効果的な事業運営をするために重要な販促。販促にはさまざまな方法がありますが、販促品を配布することで、売上アップや集客を試みるという目的を持つ人は多いです。
しかし、販促品を活用することによってどのような効果が得られるのか、具体的にどのような手順で販促品を用意すればよいのかを知らない人も…。販促品について正しい知識を持っておくことは、計画的に事業を営むために重要です。
そこで今回は、販促品とはどのようなものなのか、広告やノベルティ、粗品や記念品との違い、販促品を制作する際の流れなどについて詳しく説明します。
そもそも販促品とは?
販促品を用いてビジネスを成功に導きたいと考える場合、まずは販促品の概要について理解することが重要です。また、似たような言葉や手法として、広告やノベルティ、粗品や記念品といったものがありますが、これらと販促品がどのような違いを持っているのかという点も知っておかなければ、販促品を活用する目的が不明瞭になる危険性があります。
販促品を活用することで求めている効果を得るために、まずは販促品についての知識を深めておきましょう。
商品を配布して購買を促進するもの
そもそも販促品とは、無料で商品を配布したり、有料の商品のおまけとして付与したりすることで、消費者の購買を促進するもの。顧客やターゲット層の人たちがもらって嬉しいものを配布することによって、購入へのきっかけを作ることが狙いです。
販促品にもさまざまな種類がありますが、化粧品や洗剤などの商品サンプル、文房具、マグカップといった日用品が例に挙げられます。
販促品と広告の違いとは?
企業の認知度を高めるといった点では、販促品と広告に大きな違いはないように思えます。そのため、これらの意味を混同して考える人もたくさんいるようです。
しかし、広告の目的は、あくまで「消費者に対して企業や商品・サービスなどの情報を認知させる」という点に限定されます。一方、販促品は、消費者に対して情報を伝えるという広告効果を持ちつつも、根本的に「購買の動機づけをして、利益を伸ばすこと」を前提として制作されています。
もちろん、広告を出すことによって、間接的に売上や集客力がアップするケースもあります。しかし、販促品と広告には、根本的な目的に大きな違いがあります。このような違いを理解したうえで適切な手法を選べるようにしておけば、求める効果を得やすくなるでしょう。
販促品とノベルティの違い
商品を消費者に配布するという点では、販促品とノベルティに大きな違いはないように感じるかもしれません。しかし、販促品は「消費者の購買につなげるために配布される商品」という広い意味を持ちますが、ノベルティはその中でも「企業の情報を認知してもらうという宣伝要素が強い」という特徴があります。
ノベルティには、企業の名称やロゴなどが記載されていることが多く、手に取った消費者がノベルティを利用する際に企業のことを思い出してもらったり、よりよいイメージを持ってもらったりするという効果が期待されています。一方で、販促品の場合は、購買を促進するものであれば何でもよいので、企業のロゴや名前が入っていない場合もあります。また、ノベルティは基本的に無料で配布されますが、販促品は有料の商品のおまけとして使われることもあるため、この点も違いと言えます。
販促品を制作するのであれば、このようなノベルティとの違いがあることを知っておきましょう。
販促品と粗品の違いとは?
企業が消費者に対して所定の商品を配布するという点においては、販促品と粗品で共通している部分だといえます。しかし、粗品には、来店やアンケート記入のお礼や挨拶といった目的で活用されることが多く、売上や集客力をアップさせるという販促品とは根本的に目的が違うのです。
粗品という名前の通り、それほど高価ではない粗末なものを送るという意味があるため、ティッシュやタオル、ボールペンや卓上カレンダーといった商品が採用されるケースが多いです。また、ある程度高価な商品であっても、あえて粗品とすることで受け取った相手に気を遣わせないようにするという日本独特の言い回しで用いられることもあります。
販促品と記念品の違い
記念品は、受け取った人に、後になって思い出として振り返ってもらうことを目的として配布する商品のこと。創立記念をはじめとして、来店者数突破記念やリニューアルオープン記念など、さまざまなタイミングで記念品が用いられます。こちらも、売上アップや集客を目的とする販促品とは意味合いが異なります。
記念品が配布される対象者も、事業の関係者に限定して配布されたり、配布時期が限定されていたりするため、販促品よりも配布する対象者が少なくなりやすいです。記念品の具体例としては、置時計やTシャツ、バッグなどがあり、配布する商品によっては販促品と重複するケースもあります。
成果につながる販促品を制作するための流れ
せっかく販促品を制作するのであれば、なるべく大きな成果につなげたいと思うもの。販促品を制作する際に押さえておくべき流れは、以下のようになります。
これらの流れを意識して販促品を制作することで、目的とする成果を得やすくなるでしょう。ここからは、成果につながる販促品を制作するための流れについて詳しく説明します。
1.制作する目的を明確にする
1つ目は、制作する目的を明確にすること。
購買につなげたいという大まかな目的をもって販促品を制作する企業は多いですが、中には具体的にどのような目的を達成するのか曖昧になっているケースも…。販促品によって達成しようとしている目標は何なのかによって、販促品の制作予算や商品、デザインなどが変わってきます。
たとえば、販促品を活用することで得ようとしている成果が「店舗での売上アップ」であれば、「あまり知られていない新商品の魅力をサンプル配布で1000人に伝える」といった掘り下げた目標を設定することが重要です。集客力を高めたいのであれば、「ロゴ入りの販促品で企業のWEBサイトへのアクセス数を1.5倍に増やす」といった具体的な目標が設定できるでしょう。
2.配布するターゲットを決める
2つ目は、配布するターゲットを決めること。
販促品を配布するターゲットを決めることは、販促品を配布する目的をはっきりさせることと同じくらい重要です。すべての消費者を対象に販促品を制作・配布していては、数量が足りなくなるだけでなく、本来来店してほしいと考えている顧客層に販促品が行き渡らなくなってしまいます。
たとえば、販売したい商品を購入しうる見込み客が事務職であれば、仕事中に手に取ってもらいやすいボールペンやペン立てといった販促品が適しているでしょう。女性をターゲットにする場合、エコバッグやステンレスボトルといった商品であれば日常的に手にしてもらえるため、企業の印象を与えやすくなります。
3.予算を設定する
3つ目は、予算を設定すること。
どのような販促品をつくるのか、どこでデザインして販促品を制作するのかによっても予算は大きく変わります。どれくらいの量の販促品をつくるかによっても予算が変わるので、費用対効果を考えながら、具体的な根拠をもって予算を設定することが重要です。
たとえば、ある企画をアピールするために販促品を制作する場合、まずは企画を通して得られる売上を試算します。そして、その売上を出すためにかかる仕入れ額や人件費といった費用を算出し、残りうる利益を求めます。そして、その利益からどれくらいの販促費を捻出できるかということを考えましょう。その企画が企業の成長を左右する重大なものであれば、販促費を多く割く価値があると考えられます。プロジェクトの重要性に応じて、適正に予算配分することが大切です。
4.ユーザーにとって実用性のある販促品を考える
4つ目は、ユーザーにとって実用性のある販促品を考えること。
販促品を無料で配布するからといって、どのような商品でも消費者に喜ばれるというわけではありません。ユーザーにとって実用性のあるものでなければ、販促品を受け取ってもらえたとしても実際に活用してもらえず、販促品による成果を得るのは難しくなるでしょう。
たとえば、カバンに入りきらないような大きな商品や、デザインがターゲットの年齢や性別に適していないもの、デザインが良くても使いづらく実用性に欠けるものなどは販促品として不適切だといえます。誰に配布するかによって販促品の実用性も変わるので、ターゲットにあわせて適切な商品を選ぶことが大切です。
5.納期を決める
5つ目は、納期を決めること。
販促品はどこで制作するかにもよりますが、事前に納期を決めておかなければ、必要なタイミングまでに販促品を準備できなくなる危険性があるので注意が必要です。自社制作であっても、人員やスケジュールをどれだけ割けるかによって納期が変わりますし、外部に制作を依頼するとしても、場合によっては納品までにそれなりの期間がかかります。
同じデザインの販促品であっても、発注先によって対応できる納期が異なるため、いつまでに用意しなければならないかによって適切な制作方法を選びましょう。
6.伝えたい情報をシンプルにまとめてデザインを制作する
6つ目は、伝えたい情報をシンプルにまとめてデザインを制作すること。
企業の情報を消費者に伝えたいからといって、販促品にたくさんの情報を詰め込むところもあるようです。しかし、消費者が販促品を通して企業を意識するのはわずか数秒程度といわれています。販促品に記載されている情報があまりにも多いと、本当に伝えたい情報が伝わらなくなってしまうので注意が必要です。
ボールペンやマグカップなどに企業名だけ記載しておくだけでも、販促品としての効果を十分発揮できます。より多くの情報を伝えたいのであれば、企業ホームページのURLやQRを記載しておくことで、消費者にアクセスしてもらうことができるかもしれません。伝えたい情報があるのであれば、要点を絞って端的に記載しておくのがおすすめです。
販促品のデザインを制作する3つの方法とは?
魅力的な販促品のデザインを制作するためには、以下の3つの方法を知っておくことが大切です。
これらの方法を理解したうえでデザイン制作を進めれば、納得いく販促品を用意できるとともに、消費者に企業の魅力をアピールして売上や集客力を高められるようになるでしょう。ここからは、販促品のデザインを制作する方法について、詳しく説明します。
自社で販促品をデザインする
自社で販促品をデザインすることによって、外部に委託する費用を抑えながら納得いく商品を制作しやすくなります。特に、デザイナーが在籍している企業の場合、企業の魅力やアピールポイントを把握したうえで適切なデザインを制作しやすいでしょう。細かい部分の相談や修正などをタイムリーかつ正確に意思伝達できるので、効率的に販促品を制作することも可能です。
しかし、企業にデザイナーが在籍していない場合や、デザインを得意とする従業員が在籍していない場合、デザインの候補を挙げるだけでも大きな負担がかかってしまうかもしれません。コストを気にして自社デザインにこだわりすぎると、思ったような販促品を制作できなくなる危険性があるので注意が必要です。
制作会社に外注する
企業にデザインを得意とする従業員がいない場合や、デザインにかける手間を抑えたい場合は、制作会社に外注するのがおすすめです。
依頼する制作会社にもよりますが、場合によっては販促品の企画から制作、広告宣伝まで請け負ってくれるところも。販促品を制作した実績が多い企業であれば、より効果が期待できるので、信頼できる制作会社を選ぶようにしましょう。
ただし、色合いや大きさといった感覚的な部分に齟齬(そご)が生じると、納得いく販促品が納品してもらえないことも…。なるべくスムーズに販促品を制作するためにも、具体的な提案や入念な打ち合わせをおこなうことが大切です。
クラウドソーシングで制作を依頼する
クラウドソーシングで販促品のデザイン制作を依頼すれば、制作会社に依頼するよりもコストを抑えて納品してもらいやすくなります。場合によってはオリジナリティのある素敵なデザインに仕上げてもらえることもあるため、使い方によってはコストパフォーマンスの優れた制作方法だといえます。
ただし、クラウドソーシングは誰でも登録しやすい反面、ユーザーによってスキルに大きな差があり、場合によっては途中でクリエイターが離脱してしまい必要な時期までに販促品を用意できなくなる可能性も…。発注する前に過去の実績を確認したり、ほかの依頼者からの評価などを確認しておくことで、気持ちよく取り引きできるようにしておくことが大切です。
まとめ
ここでは、販促品の概要や広告やノベルティとの違い、販促品を制作するときの流れや具体的な制作方法などについて説明しました。
ここで説明した内容を参考にして、企業の目的を達成できるような魅力的な販促品をつくれるようにしておきましょう。