多くのサービスでオンラインが主流となっている今、旅館選びをする際、ホームページや口コミサイトを見て判断するというお客様も増えています。
ここでは、旅館の集客を成功させるコツや、顧客に選ばれる旅館を目指すために何をすべきかについて紹介します。
目次
宿泊業界の現状と課題
国土交通省観光庁が2016年に策定した「明日の日本を支える観光ビジョン」によると、2016年時点における目標値としての2020年の訪日外国人旅行者数は4,000万人と見込んでいました。
しかし、近年の不況下により実際の2020年の訪日外国人旅行者数は411万5,828人と当初の見込みを大きく外れ、旅館をはじめとした宿泊業界は大きなダメージを受けました。
また、近年注目を集めている民泊や、宿泊先のマッチングサービスである「Airbnb(エアービーアンドビー)」の登場によってリーズナブルに宿泊できる手段が増えたことも、旅館をはじめとした宿泊業界に影響を与えています。
これらの複数の要因が重なり、旅館側としてもこれまでと同様の集客方法では、従来のような利用者数の確保は難しいと考えられます。さらに近年のスマホ普及でネット予約やネット検索利用者も増えていることから、これまで活用してこなかったWebサイトを用いた集客方法に着手するなど、競合との差別化が必要となるでしょう。
参考:「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定しました! | 2016年 | トピックス | 報道・会見 | 観光庁
参考:訪日外客数・出国日本人数データ|統計・データ|日本政府観光局(JNTO)
旅館の集客を成功させるコツ
近年は大手企業による温泉施設の買収なども増え、個人経営の古きよき旅館がこれまで通り運営を続けていくには、集客に対する徹底した対策が重要です。旅館の集客を成功させるにはどのようなコツがあるのか説明していきます。
ブランディングを強化する
ブランディングとは、旅館の存在意義を明確にし、どのような価値をお客様に提供できるのかを具体化することです。自身の旅館を利用することでお客様がどのような価値を得られるのか、旅館の強みとなるポイントを整理していきましょう。
旅館の存在意義という軸となる部分を明確にすることで、ターゲット作成や販促活動を検討していくことができます。
ターゲットを明確化する
ブランディングの具体的な内容がわかったところで、ターゲット層の明確化を行います。ターゲット層を定めずに曖昧なままにすると、情報発信や広告媒体選定などの販促方法が決まらないだけでなく、宿泊プランを検討する際にも何を売りとするか具体的に決めることができません。
また、宿泊予約を増やすためにWebサイトの宿泊予約サービスやSNSの活用を検討するのであれば、それらのサービスに合致したターゲット設定がさらに重要となります。
コンセプトの見直し
自身の旅館のコンセプトは明確化されているでしょうか。コンセプトとは、自身の旅館が「こうありたい、こうあるべき」と従業員も含めて共有できるような基本的なイメージです。
コンセプトが明確になっているという場合には、そのコンセプトがターゲット層と合っているかどうか確認してみましょう。例えば、「大人が静かにゆっくり過ごせる」ということをコンセプトにしているにもかかわらず、ターゲットをファミリー層としているのであれば相違があることになります。コンセプトとターゲットを合致させることで宿泊プランや販促方法も具体化しやすくなり、集客アップにつながっていきます。
旅館の主なWeb集客方法
スマホやパソコンなどからのネット予約やネット検索の利用が増えている近年では、Web集客を検討することは非常に重要です。旅館における主なWeb集客の方法にはどのようなものがあるのでしょうか。
ホームページで魅力を伝える
ネット検索で旅館を探す利用者が増え、旅館のホームページを持っていることは大きな強みになります。外観や料理、部屋やお風呂などの画像や動画がトップページに大きく配置されているだけで、インパクトのあるホームページとなり、旅館の魅力が最大限に伝わります。
画像や動画撮影には自信がないという場合にも、宿泊施設に特化したコンサルティングサービスを活用すれば目的に合わせた撮影も可能です。
OTAやポータルサイトの活用
OTAとは「オンライン・トラベル・エージェント」の略で、実店舗を持たずオンラインで完結する旅行会社の一つです。一方ポータルサイトとは、宿泊施設の基本情報や口コミ情報などが充実した情報サイトを指します。楽天トラベルやじゃらんなどのような日本企業が提供するサイトや、海外の大手予約サイトも存在します。
店舗に赴くことなくオンラインだけで旅行予約を済ませたい利用者が近年増えています。OTAやポータルサイトに登録することは、自身の旅館をより多くの人に知ってもらうために適した手段の一つでしょう。
SNSの活用
さまざまな年齢層が利用し、リアルタイムで多くの情報を得られるSNSに挑戦してみるのもWeb集客に役立ちます。Facebookやインスタグラム、LINE公式アカウントなど、SNSごとにターゲット層は異なるため、画像や文字情報などターゲットにあわせた情報発信ができます。
また、LINE公式アカウントでは、LINE予約やクーポン配布などの販促もでき、一度利用した顧客などターゲットを絞った配信など幅広い活用ができます。
Web集客を成功に導くポイント
- 口コミには迅速・丁寧に返信する
- キャッシュレス決済への対応
- ホームページは定期的に更新する
Web集客にチャレンジしてみても、適切な対応を行わなければ必ず成功につながるとは限りません。最後に、Web集客を成功に導くポイントを3点に絞って紹介します。
口コミには迅速・丁寧に返信する
SNSの普及によって、商品・サービスを選択する際に口コミを参考にするという利用者が増えました。旅館を選ぶ際にもホームページやポータルサイトだけでなく口コミの影響力は大きなものといえます。
また、口コミした人に対しての旅館側の対応も利用者にとっては大きな判断材料となります。中には悪口に思えるような口コミにも「貴重なご意見」として丁寧に返信し、一つ一つの口コミに対して真摯に向き合うことが重要です。
キャッシュレス決済への対応
キャッシュレス決済が近年浸透し、オンライン予約の際にもクレジットカードを含むキャッシュレス決済を利用する人が多くみられるようになりました。さらに、今後訪日外国人旅行者の利用を見込んでいるのであれば、支払い方法の選択肢の中にキャッシュレス決済を導入することは必須といえるでしょう。
しかも、キャッシュレス決済の導入は、お客様側の利点となるばかりでなく、旅館側の利点もあります。例えば宿泊時に高額の支払いになった際など、現金でのやりとりでは業務が複雑になったり、人為的なミスが起こったりする恐れもあるものです。しかし機械で行うキャッシュレス決済であればミスを最小限に防げる他、やりとりもスムーズになります。
支払い方法の選択肢が増えるということは、お客様側にも旅館側にもメリットにつながるのです。
ホームページは定期的に更新する
自身の旅館のよさを存分にアピールできるホームページも、情報が更新されることなく古い状態のままでは、対応のよくない旅館なのではないかと閲覧する側も不審に感じてしまいます。
大がかりな情報更新を頻繁に行うのは難しいとしても、トップページの画像を季節ごとに差し替えたり、おすすめの宿泊プランを更新したりするなど、定期的な情報提供の更新を行うとよいでしょう。
まとめ
多くの商品・サービスにおいて、数年前までのような電話予約や現金支払いは過去の話であり、今はオンライン予約やキャッシュレス決済が主流となっています。また、旅館選びをする場合もホームページや口コミサイトを見て判断するというお客様も増えています。
これまでインターネットを活用してこなかった旅館が今すぐ全て対応できるようになるのは難しいかもしれません。しかし、販促方法や支払い方法など何か一つでも検討してみたり、宿泊施設に特化したコンサルティングサービスに相談してみたりするなど、一歩進んでみることで何らかの突破口が開けることもあります。ぜひ旅館の集客アップのために検討してみてはいかがでしょうか。
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