キャッシュレス決済は、スマートフォンなどのモバイル端末が普及するとともに、様々な店舗での決済方法として導入され、今後利用者の増加も考えられる決済方法です。今回は、キャッシュレス決済の仕組みや種類、メリットやデメリットについて紹介します。
目次
キャッシュレスとは?
「キャッシュレス」とは現金が不要という意味を指し、キャッシュレス決済とは現金を使わずにクレジットカードやデビットカード、電子マネーやスマートフォン決済などを用いて買い物をすることを指します。
経済産業省の商務・サービスグループキャッシュレス推進室が2021年8月に公開した「2021年度第1回 キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会」の資料によると、2018年時点での世界主要各国におけるキャッシュレス決済比率が40%〜60%であるのに対し、日本では29.7%にとどまっています。そのため、2025年6月にはキャッシュレス決済比率を40%程度に引き上げることを目指すとしており、今後さらなるキャッシュレス決済の動きが考えられています。
参考:2021年度第1回 キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会(METI/経済産業省)(資料4事務局説明資料)
キャッシュレス決済の種類
一般的なキャッシュレス決済にはどのような種類があるのでしょうか。主なものを紹介します。
電子マネー決済
電子マネー決済とは、現金をデータ化しオンライン上で電子決済を行う仕組みのことです。支払い方法には、カードやスマートフォンのアプリに前もってチャージ(入金)し、店舗ごとに備えてある機械で読み取り決済を行う前払い型のほか、後払いや即時払いのものもあります。
suicaなどの「交通系」、WAONやnanacoのような「ショッピング系」も電子マネー決済のひとつです。電子マネーを新たに作成する際は事前審査がないため、クレジットカードを持っていなくても気軽に利用を始めることができます。
デビットカード決済
デビットカードとは、決済と同時に自身の銀行口座から利用金額が引き落とされる仕組みのカードを指します。デビットカードは銀行口座に残高がなければ使用できないため、お金の使いすぎを防ぐことができ、銀行にお金を引き出しに行く手間が省けることが大きなメリットと言えるでしょう。こちらもクレジットカードのような事前審査がないため、気軽に利用することができます。
クレジットカード決済
クレジットカード決済は、決済ごとに引き落とされるデビットカードとは異なり、月に1度の支払い日にまとめて引き落としが行われる後払い式の決済方法で、代表的なキャッシュレス決済の1つです。
日常的な商品・サービスの買い物決済以外にも、公共料金の支払いにも活用されています。クレジットカード会社によっては利用額に応じてポイント付与のサービスが受けられるため、貯めたポイントで買い物をして節約を図る「ポイ活」という言葉も登場しています。先に紹介した電子マネーやデビットカードとは異なり、クレジットカードを作成するには、返済能力を事前に確認するための与信審査があります。
QRコード・バーコード決済
先に紹介した電子マネーの中のひとつで、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末からバーコードやQRコードを読み取って行う決済サービスを指します。代表的なものとして、PayPay、楽天ペイ、LINEPay、d払いなどがあげられます。
種類によって前払い・即時払い・後払いといった支払い方法を選ぶことができ、財布や現金を持っていなくても、普段持ち歩いているモバイル端末から直接決済できます。
キャッシュレス決済の仕組み:支払い方法は3種類
先に紹介したようにキャッシュレス決済の支払い方法には、「前払い」「即時払い」「後払い」の3種類があります。先に紹介した決済手段の中には、1種類の支払い方法しか対応できないもの、2、3種類対応できるものなど種類によって異なります。ここでは3種類の支払い方法のそれぞれの特徴を紹介していきます。
前払い(プリペイドカードなど)
前払いを行う際は、「プリペイド」が前払いを意味するように、プリペイドカードやスマートフォンのアプリにあらかじめお金を入金(チャージ)しておいて、支払いを行います。入金した分の金額しか使えないため、残高不足により商品・サービスの買い物ができないということもありますが、お金の使いすぎや無駄な買い物を防ぎ、万が一の不正利用の際にも入金された金額以上は使用されないという点はメリットと言えるでしょう。
即時払い(デビットカードなど)
商品・サービスの購入時に店舗の機械でカードを読み取ることで、即座に銀行口座から購入代金が引き落とされる仕組みが即時払いです。主としてデビットカードがありますが、QRコード・バーコード決済においても即時払いに対応しているものがあります。
前払いと同様に即時払いの場合も、銀行口座の残高以上の金額は使えないため、お金の使いすぎを防ぐことができます。また、前払いでは自身でプリペイドカードなどに入金を行う手間がありますが、デビットカードなどの場合は入金やお金を下ろす必要もないことから、時間や手間の削減につながります。
後払い(クレジットカードなど)
クレジットカードの仕組みは、自身が購入した商品・サービスの代金をクレジットカード会社が立て替えて、1カ月分をまとめて決まった日に請求するというものです。一度の購入に対して、一括払い以外にも分割払いや、利用金額にかかわらず一定額を毎月支払っていくリボルビング払い(リボ払い)があるため、高額の商品・サービスを利用する際にすぐに現金が用意できないという場合でも購入することができます。ただし、分割払いの場合は手数料がかかってしまうことと、クレジットカードの場合は銀行残高にかかわらず購入できてしまうために使いすぎてしまう恐れがあることには注意が必要でしょう。
キャッシュレス決済のメリットは?
- ATMでお金をおろす必要がない
- 決済履歴で出費を見直せる
目の前に現金がなくても商品・サービスの購入ができるキャッシュレス決済には、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは主に2つ紹介します。
ATMでお金をおろす必要がない
商品・サービスを現金のみで決済を行う場合、必ず現金を手もとに用意していなくてはならないため、ATMや銀行窓口でお金をおろす必要があります。一方キャッシュレス決済であれば、お金をおろすという手間が不要になることはもちろん、土日で銀行窓口が開いていなかったり、ATM手数料が取られてしまったりするということがなく、スムーズに決済を行うことが可能です。
決済履歴で出費を見直せる
銀行残高にかかわらず利用できてしまうクレジットカード決済は特に、お金の使いすぎの懸念があります。しかし多くのキャッシュレス決済ではスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末やパソコンなどでこれまでの決済履歴を確認することができるため、公共料金、趣味、食費などどの分野で多く出費しているかという見直しを家計簿の代わりとして図ることができます。
キャッシュレス決済のデメリットは?
- 不正利用される心配がある
- ついつい使いすぎてしまう
これまで便利で気軽なキャッシュレス決済のメリットを多く紹介してきましたが、キャッシュレス決済にはデメリットも存在します。最後にキャッシュレス決済の主なデメリットを紹介していきます。
不正利用される心配がある
スマートフォンなどのモバイル端末やカードはポケットにも入ってしまうほど小型のため、さまざまなタイミングで紛失してしまう可能性があります。プリペイドカードは決済時にサインをする手間もなく、スマートフォンなどのモバイル端末もロックをかけていなければ他人でも容易に利用できてしまうため、不正利用への対策は入念に行う必要があります。
また、悪質なウェブサイトやメールを使ってクレジットカード情報を抜き取る犯罪などに巻き込まれるケースもあります。あやしいと感じたURLにはアクセスせず、スマートフォンのこまめなアップデートや支払い履歴の確認など、自らお金を守る対策を行いましょう。
ついつい使いすぎてしまう
先にクレジットカード決済の説明でも記載しましたが、クレジットカード決済では銀行残高の有無やお財布の中身にかかわらず商品・サービスの購入が可能です。そのため、銀行残高を確認せずに安易に高額な商品を購入してしまわないよう、自ら注意する必要があります。
銀行残高と月々の請求金額を照会して使いすぎを自ら防止し、必要な場合には後払い形式のクレジットカードではなく前払い形式のプリペイドカードや、銀行残高以上は利用できないデビットカードへ切り替えるなど、別の手段を考えてみましょう。
まとめ
今回は、キャッシュレス決済の仕組みや種類について紹介しました。
スマートフォンやタブレットでのモバイル決済は、お金を下ろす手間や時間がなくなることやお財布を持ち歩かなくても商品・サービスの購入ができることが利点です。一方で、使いすぎへの懸念や不正利用への対策など自衛策は必要ですが、利用履歴を確認するなどして、お金の使いすぎを防いでいくこともできるでしょう。
キャッシュレス決済化が今後さらに普及した場合にも対応できるよう、どのようなサービスや仕組みがあるのか確認しておくとよいでしょう。
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