立地は、カフェを開業するうえで重要なポイントの1つです。開業後、多くのお客様をお店に集められるかは、立地によって左右するといっても過言ではありません。

しかし、実際に立地を決めるとなると「どのような特徴の立地を選べばいいのかわからない」と悩む方も多いのではないでしょうか。そこで、本記事ではカフェを開業するのに適した立地の特徴について解説します。

また、カフェの立地を選定する方法や立地が決まった後に確認するべき点もあわせてみていきましょう。

カフェをオープンするのに適した立地とは

カフェのオープンに適した立地として思いつくのが「人通りが多い場所」です。人通りが多いと考えられる候補には、次の3つが挙げられます。

  • 駅前・駅近
  • 商店街・ショッピングモール
  • オフィス街

ただし、人通りの多い場所はその分競合も多く、賃料も高くなりがちです。一方、郊外の人通りが少ない場所は比較的に賃料が安く、競合との競争は少ないと考えられます。ここでは、カフェをオープンする3つの候補地について、それぞれの特徴を確認しましょう。

駅前・駅近

1日を通じて人通りが多い「駅前や駅近」は、カフェのオープンに適した立地の1つです。電車や新幹線の待ち時間や仕事帰りのリラックスタイムに利用する人を対象とした集客が見込めます。

客層や時間帯、提供する商品やサービスがマッチすれば、人気店として認められる可能性も十分にあります。ただし、駅前・駅近は比較的家賃が高い傾向にあり、すでに競合店が多く存在している場合が多いです。

「リピーターを狙った手軽な料金設定」や「過ごしやすい雰囲気を提供」といった工夫を凝らし、競合との差別化が必要になるでしょう。また、店舗前にメニューボードを設置するなどして、新規顧客獲得に向けた施策も有効です。

商店街・ショッピングモール

平日だけでなく、休日も賑わう「商店街・ショッピングモール」は、曜日や時間帯を問わず、安定した集客が見込めます。さらに「施設側で広告を出してくれる」「駐車場が完備されている」「消費者の購買欲が高い」など、集客にプラスとなる要素も多いのが特徴です。

一方で、施設が設けるルールに準ずる必要があり、独自性は打ち出しにくい可能性があります。テナント料の負担や商業施設への協力負担などにも注意が必要です。

また、商店街・ショッピングモールにカフェをオープンする際は、初めてのお客様でも入りやすい雰囲気作りが重要です。店舗をガラス張りにするなど、外から中の様子が見えると安心感を与えられるでしょう。

オフィス街

「オフィス街」は、ランチタイムの需要が高いのが特徴で、特に平日は多くの集客を見込めます。また、夜は仕事帰りの会社員に比較的早い時間から来店してもらえる可能性があり、夜専用のメニューを用意するなどの工夫が効果的です。

ただし、オフィス街は多くの会社が休日とする土日の集客が難しくなります。オフィス街は人気のエリアであり、競争率が激しい点も考慮しなければなりません。

よって、オフィス街にカフェをオープンする際は、平日の限られた時間の中でいかに回転率を上げられるかがポイントです。ランチメニューはあらかじめ仕込みができ、短時間で提供できるようなメニューを用意しておくと、売上を作りやすいでしょう。

カフェの立地を選定する方法

カフェをオープンする立地を選ぶ方法には「コンセプトを決める」「ターゲットを明確にする」があります。思いつきや勘で立地を決めると、ターゲットとするお客様を集客できず、閉店に追い込まれる可能性も否定できません。

ここでは、カフェの立地を選定する2つの方法について、その内容を詳しく解説します。

コンセプトを決める

カフェと一言に言っても、雰囲気やメニューはそれぞれ異なります。よって、カフェのコンセプトをあらかじめ明確にしておくことで、立地を選びやすくなります。

コンセプトとは「全体を通した基本的な考え方」を意味する言葉です。「落ち着いた雰囲気にするか」「にぎやかな雰囲気にするか」「どのような価格帯で提供するか」といった部分も、コンセプトによって導かれます。

また、カフェで提供するメニューもコンセプトによって決まり、必要な設備や調理器具、食器も変わります。立地や設備に関する決定には、コンセプトが重要なポイントとなるのです。

ターゲットを明確にする

カフェのオープンにあたり、どのような層をターゲットにするのかで適切な立地が異なります。「学生など若い世代」「働いている大人の世代」など、ターゲットを具体的にイメージするほど、立地を選びやすくなるでしょう。

ターゲットとする層の行動パターンや動線を把握することで、利用する時間帯や来店のきっかけなどを理解できます。そして、グーグルマップなどを活用して、地図に候補地をいくつか落とし込んでみてください。

候補の立地が決まったら確認しておくこと

候補の立地が決まったら確認しておくこと
  • 交通量や歩行者通行量
  • 周辺店舗の状況

カフェの開業にあたって候補地が決まれば「交通量や歩行者通行量」「周辺店舗の状況」について事前に確認しておきましょう。

自身では好立地と感じていても、実際に調査してみると想定外の結果が見えてくるケースも少なくありません。決定後はなかなか変更が難しい「立地」だからこそ、慎重に判断しましょう。

交通量や歩行者通行量

コンセプトにあったターゲットが多いエリアでも、その立地に人通りがないと安定的な集客が得られない可能性があります。特に、営業予定時間の人通りの確認は入念に行いましょう。

実際に候補地まで足を運び、車の交通量や人の流れを自分の目で確認して、街や通りの雰囲気を肌で感じることが重要です。想定した交通量や歩行者通行量であるかを事前に確認しましょう。

さらに、カフェのコンセプトやターゲット、立地がマッチしているかも確かめてみてください。

周辺店舗の状況

候補地が決まった後は、周辺にある店舗の状況を調査しましょう。調査するべき内容は次の通りです。

  • 店舗の面積
  • 駐車場の有無
  • 駐車場の台数
  • 客入り状況
  • 競合店の状況など

さらに、インターネットの不動産検索サイトを活用し、候補地の周辺の店舗の家賃相場についても調査が必要です。具体的な店舗物件の目星があれば、敷金や礼金、保証金などもあわせて確認しておきましょう。

立地が悪くても集客を可能にする工夫

立地が悪くても集客を可能にする工夫
  • 他店との差別化を図る
  • SNSで発信する
  • 看板を設置する

候補地がオープンするカフェのコンセプトやターゲットにマッチするものの、立地に関しては少し課題があるというケースもあるでしょう。しかし、立地が多少悪くても、さまざまな工夫によって集客できる可能性はあります。

ここでは、立地が悪い場合にできる工夫として「他店との差別化を図る」「SNSで発信する」「看板を設置する」の3つ方法をご紹介します。

他店との差別化を図る

ターゲットがカフェに何を求めているのかを分析して、他店との差別化を図ることで集客を見込めます。周辺の競合店舗が満たしていないニーズを探り、自身が開業するカフェにオリジナルメニューとして取り入れることで、ニーズを満たすのです。

例えば、ノマドワーカーに向けて電源やWiFiを用意したり、作業が捗る環境を作ったりといった工夫も差別化につながります。最近では、提供する料理やドリンクの質よりも、用意する設備や雰囲気が、その店を利用するかの基準となる傾向にあります。

参考:多様化する飲食店の利用目的。「電源カフェ」需要の高まりと集客効果 | 株式会社クリアデザイン|想いに寄り添う店舗設計&店舗デザイン

SNSで発信する

立地による集客の期待が薄い場合も、SNSの活用によってお店の魅力を発信して、集客することも可能です。SNSで思わず目に留まるような内装やメニューを考案し、InstagramやFacebook、X(旧Twitter)などで発信します。

SNSの特徴は拡散力にあり、強力な広告の役割を果たします。拡散力を活かすためにも、お店の特徴やサービス・スタッフなどの情報を発信して「来店したい」と思わせるような工夫が必要です。

看板を設置する

お店の前に設置する看板は、来店者数を左右する重要なツールの1つです。看板は一度作れば継続的に利用でき、壊れない限りは追加コストが生じることはありません。

看板は通行人の目にも止まりやすく、作り方次第では多くの集客を見込める可能性もあるのです。立地の影響から集客に課題がある場合は、看板の新設や見直しによって変化するケースも考えられます。

カフェの存在をアピールできる看板ツールとして旗があります。旗は視認性が高く、通行人の集客に効果があるとされています。

シンプルな言葉とキャッチコピーによって「カフェの存在」と「伝えたいこと」を発信してみてください。

まとめ

カフェを開業して成功するには、立地の良し悪しが重要な要素の1つです。駅前・駅近や商店街・ショッピングモール、オフィス街など、目指すコンセプトや狙うターゲット層がどのような立地に適しているのかを見極める必要があります。

また、候補地が決まった後は立地調査によって情報収集し、あらゆる角度から分析したうえで出店を決めましょう。ただし、SNSや看板の活用によって、立地が悪くても工夫次第で集客できるケースもあります。

さまざまな要素を総合的に考慮し、開業後も長く続けていけるカフェを目指しましましょう。

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