飲食店に差別化が求められるようになった背景には「店舗数の増加による競争の激化」があります。飲食店の店舗数が増えたことで、お客様はシチュエーションやメニューなどによって、飲食店を使い分けられるようになりました。
その結果、飲食店はお客様の利用目的に合わせた専門性を持ち、差別化を図る必要が出てきたのです。つまり、数ある飲食店の中からお客様が自身のお店を選ぶ理由が必要であり、そのための仕組みづくりが飲食店には求められます。
そこで、本記事では飲食店での差別化を考える際のポイントやアイデア例を紹介します。
目次
飲食店での差別化を考える4つのポイント
- 競合店をリサーチする
- 顧客視点を取り入れる
- 自社の強み・独自性を考える
- 具体的なアイデア・コンセプトを考える
飲食店が差別化を図るには、競合にはない独自の強みを見つける必要があります。なぜなら、独自の強みを持った飲食店は、お客様に認知されやすくなるからです。
ここでは、飲食店での差別化を考えるうえで重要な4つのポイントについて、その内容を詳しくみていきましょう。
競合店をリサーチする
競合点との差別化を図るには、まずは競合店を深く知る必要があります。競合となる店舗を実際に訪れて、良かった点や悪かった点などをリサーチしましょう。
リサーチする点は外観の雰囲気や接客、従業員の身だしなみなどはもちろんのこと、メニュー数や人気メニュー、変わり種メニューなどを実際に注文して確認します。味や盛り付け、量、価格などを総合的に確認し、不明な点は店員に質問してみてください。
お客様の回転率やおおよその客単価なども見ておきましょう。調査後は競合のリサーチ結果をもとに、分析して自店と比較します。
自分のお店よりも優れていると感じた部分は、競合を上回るような施策を考えて取り入れます。ただし、競合店を意識するあまりに新メニューを乱発したり、無謀な値下げを行ったりする必要はありません。あくまで参考程度にとどめ、現実的に可能な範囲の施策を実行しましょう。
顧客視点を取り入れる
経営者やお店がいくら良いサービスや料理を提供していると感じていても、顧客が同様の考えとは限らず、常に顧客視点を取り入れる必要があります。
前述の「競合店のリサーチ」に関しても、顧客視点で競合との違いを見つけることが重要です。顧客視点を取り入れる方法としては、顧客に直接聞いてみるのが一番の近道といえます。
自分のお店の良かった点や悪かった点を把握するためにも、お客様にアンケートをとったり、知り合いに感想を訪ねたりしてみてください。また、これから飲食店を出店する場合は、お店選びの基準を知り合いに尋ねたり、悪かったと感じるお店を教えてもらったりするなど、顧客視点での情報が得られるような仕組みを設けることが重要です。
自社の強み・独自性を考える
飲食店の差別化を図るうえで「自社の強み」や「独自性」は欠かせない要素の1つです。自分のお店の強みは付加価値そのものであり、そこに他のお店ではやっていない独自性をプラスすることで、他店との差が大きくなります。
飲食店における強みの例は次のとおりです。
- 業界で長い経験がある
- 独自ルートで安価に仕入れることができる
- 接客力が高く、リピート率が高い
- 独自技術による製法がある
また、飲食店における独自性の例には次のようなものがあります。
- ◯ランクの国産牛しか使用しない
- 旬の無農薬野菜のみを使用する
- 地元も市場で毎朝仕入れた魚のみを使用している
飲食店では、ヒットメニューや「口コミ」されやすい話題メニューの開発が不可欠です。料理のクオリティはもちろんのこと、強みや独自性を活かしたメニュー作りが他店との差別化につながります。
立地を考慮して考えることが大切
さきほどの自社の強み・独自性を考えるには「立地」も大きく影響します。飲食店がある地域で求めているお客様のニーズやメニュー、価格帯にアンマッチがあれば、差別化を図れたとしても、集客には結びつきにくいでしょう。
お店の前を通る人の客層や人通りの多い時間帯などを考慮して、地域性に合わせた店舗づくりが求められます。移動店舗ではない限り、立地との相性が合わなかったとしてもすぐには場所を変えられないでしょう。
よって、変更できるメニューや価格帯などを立地に合わせ、臨機応変に対応していく必要があるのです。
具体的なアイデア・コンセプトを考える
競合店と自社のそれぞれの強みを元に、具体的な商品やサービスなどのアイデアやお店のコンセプトを考えます。コンセプトには「概念・発想・構想」といった意味があり、飲食店における「ベースとする考え方・構想」のことです。
コンセプトを作る際は「5W2H」を使ってそれぞれの内容を検討し、まとめるのが有効です。
- When:時期・営業時間
- Whrere :お店の場所・立地
- Who:ターゲットは誰なのか
- What:どのようなメニューにするか
- Why:なぜ?競合と差別化できるのか?なぞ顧客のニーズを満たしているといえるのか
- How:どのようにしてサービスを提供するか
- How much:料理・サービスの価格をいくらに設定するか
この「5W2H」の中でも特に重要なのが「Who(誰に)」「What(何を)」の2つです。「Who」「What」の内容が曖昧にならないように設定することで、飲食店の方針が明確になります。
そして、考案したコンセプトを軸にして具体的な差別化のアイデアを考えていきましょう。コンセプトが決まっていない状態で考えたアイデアは、整合性のない内容となりかねません。
店名・コンセプトは顧客ニーズにあわせて考える
さきほどのコンセプトやお店の顔ともいえる店名は、顧客ニーズにあわせて考案しましょう。店名から受ける印象は、お客様がこのお店に決めるかどうかの基準となるものであり、大変重要なポイントの1つです。
人には観念があり、物事に関して抱く主観的な考えはそれぞれ異なります。それは店名に関しても同様です。
その人がこれまでに体験してきた出来事をベースとして、店名から「こんなお店だろう」とイメージするのです。例えば、高級志向をコンセプトにした飲食店であるにも関わらず、「安さ」「手軽さ」「親しみやすい」を連想させるような店名では、集客しにくいでしょう。
つまり、メインとするお客様が求めるニーズを満たせることが伝わるような店名とすることで、他店との差別化につながるのです。
飲食店の差別化方法のアイデア例
飲食店が差別化を図るには、業種やエリア、予算などの要素によって取るべき方法が異なります。ここでは、飲食業界において効果が高いとされるアイデアを3つ紹介します。
専門性の高いお店にする
数ある飲食店の中で、どんな人にもマッチするお店をつくるのは難しいです。よって、食材やメニューなどを1つに限定した「専門性の高いお店」にすることで、差別化を図りやすくなります。専門性の高い飲食店にするメリットは次のとおりです。
- お客様がお店の売りを理解しやすい
- 話題性によって口コミが増えやすい
- オペレーションを効率化できる
- 食材ロスの減少につながる
- メニューの質が高くなる
このように、専門性は集客や効率、品質などの観点から見ても、多くのメリットがあることが分かります。ただし、飲食店を「専門店化」するには日々移り変わる時代の流れや顧客ニーズに沿ったお店にしなければなりません。マーケティング調査や商品開発などの地道な工夫が必要です。
おひとり様に特化したお店
これまで単身利用には向かないとされていた焼肉や鍋料理、居酒屋などをおひとり様向けに業態変化させる飲食店が増えています。個室または半個室にし、男女問わず1人で入りやすい店内に変更しているのです。
その背景には、単身世帯の増加や未婚率の上昇などいった社会的な変化も影響しており、おひとりさま向けに特化した飲食店は今度も増えることが予想されます。よって、自分のお店でも「おひとり様専用」のメニューや店舗レイアウトに変更できないかを検討してみましょう。
おひとりさまへの対応は、これまで見込み客としていない層の掘り起こしにもつながります。
関係性を築き体験価値を提供する
味や価格だけでなく、顧客との関係性を築ける場として、関係性や体験を提供するような飲食店は差別化が進みます。例えば、「既存顧客の好みを聞いてそれに合わせた料理を提供する」「作る工程やどういう食材かを説明しながら作る」といった取り組みによって、お客様は特別感を得られるでしょう。
同じ内容のメニューであっても、ここでしか味わえない特別感によって、競合店との差別化につながるのです。自分のお店のコンセプトを軸にして、体験価値による強固な関係性をお客様と築きましょう。
まとめ
競合店との差別化を図るためには、競合店の調査を通じて自分のお店にしかない魅力的なサービスを提供する必要があります。ただし、競合店の良い部分を参考にしすぎるあまりに、コンセプトとは異なるような取り組みを行えば、本来持っているはずの魅力を損ないかねません。
今回ご紹介した飲食店の差別化方法のアイデア例などを参考に、自分の店の魅力を磨きあげることを忘れないようにしましょう。
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