「運営しているECサイトが伸び悩んでいる」、「ECサイトは集客が難しいと聞くので開設を躊躇してしまう」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

ECサイトは扱うサービスや商品がどんなに良いものでも、集客ができなければ売上につながらないため、集客対策が何よりも大切です。しかし、専門知識がない限りどのような対策があるのかを見つけるのも難しいものです。

そこで今回は、ECサイトの集客を成功させる4つの方法を紹介します。それぞれにかかる費用の相場もお教えしますので参考にしてください。

ECサイトの集客が難しい理由

ECサイトの集客が難しいとされる理由の一つに、ライバルの増加が挙げられます。

経済産業省の調査によると、令和元年における日本国内の物販、サービス、デジタルといった消費者向け電子商取引(BtoC-EC)の市場規模は、前年比7.65%増の19.4兆円に拡大しています。また、メーカー対小売店などのような企業対企業の取引である企業間電子商取引(BtoB-EC)も、前年比2.5%増の353.0兆円に拡大しています。

さらに、対面、オフライン、オンライン、電話、店頭販売などの全ての商取引の中で、どの程度電子商取引(EC)市場で取引されているかの割合を示す「EC化率」もBtoC-ECが6.76%、BtoB-ECが31.7%と年々増加しており、商取引のEC化が顕著となっています。

一方でECサイトサービス自体が、気軽に安価で利用できるサービスが増え、事業の規模にかかわらずECサイトを開設できるようになったことで同業種の競合が増加しました。その結果、ECサイトでの集客が難しくなったということが考えられます。

このため、事業主がECサイト運営を容易にできるようになった反面、認知度を高めたり、ユーザーの流入を増やしたりする努力が必要となり、それがECサイトを成功させるカギといえるでしょう。

参考:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました (METI/経済産業省)

ECサイトの集客に効果的な4つの方法

ECサイトの集客に効果的な4つの方法
  • Web広告
  • SNS
  • SEO対策
  • メルマガ

競争が激化するECサイトの集客を成功させるには、どのような方法があるのでしょうか。集客に効果的とされる4つの方法を紹介します。

Web広告

Web広告とは、検索エンジンのサイトや企業サイト、スマホアプリなどインターネット上に表示される広告を指します。

Web広告には、検索エンジンの検索結果にあわせて表示される「リスティング広告」や、広告枠に表示される「ディスプレイ広告」「バナー広告」、過去に訪問したサイトに対して再訪問を促すための「リマーケティング広告」などさまざまあります。Web広告はユーザーのターゲティングが可能なうえ、ユーザーのニーズにあわせて表示させることができるので、広告とユーザーとのミスマッチが少なく、短期間で効果を得られる見込みがあるのが特徴です。

ここでは代表的なWeb広告として「リスティング広告」と「ディスプレイ広告」をご紹介します。

リスティング広告

リスティング広告とは、「Yahoo!」「Google」を代表とする検索エンジンでの検索結果のページに表示されるテキスト形式の広告です。検索結果の上位に、テキストの最初に「広告」といった文字が表示されているものがリスティング広告に該当します。例えば、ユーザーが「ECサイト 集客」というキーワードで検索すると、ECサイト代行業やECサイトツールのリスティング広告が表示されます。

リスティング広告は「検索連動型広告」と呼ばれ、Yahoo!広告、Google広告など、検索エンジンでのサービスが多く利用されています。月額20〜50万円が基本的な予算ですが、中には月額1,000円程度で出稿できる広告もあるので、まずは反響を知りたいという方は低額のものから始めてみると良いでしょう。

詳しく知りたい方はこちらの記事もあわせてお読みください。

リスティング広告の仕組み|メリット・デメリットを徹底解説

ディスプレイ広告

検索エンジンのページの中の固定位置にある広告枠や、Webサイトの上部などに表示される画像や動画型の広告などを「ディスプレイ広告」といいます。テキストだけのリスティング広告と異なりデザイン性を持ち、視覚や聴覚で訴求できるため、サービスや商品のイメージ広告としても利用することができます。

リスティング広告は、ユーザーの検索結果に伴って表示されるため、サービスや商品を利用したいと既に決めている顕在ユーザーへのアプローチに適しています。一方ディスプレイ広告は、まだサービスや商品の利用を決めておらず、サイトを閲覧している段階の潜在層に対してのアプローチに有効です。

また、ディスプレイ広告はユーザーの1クリックに対して広告料を支払う「クリック課金」の方式となっており、一般的には1クリック50〜100円が広告料の平均となっています。リスティング広告同様、Yahoo!広告、Google広告でディスプレイ広告のサービスがあるので、どのようなサービス内容か確認してみると良いでしょう。

SNS

年代問わず幅広く活用されるようになったSNSは、代表的なものとしてX(旧Twitter)、Facebook、Instagram、YouTubeなどがあり、個人間の情報交換だけでなく、企業の情報発信手段として多くの企業が利用しています。

先に挙げたようなSNSはそれぞれユーザー層が異なっており、拡散力やつながりの範囲、文字と画像での訴求性などの特徴も異なるため、どのような目的で発信を行いたいかを明確にしてから、利用するSNSを決定するのがおすすめです。

また、動画を用いた広告については、以前はYouTubeが代表的でしたが、今ではSNSの多くが動画での広告を採用しています。YouTubeの動画広告は予算設定が可能であることが特徴で、スモールビジネスや初めて動画広告を利用する事業者では、1日1,000円の低予算設定で開始することができます。

一方SNSでの動画広告の特徴は、タイムライン上に表示されるので目に留まりやすく、静止画と比較しても訴求できる情報量が多いことにあります。動画広告はSNSの拡散力を上手に利用することで高い効果を得ることが期待できるでしょう。

SEO対策

SEOとは「Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)」を表し、Yahoo!やGoogleといった検索エンジンへの対策を指します。

サービスや商品を新たに探しているユーザーは、検索エンジンでのキーワード検索を元に情報を得ようと試みます。キーワード検索において、その検索結果の上位に自身のサイトが表示されるためには、自身のサイトが有益なコンテンツを持っているということを検索エンジンに評価されていることが必要です。

その対策には、内部対策と外部対策の2種類があります。内部対策としては、自身のサイトのHTMLなどの言語が適切に表記されているか、自身のサービスや商品に対してユーザーが検索しそうなキーワードを適切に選定しているか、といったようなことが挙げられます。一方の外部対策は主に、外部サイトから自身のサイトへのリンク「被リンク」を増やすことです。被リンクが多いということは、外部からの支持を集めているサイトであるという評価につながります。

SEO対策については、専門知識があればSEO対策に用いるツール以外に費用はかかりませんが、コンサルティングサービスを利用するのであれば月額10〜50万円といった費用が発生するため、自身のサイトにどのような対策が必要か、事前に調べてみると良いでしょう。

コンテンツSEO

先に説明した通り、SEO対策には内部対策と外部対策の2種類があります。その中でも、良質なサイトとして検索エンジンに評価されるために必要な内部対策に「コンテンツSEO」があります。コンテンツSEOとは、有益な情報を含んだブログや記事などの記事体コンテンツを定期的に更新してコンテンツの中身を増やしていき、検索エンジンから「充実したコンテンツである」という評価を得るための方法です。

記事体コンテンツを増やすには、むやみに文章を書くのではなく、ユーザーのニーズに沿った内容であることや、ユーザーが持っている悩みを解決できる内容であることが必要です。良質かつニーズにマッチしたサイトであることが見なされれば、検索結果の上位に表示され、ユーザーの目に留まりやすくなり、集客につながる期待が持てます。

また、常に更新を続けていくことで、ブログや記事は自身の大きな資産となります。コンテンツSEOは効果が見えるには時間がかかりますが、半永久的に残る資産であると考えると、短期間で終了する広告とは別の集客方法として取り入れてみると良いでしょう。

メルマガ

SNSなどさまざまなコミュニケーションツールが主流となっている現在、メルマガはもう古いツールであり、効果が薄いと見なされることがあります。ところがメルマガは、固定顧客とのコミュニケーションツールとして現在でも大きな効果を発揮します。

メルマガ配信のポイントとしては、記事体コンテンツと同様、適切な内容で配信することが挙げられます。メルマガは基本的に配信を希望している顧客にのみ配信するため、新商品や新サービス、キャンペーンの紹介など、メルマガ読者であることの特典として価値ある内容を作成しましょう。

また、メルマガの読者層がどのような生活スタイルであるかを把握し、職場で目を通すものか、帰宅後に目を通すものかなどにあわせて、できるだけ同じ曜日、同じ時間帯といった定期で配信することもポイントです。

メルマガサービスを利用するには、クラウド型とオンプレミス型の2種類から選ぶことになります。クラウド上で行うクラウド型サービスであれば初期費用は1〜5万円程度で、月額は配信数や配信するアドレス数によって変動することがあります。

一方、自前でサーバーやソフトを手配するオンプレミス型は、システムのライセンス料やサーバー構築、レンタルサーバー料など初期費用がかかるだけでなく、日々のメンテナンスや運用費、人員も必要となります。そのため、まずはどのようなものか試してみたい、続けられるかわからないといった場合には、気軽に始められるクラウド型を試してみると良いでしょう。

ECサイト集客の成功事例

ECサイトの集客を成功させている事例として、2つの店舗を紹介します。自身のサイトで活用できそうかどうか参考にしてみてください。

SNSを利用した集客成功事例

高知県にある、創業127年の虎斑竹(とらふだけ)専門店「竹虎」では、2011年からFacebookを活用して情報発信を行っています。日本で唯一の虎斑竹専門店として、虎斑竹に関する紹介や創業からのストーリーを交えて虎斑竹製品の紹介をしています。

また、現在ではFacebook以外にもYouTube配信やメルマガ配信などを通じて、有益な情報発信を定期的に行っています。

参考:虎斑竹専門店 竹虎

SEO対策で集客に成功した事例

岩本繊維株式会社が運営しているECサイト「つくるパジャマ」は、オーダーメイドでのパジャマの販売を行っています。「できることから始めよう」という考えの元、SEO対策と改善によって一年で年商の拡大に成功した好例の一つです。

ECサイト「つくるパジャマ」は、コンサルティング会社と契約し、自社サイトを徹底的に見直してSEO対策とページの改善に取り組みました。特に重要視したのは、自社の資産ともなるブログの投稿ベースを増やしたことで、ブログ経由での集客にも成功しているそうです。

自社内での対策と、コンサルティング会社との徹底したコミュニケーションにより、改善の糸口をつかみ、売上が伸びたことでお客さまの声からさらなる品質改善にもつながりました。

参考:ブログ他、SEO対策で1年で月商約10倍に拡大!急成長「つくるパジャマ」の成功事例を解説!
参考:パジャマの種類・選び方からこだわりたい方はつくるパジャマ通販サイト

まとめ

今回は、ECサイトの集客を成功させる方法について、「Web広告」、「SNS」、「SEO対策」、「メルマガ」の4つの方法を紹介しました。

Web広告はユーザーのニーズにあわせてWeb上に表示され、即効性がある広告媒体です。SNSはターゲット層がそれぞれ異なり、拡散率や反響にも違いがあります。一方メルマガはSNSが主流の現在は古いツールだと見なされることがありますが、既存顧客へのアプローチとしては非常に有効です。

そして、ECサイトの集客に効果的なSEO対策も忘れてはいけません。検索エンジンの評価につながるよう、コンテンツのボリュームを増やすことを心がけましょう。ブログや記事を更新し続けることによりそれが資産となるため、長い目で見ればとても効果的です。

自身のサイトがどのような対策をとれば有効であるかを見極め、集客につながるECサイトを目指してみてはいかがでしょうか。

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