住居のポストに直接配布する「ポスティングチラシ」は、配布した当日に受け取り手の目に留まる確率が高く、新規出店で顧客を獲得したい場合やどのような反響があるかを測定する場合などに有効な販促手段の一つです。しかし、よく検討しないまま配布したのでは反響を得られるどころか、無駄に配布する枚数が増えてかえって費用がかかってしまいます。
限られた予算の中でポスティングチラシを効率的に配布するにはどのような方法があるのでしょうか。ポスティングチラシの配布方法や費用、集客につながるポスティングチラシの作り方など、詳しく説明していきます。
目次
ポスティングチラシは業者に頼むか自身で配布するか
チラシをポスティングする方法として考えられるものに、「ポスティング業者に依頼する方法」と「自身や自店のスタッフが配布する方法」があります。自身の状況によってどちらがより効率的かは異なるため、それぞれのメリット・デメリットを知った上で検討することが必要です。
ここでは、それぞれの配布方法のメリット・デメリットを解説します。
ポスティング業者に頼むメリット・デメリット
ポスティング業者にチラシ配布を依頼する場合、以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット |
---|---|
・広範囲に配布できる ・どのエリアに配布すべきかを相談できる ・ターゲットを絞って配布ができる ・入ってはいけない住居についても知っている ・クレーム対応もできる |
・費用がかかる ・適当に配布される可能性もある ・業者を選ぶ手間がかかる |
ポスティング業者に依頼することでのメリットの一つに、配布エリアが柔軟に選択できるということがあります。ポスティング業者はポスティングすることが業務のため、配布エリアを広げたり、狭めたりするという選択が容易にでき、またプロならではの多彩なノウハウで、どのエリアに配布したらいいかという相談にも応じてくれます。さらに、ポスティング不可の住居や集合住宅などについても精通しており、万が一のクレームにも対応してくれるということから、その地域に対する予備知識がない場合などは安心して任せられるでしょう。
一方、そのようなプロの対応が豊富であればあるほど、コストもかかることも認識しておかなければなりません。
また、ポスティング業者選びを吟味せずに選んでしまうと、質の低い業者であれば適当に配布されたり、クレームが起こるような配布をされたりする恐れもあるなどのデメリットも生じます。
自分で配布するメリット・デメリット
自身や自店のスタッフを使ってポスティングを行う場合には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット |
---|---|
・コストがかからない ・空いた時間にすぐ配布できる ・狙いたいエリアや家が決まっていれば、ダイレクトに配布できる ・自分で歩くことで地域の情報が手に入る |
・手間がかかる ・配る枚数が限られる ・スタッフに任せるなら教育が必要 |
自らポスティングを行うことの最大のメリットは、ポスティングに対するコストがかからないということと、時間の選択を自由にできるということです。ポスティング業者に依頼する場合、配布の条件が多ければ多いほどコストもかかるだけでなく、配布時間の指定ができないこともあります。
一方で、自らポスティングを行えば移動コスト以外のコストがかからず、空いた時間を使って配布できるため、自由度は高いです。さらに、自店の周辺地域に詳しいのであれば、学生が多いエリアや住宅が多いエリアというようにターゲットを細かく絞って配布することもでき、また、自ら足を使って配布することで、競合店の出店情報が思いがけず手に入ったり、地域の生活時間帯を詳しく知ることができたりするなどのメリットもあります。
反対にデメリットは、主に人員に対する問題です。配布できる人数が限られている上に、徒歩や自転車などの場合は天候にも左右されます。
また、ポスティング不可のエリアや時間帯の配慮をせずに配布したことでクレームに発展した場合の対応や事前のスタッフ教育も必要になるだけでなく、ポスティングは想像以上に重労働である上に手間がかかるため、本業がおろそかにならないような配慮も必要です。
ポスティングチラシを業者に発注する方法と費用
ポスティング業者に依頼する場合の配布方法として、「ローラー配布」と「セグメント配布」の二種類があります。それぞれの特徴やどのような場合に向いているか、それぞれの平均的な料金と合わせて紹介します。
ローラー配布
ポスティング業者が基本的な配布方法としているのが「ローラー配布」という方法ですローラー配布とは、依頼主が指定したエリアの全ての住宅にチラシを配布する方法です。配布する住宅を選択する手間がかからない分、低予算で大量に早くチラシを配布したいという場合にはおすすめの手法となります。また、チラシの反響をエリアごとに確かめたいというような、マーケティングに利用したい場合にも有効な手法です。
しかし、年齢も性別も世帯状況も関係なく全ての住宅に配布するために、チラシの枚数がかさむというのが、ローラー配布のデメリットの一つです。また、全ての住宅に配布するのが基本ではあるものの「ポスティング不可」とされる場所へは配布しないため、実際の配布枚数は、そのエリアの住宅の約75%前後ともいわれています。
気になる料金は、B4サイズ以下やハガキサイズなどの小さいチラシであれば1枚あたり3円〜4円台、B3サイズ以上の大判チラシであれば1枚あたり5円〜6円台が相場です。上述の通り、ローラー配布は配布先を特定せずにとにかく数多く配布したい場合や、まずはチラシを配布することでどのような反響があるかを確かめたいという場合におすすめの配布方法といえるでしょう。
セグメント配布
「セグメント配布」とは、セグメント(segment)が分割・区分をさす言葉であるように、戸建て住宅やマンションなどと対象を絞って配布する方法です。依頼主が指定したエリアをさらに細かく絞って、マンションなどの集合住宅だけを指定したり、戸建て住宅だけを指定したりするなど、ピンポイントで配布することができます。
中には企業や店舗など事業所だけに絞った配布にも対応するポスティング業者もあります。特徴としては、マンションを対象にするのであればリフォームや新築マンションのチラシ、戸建て住宅が対象であれば不動産や介護に関するチラシを配るなど、居住世帯を想定しながら、配布対象を絞れるということが挙げられます。配布する枚数や反響がありそうな世帯をあらかじめ想定できるため、ローラー配布と違ってチラシを無駄に多く配る必要がなく、かけたコストとその効果の対比がしやすいというのがメリットです。
その反面ローラー配布に比べて、1枚あたりで5円から10円と費用は高くつくため、コストと効果どちらを重視するかという選択が必要になります。
ポスティングチラシを自身で配布する際のポイント
- 配布するルートを決めておく
- 夕方や早朝に配布する
- 表が上になるように投函する
- 身分証を携帯して配布する
- 配布禁止場所を把握しておく
- 天候が良い日に配布する
コスト面やメリット・デメリットを考慮した上で、チラシを自身でポスティングすると決めた際に意識したいのは、配布する際のルートや時間帯の決め方だけでなく、実際に配布する際の注意点もあります。どのようなポイントがあるのか紹介していきます。
配布するルートを決めておく
不慣れな地域や初めてチラシを配布する際に特に必要なのは、配布するルートを事前に決めておくということです。配布しながら次に行く方角を決めているのでは、配布漏れや時間のロスが生じてしまいます。
ローラー配布のようにエリア全ての住宅に配布する際は、住宅地図などを見ながら、配布するルートを決めておきましょう。
夕方や早朝に配布する
日中に帰宅した際に、ポストに大量のチラシや郵便物が入っているのを経験されている方も多いのではないでしょうか。その場合、重要な郵便物以外はそのまままとめて紙ゴミへ、などということもありえます。早朝や夕方以降など、ポストにチラシが入っていない時間帯に配ることで、他のチラシに紛れることなく目に留まる確率が高まる期待が持てます。
ただし、夜遅くや明るくなる前などのまだ人々が寝静まっているような時間帯は、迷惑となることもあるので、一般的な生活時間帯の範囲内で検討しましょう。
表が上になるように投函する
チラシをポスティングする際は、受け取り手に対する配慮の差で印象が異なります。チラシを目にした時に、チラシが裏返しになっていたり裏面の白地が表側に折られていたりすれば、その後わざわざ表に返してチラシを読んでくれる人は多くありません。受け取り手が「このチラシは配慮されている」という印象を抱くことは、その後の反響にも差が生じます。チラシの見出しがひと目でわかるようにするなどの工夫を考えましょう。
身分証を携帯して配布する
集合住宅などで、見たことのない人物がポスティングしていると、住民はどうしても不審感を抱きます。そのエリアに似つかわしくない格好であればその感情は強くなり、集合住宅の管理人でさえ不審に思い、身分を尋ねてきたりクレームにつながったりする状況もあるかもしれません。そのような時には名刺をすぐに渡して身分を証明できるように用意しておくのがよいでしょう。
また、あらかじめ身分がわかるように、首からぶら下げるタイプの名札ホルダーを活用するのも安心感にもつながりおすすめです。
配布禁止場所を把握しておく
現在の日本において、ポスティングチラシの配布を禁止する法律は存在しないので、ポスティングすることそのものには問題はありません。
しかし、ポスティング禁止・お断りと示している場所への配布はやめましょう。そもそもポスティングを禁止していることには何らかの理由があるはずなので、チラシを多く配りたいことを優先せずに住民側への配慮を欠かさないようにしましょう。
天候が良い日に配布する
戸建て住宅のポストはもちろん、マンションなどでポストが屋内にある場合でも、ポスティングチラシの配布作業は基本的に屋外で行うことになります。雨や雪の日などはどんなに気を配っていても、ちょっとしたことですぐにチラシが濡れたり、湿気を含んだりしやすくなります。ヨレヨレな状態のチラシでは、受け取り手も読む気が失せてしまい、目を通すことなく廃棄してしまったり、場合によってはクレームに発展したりすることも考えられます。
せっかく自身が心をこめて完成させたチラシなのであれば大切に扱い、雨や雪の日を避けてポスティングを行うようにしましょう。
集客や売上につながるポスティングチラシの作り方
ポスティングチラシを作成する際に、集客や売上につながるチラシ作りにはどのような注意点があるのでしょうか。ポスティングチラシの手応えをより確実にするための、内容やレイアウトなど作成時のポイントを具体的に説明します。
ターゲットをはっきりさせる
チラシを作成するにあたり、ターゲットを明確にすることは重要です。年齢や職業などターゲットがあいまいだと、チラシそのものも焦点のあわないあいまいな内容になってしまいます。
ターゲットを絞ることで、自然にデザインやフォント、内容そのものも絞れてくるため、すっきりとしたわかりやすいチラシになります。
アピールポイントを絞り込む
上述のターゲットの絞り込みと同様で、何をアピールしたいのかというテーマの絞り込みも非常に大切です。あれもこれもと欲張って一枚のチラシに多くの情報や長々とした文章を載せたのでは、結局何を伝えたい紙面なのか、読み手には伝わりにくい上に読む気も失せてしまいます。むしろ端的にすっきりとした紙面であれば、アピールポイントも伝わりやすくなります。
視認性のよいデザインを心がける
目に留まる時間が短いチラシだからこそ、ひと目で内容が視認できるようなデザインの方が、伝わる可能性は高まります。
また、最も訴求したいコピーは、3メートル離れた位置から見ても理解できるような大きさで、さらに同じ紙面の3分の1以上のスペースを使用するのがよいともいわれています。
読みやすいレイアウトにする
書籍においても目線の流れの意識が必要であるように、チラシでも読み手の目線を意識したレイアウトが必要です。
チラシが横書きであれば、目線は左上から右上、さらに右上から左下に向かってアルファベットの「Z」の形のように目線は移動し、チラシが縦書きであれば、右上から右下、さらに右下から左上へと「N」の形のような目線の移動になります。それらの目線の動きを意識した上でレイアウトを行うことで、より読みやすく伝わりやすい紙面が完成するでしょう。
オリジナリティをアピールする
同じエリアに競合店が多い場合などは、チラシの受け取り手が「このチラシを持っておくことはメリットになる」と明らかにわかるような、「自店ならでは」という差別化を図ることが非常に重要です。
例えば、チラシやクーポンを持参することで特典を受けられるようにしたり、期間限定や季節限定といったようなキャンペーンの告知を掲載したりするなど、競合店にはないオリジナリティをアピールすることで、来店へと促す効果がおおいに期待できます。その場合は、チラシを手にした時に真っ先にその内容が目につくようなレイアウトや配布時のポストへの入れ方などの工夫も考えるとより一層の効果が見込めます。
特典を設ける
チラシにクーポンをつけたり、チラシを持参することで特典をつけたりすることは、単なる顧客サービスではないことはご存知でしょうか。
クーポンや持参チラシの枚数をカウントすることで、エリア別の反響の把握ができるだけでなく、クーポンや特典の内容によってどのように反響が異なってくるかなどの効果測定として大きな役割を持っています。ひとつ注意点をあげるとすると、クーポンやチラシ持参の特典には必ず有効期限を大きく記すことです。スタッフの見落としによりクレームに発展することを防ぐためにも必ず記載しましょう。
魅力的な写真を掲載する
飲食店や不動産、美容院のチラシなどは、鮮やかで丁寧に撮影された写真があることで読み手もイメージがわきやすく、好印象を抱きます。
反対に、コストをかけまいと自前の精度の低いカメラなどで撮影した雑な写真があるだけで、チラシ全体が雑な印象を与えてしまいます。近頃はスマートフォンでも高画質の写真を撮影することが可能なため、自身で撮影をする際には少しでも高性能のカメラで撮影することを心がけましょう。
また、撮影する際は、建物であれば立体感を意識し、食べ物であれば普段食事をする目線を意識したレイアウトの工夫や、屋外で日中に撮影するなどの光量の工夫も必要でしょう。
まとめ
今回は、ポスティングチラシについて、配布方法の違いや費用の目安、ポスティングチラシを作成する際のポイントについて紹介しました。
普段なにげなく手にしているポスティングチラシですが、実際に自店のポスティングチラシを検討するとなると、いかに受け取り手の目に留まりやすいデザインにするか、売上や顧客獲得に直結するようなサービス内容にするか、いつ配布すればより効果的か、といったような細かい吟味が必要になります。
丁寧に吟味することで顧客獲得につながり、反響の測定にも活用できるポスティングチラシを、今後の販促計画に加えてみてはいかがでしょうか。
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