したいのが「旗を使った広告」です。旗は、飲食チェーン店の駐車場などでよく見かける長方形の布を棒に結びつけたものをいいます。看板よりも掲載できる情報量は少ないですが、キーワードを絞り込み、目に留まりやすいデザインにすることで、通行人だけでなく車で通り過ぎる際にも目に留まることが見込めるのが旗を使った広告の魅力です。駐車場など広い敷地を持つ店舗であればすぐに取り入れられますが、通行の妨げにならないか、設置を認められないエリアでないか、事前の確認をしましょう。インターネットの通販サイトを利用すると気軽に購入することができます。
広告集客を行う上で重要なポイント
美容院で広告を打ち出す必要性や自店にあった広告宣伝の手段を把握したあとで、それらをふまえて確実に集客に結びつけるには、具体的な構想や分析が必要不可欠です。最後に、広告集客を行うにあたって欠かせない2つのポイントを説明します。
ペルソナを設計する
「ペルソナ」とは、英語の「person」という言葉の由来にもなっているラテン語で、広告やマーケティングで使う場合のペルソナとは、商品や店舗のターゲットとして絞り込んだ人物像のことを指します。広告での集客をはかる際にペルソナを設定することは、自店の求める方向性やコンセプトをより明確にできるため、どのような媒体を使い、どのように訴求するかといった広告宣伝の方法をより細かく設定することが可能になります。来店してもらいたい顧客はどのような人物か、年齢、職業、ライフスタイル、どのような髪の悩みを持っているかなど、具体的に設計することで、顧客により響きやすい広告宣伝につながることが見込めます。
市場の分析
コンセプトづくりやペルソナ設計など自店の分析ができたら、次は競合となる市場の分析が必要となります。周辺地域の人口や世帯数、男女比などといった住民についての情報収集だけでなく、同じ商圏となる地域の美容院の軒数も調査しましょう。美容院については具体的にどのような規模でどのような特徴の店舗があるか、大型店か個人店か、価格帯など、自店と比較できそうな情報を数多く集めておきます。競合店舗の情報を詳しく知ることで、自店の強みやニーズを正しく理解でき、より細かな広告宣伝をたてることにもつながります。
まとめ
この記事では、美容院の広告宣伝にはどのような手法があるか説明しました。インターネットの普及によりさまざまな広告宣伝の展開が考えられますが、広告宣伝は費用や時間がかかるものであるため、丁寧に行いたいものです。また、自店のコンセプトにマッチした広告宣伝の手法を見つけるためには、競合となる周辺地域の情報収集や市場調査も重要となります。さらなる集客率アップをはかるため、まずは自店を改めて理解し、最適な広告宣伝の手法を探っていきましょう。