コンセプトはパン屋にとって「目には見えない看板」となるものです。最初のコンセプト作りによって、パン屋経営の成否が決まるといっても過言ではありません。
時間の経過とともに経営に関する方針が変わったとしても、コンセプトが決まっていれば長く愛されるパン屋となるでしょう。しかし、コンセプトの重要性は気づきながらも、その作り方が分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこで、本記事では店舗経営におけるコンセプトの重要性や5W2Hに沿った作り方、集客のためにできることなどを紹介します。
目次
店舗経営におけるコンセプトの重要性
コンセプトとは「店舗や広告、料理などの制作物を作る際にそのベースとなる構想や考え方」を指します。コンセプトが決まっていることで、消費者に「どういうパン屋なのか」が伝わり、一押しメニューやこだわりなどが見えやすくなります。
例えば「素材にこだわった高級食パン専門店」「一つの素材に特化したパン屋」など、コンセプトを統一させることで、お客様に自身のお店を覚えてもらいやすくなるのです。
さらに、これからオープンするパン屋であれば、コンセプトをあらかじめ決めることで、店舗デザインや立地決め、価格設定などもスムーズに進められるでしょう。このように、コンセプトはさまざまな場面に影響することを認識しておきましょう。
パン屋のコンセプトは5W2Hに沿って決める
パン屋のコンセプトを決める際は「5W2H」に沿って内容を考える必要があります。5W2Hとは、ビジネスを効率的に進めるためのフレームワークであり、重要な要素を抜け漏れなく整理・再確認できます。5W2Hは構成する要素は次の7つです。
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(だれが)
- What(なにを)
- Why(なぜ)
- How(どうやって)
- How much(いくら)
ここでは、パン屋のコンセプトを決めるうえで、各要素で考えるべき内容を解説します。
Who(だれに)Why(なぜ)
「Who(だれに)」では、どのような顧客に来てほしいのか、ターゲット層を明確にします。「ファミリー層向けなのか」「一人でも来店しやすい店にするのか」「学生向けなのかなど」といった具体的なターゲットを定めることで、お店のコンセプトを決めやすくなるでしょう。
また「Why(なぜ)」とセットで考えるとより明確になりやすいです。「Why(なぜ)」は、「なぜターゲットをその人にしたのか」「その人がどうなることが理想の状態なのか」を明確にします。
Whoで決めたお客様に対して、自社のパン屋が提供する理由を考え、「Who」と「Why」に整合性を持たせることが重要なのです。
What(なにを)
「What(なにを)」では、どのようなパンを提供するのかを決めましょう。「顧客の性別」「年代」や「シチュエーション」によって食べたいパンは異なります。
ターゲットとするお客様の特徴やそのパンを食べるシーンを元に、看板商品やラインナップを考案してみてください。また、パン屋と一言に言っても、販売するパンは「菓子パン」「調理パン」「テイクアウト用のパン」など、コンセプトはさまざまです。
扱うパンによっても、その店舗の印象が大きく変わるため、世の中のトレンドもリサーチし、コンセプトと流行のいずれも上手く取り込むようにしましょう。
When(いつ)
「When(いつ)」では、ターゲットとなる人物を明確にしたうえで、営業時間を決めます。「主婦が朝ごはんに買いに来る」「会社員が昼休みに買いに来る」など、ターゲットが来店する時間に焼きたてのパンが店頭に並ぶように、営業時間を考えてみてください。
仕事終わりの時間にあわせてタイムセールを行い、ふらっと立ち寄ってもらえるような時間設定も有効です。さらに、自社だけでなく、競合他社の営業時間を調べることで、思わぬ差別化ポイントが見つかる場合もあります。
How(どのように)
「How(どのように)」では、店舗独自の強みを考えましょう。たとえば「販売しているパンの種類が多い」や「惣菜パン専門店」など、独自の強みとなる要素を決めます。
数ある競合店の中から「ここの店のパンを食べたい」と思ってもらうには、独自の強みが重要な決め手となるのです。
ただし、店舗独自の強みは「味」だけでなく、サービスや雰囲気である場合もあります。
競合店が満たせていないお客様のニーズをカバーするようなパン屋を出店すれば、自ずと他店との差別化が図られ、その結果として集客につながるでしょう。
How much(いくら)
「How much(いくら)」では、商圏の相場や原価率を計算して、どれくらいの価格にするのかを決めます。原価率を正しく把握することで「利益率の高いパン」「利益率はそこまで高くないがお店の顔となるパン」など、それぞれの立ち位置を明確にできるでしょう。
ただし、パン屋の経営を安定させるためにも、できれば利益率の高いパンを多く販売したいものです。よって、どうすれば値上げをできるのかを考える必要があります。
値上げを考えるうえで重要なポイントは「良い材料を探し続けること」です。良い材料を使えば、その分価格が高くなっても違和感がありません。既存のパンは残しつつも、実験的に高単価のパンを出していくことで、お客様の反応を伺ってみてください。
マネケルでは、5W2Hを考えるときに活用できる「5W2Hコンセプトシート」を無料で配布しております。下のダウンロードボタンからご利用いただけるので、ぜひお使いください。
パン屋の集客のためにできること
- SNSで情報発信
- コンセプトに沿った店舗デザインにする
- 店のコンセプトに合わせた看板を設置する
- 競合店の分析をする
パン屋におけるコンセプトが定まったのちは、そのコンセプトを基に実際に集客を行います。ここでご紹介する4つの方法は、すぐに取り組めるものもあるので、ぜひ試してみてください。
SNSで情報発信
パン屋の集客のためにできることして、SNSによる情報発信があります。例えば、Instagramを使えば、焼きたてのパンや新商品のパン、店内やスタッフの雰囲気などの情報発信が可能です。
また、15秒の動画を閲覧・投稿できるリール機能を活用すれば、動画の投稿だけでなく、ストーリーズで24時間で自動的に消える投稿ができるなど、発信の幅が広いのが特徴です。
曜日限定の商品紹介や焼き上がりの時間についてもSNSを通じて発信すると、お客様が飽きることなく情報に目を通してもらえます。SNSを活用して「自社のコンセプト」を訴求し、来店のきっかけを作りましょう。
コンセプトに沿った店舗デザインにする
これからパン屋をオープンする場合は、コンセプトに沿った店舗デザインにする必要があります。構想段階で「どんな店舗デザインにしたいか」「どのように商品を並べるか」などを具体化するのです。
その際、コンセプトだけでなく、ターゲットとする顧客のニーズと合っているかも意識しなければなりません。自分が理想とするパン屋を実現するだけでなく、コンセプトに沿った内外装や什器、ユニフォームデザインにすることで、競合との差別化につながるでしょう。
店のコンセプトに合わせた看板を設置する
お店に設置する看板は、目立つデザインにするだけでなく、店のコンセプトに合ったものにすることも重要です。「何を売りにした店なのか」が看板を見ればわかるとなおよいでしょう。
パン屋の場合「こだわりの素材」「看板メニュー」「焼き上がり時間」などを看板に記載しておけば、店舗の特徴としてお客様に伝わります。その結果として、通行人の目に止まり、集客数にも好影響となる可能性があるのです。
パン屋の存在をアピールできる看板として旗があります。旗は通行人の目を引き、集客にも大きな効果があるとされています。
競合店の分析をする
最近では、コンビニやスーパーなどでもパンを販売しており、それらも競合の一部といえます。そのため、競合店を調査して営業時間や商品内容、サービスなどの差別化を図ることが重要です。
パン屋の経営を長く続けるには、競合の特徴を綿密に調査し、自身のパン屋との違いを明確にしなければなりません。
これから出店を考えている場合は、競合となる周辺の営業時間や焼き上がりの時間、パンの種類、口コミの内容、客層などの情報をあらかじて集めておきましょう。
また、パン屋の集客において重要になるのが「立地」です。人通りの多い場所にあるほうが、集客の観点では有利といえます。競合との立地の違いから集客の面で不利な場合は、前述のSNSの活用などで立地に関わらない部分での差別化を図りましょう。
まとめ
パン屋を開業し、長く経営していくには「明確なコンセプト」が欠かせません。コンセプトを決める際は、さまざまなビジネスのフレームワークになる「5W2H」に沿って決めることで、より精度の高いコンセプトが確立できます。
さらに「5W2H」によって確立したコンセプトを基に、SNSや店舗デザイン、看板などを駆使すれば、一貫性を持った集客活動が実施できるでしょう。自店にしかないコンセプトを武器に、お客様から長く愛されるパン屋を目指してみてください。
記事のURLとタイトルをコピーする