商品やサービスを提供するうえで、「販促」や「プロモーション」という言葉はよく使用されていますが、それぞれの言葉の意味や2つの違いについてよく理解していないという方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、販促とプロモーションの言葉の意味や違い、基礎知識、また具体的な手法やツールについて紹介します。
販促とプロモーションの基礎知識
「販促」も「プロモーション」も、企業や店舗のさまざま取り組みの中で使用されることが多い用語です。似たような意味、あるいは時として同義として使われている言葉ではありますが、分けて考える場合はそれぞれ目的などが異なります。ここではまず、2つの用語の意味や基礎知識を解説します。
販促とは?(=セールスプロモーション)
「販促」という言葉は「販売促進」を略したもので、英語では「セールスプロモーション(Sales Promotion)」と呼ばれます。商品やサービスを消費者に周知させ、その魅力を伝えて購入意欲を促していくという一連の活動が「販売促進活動」となります。そのため販促と一口に言っても、その手法やツールはさまざまです。
お店や企業が行う取り組みの中でも、広告などのように商品やサービスの「認知」を目的とすることが多い施策に対して、販売促進活動は消費者に「購入したい」という意識を持たせることを目的としています。
プロモーションとは?
プロモーションは、使用される場面や人によって意味が異なる可能性がある用語です。広義では、消費者に製品やサービスを認知してもらうための活動やコミュニケーションの総称です。そのため販促も、この広義でのプロモーションに含まれることになります。
一方、狭義でのプロモーションは販促(セールスプロモーション)そのものを指す言葉として使われる場合があります。
マーケティングにおけるプロモーション
プロモーションや販促は、マーケティング活動に含まれる言葉でもあります。マーケティング活動におけるフレームワークの1つである「4P(マーケティング・ミックス)」は、「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(プロモーション)」の頭文字をとったもので、プロモーションが含まれていることが分かります。マーケティングにおいては、プロモーションのゴールはブランドや企業の認知拡大、イメージアップといった目的があります。
販促とプロモーションの意味の違い
ここまで解説した内容をまとめると、「販促」と広義での「プロモーション」はそれぞれ目的が異なり、プロモーションの中に販促が含まれているという構図になります。
しかしながら、プロモーションは広義と狭義でさらに認識が異なり、狭義では販促と同義として扱われている場合もあります。また、販促を英語で読んだ場合のセールスプロモーションという言葉の中にもプロモーションという言葉が使用されている点が、より2つの言葉が混同される原因になっていると言えるでしょう。
それぞれの違いを理解した上で、場合によってどちらの意味で使用されている言葉なのかを考え、認識の違いが発生しないように注意しましょう。
販促手法(セールスプロモーション)の種類
販促が消費者に製品やサービスの購入を促す事であると述べましたが、実際にはどのような手法があるのでしょうか。ここでは、販促手法の種類を4つ紹介します。
- イベントプロモーション
- キャンペーンプロモーション
- インストアプロモーション/店頭プロモーション
- ダイレクトマーケティング
イベントプロモーション
イベントプロモーションとは、会場を設けて展示会やセミナーなどのイベントを行う販促活動です。展示場に数社が集まって開催されるイベントへの出展や、独自イベントでの商品サンプル配布やサービスの体験、イベント参加者との交流会などが含まれます。
イベント自体を主催して行うことができれば、企業名をアピールすることにもつながり、イベント参加者の満足度によっては商品・サービスの購入意欲や口コミなどの評判が高まることも考えられます。また、イベント参加者の情報をデータ化することで、後の販促活動への活用もできます。
キャンペーンプロモーション
キャンペーンプロモーションとは、期間を限定して行われるイベントで、特典付与や割引サービス、期間限定商品の販売などの販促活動を指します。期間を限定して行うことで特別感を演出し、消費者の「今買ったほうがいい」「今利用したほうがいい」という気持ちを高めます。
新規顧客にとっては、商品やサービスを知り利用するきっかけになりやすいため、認知拡大のうえでさらに購入やサービス利用にも繋げられる手法です。すでに利用経験のある顧客にとっても、リピートへと繋がることが期待できます。
インストアプロモーション/店頭プロモーション
インストア(店頭)プロモーションとは、小売店や小規模ビジネスが自店内で実施する販促活動のことを指します。消費者が商品を手に取りやすくなるような陳列の工夫や季節にあわせた展示方法、商品・サービスのデモンストレーション、店内POPなどがあげられます。
自店の中で行うため低コストで実施できる点や、外部のイベントなどに参加する場合に考えられる制限やルールなどがない点がメリットと言えるでしょう。消費者の反応をその場で把握し、必要に応じて内容を変更することもできます。
ダイレクトマーケティング
ダイレクトマーケティングとは、すでに自社で持っている顧客のデータベースを用いて直接アプローチを図る販促活動を指します。ダイレクトメール、メールマガジン、ポスティングなどによる顧客への情報発信がそれにあたります。
顧客のデータベースを取得するには、事前に自社の商品・サービスに対する会員登録を促したり、自社サイト上でアンケートをとったりする必要があります。顧客情報の取得からデータベースの確率までには時間を要するため、継続的に行うことが重要です。
オンラインで販促に活用できるツール
- 公式サイト・SNS
- WEB広告
- メールマガジン・定期購読配信
販促を行うとなった場合、オンラインではどのようなツールを活用できるのでしょうか。ここでは、販促に活かせるオンラインの主なツールを紹介します。
公式サイト・SNS
自社で公式サイトを運営したり、SNSでアカウントを作成して情報発信を行ったりすることで、消費者との関係構築を図る効果が見込めます。SNSには、X(旧Twitter)やInstagram、Facebookなどさまざまな種類がありますが、サービスによってユーザーの年齢層や男女比などが異なるため、自社の商品・サービスにふさわしいターゲット層が利用していると思われるものを選定することが大切です。
また、SNS上でのユーザーの投稿の他、レビューサイトでの評判によって商品やサービスの購入を決定する、という消費者に対しては、インフルエンサーなど発信力のあるアカウントを通じたキャンペーンを行うこともひとつの手段といえます。
WEB広告
インターネット上に広告を出稿するWEB広告は、商品やサービスの購入前にインターネット検索で情報を入手するという消費者に向けて適した手法です。
GoogleやYahoo!といった検索エンジンに広告展開するリスティング広告や、アフェリエイターと呼ばれる人のブログに自社の商品・サービスの広告を掲載するアフェリエイト広告、自社サイトへの訪問ユーザーに対して広告発信を行うリターゲティング広告などがあります。
メールマガジン・定期購読配信
メールマガジンや定期購読の配信は、自社サイトなどに会員登録や購読登録をした顧客にダイレクトに情報発信を継続することでリピーターにつながる期待が持てるというメリットがあります。
さらに利用している配信サービスによって、開封率やクリック率の測定ができるツールが備わっており、反響や今後の展開を図るための要素として活用することが可能です。
オフラインで販促に活用できるツール
- ノベルティ・サンプル
- チラシ・パンフレット
- POP
- ダイレクトメール
オンラインでの販促ツールをご紹介しましたが、オフラインでも販促に活かせるツールは多数あります。最後に、オフラインでの販促ツールを紹介します。
ノベルティ・サンプル
ノベルティやサンプル配布はオフラインで販促を行う代表的な手法です。化粧品のサンプル配布や新商品のドリンクの試飲、モニタリングなどが主なものです。
商品を手にした消費者に実際に使用してもらうことで、商品・サービスの魅力を直接実感してもらうことができ、購買意欲の向上を促します。
チラシ・パンフレット
チラシやパンフレットといった紙媒体をツールとした販促もあります。紙媒体はデザイン性やキャッチコピーによって必要な情報をわかりやすく的確に伝えられるという特性があります。使ってしまったらなくなるサンプルとは違い、消費者が処分しない限り手元に残るため、施策の実施時点から効果を得られる期間が比較的長いというのもメリットといえるでしょう。
チラシやパンフレットを配布する際は、新聞折込や街頭での配布、個人宅へ配布するポスティングなど、周知させたいエリアによって選定することができます。
POP
POPは、店頭や商品棚に飾られている紙媒体のひとつです。商品・サービスの紹介や、スタッフの感想、アピールポイントなどを記載することで、店内でスタッフを介さずに売り込みを行うことができ、購入に向けて消費者の後押しを図ります。近年は手書きのPOPだけでなく、売り場にモニターを設置して動画で商品・サービスの紹介を行うデジタルサイネージも登場しています。
ダイレクトメール
ダイレクトメールは、自社ですでに持っている顧客リストを活用し、商品・サービスのキャンペーンや新商品の案内をカタログやパンフレットで送付する販促ツールです。すでに把握している顧客情報をもとに配布するため、ターゲットの吟味やニーズにあった配布が的確に行えます。定期的な利用があるリピーター顧客だけでなく、しばらく来店のない休眠の顧客に対しても再来店や再利用を促す効果が期待できます。
カタログやパンフレットを配布するダイレクトメールの場合、複数のチラシなどを同封できるため、さまざまな告知が行えるほか、クーポンなどの特典をつけることでクーポン利用者の効果測定を行えるというメリットもあります。
まとめ
今回は、販促とプロモーションの意味の違いや基礎知識、活用できるツールについて紹介しました。
販促とプロモーションという言葉は、混同して使われることもあるため誤解が生まれやすく、まずは正確に意味を把握しておくことが大切です。特にそれぞれが持つ目的を把握しておくことは、実際に販促活動を行っていく上での指針ともなるため重要です。
実際に販促を行う際には、ここで紹介した手法やツールを確認し、売り込みたい商品やサービスに適したものを模索してみてください。