商品やサービスなどを宣伝する際は、ダイレクトメールの活用をおすすめします。しかし、ダイレクトメールに対して「過去の集客方法」といったイメージを持つ方も多いかもしれません。
近年のダイレクトメールは以前よりも進化しており、再注目されつつあるのです。本記事では、ダイレクトメールの基礎知識について改めて理解するためにも、その効果やメリット、デメリット、種類などを詳しく解説します。
目次
ダイレクトメール(DM)とは?
ダイレクトメールはDM(Direct Mail)とも訳される、マーケティング手法の1つです。企業から個人宛に送られる印刷物や電子メールを指し、宣伝目的で活用されています。郵便やFAX、電子メールなどを用いて、幅広い年齢層や業種業態の顧客に対して、直接情報を届けることが可能です。ダイレクトメールを有効活用できれば、商品やサービスの販売、集客などにつなげる効果に期待ができます。
また、SNSの普及により、ダイレクトメールと似たような言葉で「ダイレクトメッセージ」という言葉がでてきており、どちらの言葉も略称が「DM」となるため、混同してしまうケースがあります。両者の違いとしては、ダイレクトメールは、企業が顧客に対して直接印刷物など送るマーケティング手法である一方で、ダイレクトメッセージは、SNSのアカウントを通じてユーザー同士が直接やり取りをするメッセージを指します。
ダイレクトメール(DM)の効果
ダイレクトメールの特徴としては、絞ったターゲットに対して印刷物や電子メールで直接アプローチできることです。不特定多数のユーザーではなく、アプローチするターゲットを絞って宣伝活動をするため、「知名度の向上」や「新商品のアピール」などに効果があり、特定の業界では特に有効とされます。ダイレクトメールの効果を発揮しやすい業界の特徴は「高額商品を取り扱っている」か「リピーターによる売上が大きい」ことです。高額商品を取り扱う業界としては、カーディーラーや住宅メーカーなどが挙げられます。商品やサービスに対する認知や興味を生み出す機会として、ダイレクトメールを活用し、購入へとつなげているのです。
一方、リピーターによる売上が大きい業界は、地元密着型の小売店やエステサロン、飲食店などが挙げられるでしょう。ダイレクトメールによって既存顧客に対して情報を発信することで接触回数を増やし、その結果として来店へとつなげています。
ダイレクトメール(DM)のメリット
ダイレクトメールが多くの業種や業態で用いられる理由は、多くのメリットがあるからです。ここではダイレクトメールが用いられる、下記3つのメリットをそれぞれ紹介します。
- 顧客に直接アピールできる
- ターゲットによって伝える情報を選べる
- 効果測定を行いマーケティングに利用できる
顧客に直接アピールできる
ダイレクトメールはさまざまな顧客に対して、ハガキや封書などを通して直接商品やサービスをアピールできる点がメリットの1つです。カタログやサンプルを封筒に入れてチラシと同封したり、目立つハガキにして手に取ってもらうことでインパクトを与えやすくなり、問い合わせや購入につながることに期待ができます。
さらに、記載する写真やデザインの工夫によって、商品やサービスのイメージが伝わりやすいのも特徴です。マス広告やWeb広告などは、不特定多数に対して特定の媒体を通じて情報発信をするため、その媒体を見ない層にはアピールできません。一方で、ダイレクトメールであれば、テレビやインターネットを視聴しない層や家庭にも、アピールが可能です。
ターゲットによって伝える情報を選べる
新規顧客や既存顧客などのターゲットによって伝える情報を選べる点もメリットの1つです。新規顧客には「新商品やキャンペーン」、既存顧客には「カタログや割引チケット、クーポン」といった使い分けができます。ターゲットごとに伝える情報を選択できることで、ユーザーが自分宛の情報がきていると特別感を演出でき、開封率やレスポンス率向上にも期待ができます。
また、商品やサービスの宣伝だけでなく、企業の理念や存在意義などを伝えることも可能です。コンセプトやブランドイメージなどをダイレクトメールに記載することで、商品やサービスについてユーザーに共通のイメージを認識させる「ブランディング」にもつながるでしょう。
効果測定を行いマーケティングに利用できる
ダイレクトメールは、効果測定をしやすい点も特徴です。顧客に送付するダイレクトメールに、QRコードやクーポンコードを記載しておくことで、メールを開封したユーザーの割合やクーポンがどの程度使用されているかのデータ収集ができます。
収集したデータは、ダイレクトメール施策の改善の材料となるだけでなく、その他の販売や集客に関する戦略や計画にも活かせるでしょう。効果測定で得たデータを分析して、どのような施策であればユーザーからの反応があるのかを考えながら、ダイレクトメールを送付することが重要です。
ORコードについてはこちらの記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
ダイレクトメール(DM)のデメリット
ダイレクトメール(DM)のメリットを紹介しましたが、ダイレクトメールを用いることのデメリットもいくつかあります。ここではダイレクトメールを用いることで発生する、下記3つのデメリットをそれぞれ紹介します。
- 送り先の顧客情報を知る必要がある
- 作成の時間・コストがかかる
- 開封されない可能性がある
送り先の顧客情報を知る必要がある
ダイレクトメールには多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。その1つとして、送り先の氏名や住所、メールアドレス、年齢・性別などの情報収集に対して手間や時間がかかる点が挙げられます。
これらの情報を集めるには、メンバーズカードの作成やアンケートの実施などを行い、まずは個人情報を集めなければなりません。さらには、利用目的を明確にしたうえで、ダイレクトメールを送ることに対して、顧客の同意を得る必要があります。
集めた顧客情報は「個人情報」として扱う必要があり、その取り扱いにも注意が必要となるなど、管理面での手間も大きいでしょう。
作成の時間・コストがかかる
ダイレクトメールを送るターゲットの選定や顧客データの更新、顧客リストの作成、原稿制作、印刷などで時間やコストがかかる点にも注意が必要です。作成時間については、ダイレクトメールの発送を代行する会社に依頼すれば短縮できるものの、もちろん費用が発生します。企画から作成、封入作業などを考慮すると、多くの時間を要する点は認識しておきましょう。
また、ダイレクトメールは郵便物やメールとして、ターゲットに届ける形式のため、一度運用を始めてしまうとクリエイティブや送付先データの更新には時間を必要としてすぐに運用の改善を行うことができません。この点は、広告の運用中に配信先を柔軟に変更できることや、クリエイティブの変更ができるWeb広告との違いです。
ダイレクトメールとWeb広告を運用することのメリットや特徴はそれぞれあるため、用途やターゲットにあったアプローチ方法を考えていきましょう。
開封されない可能性がある
ダイレクトメールは、開封されないままに破棄されることも決して珍しくありません。よって、ダイレクトメールでは、顧客が思わず開封したくなるような工夫が求められます。
多くの手間や費用をかけて作成したダイレクトメールも、顧客の目に触れなければその効果を発揮できません。対策としては、割引きクーポンをつけたり、セール情報を目を引くデザインにしたりといった開封するメリットを明記しましょう。
ダイレクトメール(DM)の種類と特徴
ダイレクトメールにはいくつかの種類があり、それぞれに特徴が異なります。ここでは、3つのダイレクトメールの種類について、その内容を具体的にみていきましょう。
- 郵送(はがき・封筒)
- 電子ダイレクトメール(Eメール)
- FAX
郵送(はがき・封筒)
はがきによる郵送は、手軽に導入しやすいのが特徴です。また、はがきと一口にいっても形状や形式もさまざまで、「定形はがき」「返信用はがき付き」「圧着ハガキ」など、商品やサービス、キャンペーンなどに合わせた、使い分けが必要です。
より多くの情報を載せたいなら、記載面の広い「圧着はがき」「返信用はがき」をおすすめします。一方、封筒で送るダイレクトメールは、サンプルやチラシ、カタログなどの送付に利用するケースが多いです。封筒は封入できる情報量が多く、複数の商品やサービスを紹介できます。
また前述の圧着ハガキや封書は、中身が見えない分、プライバシー保護の観点でもメリットとなります。ただし、他のダイレクトメールと比べると、コストが嵩む傾向にあるため、注意しましょう。
電子ダイレクトメール(Eメール)
電子ダイレクトメール(Eメール)は、顧客のメールアドレスに宛てて、商品やサービスの情報を送付する方法です。メールマガジンと呼ばれることもあります。安価かつ、大量のメールを一斉に送れる点が特徴で、緊急告知や直近のキャンペーン案内などの告知に向いています。
ネットショッピングでの購入後、その店からのメール配信を受け取るかを問われ、配信を希望したあとに新たな商品のメールが届いた経験は、一度はあるのではないでしょうか。
配信の間隔は、毎日送るところもあれば、1ヶ月に1度などの間隔を空けて配信する企業もあります。ただし、迷惑メールと判断されて削除されるケースも多く、まずはメールを開封されるような工夫が必要となるでしょう。
メルマガの配信方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
FAX
FAXを使ってチラシやニュースレターなどを送る方法もあります。1件の送信にかかる単価が安く、さらに情報が目に付きやすい点が特徴です。
郵送のダイレクトメールと比べて、送信に関する手間は省ける一方で、モノクロ(白黒)でしか受信ができず、写真やイラストなどでの商品イメージや雰囲気などは伝えにくいでしょう。
また、何度も同じ内容で送信すれば、返って悪い印象を持たれる可能性もあるので、送信の頻度や内容には配慮が必要です。
ダイレクトメール(DM)の開封率をあげるコツ
ダイレクトメールの目的は、直接的な商品購入やサービスへの申し込みをはじめ、間接的な問い合わせや資料請求などであることも多く、いずれの場合もまずは内容を見てもらうことが重要です。
ダイレクトメールの効果を測る場合は、どれだけ目を通してもらったかを示す「開封率」が重要な指標となります。ここでは、開封率を高める3つのコツを紹介します。
挨拶文で顧客の心を掴む
ダイレクトメールにおける挨拶文は、最初に目を通す箇所であり、ここで心を掴めるかどうかで、その反響率が変わります。挨拶文には「時候の挨拶(じこうのあいさつ)」などを入れて季節感を加えてみましょう。
時候の挨拶とは、手紙やハガキの頭語の後に続く、本文の書き出しの言葉です。「○○の候」や「暑中お見舞い申し上げます」などがそれにあたります。
また、顧客側は普段から多くのダイレクトメールに触れる機会があり、その中でも特別感を感じてもらうことで、より内容を読んでもらいやすくなります。なかでも手書き文章は、読み手の心に刺さる有効な方法の1つです。
全ての文章を手書きにせずとも、手書きによる一筆添えたり、手書き風のフォントで印刷したりといった工夫を加えてみましょう。
目を引くデザインやイラストを起用する
開封率を高めるには「目を引くデザインにする」「写真やイラストを使用する」といった、顧客のニーズに合わせた見た目の工夫が必要です。視覚的に目的や伝えたい内容を訴え、顧客が思わず開封したくなるようなデザインにするポイントは、次のとおりです。
- 企業ロゴや色使いに個性や特色を出す
- イラストや写真を積極的に使う
- ダイレクトメールの目的を明らかにする
- 商品やサービスの内容がひと目で理解できるようにする
- 封筒にメッセージを書いて目立たせる
- 目的に合うダイレクトメールのサイズを検討する
これらのポイントを意識し、記載内容に興味をもってもらえるようにデザインやイラストだけでなく、伝えたい情報量に応じて送付するはがき・封筒といったダイレクトメールのサイズを検討するなどして、デザインを仕上げることが大切です。
目立つ色の組み合わせについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
チラシの作成方法やデザインのコツについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
割引やプレゼントなどのクーポンを入れる
ダイレクトメールの開封率には、割引やプレゼントなどのクーポンも大きく影響します。クーポンは「お店を知ってもらう」または「思い出してもらう」といったきっかけをもたらします。
具体的には「◯割引クーポン」や「プレゼントと引き換えられる特典クーポン」などを入れれば、数あるお店や商品、サービス選びの決め手の1つとなるでしょう。
まとめ
ダイレクトメールは、顧客との接触機会を増やし、商品やサービスなどの「認知」に適したマーケティング手法です。ただし、大量のダイレクトメールを送れば効果が出るとは限りません。
情報を届けたい顧客層を明らかにし、その層に適した方法で送ることが重要です。今回ご紹介したダイレクトメールの方法を参考に、反響度や認知度を高めていきましょう。
ダイレクトメール(DM)の種類と作り方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
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