お店のオープンやイベント開催などの告知を特定の配布エリアに向けて情報発信できる広告手法の1つに「折込チラシ」があります。
しかし「狙い通りの効果が得られるか」「折込チラシの手続きは難しそう」といった不安の声も聞きます。活用するならば、最大限の効果を発揮する集客方法を知っておきたいものです。
そこで本記事では、折込チラシを活用するメリットやデメリット、ポスティングとの違い、折込チラシを配布するまでの流れ、効果を高めるコツについて解説します。
目次
そもそも折込チラシとは?
折込チラシとは、新聞に折り込まれる形態の広告のことを指し、配布地域や配布日などを自由に決めることができます。
鮮魚店や青果店などの食料品店や、日用雑貨などを扱うホームセンターやスーパーのような使用頻度の高い商品を扱う業種などに折込チラシは適しています。また美容院や整体、居酒屋、不動産会社などの地域に密着する形態の店舗も効果的に活用できるでしょう。
インターネットの普及により、新聞媒体の需要は減少しつつあるものの、到達率や費用対効果の高さから現代でも多く利用されている広告手法の1つです。
折込チラシの反響率は約0.01~0.3%
折込チラシの反響率は、一般的に0.01~0.3%といわれています。反響率とは、チラシを配布したユーザーのうち、実際に商品やサービスを利用した人数の割合を示すものです。
反響率は次の計算式で求められます。
・反響数÷配布したチラシの枚数×100=反響率(%)
反響率を約0.01~0.3%とした場合、折込チラシを5万枚配布すると、およそ5~150人の反響数を見込めるでしょう。ただし、配布方法や告知内容、チラシのデザインによって反響率は変動します。
また、日用雑貨などを扱うスーパーなどの業種では、その反響率が1%にまで至る場合もあり、業種よって数値が異なることを認識しておきましょう。
企業が折込チラシを活用するメリットとは?
企業が折込チラシを活用するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは代表的な5つのメリットについてみていきます。
- 店舗周辺にいる顧客にアピールできる
- 情報の信頼性が高い
- 保存性が優れている
- 短期間で集客できる
- 主婦層やファミリー層、高齢者層にアピールしやすい
店舗周辺にいる顧客にアピールできる
まず一つ目のメリットとして、折込チラシは、店舗周辺に住む顧客に効率よくアピールでき、集客数や売上のアップを目指せる点が挙げられます。地域に密着する新聞折込ならではといえるでしょう。
店舗に来店する顧客は、近隣に住んでいる人であるケースが多いです。折込チラシから、「実際に行ける場所にあるか」を顧客は見ています。
折込チラシは店舗周辺の顧客をターゲットとし、配布エリアを設定することで、集客アップへとつながるでしょう。
情報の信頼性が高い
折込チラシは新聞社の基準を元に、記載の内容が禁止事項に触れていないか検閲した上で各家庭に配布されます。よってチラシの内容によっては折込チラシとして配布できないケースもあるのです。
SNSなどは企業や個人が自由に発信できる一方で、折込チラシは新聞社の基準を通ったものしか掲載できないため情報の信頼性が高く、顧客にとってより有益な情報として認識してもらいやすいといえます。
保存性が優れている
折込チラシは再度読み返したり、手元に置いておいたりと保存性にも優れます。他の集客方法より保存する期間が長いのが折込チラシの特徴です。
紙面にお役立ち情報や割引クーポンなど、読み手にメリットがある内容も組み込むことで、その保存性はさらに高まるでしょう。
短期間で集客できる
折込チラシは、折り込み指定日に一気に配布できるため、短期間で集客しやすいのが特徴です。折込チラシは消費行動にそのままつながりやすく、チラシを受け取ってから数日内でのアクションを期待できます。
店舗オープンやイベント開催、セールなどの即効性を必要とするタイミングでは、高い集客力を発揮するでしょう。
主婦層やファミリー層、高齢者層にアピールしやすい
新聞の購読者は主婦層やファミリー層、高齢者層が多く、これらの顧客層にうまくアピールできます。特に地域性のある店舗やサービス情報などには効果を発揮する媒体です。
インターネットが普及し新聞購読者の減少傾向にあるものの、新聞は現在も社会の動きを知るには欠かせない情報源の1つであり、信頼性もあります。新聞の「地域性」「即効性」「信頼性」のメリットを活用することで、伝えたい内容やターゲットによっては他の集客方法よりも効率よくアピールできるでしょう。
折込チラシのデメリットとは?
企業が折込チラシを活用するメリットについてはお分かりいただけたと思います。しかし、折込チラシにはデメリットがあることも知っておかなければなりません。
- 新聞を取っていない世帯にはアプローチができない
- 持続的な効果が期待しにくい
- 掲載できる情報量が限られている
新聞を取っていない世帯にはアプローチができない
一般社団法人日本新聞協会による「新聞の発行部数と世帯数の推移」調査では、一般紙・スポーツ紙ともに年々発行部数が減少しており、2020年は57,380,526世帯数に対し合計発行部数は35,091,944部です。2008年頃から1世帯あたりの発行部数は1部を切っており、0.61部まで衰退しています。
このことから新聞購読者の減少、特に若年層の新聞離れは事実です。折込チラシは、新聞をとっていない世帯にはアプローチできないため、伝えたいターゲットにまで情報を届けられない可能性がある点はデメリットといえます。
参考:一般社団法人日本新聞協会「新聞の発行部数と世帯数の推移」
持続的な効果が期待しにくい
折込チラシのメリットに短期間で集客できる点を挙げましたが、その一方で持続的な効果を期待しにくいという特徴があります。1回の配布ではチラシを捨てられたり、見逃したりされる可能性もあり、継続的な配布によってその効果を高める必要があります。
デザインの変更や反響の出やすい時期を模索しながら定期的な折込むことで、徐々に反響数が伸びるケースもあるのです。その時には必要としていなかった購読者も、ある時にふと興味が出てくるケースもあるため、継続的に配布は重要な施策の1つといえます。
掲載できる情報量が限られている
折込チラシは掲載できる情報量に限りがある点もデメリットといえます。紙面に収まるように、読み手の購買意欲や行動につながる要素をピックアップし、的確に伝えたい情報を掲載しなければなりません。
多くの情報を伝えるには適していないため、折込チラシから自社ホームページに誘導するなど、それぞれのメディアが持つ強みを効果的に活用することが重要です。
新聞折込チラシとポスティングチラシとの違い
チラシを配布する際に、新聞折込とポスティングを検討する方は多いでしょう。一見似ているように感じますが、新聞と一緒に配布される新聞折込チラシに対し、ポスティングは個人宅や事務所のポストに販促物(チラシやノベルティなど)を直接投函して宣伝する広告手法です。
配布する際に重要なポイントを表にまとめましたので、それぞれの違いをご確認ください。
比較ポイント | 新聞折込 | ポスティング |
---|---|---|
配布できる世帯 | 新聞を取っている世帯 | どの世帯でも可能 |
メインターゲット | 中高年・主婦 | 幅広い層にアプローチ可能 |
費用 | 1枚3~4円程度 | 1枚3〜8円程度(チラシの場合) |
配布エリア | 全国どこでも対応可能 | 柔軟に対応可能。ただし人口が少ないと配布できない場合も |
配布物の形態 | チラシのみ | チラシ・パンフレット・サンプル品・ノベルティも配布可能 |
新聞折込が向いているケース・ポスティングが向いているケース
新聞折込とポスティングの違いを紹介しましたが、活用に向いているケースについても見ていきましょう。
新聞折込が向いているケース | ポスティングが向いているケース |
---|---|
・幅広いエリアに配布したいとき ・中高年・主婦層にアプローチしたいとき ・費用を抑えてチラシを配布したいとき |
・若年層にもチラシを届けたいとき ・新聞に折り込めない大きさや材質のチラシを配布したいとき ・戸建てやマンションなど配布場所を限定したいとき |
新聞の折込チラシは購読者に限られますが、幅広いエリアに配布する際に便利です。ターゲットが若年層の場合や折込チラシ以外のものを配布したい時は、ポスティングを活用するとよいでしょう。
折込チラシを配布するまでの流れ
折込チラシを実際に配布するまでの流れには、次のステップがあります。
- 配布日を決める
- サイズや紙質を選ぶ
- デザインを考える
- 配布エリアを決める
- 配布枚数を決める
- 業者がチラシを作成して新聞販売店に納品する
以下では、これらの流れを詳しく説明します。
配布日を決める
折込チラシは短期間で多くの消費者に配布できますが、そのタイミングについて事前に計画を立てる必要があります。消費者にいつ見てもらい、いつ行動してほしいものかを考えた上で、配布日や曜日を決めるとより効果が高まるでしょう。
週末に向けての行動促進の効果を上げるために、金・土曜日に配布量が集中する傾向にあります。またチラシが配布日ごとの傾向や反応などの情報を収集すれば、より効果性の高い配布日を見いだせるのではないでしょうか。
サイズや紙質を選ぶ
新聞折込のチラシに使用されるサイズは「A3、A4、A5、B3、B4、B5」です。その中で最もメジャーなサイズは「B4」サイズで、新聞紙に折り込んだ際にきれいに収まります。
また、紙質も選択でき、代表的なものだと「マット紙」「光沢紙」「普通紙(上質紙)」があります。目的に応じて適切な紙質を選びましょう。
紙質の主な特徴は次の通りです。
- マット紙:光の反射が少なく、文字が読みやすい
- 光沢紙:写真などの色合いをきれいに見せられる
- 普通紙(上質紙):安価に作成できる
デザインを考える
折込チラシのデザインは、自社制作する方法と業者に依頼する方法があります。業者に依頼する場合、チラシに掲載する写真や地図などの素材を用意しておきましょう。
なお新聞折込のチラシデザインは審査が厳しく、次の注意点をクリアしなければなりません。
- 責任の所在が明記されているか(広告主名、住所、固定電話番号)
- 広告内容が明確であるか
- 誤認の可能性がある文言表現になっていないか
- 法律や条令違反に触れていないか
- 業態ごとの記載制限項目に該当していないか
- 公序良俗を乱す表現ではないか
- 差別、名誉棄損、プライバシーの侵害などの恐れがある広告ではないか 他
新聞社が不適切と判断した広告は折込不可となるため、デザインを作成する際には審査基準にも注意が必要です。
配布エリアを決める
配布エリアは、店舗を中心に一定の範囲を対象に配布する方法やターゲットが多く居住するエリアに絞って配布する方法があります。店舗を中心とする場合、範囲は自動車交通機関のアクセス時間や距離、顧客の分布状況から調べてみてください。
店舗場所など縛り条件のない通販などは、ターゲットを定めて比率の高いところから配布する方法が多く見られます。
配布枚数を決める
業者ごとに設定された部数表をもとに、配布枚数を決めていきます。1回のみの配布であるのか、複数回告知するのかによっても必要枚数は変わります。配布エリアやターゲット数、予算に応じた設定が大切です。
業者がチラシを作成して新聞販売店に納品する
業者にチラシ制作を発注すると、事前に決めた印刷仕様と枚数をもとに折込チラシを作成してもらえます。チラシが完成すると、業者は新聞販売店に納品し、新聞販売店から顧客へ指定日に新聞折込が配布される仕組みです。
配布前にチェック!折込チラシの効果を高めるコツ
折込チラシの効果を高め、より集客や売上へとつなげるには、次の3つのコツについてもチェックしましょう。
繰り返し配布することで徐々に効果が出てくる
チラシは何度も配布するうちに「ザイオンス効果(単純接触効果)」により、徐々に店名や社名の認知を高め、効果が出てくる傾向にあります。ザイオンス効果とは、相手に何度も繰り返し接触することで、評価や好感度などが高まっていく心理効果のことです。
また、チラシを含めた顧客との接触回数が7回を超えると購入につながりやすいといわれる「セブンヒッツ理論」もあります。集客数の効果が出ない場合、接触頻度が足りているか見直すのも重要でしょう。
配布頻度と配布エリアのバランスをとる
先述したように、折込チラシは繰り返し行うことが重要です。配布エリアを広くして頻度を少なくするよりも、エリアを限定して配布する方が効果を期待できます。
リピーター獲得を目指す場合は1次商圏の範囲も把握し、販促活動をすると良いでしょう。1次商圏とは、お店の最大商圏の近隣人口エリア17%の範囲を指します。
この1次商圏で全体売上の約85~95%を占めるといわれています。
効果測定をできるようにして定期的に振り返る
折込チラシをただ配布するのではなく効果測定を行い、その効果を定期的に振り返りましょう。店舗ビジネスの場合「チラシの持参で10%OFF」などの特典を設けると効果を測定しやすいです。
WEBサイトへの誘導が目的の場合、チラシ専用のQRコードをプリントしておくと、チラシからの購入数や申込数が計測できます。また配布エリアごとにQRコードを変更しておけば、エリアごとの反響率も調べるられるでしょう。
効果が高いエリアが判明すれば、そのエリアに集中することで無駄のない配布にもつながります。
まとめ
新聞折込の購読者は減少しつつありますが、社会情勢を知る媒体として今もなお高い信頼性があります。
新聞の「地域性」「即効性」「信頼性」のメリットを活用することで、伝えたい内容やターゲットによっては他の集客方法にも負けない販促ツールとなります。今回説明した内容を参考にして、最大限の効果を発揮する折込チラシを作成しましょう。