近年さまざまな店舗で導入されているキャッシュレス決済は、現金を持たずにスピーディーに決済を完了できるため、ユーザーにとっては利用しやすい決済手段といえます。しかし、実際にキャッシュレス決済の導入を検討する経営側にとっては、どのようなメリットや課題があるのか気になるところです。
そこで今回は、キャッシュレス決済の種類や、キャッシュレス決済導入のメリットと現状の課題について紹介します。
目次
キャッシュレスとは?
日常のさまざまな場面で「キャッシュレス決済」という言葉を目にしますが、そもそも「キャッシュレス」とはどのような意味があるのでしょうか。
「キャッシュ(cash)」とは「現金」という意味であり、「レス(less)」とは「〜を持たない、〜のない」という意味の接尾辞です。従ってキャッシュレス決済とは、「現金を持たずに商品やサービスの代金の支払いを完了させる取引手段」のことを指します。
支払いの際に現金のやりとりの必要がないため、よりスピーディーに決済を行えることや、海外からの訪問客で日本通貨に詳しくない場合でも買い物がしやすくなることから、さまざまな商品やサービスの決済においてキャッシュレス決済が導入されています。
キャッシュレス決済の種類と支払い方法
キャッシュレス決済といってもさまざまな種類があり、支払い方法もそれぞれ異なります。ここでは代表的なキャッシュレス決済の種類を紹介します。
クレジットカード(後払い)
クレジットカードとは、現金を持たずに商品やサービスの受け取りを行えるカードです。後日クレジットカード会社から代金を請求され、決まった期日に銀行口座から引き落とされる後払い方式です。
クレジットカードは一括払いだけでなく分割払いもできることが特徴です。店頭での支払い以外にもネットショッピングでも利用することができ、クレジットカード会社によってはポイントを貯められるなどの特典もあります。
電子マネー(前払い・即時払い・後払い)
電子マネーは、硬貨や紙幣の現金を電子データ化し、スマートフォンや専用カードに入っている電子データをレジの専用機器で読み取ることで決済を行う方法です。主なものとして、公共交通機関での定期券として利用できるSuica、PASMOなどの「交通系」、WAON、nanacoといった「流通系」などに分けられます。
電子マネーは種類によって前払い方式、即時払い方式、後払い方式があり、すべての方式を利用できるものもあります。
デビットカード(即時払い)
デビットカードはクレジットカードと同様に現金を持たずに商品やサービスを受け取れるカードですが、後払い方式のクレジットカードとは異なり、デビットカードは利用したと同時に銀行口座から引き落としが行われます。
クレジットカードとの違いとして、クレジットカードの場合は登録に審査が必要ですが、デビットカードの場合は審査不要なうえに、デビットカードの発行会社によっては満15歳以上から持てるものもあるということが特徴です。
参考:デビットカードは何歳から作れる?年齢別にカードを分類しました – クレジットカードDB
QRコード(前払い・即時払い・後払い)
QRコード決済は、スマートフォンにインストールした専用アプリにあらかじめ入金しておき、その専用アプリを用いて、QRコードやバーコードを読み取らせて決済を行う方法です。
QRコード決済の方法には、上記のようにスマートフォンの専用アプリのQRコードやバーコードを読み取って決済する「ストアスキャン方式」と、店舗に掲示されているQRコードやバーコードをユーザー側が読み取って決済を行う「ユーザースキャン方式」の2種類があります。
QRコード決済は種類によって前払い方式、即時払い方式、後払い方式があります。
経営者にとってキャッシュレス決済導入のメリットは?
- 決済データが管理しやすくなる
- ポイント還元のある決済ならユーザーが利用しやすい
- 外国人観光客に利用してもらえる
自店の決済方法について、キャッシュレス決済を導入するにはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、キャッシュレス決済導入について経営者にとってのメリットを紹介します。
決済データが管理しやすくなる
キャッシュレス決済は、電子マネーのように現金をデータ化できるというだけでなく、決済情報そのものもデータとして残ります。そのため、決済端末と在庫管理専用アプリを連携させることで、商品やサービスの購入履歴や在庫状況をリアルタイムで管理することが可能です。
また、ユーザーがキャッシュレス決済の利用を開始する際には個人情報の登録が必要となるため、商品やサービスの購入と紐づけることによって、集客や販促などの戦略としてさまざまなデータ活用ができます。
ポイント還元のある決済ならユーザーが利用しやすい
キャッシュレス決済導入は集客においても大きなメリットがあります。さまざまなキャッシュレス決済サービスでは、利用者を増やすことなどを目的にポイント還元のサービスを行っています。商品やサービスの購入金額によってポイントが貯まり、ユーザーはそのポイント数によってキャッシュバックや商品交換といった特典を受けることができます。
その特典を受けるためにポイントを集める活動「ポイ活」という言葉も存在するほど、ポイント還元が受けられる決済を扱っているかどうかということは、ユーザーがその店舗を利用する動機の1つになるといえるでしょう。
参考:ポイ活のはじめ方|初心者でも簡単にできるおすすめポイント獲得方法|みんなでつくる!暮らしのマネーメディア みんなのマネ活
外国人観光客に利用してもらえる
海外からの外国人観光客の受け入れが行われている近年において、外国人が利用しやすいキャッシュレス決済を導入しているかどうかも、店舗やサービスを利用してもらえる重要なポイントになります。
たとえば、国際ブランドのクレジットカードは幅広い国の観光客が利用しやすい代表的な決済手段の1つです。また、中国では銀聯カード(ぎんれんカード・UnionPay)というものがあり、デビットカードとして利用されています。他にも、東南アジアを中心にしたモバイル決済連合「VIA」や、インバウンド向けの電子マネーである「Welcome Suica」や「PASMO PASSPORT」など、さまざまなサービスが利用されています。
外国人観光客を顧客として獲得するにはどのようなキャッシュレス決済に対応しておく必要があるのか、自店のビジネスモデルと合わせて確認しておきましょう。
参考:外国人観光客のインバウンド需要はキャッシュレスの導入でつかむ | ペイサポ ~お店がはじめるキャッシュレス決済~
キャッシュレス決済を経営に導入する際の課題とは?
- 決済端末購入のコスト
- 決済ごとに手数料が発生する
- 現金が振り込まれるまで日数がかかる
キャッシュレス決済導入のメリットを説明しましたが、実際に自店に導入するにあたって、どのような問題点があげられるのでしょうか。最後に、キャッシュレス決済を導入する際の課題を紹介します。
決済端末購入のコスト
キャッシュレス決済を導入するには、専用の決済端末が必要です。クレジットカード決済であれば読み取り用の端末とレシート用の端末、電子マネー決済であればタッチ決済用の端末など、種類によってさまざまです。
キャッシュレス決済サービスの会社によって費用は異なりますが、端末本体の費用とサービス登録料をあわせて0円〜10万円程度、さらにインターネット通信費用として月額3,000円〜といった費用も必要になります。さらに自店のPOSレジと連動させるには数万円の費用が必要となるため、即座に導入できる金額ではない可能性もあります。
参考:キャッシュレス決済を導入するメリットとは?種類や決済手数料まで徹底解説 | ペイサポ ~お店がはじめるキャッシュレス決済~
決済ごとに手数料が発生する
前述の通り決済端末は導入に費用がかかりますが、その他にも、決済ごとに手数料が発生する場合があることも忘れてはなりません。
店舗の規模やクレジットカード会社によって決済手数料は異なるので、利用するサービスについて事前によく確認しておくことが重要になります。
現金が振り込まれるまで日数がかかる
現金決済の場合は商品やサービスの受け渡しと同時に現金を受け取ることができますが、キャッシュレス決済の場合は自店に振り込まれるまでに日数がかかる場合があります。
これまで現金で支払い計画を行っていた場合、一度にキャッシュレス決済に切り替えてしまうとこれまでの支払い計画がうまく進まなくなることも起こり得るため、現金を残しておく必要もあるでしょう。
まとめ
今回はキャッシュレス決済を導入するにあたってのメリットや課題について紹介しました。
キャッシュレス決済は現金を持つ必要がなくスピーディーに決済が完了できる手段としてユーザーにとって利点があり、店舗を経営する立場としても導入することで顧客の獲得や管理の効率化が期待できます。一方で、費用がかかることや決済手段にも種類が多くどこまで導入すべきか分からないなど、導入にいたってはさまざまな課題もあります。
今回ご紹介した内容も参考に、自店の経営状況を加味しながら検討を進めてみてはいかがでしょうか。
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