学習塾の運営を始めるにあたって、考慮すべき項目の一つに集客方法があります。どんなにすぐれたカリキュラムを揃えていても、生徒が集まらないことには学習塾の存続は難しいでしょう。塾が開校したことを効率よく周知させて生徒を集めるにはどのような方法があるのでしょうか。

今回は学習塾を始めるにあたって必要な準備と、効率的な集客方法を紹介します。

学習塾の集客は事前準備が重要

学習塾の集客方法を決めるには、「誰に、どのような内容を、なぜ、いつ告知するか」を具体化する事前準備が必要です。具体案があることでスムーズに集客を図ることができます。

はじめに、学習塾の集客の事前準備について説明してきます。

学習塾に呼び込みたいターゲットを設定する

自身で開校をすすめている学習塾にはどのような特徴や強みがあるでしょうか。受験対策に強いのか、成績を上位に上げたい生徒向けか、地元情報に強い地域密着型の学習塾なのかなど、得意とする特徴によってターゲットとする生徒像も詳細にイメージできます。また「これだけは他の塾には負けない」といったような強みがあると、集客を図る際の大きなアピールポイントとなります。

まずはターゲットとする生徒の学年や年齢層、教科や目標など生徒像を明確にしましょう。さらに保護者の所得や職業、居住エリアや通学方法、どのような悩みを持っているかなどのような人物像をより具体化することで、適切なアプローチの方法が明確になります。

学習指導要領と学習内容を決める

文部科学省が定めている教育課程の基準である「学習指導要領」は、社会の急速な変化に必要な能力を育むためにおよそ10年に一度改訂が行われ、近年では2020年に改訂されました。

そのため学習塾についても、時代によって変化する学習指導要領に見あった指導内容であることが必要です。学習指導要領に伴った学習内容であることを訴求することで、グローバル化や情報社会を視野に入れている学習塾であるということが伝わる期待が持てるでしょう。

生徒の目的に合った学習内容を決める

学習内容を決める際は、設定したターゲットをもとに「どのような目的の生徒に向いている塾であるか」を検討します。

学習塾には、学校での成績を上げることを目的とした「補習塾」、難関校合格など受験を視野に入れた生徒向けの「進学塾」、補習塾と進学塾の両方の特徴を持ち、授業のフォローや進路相談など幅広く行う「総合塾」の3タイプがあります。自身の学習塾がどのタイプであるかを明確にしておきましょう。

経営方針を明確にすることでブレない学習内容が可能に

自身の学習塾がどのようなタイプであるかを見極めたあとは、学習塾の経営方針も明確化することが重要です。ただ単に集客さえできればよいという曖昧な目的では、社会や教育環境の変化に順応し続けることは難しく、学習内容にもブレが生じてしまうでしょう。

どのような生徒に来てほしいか、どのような生徒になってほしいか、学校だけでは学べない特性として何を指導できるかといった理想を、自身だけでなくスタッフや生徒の親にもはっきりと伝えられるように言語化しておきましょう。

学習塾の集客に適した時期・キャッチコピーを考える

確実な集客を得るためには、集客に適した時期の設定もポイントです。生徒の学年や目的によって若干異なりますが、新学年の授業が開始する前の2月から3月が、学習塾での新学年学習のスタート時期となります。入塾する学生や保護者が入塾時に遅れをとりたくないという焦りを抱くことがないように、タイミングに合わせたチラシ配布やイベントの実施を設定するとよいでしょう。

さらに、自身の学習塾のキャッチコピーを選定しておきましょう。これまでに明確化してきた学習内容や学習塾の強み、軸となる経営方針などを踏まえながら、ターゲットとなる生徒の動機や悩みをあと押しするようなひと言をキャッチコピーにします。学習塾の魅力を伝えやすくなり、チラシ配布やイベント時のセールストークとしてさまざまな場面で活用できます。

学習塾の主な集客方法6選

学習塾の主な集客方法6選
  • 学習塾の宣伝に特化したチラシの配布
  • 学習塾の口コミを広げる
  • 学習塾の周辺に看板を設置する
  • 学習塾のホームページを作成する
  • SNSやブログで学習内容などの情報を発信する
  • 体験授業やイベントを実施する

学習塾の集客方法には、宣伝したい範囲によってさまざまな方法があります。自身の学習塾のスタッフの数や予算を考えながら、どの集客方法が向いているかを検討してみましょう。

競合となる学習塾ではどのような集客方法をとっているのか調べて、どのような特徴があるか参考にしてみるのもよいでしょう。

学習塾の宣伝に特化したチラシの配布

宣伝したいエリアを絞って集客を行いたい場合や、地域密着型の学習塾での宣伝には、配布エリアを選定できるチラシ配布が効果的です。特に、地元の学校や受験情報を熟知している地域密着型の学習塾の場合は、定期テストの直前や夏季・冬季休暇など学校のスケジュールにあわせたチラシの配布が可能です。それにより最新の情報に強い学習塾であるということを保護者や生徒にアピールすることもできます。

チラシにはキャッチコピーや利用者の声、初回受講料50%OFFなどを記載して、ターゲットとなる生徒が学習塾に行きたいと思えるきっかけ作りをするとよいでしょう。

チラシ配布については、チラシの制作費や配布コストがかかるだけでなく、チラシ配布の方法についても迷惑行為とならないような注意が必要です。以下の記事もあわせて参考にしながら検討してみましょう。

ポスティングチラシの費用や配布方法は?効果を高めるデザイン方法も紹介

学習塾の口コミを広げる

口コミというとSNSなどオンラインでの拡散をイメージしますが、本来の口コミとは人同士の直接の言葉のやりとりによりオフラインで広まるものです。学習塾のように商圏が狭く、同じ目的を持った生徒や保護者が対象である場合には、このオフラインでの口コミが非常に効果の高い集客方法とされています。

ただし、このオフラインでの口コミを集客方法として用いるには、生徒や保護者と日頃から積極的なコミュニケーションを図り、良好な人間関係を構築することが重要です。また、口コミにより新規入校につながった場合には、口コミを発信した側に何らかの特典が得られるような「ご紹介キャンペーン」といったイベントを実施するのもおすすめです。

口コミというのはどんな内容も素早く拡散します。日頃から保護者からの相談に応じたり、有効な情報を提供したりするなど積極的なコミュニケーションを図っていきましょう。

学習塾の周辺に看板を設置する

看板は、学習塾の位置を伝える目的以外に、通りすがりの人に対して「ここの学習塾なら成績が上がりそう」「親身になって指導してくれそう」などと入校を促す効果も期待できる宣伝手段です。学習塾の商圏内にある学校の近くや、ターゲット層の保護者が利用するスーパーなどの商店の近くに設置して、「そういえばあそこに学習塾があったな」と想起してもらえることが目的となります。

看板には住所や電話番号などの情報以外に、どのような学習内容であるのか、どのようなタイプの学習塾であるのかなど、「ここで学びたい!」と思える言葉を配置するとよいでしょう。

学習塾のホームページを作成する

情報化社会が急速に進む近年では、学習塾選びもインターネットで情報収集をする保護者が増え、学習塾のホームページの有無や、情報量によって入校を決めるということも見受けられます。看板や口コミといったオフラインも強力な集客方法ではありますが、多くの人の目に留まるホームページといったオンライン集客も学習塾開校前の段階で設置を進めることが賢明といえるでしょう。

進学や受験に向けた情報収集に慣れている保護者の多くはホームページにも目が肥えています。授業内容や月謝などの基本情報だけでなく、授業の雰囲気が伝わる内容や講師のプロフィール、受験についてのノウハウ、塾へのアクセス手段など、保護者目線や生徒目線で知りたいと思える情報を充実させて、何度も訪問してもらえるようなホームページ作成を目指してみましょう。そして、ホームページ開設後は情報を都度更新し、検索の上位に表示されるようSEO対策を行うことが大切です。

WEB集客を行う方法やコツはこちらの記事で紹介しています。併せてご覧ください。

Web集客とは?種類やメリット、デメリット、業種別対策を解説!

SNSやブログで学習内容などの情報を発信する

情報発信手段としてさまざまな企業が活用するSNSやブログは、教育機関における宣伝手段として多く取り入れられています。学習塾でSNSやブログを活用する場合には、塾の実績報告や一方的な宣伝ではなく、生徒や保護者に役立つ情報を発信することがポイントです。

ブログでは、代表者の日常紹介や保護者や生徒のコメント、卒業生の近況など、ホームページやチラシなどにはないような特別感のある発信をすることで、親近感や熱心さを伝えられます。定期的な更新が必要になるため、無理をせず地道に続けることで、ブログそのものが学習塾の大きな資産となるでしょう。

SNSは情報発信以外にも生徒や保護者とのコミュニケーションツールとしても活用できますが、SNSは不特定の人がやりとりをするという点を考慮しながら進める必要があります。

集客にSNSを活用する方法についてはこちらの記事で解説しています。併せてご覧ください。

集客にSNSを活用する!SNSごとの特徴と運用のコツを解説

体験授業やイベントを実施する

チラシやインターネットだけでは伝わらない、実際の授業内容や学習塾の雰囲気を詳しく知ってもらうには、体験授業や模試などのイベントの実施が有効です。

どのような形で授業が進められるのかは、生徒も保護者も特に知りたい情報であり、入校を決める前に体験できることで、実際に通う生徒や授業の様子、先生との距離感などの雰囲気を知ってもらいやすく、生徒と学習塾、双方のミスマッチを防ぐ効果も期待できます。

また、体験授業での印象をアンケートに記入してもらうことで、今後の学習内容の検討もできるため、学習塾にとってもメリットがあります。模試の実施についても、既に通っている生徒にメリットがあるだけでなく、定期的に模試を行うことで受験した生徒や保護者からの口コミでその学習塾の評判が拡散するという効果も期待できます。

学習塾の集客で気をつけることとポイント


下記では学習塾の集客で気をつけることとポイントを3つ紹介します。気をつけることとポイントを理解して効果的に集客を行いましょう。

既に契約している生徒や保護者も考える

新規顧客の集客に注力することも重要ですが、既に契約している生徒や保護者のことを考えていなければ契約している顧客が離れてしまう可能性があります。そのため、既に契約している生徒や保護者向けに季節講習の割引キャンペーンやタブレットを導入したデジタル化など新しい取り組みを行って満足度が上がるように工夫しましょう。

見込み顧客への対応を行う

体験授業の参加者や資料請求をした人など、塾に興味を持っている見込み客へアプローチすることも重要です。他の塾と検討している場合やタイミングが合わなかったなど、入塾しなかったことに対しては、さまざまな要因が考えられます。そのため、定期的にメールを送る、電話をかけるといったアプローチを行うことで、見込み客が再度塾に興味をもってもらえる効果が期待できます。

効果測定をセットで行い見直しをしていく

集客方法にはホームページのクリック率から効果を測定するオンラインの方法とチラシを配布するといったオフライン方法でさまざまな方法があります。そのため、どの集客方法が自身の学習塾に向いているかを知るためにも効果測定を行うようにしましょう。

チラシはオンライン広告のようにクリック率などで効果測定はできませんが、地域密着型の学習塾の場合はもともと商圏や配布エリアが狭いため、やみくもに配布しない限り配布件数も把握しやすく、問い合わせや入校時のアンケートにチラシ閲覧について設問すれば把握は可能です。

一方、ホームページであればどのくらいのアクセスや問い合わせがあったか、SNSで広告を活用したのであればクリック率を調べてみるなど、定期的に効果測定を行うことで、より効果的で集客力のある発信を行うことができるでしょう。

まとめ

今回は、学習塾に効果的な集客方法について、事前準備や適した時期などもあわせて紹介しました。

やみくもに宣伝を行ったのでは、必要な人に情報が届かないだけでなく、かけたコストが無駄になってしまう可能性もあります。まずは、学習塾の特徴やターゲットを明確にし、どのような場合にもブレない経営方針の軸を定めることが、集客を始める前の準備として必要です。自身の学習塾にはどのような強みがあり、どのような生徒に来てもらえば効果的な成果を得られるかを考えましょう。

集客方法としては、口コミやチラシ配布などのオフラインでの方法と、近年主流となっているホームページやSNSなどを活用したオンラインでの方法の2つがあります。商圏や学習塾の特徴にあわせた手段を見極め、予算にあった方法から着手してみるとよいでしょう。

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