数ある居酒屋の中で生き残るには、集客によって店舗にお客様を呼び込む必要があります。どんなに美味しい料理や素晴らしい接客を提供できても、集客ができなければ、いずれ経営が成り立たなくなるでしょう。

今よりもさらに売り上げを伸ばし、長く続く居酒屋にするためには、新規顧客と既存顧客のいずれも増やしていかなければなりません。そこで今回は、居酒屋の集客方法に活用できるツールやターゲットごとの集客のポイントなどをご紹介します。

居酒屋の集客方法はターゲット顧客で使い分ける

居酒屋の集客方法はターゲットとする顧客によって使い分けが必要であり、大きく分けて「新規顧客」「既存顧客」の2パターンでの考察が必要です。

まず新規顧客の集客には「認知」が欠かせません。認知にはステップがあり、いきなり来店につながるのは稀です。新規顧客を集客するためのステップは次のとおりです。

  1. お客様に居酒屋の存在を知ってもらう
  2. 居酒屋に対して興味を抱いてもらう
  3. 来店するように決断を促す

一方で、既存顧客の集客には、リピーター化してもらうための「仕組み」が必要です。新規顧客を既存顧客に変えていくには、次のようなステップを踏みます。

  1. 初めて来店したお客様に満足してもらう
  2. 次回も自店舗に来たくなるように記憶に残す
  3. お客様が自店舗を思い出すきっかけを作る

新規顧客と既存顧客とでは、集客するステップが異なるため、それぞれに対して別の施策を打ち出さなければなりません。以下では、それぞれの顧客に対する集客に活用できるツールをご紹介していますので、ぜひご参考ください。

新規顧客の集客に活用できるツール

新規顧客の集客に活用できるツール
  • Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)
  • グルメサイト
  • チラシ
  • ホームページ
  • SNS
  • 看板・旗

前述のとおり、居酒屋の集客においてはターゲット顧客によって集客方法を使い分ける必要があります。ここでは、新規顧客を獲得するために活用できる5つのツールについて詳しく解説します。

Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)

Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)とは自店舗の情報をGoogle検索やGoogleマップで閲覧するユーザーに対し、表示及び管理ができる無料のサービスです。Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)で表示できる店舗情報は次のとおりです。

  • 営業時間
  • 定休日
  • 住所
  • 店名
  • 電話番号
  • 支払い方法
  • メニュー
  • 写真
  • クーポンなど

これらの正確な情報をGoogleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)を利用することで多くのユーザーに提供できます。また、ユーザー側からの口コミ投稿ができる点も大きな特徴です。この口コミに対して、店舗側から返信することもでき、ユーザーと交流にもつながります。

良い口コミと悪い口コミのそれぞれを受け取る可能性がありますが、いずれにも丁寧に対応することでよい印象を与え、信頼できる居酒屋として認識してもらえるでしょう。

グルメサイト

グルメサイトとは「食べログ」「ぐるなび」「ホットペッパーグルメ」「Retty」といった、飲食店情報を中心として扱うWebサイトを指します。各グルメサイトによって、ターゲットとする層が異なることから、自店舗が狙うターゲット層と合致しているかを確認して選択しましょう。

具体的には「サラリーマン」「中高年」「家族連れ」といったターゲット層の見極めが重要です。また、登録店舗数や利用者数もグルメサイトごとに大きな差があり、利用コストも異なるので、自店舗に合ったグルメサイトを選ぶことは、集客効果を高める第一歩といえます。

チラシ

地域密着型であるケースが多い居酒屋は、チラシによるクーポン配布などで大きな集客効果を期待できます。チラシの配布方法は「新聞折込」「ポスティング」「直接」の3つがあり、ターゲットにあわせてその特徴を活かす必要があります。

新聞折込の特徴

「新聞」の社会的信用は高く、そこに折り込まれるチラシの信用も自ずと高くなるとされます。ただし、新聞折込のチラシを受け取るのは、新聞をとる家庭のみです。単身の客層にはあまり向いかない点には注意が必要です。

ポスティングの特徴

ポスティングはチラシ単体で直接ポストに入るため、露出度が高い点が特徴です。配布率も高く、エリアや世帯などを細かく条件付けできることも魅力といえます。ただし、各家庭のポストには、さまざまな業界のチラシが入るため、読まれずに捨てられるといった可能性もあるでしょう。チラシの折り方やデザインの調整によって、捨てられないための工夫が必要です。

直接配布の特徴

直接チラシを配布する方法には「街頭手渡し」があります。ターゲットが行き交う場所や時間帯を選び、配布できる点が街頭手渡しの特徴です。また、ノベルティや試供品と一緒に渡すことで、手に取ってもらえる可能性が高くなるでしょう。

狙うターゲットを考慮し、3つの配布方法の中から自店舗に合うものを決めてみてください。

ホームページ

ホームページは、細かな内容までを自由に設定できるのでブランディングしやすいのが特徴です。ブランディングとは、企業や商品、サービスに対する認知度を高め、​好感を得るための取り組みを指します。

ホームページによって自店舗に対する認知度が向上すれば、集客へと直結します。居酒屋の場合は、提供する食事やお酒の種類、働く従業員などを知ってもらうことで、新規顧客に興味を持ってもらえる可能性があるのです。

また、グルメサイトやSNSには載せきれない情報をホームページに記載することで、顧客の取りこぼしも防げるでしょう

SNS

FacebookやInstagram、X(旧Twitter)、LINEなどを代表とするSNSも新規顧客の獲得には欠かせません。基本的に利用は無料であり、さらには拡散力も高いため、ぜひ取り入れたい方法の1つです。

ただし、各SNSによってターゲット層や特徴が異なる点には、注意しましょう。たとえば、Facebookは実名登録であることからターゲティング精度が高く、30代〜40代の利用者が多いのが特徴です。

また、写真をメインに扱うInstagramは、料理やデザートなどの視覚的に訴求しやすい商材を載せることで反響が高まる傾向にあり、比較的若い利用者が多いでしょう。

自店舗が狙うターゲットとマッチするSNSを選択することで、集客力アップを期待でき、さらには広告も利用すればよりお店に興味のある人に絞って情報を届けられます。

参考:【2021年最新版】SNS利用者数と各媒体の特徴まとめ | 株式会社フルスピード – Growth Seed

看板・旗

認知や宣伝の役割を果たす看板や旗も新規顧客の集客に効果があります。特にお店の前を通る人に直接集客できる点は、看板や旗ならではの特徴といえるでしょう。

看板は、店舗の屋根に設置する長期的なものものから、すぐに設置と収納ができる簡単看板など、種類はさまざまです。また旗は、大きな看板を設置するスペースがない場合などにおすすめします。いずれもデザインでアピールするだけでなく、目印としての役割を果たすなど用途の広い集客方法です。

既存顧客の集客に活用できるツール

既存顧客の集客に活用できるツール
  • メルマガ・DM
  • ポイントカード・メンバーズカード

既存顧客の集客方法は新規顧客とは異なり、認知ではなく、リピートしてもらうための仕組みが必要です。ここでは、リピートにつなげるための2つのツールについて詳しく解説します。

メルマガ・DM

既存顧客に対してはメルマガ、DMなどでキャンペーン情報やクーポンなど特典を送りましょう。いずれもユーザーから配信を希望してもらう必要がありますが、再来店を促すには、高い効果を期待できます。

メルマガやDMは定期的に配信することが重要で、自店舗の存在を忘れていたお客様が思い出すきっかけもなるでしょう。さらに、メルマガ配信に特化した外部サービスを利用すれば、性別や年齢、初回の来店時期などの条件付けをしたうえでの配信も可能です。

ちなみに、自店舗に関心のないユーザーに来店してもらうには、既存顧客にリピートしてもらう5倍のコストがかかるとされています。つまり、新規顧客の獲得よりも、メルマガやDMなどを使って、再来店を促すほうが売り上げに繋がりやすいということです。

ポイントカード・メンバーズカード

再来店を促す集客方法として、ポイントカードやメンバーズカードの活用も有効です。

ポイントカードは、特典を受けるためのハードルを低く設定し、ポイントがすぐに貯まるような仕組みにすることで再来店につなげられます。また、メンバーズカードは顧客情報を取得できる貴重な情報源です。初回来店時にアンケートに回答しもらい、メンバーズへの加入を促します。

この時、次回使えるクーポンや登録特典を設けることで、加入へのハードルが下がります。加入率が上がらない場合は、今回の会計で使える特典やクーポンを用意してみましょう。いずれも単純な施策ですが、リピート獲得には効果的なものばかりです。

居酒屋で集客する際のポイント

居酒屋で集客するうえで、押さえておくべきポイントがあります。ただやみくもに集客をしても、望む効果は得られない可能性が高いです。ここでは、居酒屋で集客する際の5つのポイントについて、その内容を確認していきましょう。

ブランドを定める

居酒屋で集客する際は「ブランドの設定」が欠かせません。マーケティング戦略におけるブランドとは、顧客の心に蓄積されたイメージや認識を指します。

「〇〇のお酒ならこの居酒屋」「新鮮な〇〇を食べるならあの居酒屋」といったブランドがあると、口コミが広がりやすく、その分知名度も得やすいです。さらには、ブランドが確立されるほどに、他店との差別化を図れます。

また、価格競争に巻き込まれにくくなったり、広告や求人にかかるコストを抑えたりといったさまざまなメリットが得られるため、集客活動を行う事前段階でブランドを定めておくことをおすすめします。

コンセプトを明確にする

前述のブランドをさらに強力なものにしてくれるのが「コンセプト」です。コンセプトとは、そのお店の魅力や方向性を意味し、コンセプトの決定には、次の3つを軸に考察するとよいでしょう。

  • 誰が顧客なのか
  • 何を提供するのか
  • どう感じてもらいたいのか

コンセプトが曖昧な居酒屋は、店舗全体のイメージがぼやけてしまいます。コンセプトの明確化が店舗のイメージをつくり、それを「こだわり」として発信することで、店舗のブランドして確立されるのです。

たとえば「地元で採れた野菜や魚、肉しか使わないお店」というコンセプトにすれば、おのずと提供する料理や飲み物も決まり、一貫性のある施策が生まれてくるでしょう。

戦略を立てる

課題把握から目標決定までの戦略を立てた状態で、集客活動を実施しましょう。インターネットで得られる情報では満足しないお客様も増えてきており、他店との差別化を図るには、戦略的な視点が欠かせません。

特に重要なのは「市場」に対するリサーチです。「自店舗の周辺に同業店舗はどのくらいあるのか」「ライバル店舗の来店客数はどのくらいか」といった、自店舗を取り巻くデータを収集し、分析する必要があります。

また自店舗の「顧客属性」を分析し、「年齢層」「性別」「ピークの時間や曜日」といった情報を客観的に見られるようにデータ化しましょう。これらの集めた情報を今後のマーケティング施策に反映させることで、より効率的な集客につながります。

ベンチマークを行う

マーケティングにおけるベンチマークとは、他社の優れた戦略や商品、サービスを基準にして、評価することを意味します。 つまり、消費者の目線に立ち、他の居酒屋のどこが優れているのかを分析することは、居酒屋の経営に不可欠です。

他の居酒屋をベンチマークする際のポイントは、複数店舗を対象にして分析することです。1店舗だけを分析しても、それが本当に正しい方法や手法であるかを判断できません。ベンチマークする店舗のチェックポイントは次のとおりです。

  • 客単価(お客様1人が1回の来店で支払う金額)
  • 滞在時間
  • 席数(カウンター、テーブル)
  • 混雑具合
  • 営業時間
  • 立地(駅から徒歩何分など)
  • 顧客の年齢層
  • アルバイトの人数、接客スキル

これらの項目について自店舗との違いをベンチマークによって明らかすることで、マーケティングに生かせます。

リスク対策を行う

居酒屋のみならず、どんな経営をするうえでも想定外のリスクを負う可能性はあります。飲食店全般で考えられるリスクは次のとおりです。

・衛生面のトラブル
・火災
・従業員の急な集団退職やトラブル
・SNS炎上など

これらはいずれも一度発生すれば、今まで築き上げてきたお店の評判やイメージを崩しかねなません。評判やイメージが崩れれば、客離れの原因となり、その結果として売上の減少を招きます。

よって、どんなに良い集客方法を実施していたとしても、リスク対策ができていなければ、すべてを失う可能性があるのです。業務マニュアルを作成したり、従業員研修を実施したりするなど、もしもに備えるようにしましょう。

居酒屋の集客に役立つアイデア・イベント

居酒屋の集客に役立つアイデア・イベントの考案も、他店との差別化を図るうえで重要なポイントの1つです。その例として、飲食以外のジャンルとのコラボメニューの開発などが挙げられます。

コラボと聞くと、有名人やインフルエンサー、大企業などをイメージするかもしれまん。しかし、コラボでは「他業種と組んでの値引きキャンペーン」「〇〇(有名アーティスト)の日キャンペーン」と題して、特にコストをかけずとも実施できるコラボ企画が多くあります。

新規顧客と既存顧客のいずれも楽しんで参加してもらえるようなコラボ企画をぜひ考えてみてください。

まとめ

居酒屋の経営は、人件費や材料費などはもちろんのこと、家賃などの固定費もかかり、継続的な集客による売上の安定が欠かせません。特に居酒屋では、既存顧客で売上の基盤をつくり、新規顧客によって売上を上積むようなマーケティング施策が必要です。

今回ご紹介した集客に活用できるツールなどを参考に、他社との差別化を図りながら、強固な経営基盤を築いていきましょう。

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