企業の成長戦略を描くうえで、マーケティングに関する目標設定が重要な役割を果たします。適切に設定された目標は経営における道標となり、経営戦略や評価基準などにも大きく影響を与えるでしょう。
しかし、適切な目標設定のやり方や考え方についてわからないといった方も多いのではないでしょうか。そこで、本記事ではマーケティングにおける目標設定の重要性や設定方法、注意点などについて詳しく解説します。
目次
マーケティングにおける目標設定の重要性
マーケティングにおける具体的な目標には次のようなものがあります。
- 売上高
- 利益額
- 利益率
- 市場占有率
- 認知度
- ブランド力向上など
マーケティングにおける正しい目標設定は「社員の足並み」を揃えてくれます。組織に対して課せられる目標はさまざまですが、その1つに「収益の最大化」が挙げられます。
「収益をできるだけ最大化しよう」といった漠然とした内容では、目標と言えません。部門などにあわせて「販売数量10%アップ」や「製造コスト10%ダウン」といったように具体化する必要があるのです。
事業全体で目標を設定し、そこから部門ごとの目標へ落とし込んでいかなければ、目標の整合性や優先順位がわからず機能しません。各部門や従業員、関係者などが共通の目標に対して足並みを揃えることで、初めて目標達成は実現されます。
マーケティングの目標を設定するには
- 自社の現状を客観的に見る
- KGIを設定する
- KPIを設定する
- SMARTを意識して目標を設定する
マーケティングにおける正しい目標を設定するには、重要な4つのポイントがあります。これらのポイントを押さえることで「自社の強みや弱み」「競合との違い」などを理解できるでしょう。ここでは、4つのポイントに関する詳しい内容に触れ、効果的な目標設定につなげていきましょう。
自社の現状を客観的に見る
マーケティングの目標設定をするうえで、まずは自社を取り巻く現状を客観視しなければなりません。自社に関する情報を正確に分析し、価格以外の部分で競合との差別化を図る必要があります。ここでは、自社の現状を客観的に見る3つの方法を紹介します。
3C分析で自社の現状を把握
自社の現状を客観的に見るには「3C分析」が有効です。3Cとは「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」を指し、いずれも自社の現状を知るための指標になります。
マーケティングの目標を設定する際は、自社ではコントロールできない「外部環境」と「内部環境」の2つの観点を考慮しなければなりません。3C分析における外部環境は「市場・顧客」「競合」、内部環境は「自社」を意味します。
4P分析で自社の製品・サービスの現状を把握
「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(プロモーション)」の4つの視点で分析するのが「4P分析」です。4P分析を行うことで「どの製品を」「いくらいで」「どのような流れで」「どう宣伝するか」がわかり、自社の製品やサービスの現状の把握につながります。
KGIを設定する
マーケティングの目標設定には、KGIの設定も重要です。KGI(Key Goal Indicator)とは、重要目標達成指標を指し、つまりは最終目標を意味します。例えば、「ホームページからの会員登録数を10人獲得する」といったように、最終的にクリアできたかを判定するための指標です。
KGIによって明確なクリアの基準を設けることで、そこに向かうまでの具体的な方法が明らかになります。さらに「目標までの進捗状況がわかる」「意識や方向性の統一が図られる」といった効果も期待できるのです。
KPIを設定する
マーケティングの目標設定には、前述のKGIを達成するための、KPI(Key Performance Indicator)の設定も重要です。KPIは、プロセスの進捗の達成度を定量的に示したものといえます。
例えば「ホームページからの会員登録数を10人獲得する」というKGIを設定したならば、KPIは「サイトへの流入数を10%アップさせる」といったように、一貫性を持たさなければなりません。
また、KPIを具体的に設定するには、ロジックツリーの活用をおすすめします。ロジックツリーとは、その名の通り問題や課題をツリー状に分解し、その原因や解決策を論理的に探るためのフレームワークです。
ロジックツリーを用いてKPIを設定することで、問題の全体像を把握できるようになり、論点にズレが生じるのを防げます。
SMARTを意識して目標を設定する
フレームワークの1つであるSMARTを意識した目標設定も効果的です。SMARTは次の5つの要素によって構成されます。
- S:Specific(明確な)
- M:Measurable(測定可能な)
- A:Achievable(達成可能な)
- R:Related(上位の目標に関連する)
- T:Time-bound(期間を定めた)
SMARTに基づいて、目標設定を行うことで効果を検証でき、やるべきタスクに集中できます。各頭文字に対する例は次の通りです。
- Specific:閲覧数(3000PV)
- Measurableの例:増加率(10%)
- Attainable:過去の実施実績に基づき算出
- Relevant:新ツールの導入に合わせる
- Timely:2021年1月1日
SMARTには、目標達成の精度を高める効果があります。さらに、設定内容が具体的であればあるほど、その後の計画に落とし込みやすくなるでしょう。
マーケティングの目標設定をする際の注意点
- 現実的な目標を設定する
- 目標は具体的な数値で設定する
- 目標は一貫性を持たせる
マーケティングの目標設定をする際は注意しておくべきことがいくつかあります。部署やチームの目標設定をより適切に行うために、ここでは実際に目標設定する際の3つの注意点について詳しく解説します。
現実的な目標を設定する
マーケティングにおける目標は、夢や希望ではなく、現実的に達成が可能な内容を設定することが大切です。そもそも達成が難しいような目標を設定すると、プロジェクトへの不信感が生じたり、モチベーションの低下を招いたりする可能性もあります。
過去の実績値をベースに、目標数値のスケールを具体的に掴むとよいでしょう。また、実現可能なKPIを設定することで、小さな成功体験を繰り返し、組織やチームのモチベーションを高めることができます。
目標は具体的な数値で設定する
設定する目標は、具体的な数値によって示す必要があります。なぜなら、曖昧な目標設定では、達成した状態を想像しにくいからです。さらには、達成したかどうかの判断も難しいでしょう。
例えば「売上高10%アップ」といった漠然とした目標設定ではなく「売上高10%アップを達成するには客単価を5%上げて、1000人の購入を目指す」とした方が、より内容が理解しやすいです。目標は具体的な数字で示すことが重要であり、明確な目標が具体的な達成方法も導き出します。
目標は一貫性を持たせる
マーケティングにおける目標に一貫性がないと、達成自体が難しくなるでしょう。なぜなら、一貫性の無い目標は、返って社員の士気を下げる可能性があるからです。
一貫性とは「始めから終わりまで矛盾がないこと・筋が通っていること」を意味します。企業であれば、売上アップを目標にしているにも関わらず、それに必要な費用を出さないといった一貫性のないことをしてしまえば、目標達成は遠のくでしょう。
企業全体の目標と各部署、各チームの目標には一貫性を持たせ、足並みを揃えることが重要です。
まとめ
マーケティングに関する目標設定は、企業がなすべき未来を決める重要事項の1つです。
ただし、曖昧な内容の目標は、従業員のモチベーションにつながりかねず、成功・失敗の判断もわかりにくくします。
今回ご紹介したマーケティングにおける目標設定の方法を活用し、具体的かつ実現可能な目標を設定して、共有することが目標達成の大きなポイントです。
さらに、目標設定をする際の注意点も意識しながら、企業が持つ潜在能力を引き出し、マーケティング戦略を成功に導きましょう。
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