店舗ディスプレイは、お客様が商品を見つけやすくするだけでなく、楽しく買い物ができてもう一度訪れてみたいと思ってもらえるようにするための大切な要素です。どのような点に注意すれば美しい店舗ディスプレイが完成するのか、ディスプレイのポイントやおすすめのアイテムなどをあわせて紹介します。

美しい店舗ディスプレイの目的と効果

店舗ディスプレイは、商品を乱雑に配置したりむやみに目立たせようとしたりせず、美しさが重要であると言われていますが、それはなぜでしょうか。

例えば初対面の相手と会うとき、清潔感があったり身だしなみが整っていたりする相手であれば、きちんとした人だなという印象を受けやすくなります。それと同様に、初めて訪れた店舗がきれいに見やすく陳列されていて清潔感のある内装であれば、配慮がなされている店舗だという印象を受けやすく、落ち着いて商品選びをすることができるでしょう。

また、探している商品がすぐに見つけやすく、商品の魅力が伝わるディスプレイがされていることで顧客の購買意欲が高まり、さらにそれによって満足のいく買い物ができたのであれば、「またあのお店に行ってみよう」という再来店への意識を高めることが見込めます。

美しい店舗ディスプレイを行うことで、顧客満足度アップやリピート率の向上といった効果が期待できるのです。

店舗ディスプレイの基本構成

店舗ディスプレイを行うにあたって、基本的な陳列構成の方法があります。店舗ディスプレイの基本構成を4種類紹介します。

店舗ディスプレイの基本構成
  1. 三角形/トライアングルの構成
  2. 左右対称/シンメトリーの構成
  3. 左右非対称/アシメントリーの構成
  4. リピート構成

三角形/トライアングルの構成

三角形/トライアングルの構成

関連するアイテムを集めて机の上などに陳列する際に、三角形を描くように頂点を決めて並べていく方法です。三角形の頂点にあたる中央の場所には関連アイテムの中でも高さのある商品を配置し、そこから左右に三角形になるように高さのあるものから並べていきます。商品の大きさにばらつきがあるものの場合、この方法をとることで全体的なバランスがとれ、すっきりとした見た目になります。正三角形だけではなく、あえて逆三角形にしてみてもおもしろいでしょう。

左右対称/シンメトリーの構成

三角形左右対称/シンメトリーの構成

この場合、真ん中から左側と右側が対称になるように陳列を行います。本来は片側のスペースだけで成り立つ陳列をあえて左右対称に空間を確保して陳列することでおしゃれ感の演出を狙えたり、まとまりを感じさせたりするディスプレイになります。

必ずしも左右同じ商品にする必要はなく、先に紹介したグルーピングのように高さの順番や素材感などを片側ずつそろえて、それぞれを左右に並べてみるのも視覚的な訴求につながります。

左右非対称/アシメントリーの構成

左右非対称/アシメントリーの構成

整然ときれいに並べるだけがディスプレイなのではなく、あえて左右非対称にして陳列することで、独自性や存在感をもたせるのもディスプレイの面白みともいえます。

個性や独自性をコンセプトとした服飾店や、ジュエリーショップのように斬新で高級感を売りとした店舗では、創造性やアクティブさが伝わるようなアシンメトリーのディスプレイが引き立ちます。

リピート構成

リピート構成

同じ商品や関連商品を等間隔でリピートさせて陳列する方法はデザイン性が高く、新商品や売り出したい商品のアピールとして目に留まりやすい効果を見込めます。先に紹介したような装飾品もうまく活用しながらリピートして陳列させることで見た目のインパクトも加わり、商品のフォルムやカラーを売りにしたい商品では特に訴求力が高まるでしょう。

効果的に店舗ディスプレイを行う6つのコツ

顧客満足度を高め、集客につながるような効果的な店舗ディスプレイを行うにはどのような点に気をつけたらよいのでしょうか。ここでは、効果的に店舗ディスプレイを行うコツを6つ紹介します。

効果的に店舗ディスプレイを行う6つのコツ
  1. 顧客の動線を考える
  2. 装飾の色や素材に統一感をもたせる
  3. 商品をグルーピングする
  4. 空間にメリハリをつける
  5. 見やすく陳列する
  6. 清潔さを保ち美しいディスプレイにする

いずれも、どのように自店をアピールしたいかというコンセプトやテーマを最初に決めておくことでスムーズに進めることができます。

顧客の動線を考える

初めて店舗を訪れるお客様にとっては、入りやすい店舗であるか、楽しく買い物ができそうな店内であるかということは特に重要なポイントです。入口からでも店内が見渡せ、他のお客様とぶつかることのないような開放的で入りやすい配置を心がけましょう。

また、初来店であってもリピーターであっても、お客様には店内すべてを通ってより多くの商品を見ていただきたいものです。そこで、店舗の奥までスムーズに進めるような商品陳列をしたり、POPや装飾での誘導によって店舗奥へ目線を促したりするなどの動線への工夫をこらすこともポイントです。

装飾の色や素材に統一感をもたせる

お客様が落ち着いて買い物を楽しめるようにするには、商品の陳列や動線の配慮だけでなく、ディスプレイ全体に統一感をもたせることも重要です。自店のコンセプトやターゲット層のイメージにあわせて、メインカラーや素材感を設定しましょう。

例えば、壁の色や配置する棚の色などを同系色でまとめることで店内が落ち着いた印象になります。そこにあえて異なる色や素材のものを追加することで、まとまった店内のなかにもその場だけに存在感を与えることができます。ただし、異素材のものや補色を加える場合は、ごちゃごちゃとした印象にならないように1、2種類にとどめておくことがおすすめです。

商品をグルーピングする

グルーピングとは、関連する商品を集めて陳列することを指します。コンセプトやカテゴリーといった関連性の高い商品だけをまとめて陳列することで、お客様が店内を迷うことなく、そのグルーピングされた商品のなかだけで比較をしながら商品選びをすることができます。

また、服飾などのように同系色や同素材のものをまとめて陳列するグルーピングでは、同じ色であってもカテゴリーが完全に異なるような商品などの場合、まとまりがない印象を与えてしまうこともあります。慣れないうちは同系色で同じカテゴリーのものを集めて陳列し、落ち着きのあるおしゃれな空間に仕上げましょう。

空間にメリハリをつける

より多くの商品を販売したいからといって、高さや幅など空間全体を使ってディスプレイをしたのでは、ごちゃごちゃした印象になってしまいます。ディスプレイを行う際は、余白を考えながら空間にメリハリをつける配慮がポイントです。

スタイリッシュで落ち着きのある印象を与えたい場合には、空間の余白を大きくしてゆとりのあるディスプレイにします。反対に、元気や賑やかさを強調したいという場合には、雑然とした印象にならないように注意しながら商品を多く陳列して勢いを持たせるとよいでしょう。

さらに、空間に余裕を持たせることで、おすすめの商品やメインとなる商品だけを目立たせることもしやすくなります。POPをつけたり、高さをつけたりするなど空間を活用しながらメリハリのある陳列を行いましょう。

見やすく陳列する

陳列の見やすさで配慮したいポイントとしては、商品のラベルやパッケージを揃えて並べるフェイシングという陳列方法があります。お客様がひと目で商品が見つけられ、手に取りやすくなるように見やすく陳列をしましょう。コンビニエンスストアなどでよく見られるように、注目商品や売れ筋商品については陳列する列数を多く取って並べ、あまり売れ行きのよくない商品については一列で陳列するなどのメリハリをつけることで、売りたい商品に目を集めやすくなります。

また、スーパーマーケットやホームセンターなどの量販店でよく活用されるのが、同じ商品を棚全体を使って陳列したり、巨大なかごに大量に入れて陳列したりする大量陳列という方法です。新商品や季節商品など目立たせたい商品がある場合には、大量陳列の方法を用いてアピールするのもおすすめです。

清潔さを保ち美しいディスプレイにする

初来店のお客様が期待しながら入店したにもかかわらず、店内が乱雑で汚れていたのでは、再来店の意欲を持たせることは難しいでしょう。店舗ディスプレイにおいて、清潔感と整頓された店内であることは非常に重要なポイントです。

什器の下にほこりがたまっていたり、陳列棚のガラスが指紋でいっぱいになったりしていないかなどは、見慣れた空間であるほど見落としがちになります。毎日入念にチェックしましょう。

整理整頓については先に紹介した陳列方法にも関連しますが、雑然としていて統一感のない陳列では、美しい店舗ディスプレイとはいえません。空間にゆとりを持たせてきれいに商品を並べる意識づけを徹底しましょう。

店舗ディスプレイに活用できるアイテム

店舗ディスプレイを美しくさせ、お客様が商品を見やすくするためには、陳列に関するアイテムの選び方も重要です。ここでは店舗ディスプレイに活用できるアイテムを紹介します。

店舗ディスプレイに活用できるアイテム
  • 店内の導線や雰囲気に合った什器
  • おすすめポイントを記載したPOP・看板
  • 空間を利用した吊り下げ式ディスプレイ
  • 季節感を取り入れた装飾品

店内の導線や雰囲気に合った什器

什器とは、商品の陳列に使う棚やワゴンなどの設備のことです。アンティーク調のものなどデザインが特徴的な什器もありますが、商品を引き立てることを優先する場合にはデザイン性の高いものではなく、シンプルで店内に馴染むものを選ぶとよいでしょう。

また、耐久性が高いものや移動がしやすいような什器があると、店内の模様替えを頻繁に行う場合や季節ごとにディスプレイを変更する場合などは扱いやすいでしょう。タイヤのついたような移動式の什器の場合は、安全面を考えてしっかりとタイヤをロックできて安定性のあるものを選ぶのがよいでしょう。

おすすめポイントを記載したPOP・看板

お客様が探している商品をすぐに見つけられたり、新商品がどのようなものであるかをひと目で知ることができたりするように、POPなどの掲示物を什器にとりつけてみましょう。

POPの掲示はディスプレイのアクセントになるだけでなく、スタッフによるおすすめポイントなどを記載することで、商品の使用感が伝わりやすくなります。また、目立つように看板をとりつけることで、お店側のおすすめ商品であることのアピールにもなります。

空間を利用した吊り下げ式ディスプレイ

ディスプレイ棚の上などからS字型のフックに引っ掛けて紐で吊り下げるタイプのディスプレイです。高さがあることで遠くからでも視認しやすく、使っていない空間を活かしてディスプレイができるという特徴があります。セール品や新商品など特に売り込みたい商品のアピールに効果を期待できます。

ただし、吊り下げて使用するという特徴から、ディスプレイとお客様が接触したり、風に揺れて落下したりしないように注意が必要です。

季節感を取り入れた装飾品

店舗ディスプレイをすっきりとまとめすぎて、なんとなく簡素すぎるという場合にアクセントとして装飾品を用いるのもおすすめです。

店内をあえてシンプルにする代わりに、季節感のある花や飾りなどを一箇所にまとめてディスプレイすることでメリハリがつき、売り込みたい商品とあわせて装飾すればイチオシの商品であることがより伝わりやすくなります。

まとめ

今回は、店舗ディスプレイに関して陳列のコツやおすすめのアイテムなどを紹介しました。

店舗ディスプレイは、初来店のお客様に対して店舗の第一印象のアピールになり、今後リピーターとしてつながるための重要な要素です。商品のカラーや素材感にあわせて並べ方を工夫したり、POPや看板や装飾品を用いて目に入りやすいように陳列したりして好印象を目指しましょう。しかし何より注意したいのは、店内の清潔感や整理された空間づくりです。どんなに個性的なディスプレイをしたところで什器の下にほこりがたまっていたり、雑然とした陳列ではお客様にはディスプレイのよさが伝わりません。

入店してから求めている商品までの動線がわかりやすく、商品の何が特徴であるかが伝わるようなPOPなどの工夫があることで、お客様に買い物の楽しさが生まれます。美しい店舗ディスプレイを完成させて、集客アップを目指してみてはいかがでしょうか。

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