飲食店における集客や収益の伸び悩みを解決するために必要な手段の一つとして、WEBマーケティングがあります。WEBマーケティングというと専門分野のようですが、自店の集客や収益のための活動を店舗ではなくWEB上で行う、というものです。

今回は、WEBマーケティングを行うことで、自店の集客の伸び悩みをどのように改善してくれるのか、飲食店にはどのような手段がふさわしいのかを詳しく説明していきます。

飲食店でのWEBマーケティングの必要性

WEBマーケティングとは、広告出稿や現地調査、商品・サービスの販売活動など、これまでオフラインで行ってきた集客や収益のためのマーケティング活動をWEB上で行うものです。WEBマーケティングを行うことにより、自店の認知度を拡大させ、来店促進や商品・サービスの売上アップを目指します。

現代では、顧客がさまざまな情報を得るための手段として、WEBが広く活用されています。例えば、顧客が今食べたいと思うジャンルの店舗をスマートフォンを使って検索した際に、自店が上位に表示されなければ顧客は自店の存在を知ることはなく、他店へ流れていってしまうでしょう。即時にその場で情報収集することが当たり前になっている現代、飲食店でのWEBマーケティングは必須となっているのです。

顧客の行動について

WEBマーケティングを行ううえで知っておきたいことの一つが「消費者行動モデル」というものです。消費者行動モデルとは、消費者が商品・サービスを購入するにあたって、どのような行動をとるかをパターン化したものです。

この消費者行動モデルには4段階があり、「認知」「興味・関心」「欲求」「行動」に分けられます。飲食店を例とした消費者行動モデルを挙げてみましょう。

「認知」とは、顧客がお店の情報を知るという段階にあたります。先ほども説明しましたが、現代における顧客の情報収集手段としてWEB検索が広く活用されています。顧客がWEB検索をした際に検索結果に表示されなければ、自店がどんなに美味しい料理を揃えていたとしても、顧客はその情報を知ることはできません。そのために必要となるのは、「WEB検索結果で、自店が上位に表示されるようにすること」です。

「興味・関心」は、顧客が自店の情報を知り、興味・関心を持つようになる段階のことです。自店の情報から顧客が興味・関心を持つようになるには、どれだけ自店が魅力的なお店であるかを発信することが重要になります。美味しそうな料理やゆったり食事ができそうな店内の画像を載せて、視覚的な訴求をすることで顧客の目を引き、興味・関心を持つように働きかけることがポイントです。

「欲求」は、「お店に行きたい」と思えるようになる段階です。自店の存在を知り、興味・関心を経て顧客自身の希望にかなう店舗だと判断し、行ってみたいという欲求が芽生えます。そのため、意欲をかきたてるようなメニューや企画の発信が重要です。

「行動」の段階になると、いよいよ店舗に足を運ぶことになります。実際に店舗で食事をしたあとで、「また行きたい」と顧客に思ってもらうためには、料理の内容以外にも、スタッフの応対や店舗の雰囲気、サービス内容の充実度など、顧客の満足につながる要素をどのくらい備えているかが重要です。また、サービス内容については、来店時のサービスだけでなく、次回来店した際の割引やポイント制を取り入れるなど、リピーターにつなげるための対策を踏まえるとよいでしょう。

飲食店のWEB上での集客の仕方について

飲食店のWEB集客の方法
  • Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)
  • SNS
  • グルメサイト

飲食店がWEB上での集客を展開するにはどのような方法があるのでしょうか。SNSの活用法や検索エンジンが提供しているサービスなどについて紹介します。

Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)

顧客が情報の検索をする際に主に活用する検索エンジンの一つが「Google」です。Googleで店舗検索をした際に、店舗の情報やマップ、口コミなどが詳しく検索結果に表示されるのを多く目にします。その検索結果の情報を管理しているのが「Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)」というサービスです。Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)に登録しておくことで、自店の店舗情報を最新の状態で常に検索結果に表示することができます。

店舗情報を充実させMEO対策を行う

WEB集客にあたって、検索エンジンで上位表示するための「SEO対策」や「リスティング広告」という手法以外にも、さらに確実に対策するための「MEO対策」というものがあります。MEO対策とは「Map Engine Optimization(マップエンジン最適化)」の略称にあたり、Googleマップに掲載する店舗情報を的確にGoogleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)に登録することで、Googleマップでの検索で上位表示させるという手法です。

近年ではスマートフォンなどのモバイルで検索をして、外出先でも情報を収集することが気軽に行えるようになったため、Googleマップで上位に表示されることは来店促進に大きな効果が期待できます。

口コミ投稿をしてもらう

例えば顧客がイタリアンを食べたいと思いWEB検索を行った場合、検索結果に表示された店舗がよいお店であるかどうかを知る手段として、口コミ情報を利用することが見受けられます。

一方で、店舗に関する口コミが多く掲載されていることで、人気があり信頼のおける店舗であると検索エンジンに評価されれば、検索結果の上位表示につながります。そのため、口コミを増やすことは、顧客にとっても自店にとっても非常に重要な要素です。

口コミを増やすためには、来店した顧客に口コミの投稿を直接口頭でお願いすることも必要ですが、もっと簡易に口コミ投稿の依頼をするには、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)の投稿用のURLをQRコードにして店舗内やレジ前に設置しておくのもおすすめです。「お願いをする、お願いをされる」という双方にとってのハードルが低くなり、食事をした感想を顧客側も気軽に投稿することができます。

クーポン機能を活用する

Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)で利用している店舗が意外と少ないサービスに「クーポン機能」があります。

クーポンを作成したい場合には、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)の投稿の項目から「特典を追加」のページで内容を入力します。発行したクーポンはビジネス情報の中の「最新情報」内に表示され、飲食時のサービスとして顧客が利用する際には、店舗でクーポンを提示することで記載されたサービスを受けることができます。

Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)でのクーポンを活用している店舗が少なければ、差別化につながり、顧客の目に留まる期待も持てます。

SNS

SNSは、幅広い年代がさまざまな手段として利用しており、多くは無料で始められるため、試験的にWEB集客を行いたい場合にも非常に有効です。

X(旧Twitter)

短いテキストで拡散につながるX(旧Twitter)は、キャンペーンの告知などの文字情報を発信したい場合に有効です。X(旧Twitter)の「リツイート」や「いいね」機能は非常に拡散力が高く、素早く多くの顧客に情報を知らせることができます。キャンペーンの告知以外にも、店舗の認知度を高めるためにもおすすめです。

Instagram

画像を中心に発信するInstagramは、料理画像や店内の雰囲気などを視覚的にアピールすることができるため、飲食店には特に有効なSNSのひとつです。

Instagramで訴求する際は、投稿画像に統一感をもたせることが非常に大きなポイントとなります。料理のアングルやお皿などの大きさ、色味などが統一されていることで、掲載画像を比較する際に見やすくなるだけでなく、存在感があるInstagramページに仕上がります。

Facebook

Facebookは本来友人同士のコンタクトの手段に活用されてきたこともあり、先に紹介したX(旧Twitter)とInstagramのように不特定多数への発信ではなく、既存顧客とのコミュニケーションとして活用するのが有効です。Facebookには個人ページとビジネスページの2種類があり、WEB集客に活用するのであれば、ビジネスページを作成するのがよいでしょう。

また、既存顧客とのコミュニケーションとして有効的なFacebookビジネスページではありますが、投稿する際は自店のことを知らない人が訪問しても興味を抱いてくれるような投稿内容にするのが重要です。ひとつの投稿に対してのコメントが全てリピーターからのものであった場合に、初めて訪問した人にとっては内輪で盛り上がっている印象を抱いてしまい、敬遠してしまいます。

あくまでWEB集客が目的であることを念頭において進めていくことが大切です。

LINE

LINEにもビジネス向けに展開できる「LINE公式アカウント」があります。LINE公式アカウントを作成すれば、そのアカウントを友だち追加として登録している顧客に対してメッセージを配信できるだけでなく、クーポン機能やショップカード機能、チャット機能など、これまで紙で製作していたようなサービスをLINE一つで活用することができます。

中でもショップカード機能は、ポイントを集めた顧客に対して割引やドリンクサービスなどの特典を付与することができ、これまでかかっていた印刷代や用紙代などのコスト削減にもつながります。

グルメサイト

顧客がお店探しをする際の比較に利用されるグルメサイトへの掲載も、WEB集客の手段の一つとして検討してみる価値があります。グルメサイトはある程度体裁が決まっていてサポート体制も充実しているため、初めてWEB集客を始める際にも取り入れやすいのがメリットです。また、もともと購読者の多いグルメサイトであれば、これまで自店を知らなかった顧客に対しても幅広くアプローチすることもできます。

写真映りをよくする

グルメサイト掲載のポイントとして、多くの競合店が掲載しているため、画像の見せ方やキャッチコピーの書き方など、他店と差をつけるための技術が必要です。

料理の写真であれば、ツヤ感や野菜の色味、シャープさなどに注意することで、出来たてのおいしさが伝わりやすくなります。また、店内や外観を撮る際にも、全体のバランスを考えて明るさにも注意しながら撮るとまとまりのある写真になります。

SEO対策

「ぐるなび」や「食べログ」などの人気のグルメサイトには、サイト内での上位表示を狙うためのSEO対策が必要になります。顧客が検索した項目にマッチしそうな検索ワードを盛り込んだり、第一印象で「このお店に行きたい」と思わせるような画像をサムネイルに採用したりしながら、魅力的なコンテンツを作成することが重要です。競合店のコンテンツを複数検索して、どのコンテンツが目についたか実際に見比べてみるとよいでしょう。

さらに、最新情報やキャンペーン情報などを定期的に更新することも上位表示につながります。

分析して効果を確かめる

実際にWEB集客の対策をある程度進めてみて、思い通りの集客効果が得られているか、これまでかけた費用に見合うような収益を得られているかなどを分析してみることが重要です。

複数の対策をとっているのであれば、効果を得られなかった対策を変更してみたり、費用を抑えてみたりすることでWEB集客の対策への無理や無駄を抑えることができます。

例えば先に紹介したGoogleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)では、自店のビジネスを閲覧した顧客の動きや閲覧回数、検索ワードや実際にGoogleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)から予約を受けた数など、細かな分析結果を知ることができます。数カ月間の数値を見比べてみることで、顧客がいつどのような情報を求めているかを把握しやすくなるでしょう。

まとめ

今回は、飲食店が集客や収益を目指すためのWEBマーケティングを紹介しました。WEBマーケティングを行うことにより、自店の認知度が広まり、来店促進や商品・サービスの売上アップにつながります。

顧客が情報を得る手段としてWEB の活用が主流となっている近年では、すぐに最新の情報を得られるようなSNSや検索エンジンのサービスの活用が必須です。一気に素早く拡散できるSNSでは、既存顧客へのサービスにつながるようなクーポンやサービスカードの機能を活用することで、新規顧客・既存顧客双方へのアプローチができます。また、人気のグルメサイトに掲載することも自店を知らなかった客層へ訴求することが可能です。

そして、実際に活用したWEBマーケティングの手法が自店にふさわしいものであるか、集客がうまく得られているかを知るためには、定期的な分析が重要です。効果的かどうかを常に見極めることで、自店にふさわしいWEBマーケティングの手法が磨き上げられていくでしょう。

まずは簡単なものから始めてみて、自店の集客や収益に変化があるかどうかを実感してみてはいかがでしょうか。

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