マーケティング担当者や店舗経営を計画している人は、「ペルソナ」という言葉を多く聞いたことがあるでしょう。または、専門用語としてペルソナという言葉を聞いたことはあっても、具体的な意味はわからないという人も多いのではないでしょうか。

マーケティングの戦略を考える際、最初にペルソナを設定することはその後の商品・サービスの展開のために非常に重要です。

ペルソナとはどのような意味があり、ペルソナ設定にはどのようなメリットがあるのかを詳しく紹介します。

マーケティングにおけるペルソナとは

ペルソナとは、英語の「person」の語源でもあるラテン語の「persona」のことです。マーケティング用語としては、自社の商品・サービスを利用する顧客の基本モデルや人物像としてペルソナという言葉が使われます。

ペルソナとターゲットはどう違う?

ペルソナという言葉以外で、人物像という意味として「ターゲット」という言葉が浮かびますが、詳細にはペルソナとターゲットは具体性が異なります。

ターゲットは「30代、男性、営業」といったざっくりとした人物設定を指します。一方でペルソナとは、ターゲットからさらに細かな設定をします。居住地域、住まい、家族構成、趣味、車の有無、勤務先、年収、所属部署など、実際に存在しているかのような人物像を想定し、ストーリー性を含ませるのがペルソナです。

ペルソナマーケティングはもう古い?

マーケティング戦略においてペルソナ設定が不可欠とされる一方で、ペルソナ設定という手法はもう古いという意見も見受けられます。なぜ古いと見なされるのでしょうか。

実はペルソナ設定とは、今のようなインターネットが一般化する前の、新聞・雑誌などの紙媒体が主な広告媒体だった時代から長く必要とされてきた手法です。そのため、当時と同じような観点でペルソナ設定を行ったのでは、当然時代にマッチしないものになります。そうした失敗例が多く見受けられるために、ペルソナ設定は古いと捉えられてしまったのです。

インターネットの普及や多様性といった観点にアップデートさせ、現代のライフスタイルをベースにペルソナ設定を行うことで、現代らしいペルソナが完成します。マーケティングにおけるペルソナ設定自体は古いものではなく、今も欠かせない手法といえます。

ペルソナを設定するメリット

商品・サービスの販促や店舗経営などにおいて、ペルソナを設定することのメリットは何があるのでしょうか。

ユーザー視点でアプローチ方法や新製品を考えられる

新商品・新サービスの開発や販促にあたって、開発者や運営者側だけで考察すると、一方的な視点に偏ってしまいます。そこで、ユーザーにより近いペルソナを設定して視点を変えることで、商品・サービスの改善や効果的なアプローチ方法など、より落とし込んだ考察が可能になるのです。

メンバー内でユーザーイメージを共有できる

企業における商品・サービスの開発や販促は、プロジェクトチームを結成して進めることが多いのではないでしょうか。その際、ペルソナを設定しなかったり曖昧だったりすると、方向性も曖昧になってしまいます。ペルソナがきちんと共有されていることで、チーム内で意見が分かれたり、修正が必要になったりした場合でも、何をどこまで改善すべきか判断がしやすくなります。

ペルソナの作り方

ペルソナの定義やメリットがわかったところで、実際にペルソナを作ってみましょう。ペルソナを設定するには、どのようなことに重点をおいて行えばよいか順を追って説明していきます。

自社の強み・弱みを分析する

まずは、自社で扱う商品・サービスについて、強みと弱みの把握から始めましょう。その場合、開発側の視点で行うだけではなく、ユーザーからの視点、競合と比べたうえでの視点といった、さまざまな方向から分析を行うことが重要です。開発側からの視点だけでは気づくことができなかった弱点が見えてきます。

また、商品・サービスそのものだけの分析ではなく、日本経済の動きや業界全体の今後の動向などの分析も行うとさらに自社の商品・サービスの改善点が見えてくるでしょう。

情報収集を行う

ユーザーからの視点を知るために最も迅速な方法は、実際のユーザーの声を聞いて情報収集を行うことです。想定するペルソナ像に近い複数のユーザーに対してアンケートやインタビューを行います。

内容は、居住地域や職業などのプロフィール情報に加え、商品・サービス購入のきっかけや、満足している点、不満な点など、ペルソナ設定がより鮮明になるような項目を挙げていきましょう。

アンケートやインタビューでの質問事項が多ければ多いほど、具体的なペルソナ設定がしやすくなります。

データを情報ごとに分析・整理する

複数のユーザーからの情報収集を行ったら、次にそれらの情報の整理と分析を行います。

年齢・性別・職業などの基本情報以外に、ペルソナ設定に役立ちそうな趣味や関心、行動などといった特徴や共通点を整理していきましょう。

ペルソナにストーリーを加える

整理した情報の中で、基本情報ではなく人間性の違いが出る項目に着目すると、ユーザーに共通する人物像やライフスタイルが見えてきます。それらを踏まえながら、ペルソナのストーリーを肉付けしていきましょう。

例えば、仕事上の悩みや休日の過ごし方、交友関係、信条、SNSの利用法など、ひとつの物語の登場人物を作るように、細かな人物像を考えていきます。

作成したペルソナの確認

ペルソナのストーリーが完成したら、先に情報収集したユーザーのアンケートとズレがないか、ストーリーに感情移入できるかどうかを確認しましょう。

日常とはあまりにかけ離れるような設定や人物像ではないか、ペルソナの視点に立って違和感がないか見極めることが重要です。

ペルソナマーケティングのポイント

ペルソナマーケティングのポイント
  • ペルソナは定期的に見直しを行う
  • ペルソナはより具体的に設定する
  • リサーチを入念に行う

先にも述べましたが、一部には「ペルソナマーケティングは古い」という声もあります。しかしそれは、ペルソナマーケティングが導入された当初の古い観点や項目のままで行うために「古い」と見なされているだけです。現代の観点にアップデートすれば、現代のニーズに沿ったペルソナマーケティングが可能になります。

最後に、現代のニーズに沿ったペルソナマーケティングを行うポイントを紹介します。

ペルソナは定期的に見直しを行う

ペルソナ設定に掲げる項目が古いままでは、過去の時代の人物像が出来上がってしまうのは当然です。現代のユーザーの生き方や趣味・関心、ニーズに沿った項目で情報収集をし、完成しているペルソナ像もひと昔前のままになっていないか、定期的に見直しを図りましょう。

ペルソナはより具体的に設定する

例えば20代に関するニュースを40代の自分が目にした時に、「今の20代は皆こんな感じ」と一つの情報だけで世代を一括りに捉えてしまうことはないでしょうか。

新商品・新サービスの開発や販促にあたっても、なんとなく想像だけで「こんな感じ」とペルソナ設定してしまうと、本来のユーザーのニーズとはズレが生じてしまいます。また、同じ20代でも、学生か会社員かの違いだけでペルソナは不明瞭になります。

先の項目で述べたような、複数のユーザーへのアンケートやインタビューから具体的に整理や分析を行い、想像ではなく実在に近いペルソナを設定しましょう。

リサーチを入念に行う

複数のユーザーへのアンケートやインタビューを具体的に行うことの利点として、ユーザーが実際に抱えている問題や価値観といった、数値だけでは把握できない事柄が得られることです。

年齢・性別・地域など、一般的な項目だけでペルソナ設定すると、ペルソナ設定がうまくいかないだけでなく、ユーザーの価値観や本来のニーズにマッチしない商品・サービスになってしまいます。より具体的なペルソナ設定ができるよう、事前の情報収集は丁寧に行いましょう。

まとめ

今回は、マーケティングにおけるペルソナ設定の方法について紹介しました。

ペルソナ設定は、商品・サービスがユーザーの課題解決やニーズにより近づけるために必要な手段です。

ペルソナマーケティングはもう古いと見なされるのは、ペルソナ設定のための項目や既に完成しているペルソナが、過去の状態のままアップデートされていないために生じることです。現代の人物像としてありえるかどうかを確認し定期的に再構築することで、最新のペルソナとして活用できます。

また、実際のユーザーから多く情報収集を行うことで、ユーザーが抱えている問題やニーズをより具体的に知ることができます。

ユーザーのニーズや課題解決に直接つながる商品・サービスであるために、ペルソナ設定の理解を深めてみてはいかがでしょうか。

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