自社の商品やサービスの売上を向上させるためには、顧客を呼び込んで興味を持たせる”集客”が重要です。開業当初は意識していたものの、何年も見直していない場合や、「集客できるよういろいろな方法を試しているけれど、なかなか成果が出ない」という方は、ぜひ一度今回の内容を参考にしていただくことをおすすめします。
集客とは
集客とは、商品やサービスを提供するビジネスにおいて、「実店舗や自社のWEBサイトに人を呼び込むこと」です。素晴らしい商品やサービスを提供していたとして気づいてもらえなければ売上を増加させることは難しいでしょう。
選択肢が増えた世の中で、お客様のニーズを調べ、商品やサービスを魅力的に伝える方法を考えることが集客では大切です。その集客の手段としてweb広告やSNS、チラシなどの媒体があります。実際に集客媒体を使って、自社の集客が上手くいっているのか考え、改善していく必要があります。
この記事では、どのように集客すべきなのか、企業としての経営方針やマーケティングの方向性も含めて考えていきます。
集客がうまくいかない理由と解決策
自社のサービスや集客のために、さまざまなマーケティング法を試しているけれど、安定した成果がみられないという企業も多いのではないでしょうか。まずは集客が上手くいかない原因を分析し、その後、解決策を考えていきましょう。
- ターゲット設定が明確ではない
- 集客を行う媒体がターゲットとマッチしていない
ターゲット設定が明確ではない
顧客のニーズが多様になった現在、より細かい顧客像を基にしたマーケティングが必要です。集客がうまくいかないときは、「最も呼びたいのはどんな人?」というターゲットの設定がぼんやりしている可能性があります。
例えば、「肌に悩む人におすすめ」という訴求で大勢の人に呼びかけても、多くの人は振り向いてくれませんが、「30代前半、そろそろ肌のハリが気になる主婦におすすめ」という訴求であれば、当てはまる人の注意を引ける可能性は出てきます。とがった訴求をするためにも、ターゲット設定は思い切ったほうが良いでしょう。
さらに顧客像を明確にするためには、ターゲティングよりも一歩踏み込んだ「ペルソナ」を設定することをおすすめします。ペルソナとは、趣味や価値観、パーソナリティーを持った架空の人物像のことです。
例えば、新しく提供するサービスの利用者をターゲティングするとき「都内に住む会社員の30代未婚男性」と設定したとします。しかし、その情報だけでは、プロジェクトメンバーの頭に浮かぶ利用者の詳細イメージはバラバラになってしまうでしょう。
そこで、ペルソナを設定します。Aさん(32歳)独身、趣味はゴルフ、年収は400万円、好きな食べ物はハンバーグ…というように、実際の一人の人間のレベルまで絞り込むことで具体的なイメージを手に入れることができます。ペルソナを設定することで、ターゲットとする顧客を取り巻く状況が把握でき、より理解が深まるのです。
上記で解説したターゲット設定に必要なターゲットとペルソナですが、意味が似ているようで考え方が異なります。
ペルソナについて下記の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
集客を行う媒体がターゲットとマッチしていない
集客がうまくいかない原因として、集客を行っている媒体が、マーケティングをして設定したターゲット・ペルソナに合致していないことが考えられます。
例えば、40代女性向けのスキンケア商品を販売したいのに、男性誌に広告を出したとしても求めている結果は得にくいでしょう。これは極端な例ですが、実際に自社が行っている集客の媒体が、普段どのようなユーザーに見られているのかを即答できないというケースも多いです。現在、予算をかけて集客をしているのに効果がないという場合は、媒体がターゲット層やペルソナとしっかりと合致しているかを、いま一度確認する必要があります。
効率よく集客する5つのポイント
効率よく集客を行うために、顧客がどういう行動をしていて、どんな媒体を見ているのか、などを把握しておく必要があります。具体的な方法を紹介していきます。
- ターゲット顧客をリサーチする
- 商品の売り出しポイントを練り上げる
- ターゲット顧客が見ているであろう媒体を調査する
- ターゲットにとって魅力的な商品であることをアピール
- 競合他社との差別化を図る
ターゲット顧客をリサーチする
顧客が商品やサービスを購入する・利用するということは、言い換えると顧客が抱えている悩みを解決する手段と判断されているということです。集客ができない場合は、消費者から、自社の商品やサービスが、自分の持つ悩みを解決できないと判断されている可能性があります。
経営者の中には「この商品は面白いから・品質がいいから、なんとなく売れそうだ」と考えていたり、巷で流行っているのでとりあえず便乗したいと考えている方もいるようです。商品は、顧客が自分の悩みを解決する手段として購入されます。顧客の悩みは何なのか、解決するためにはどんな商品が必要なのかを徹底的にリサーチしてみましょう。
商品の売り出しポイントを練り上げる
まず顧客に訴求したいポイントを考えていきます。考えるときは企業から見た売り出しポイントを一方的に伝えるだけにならないよう注意が必要です。顧客が自社の商品やサービスを購入するとニーズを満たし、悩みが解決できる点が訴求ポイントになります。
そして、売り出しポイントを考える中で重要となるのは、顧客が買う理由をつけることです。その商品が顧客にもたらす価値を想像できるように促します。
例えば、野菜不足を気にしている顧客がいるとします。しかし、毎日野菜をカットして食べようとすると少し手間がかかってしまいます。そこで発売されたのがカット野菜です。カット野菜は購入する段階で既にカットされているため、料理時間を短縮できる点や価格が安定しているという特徴があります。
訴求ポイントとしては、野菜をカットしていた時間を短縮できることで、手軽に野菜を摂取するできるようになる、というメッセージを盛り込ませるのが効果的でしょう。
商品が顧客にもたらす価値を説明すると、仮に野菜を摂取することを少し手間に感じていた潜在顧客であっても、簡単に野菜を摂取できるならと購入を検討する可能性はあります。そのため、新規顧客や潜在顧客には特に買う理由を作ることが重要です。
ターゲット顧客が見ているであろう媒体を調査する
集客は、商品を購入できる場所に集める必要があります。例えば、シニア世代を集客したいと思っているのに、10代の利用者が多いTikTokなどのSNSなどを使って情報を発信してもそれほど効果は見込めないでしょう。
まずはターゲットである顧客層がどんな行動をして、どんな媒体から情報を得ているのかを調査してみましょう。また、開業当初から集客の方法を変えていない場合は、時代とともにターゲットが普段使っている媒体が変化している可能性があるので注意が必要です。
現代のように、インターネットが生活の中に溶け込んでいなかった時代は、テレビのCMや新聞の折込チラシ・広告や郵送でのダイレクトメールなどでの集客が主流でした。しかし今は消費者の時間の使い方、情報収集の方法も昔に比べると全く違うものになってきています。ターゲット顧客やペルソナを設定した後は、そのターゲット層が見ているであろう媒体を利用して情報発信をする必要があるでしょう。
参考:ターゲットは若者だけじゃない? 広がる企業のTikTokプロモーション事例6選!
ターゲットにとって魅力的な商品であることをアピール
行動パターンをリサーチし、ターゲットがよく見ている媒体で集客できたとしても、実際にそのサービスや商品自体が魅力的なものでなければ、購入には至りません。集客を行う際に、顧客が「この商品なら自分の悩みを解決できる」と信じられるコンテンツを発信することが重要です。
しかし商品の良さをただアピールしたところで、相手が魅力的に感じなければ意味がありません。よくあるのが、自社が認識しているアピールポイントが、消費者からしてそれほど重要ではないパターンです。例えば、ファミリーカーを探している消費者に対して、「この車は時速180kmまで加速できます」という点をアピールしたとしても、日常ではそのようなスピードで運転する必要がないので、購買意欲を高めるのは難しいでしょう。
ただし、集客の訴求が消費者にとって魅力的に映るかどうか、実施してみないと分からない場合もあります。その場合は、複数の訴求をテストし、どちらの集客が効果が表れたかを検証することが重要です。
競合他社との差別化を図る
どの業態にも、自分たちが提供している商品やサービスと類似したものを提供している企業があります。集客率と売上をアップさせるために、競合と差別化できる自社の魅力を見出し、顧客へ伝えることが重要です。
自社の商品のどんな部分がどのくらい優れているか、他社とどんな違いがあるのかを、店頭や問い合わせが来た時に説明できるようまとめておきましょう。物の品質自体が良いのか、それとも付加価値がついているから良いのか、出店しているエリア・立地が良いのかなど、顧客が競合の商品と比較するときに、決定打となるようなポイントを明確にしておくことが大切です。
効果の高いWEB集客方法
ターゲットとする顧客の年代にもよりますが、現代の情報収集の方法として主軸になっているのはインターネットです。インターネット上での集客を行うために、具体的な方法にはどんなものがあるのでしょうか。主な手法について説明していきます。
- 自社のホームページの運営
- WEB広告の配信
- SNSによる情報発信
自社のホームページの運営
優先してやるべきなのは、自社のホームページの立ち上げです。スマートフォンが浸透している現代では、自分がよく知らない商品やサービスを購入する際には、インターネットで検索し、情報を得てから購入するという場合がほとんど。ホームページの立ち上げは無料でもできますが、デザインなどにこだわりたい場合は専門業者へ発注がおすすめです。
検索されるキーワードにもよりますが、特定のキーワードで検索をする人は、「そのキーワードに関する悩みをなるべく手間をかけずに解決したい」と考えている場合が多いです。
例えば、「シミ 化粧品」というキーワードで検索をする人は、シミに効果のある化粧品の情報を最短距離で手に入れる方法を探していると考えられます。
そのような人は、ホームページに入った後、まず自分の求める解決策がどこにあるかを探します。実店舗のレイアウトを考えるときと同様に、消費者の探し物(=解決策)がすぐに見つかるような、分かりやすいデザインを心がけましょう。
ホームページを作っておけば、メールマガジン、SNSなどを併用して情報発信をすることで、さらに効率的に集客や販売することが可能になるため、もしまだ持っていない場合は優先的に取り組むと良いでしょう。
WEB広告の配信
インターネット広告も様々な種類があるため、試しに利用してみる価値は充分にあります。インターネット広告を使うメリットは、ターゲット層の顧客をすぐに集めることができる点です。その人の興味や属性によりターゲットを絞り込めるので、集めたい顧客にダイレクトにアプローチできます。
広告には、キーワード設定をして検索結果の上位に表示できるリスティング広告、情報サイトなどのWEBメディアに自社商品やサービスについて記事を書いてもらう記事広告(PR記事)などがあります。その他、アフィリエイト広告(成果型報酬広告)もあります。これは媒体の持ち主(アフィリエイター)が自分のブログやWEBサイトに商品の広告やWEBサイト等のリンクを貼り、ブログやサイトを見に来た人がそのリンクを経由して商品を購入したり会員登録をした場合に、媒体の持ち主に報酬が発生するというものです。
広告費用は発生しますが、インターネット広告は、自社のターゲット層に合致する人に絞って集客できるという点で、従来の集客方法よりも優れているといえるでしょう。
また、「オープン〇周年記念セール」や、クリスマスなどの季節行事に合わせたキャンペーンを企画し、WEB広告で配信する企業や店舗も増えてきています。実店舗がある場合は、WEB上などでクーポンを発行し、実店舗への来店を誘導するなどの方法も有効です。
SNSによる情報発信
今や、SNSは現代を生きる人のメインの情報収集場所といっても過言ではありません。SNSで情報発信をするメリットは、友人間で拡散され続けることにより広範囲に情報を届けられる点です。無料で気軽に始めることができ、フォロワーやユーザーと直接コミュニケーションをとることができるため、ユーザーの質問や意見に応えやすいという部分もあります。どのSNSを使用するかは、ターゲットとして設定している顧客に合わせて選定しましょう。人気の各SNSの概要をまとめているので参考にしてください。
SNS | 特徴 |
実名で登録する必要があるSNSです。30代から40代を中心に幅広い層が利用しています。実名制ゆえに、他のSNSよりも信頼度の高い、オフィシャルな情報が拡散されやすいとされています。性別、年齢、職業、地域など細かい属性を設定した上で該当するユーザーに広告を出稿できます。 | |
X(旧Twitter) | 1回のつぶやきを140文字以内で投稿できるSNSです。20代から40代までメインに幅広い年代に親しまれています。匿名での登録が可能なため、日々の生活で感じたことや、商品やサービスに対する本音が投稿されやすい傾向にあります。 |
現在、世界的にユーザー数を大きく伸ばしているSNSです。登場した当初は若年層の女性がメインユーザーでしたが、現在では、幅広い年代で利用者が増えています。ユーザーが魅力を感じる魅力的な内容の投稿や、おしゃれな写真・動画を投稿することで自社の商品を認知してもらい、ホームページへ誘導することも可能です。 | |
LINE | 国内のアクティブユーザーが8000万人以上で、もはや社会インフラに近い役割を果たすSNS。企業は、自社の「LINE公式アカウント」を作って、登録してくれているLINEユーザーへ向けてダイレクトに情報を配信できます。友人とやり取りをするチャットと同じように通知を送ることが可能で、他のSNSよりも内容を見てもらえる可能性が高くなります。 |
Youtube | 自分で撮影した動画を配信できるサービスです。企業で利用するならば、商品の使い方や使用後のレビューなどを投稿するのに適しているでしょう。動画サイトからホームページへ誘導されてきたユーザーは、自社の商品やサービスへの関心がかなり高い見込み顧客となります。 |
そのほか、WEBでの集客方法について詳しくは下記のページをご覧ください。
集客をした後には何をやるべき?
集客できない原因を見直し、新しい集客方法を取り入れ発信しただけで満足してはいけません。発信した広告や情報から、商品やサービスの購入へと成果につなげる必要があります。成果へつなげるための方法について紹介します。また、複数の集客方法を試した上でどの集客方法が効果があったか、効率よく集客できたのはどれかを検証することも重要です。
PDCAサイクルをまわす
PDCAサイクルとは、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)を繰り返すことによって、管理業務を継続して改善していく方法です。 ここまで紹介してきた方法で、集客が上手くいかない原因を分析し、ターゲット顧客・ペルソナを明確にした上で集客を行いサービスや商品を販売できたら、定期的に効果測定を行いましょう。 どの媒体で出した時に集客の効果があったのか、効果がなかった場合はなにが原因だったのか、次はどの媒体で検証するかなど、失敗と成功を繰り返しながらサイクルを回していくことでさらに効果のある集客を目指していきます。
リピーターができる仕組みを作る
一度商品やサービスを購入してくれた顧客が、再度購入したいと思ってもらえるような仕組み作りを考えていきます。新規顧客の集客で効果が出てきた後、さらに売上を伸ばしていくためには、リピーターの存在が非常に重要です。売上の8割は2割のリピーターから生まれると言われているほどです。 商品への満足度が高くファンになってくれている状態で、何度も商品を購入してくれるリピーターが増えるほど売上アップに期待ができます。そのため、新規顧客がある程度増えてきた時点で、次は新規顧客をリピーターに変えていく仕組みを考えていく必要があります。 リピーターを作る施策としては、メルマガやDMの送付や、ポイントカードの作成が代表的です。自社にマッチする施策はどれか、考えてみましょう。
まとめ
今回は集客について詳しく紹介しました。原因を把握したら、ターゲット顧客を改めて設定し、顧客が集まる場所(SNSなど)で、魅力的なコンテンツを提供して集客することが重要です。顧客分析やニーズをしっかりと分析・把握し、最適な集客方法を見つけ出せるよう工夫してみましょう。
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