ECサイトを運営するうえで、販促施策の企画・立案は重要なポイントの1つです。しかし、自社サイトにとって適切な販促施策が分からないという方もいるのではないでしょうか。
そこで当記事では、ECサイトにおける販促の基本から施策の具体例、押さえておきたい注意点を解説します。今後、販促を計画する際の参考にしてみてください。
目次
ECサイトにおける販促の基本
ECサイトにおける販促の基本を押さえておくことは、計画通りに売上を立てるための重要なポイントとなります。ここでは、次の3点に分けて販促の基本を解説します。
- そもそも販促とは?
- 販促と集客・マーケティングの違い
- ECサイトにおける販促施策と計画の重要性
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
そもそも販促とは?
販促とは「販売促進」の略語です。具体的に販促を表現すると「商品の販売を促進してユーザーの購入率を上げるための施策」となります。
販促と似たような施策や言葉として、プロモーションや集客、マーケティングなどが挙げられるでしょう。それぞれに違いがありますが、いずれも効率的な販売活動において必要なものです。
販促の種類や方法などについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
販促と集客・マーケティングの違い
販促と集客・マーケティングの違いについても、理解を深めておきましょう。
販促とは「集客したユーザーに対して購買意欲を喚起すること」です。ECサイトの場合、購入率を上げるための施策が販促に該当します。
一方、集客とは「人を呼び込み集めること」です。ECサイトにおいては、アクセス数のアップが集客にあたると考えられます。
また、マーケティングとは「消費者の購買意欲を自然と喚起される仕組みを構築すること」です。
階層ごとにまとめると、マーケティングによってユーザーのニーズやインサイトを探り、そこで得た仮説をもとに集客の施策を考えます。集客したユーザーに対してどのように購入してもらうのかを考えるのが販促ということになります。
ECサイトにおける販促施策と計画の重要性
ECサイトのブランディングやイメージに基づいてユーザーに購入を促すには、販促施策と計画が重要です。「ユーザーに対してどんな情報を提供するのか」や「自社サイトにどのような印象を持ってもらいたいか」などが関係してきます。
販促計画があれば、目先の売上の増減に惑わされず、長期的な目線で効果的な施策を打つことに繋げられるでしょう。
ECサイトにおける販促施策の具体例
販促施策を計画するうえで、ECサイトにおける施策の具体例を知っておくことは大切です。ここでは、次の5つの施策例に対してそれぞれの詳細や効果を解説します。
- キャンペーンの実施
- イベントの開催・出展
- WEB接客ツールやカゴ落ち防止ツールの導入
- 決済手段を増やす
- 顧客が必要とする情報を充実させる
ECサイトは仮想空間上の取引とはいえ、実際のお店で買い物するのと同様に「利便性」を意識する必要があります。施策を検討する際の参考にしてみてください。
キャンペーンの実施
キャンペーンの実施は「新規顧客層の掘り起こし」や「サイト・商品の認知度アップ」などを目的として打ち出されます。
キャンペーンの例として「SNSフォロワー限定セールの開催」などが挙げられます。SNS上での認知度の向上や新しいフォロワーの獲得に一定の効果を期待できるでしょう。特定のハッシュタグを付けた投稿を促すと情報拡散にも繋がります。
また「送料無料キャンペーン」のような施策では、購買意欲を喚起できます。集客を期待するのではなく、サイトへ訪れたユーザーに対して購入率を高める施策ということになります。
販促キャンペーンの事例についてはこちらの記事でも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
イベントの開催・出展
イベントの開催・出展は、新規顧客の獲得やECサイトの認知度向上などを目的に活用できます。
たとえば「商品プロモーション」は販売したい商品を紹介して、認知度を高めるのが目的です。すぐに購入を促すのではなく、まずは商品自体の魅力を知るきっかけづくりを第一の目標として内容を検討する必要があります。
そのため、イベントでの試供品の配布や無料体験などが代表的な施策といえます。また、ECサイト上のみでプロモーションを行う場合は、購入してもらった商品に関連するサンプルのプレゼントなどが挙げられるでしょう。
WEB接客ツールやカゴ落ち防止ツールの導入
ECサイトにおいて、商品をカートに入れて購入に至らないままサイトを離脱することを「カゴ落ち」といいます。購入の直前まで進んだユーザーがカゴ落ちしないための対策として、WEB接客ツールやカゴ落ち防止ツールの導入が有効です。
WEB接客ツールはマウスやスマホの動きをAIが判別し、クーポンの発行やチェックボックスを出してユーザーが購買しやすくなるように導きます。また、カゴ落ち防止ツールはECサイト利用中にほかのことに手を取られたり、電波状況が悪く離脱したりしたユーザーに対し、カートに既に商品が入った状態のリンクを送信でき、購入を促せます。
決済手段を増やす
ECサイトの決済手段はクレジットカードなどがよく使用されていますが、ID決済など豊富な決済手段に対応しておくことも、ECサイトにおける販促施策の1つと言えます。
「SBペイメントサービス株式会社」の調査によると、普段最も利用する決済手段が対応していない場合、物販サイトで「62.5%」、デジタルコンテンツサイトで「51.5%」のユーザーが購入しないという結果も出ています。ユーザーが普段から頻繁に利用する決済手段に対応すれば、購入率の向上が期待できます。
購入する気持ちが高まったユーザーを1人でも多く逃がさないためにも、決済手段はできるだけ広く対応するようにしましょう。
参考:決済手段に関する調査
顧客が必要とする情報を充実させる
顧客が必要とする情報を充実させると、商品やサービスに対するユーザーの不明点や疑問をスムーズに解決することに繋がります。
そのため、ユーザーが必要としているであろう情報を可能な限り充実させる施策が必要です。特に、実際の商品を手に取れないECサイトにおいて、詳細な商品画像は購入を決断する大きな動機となります。
また、実際に商品を使った方の感想もユーザーの購入検討段階で参考にされやすい情報です。そのため、購入してもらったユーザーに対してレビューを促すような文言や施策も重要となるでしょう。
送料負担やお届け日数などの商品以外の部分についても、気になるユーザーがすぐに情報を得られるように、見つけやすくわかりやすい記載を目指しましょう。例えば、海外に商品を発送したい場合、カートや配送サービスと自動連携を行うツールを活用するといいでしょう。海外配送自動化プラットフォームを取り入れているAnyLogi(AnyMind Group)では、送料や関税にかかる費用の表示、配送サービスの送り状やインボイスの発行なども全てプラットホーム上で完結できます。
参考:AnyLogi(エニーロジ)| EC事業者を支える海外配送自動化プラットフォーム
ECサイトにおける販促のポイントや注意点
ECサイトにおける販促のポイントや注意点として、次の4つが挙げられます。
- 実施する販促施策の目的を明確にする
- アプローチするターゲットを絞り込む
- しっかりと集客する
- 過去の販促施策の結果を活かす
販促は1回限りではなく、改善しながら繰り返し実施することでより効果的な施策に繋げていくことができます。ここでは、それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
実施する販促施策の目的を明確にする
実施する販促施策ごとに目的を明らかにしましょう。販促のすべてが売上アップを目的にしているとは限りません。たとえば「認知度を高めたい」や「協力業者を探したい」など、目的にあわせて打つべき施策が変わります。
そのため、目的から逆算することでどのような形で何を行うべきかが分かり、効率的に計画を進められるでしょう。
アプローチするターゲットを絞り込む
アプローチするターゲットを絞り込むのも重要です。広い層に訴求しようとすると、結果として曖昧なメッセージを発信するに留まり、思ったような成果を上げられない可能性があります。
たとえば、お得感を訴求する場合、どのような価格設定やサービスを付帯すれば刺さるかはターゲット層によって異なります。ターゲットによっては、純粋に価格が安いほうが嬉しい場合もありますし、価格は据え置いてもおまけを付けたほうが購買に繋がるケースもあるでしょう。
販促の企画ごとにターゲットを絞ると、獲得したいユーザーに対して適切なアプローチ・施策を立案しやすくなります。
しっかりと集客する
そもそも販促施策を打ち出す前に、しっかりと集客しなければなりません。
施策自体に集客効果があればそれほど問題はありませんが、施策の内容によっては別途集客を必要とするケースも考えられます。
ECサイトの売上は「アクセス数」「購入率」「客単価」の掛け合わせで構成されます。そのため、いくら購入率を高める販促を企画しても、アクセス数を稼げていなければ販促効果は高まりません。販促と集客の両輪を回すように意識しましょう。
販促効果を確認する
販促施策を実施したあとは効果測定を行いましょう。データを蓄積して次の施策に活用することで、より効果の高い施策へとブラッシュアップされます。
効果測定には「コミュニケーション効果」と「売上への効果」を測定する方法があり、それ次のように定義できます。
- コミュニケーション効果:ユーザー行動を分析し、施策の効果を測定する
- 売上への効果:販促前後の売上を比較することによって、施策の効果を測定する
コミュニケーション効果の測定は、施策にかけた費用に対し効果がどれくらい出たのかを示す「費用対効果」の判別が可能です。ユーザーが販促施策を通して実際にとった行動を見るため、目的とした効果を得られているかが分かります。
一方、売上への効果については販促による売上への影響を推測します。売上自体はさまざまな要因から変動するため、施策により得られた売上かどうかが判別できないケースもありますが、全体として見た時に販促施策を行ったことで実際に売上がどのような動きをしているかを確認することができます。
過去の販促施策の結果を活かす
過去に実施した販促施策の結果は、次の施策に活かすために重要なデータとなります。前述のとおり、施策の実施後は効果測定を行い、自社のノウハウとして蓄積しましょう。
そして「企画・実行・振り返り・改善」のPDCAサイクルを繰り返すことで、より効率的な販促に繋げられます。自社にとってより費用対効果の高い施策を見つけるためにも、振り返りの精度を高めていきましょう。
まとめ
今回解説してきたように、ECサイトの売上を伸ばすには適切な販促施策の実施が重要です。そのためには、先に紹介したような販促の基本知識や具体例、押さえておきたいポイントなどを理解し、計画に落とし込めるようにする必要があります。
販促の内容や目的を明確にしながら、自社のECサイトにとって費用対効果の高い施策の実施を目指しましょう。
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