現代では、共働き世帯や単身者などさまざまなライフスタイルがあることや、情勢などによるニーズの変化によって、お弁当への需要も変化しています。お金や時間などを節約したい方や、衛生的観点などから一人で食事を済ませたい方など、お弁当をはじめとする中食は注目を集めており、新規開業や既存店舗の新規サービスとして参入する企業も見受けられます。
今回は、お弁当販売を成功させ売上アップに繋げるためにどのような戦略を練る必要があるのか、ポイントや注意点を解説します。
目次
お弁当販売業界について
お弁当を含む、テイクアウトやデリバリーといった「中食」と呼ばれる分野は近年市場が拡大しているとされています。テイクアウトに分類されるうちのひとつであるお弁当は、料理を作る時間を持ちにくい共働き世帯や、一人分の料理で割高になりがちな単身者にとって、軽減税率の対象となることからも外食よりも低価格で済ませることができると、注目を集めている分野です。
また、情勢の変化などによりお店で外食を取るのが難しい場合にも、自宅で食事を済ませるお弁当は需要が高まります。
お弁当を販売する側にとっても、省スペースかつ少人数で販売することができ、人件費をカットしやすいということからもメリットが多い業界と考えられます。
お弁当販売を行う方法は?
お弁当販売を行う方法としては、主に3種類があげられます。ひとつは店舗においてお弁当を調理し、販売を行う方法、もうひとつはインターネットや電話などで注文を受けて、お弁当をデリバリーする方法、最後は調理設備のある移動販売車でお弁当を調理・販売するという方法です。
いずれの方法も、お弁当専門店や惣菜店が運営しているだけでなく、既存の飲食店が新たに参入して、自店舗で提供しているメニューをテイクアウトやデリバリーとして提供するケースもあります。既存の飲食店にとって、デリバリー形態の場合は配送手段の確保などが必要ですが、テイクアウトにすることで、容器の手配など以外は既存の店舗運営の形態を延長する形で流用できるため、参入しやすいというメリットがあります。
お弁当屋の開業や新しくお弁当の販売を開始しようとしている方は、こちらの記事で必要な準備や費用を確認してみてください。
お弁当売上のアップを目指す戦略
お弁当販売の開業を目指す場合、売上アップを目指す戦略としてどのようなものがあげられるでしょうか。ここでは、7つの戦略について紹介します。
- ニーズを理解する
- 他店との差別化を行う
- お弁当のメニューにこだわる
- お弁当の見た目を変える
- 広告や販促を工夫する
- サービスを充実させる
- 価格に気をつける
ニーズを理解する
お弁当販売の開業を検討するなかで、立地やターゲットを明確にし、さらにそこから想定されるニーズを理解する必要があります。開業を検討している場所や店舗がすでにある場合、その場所がオフィス街なのか、繁華街なのか、住宅街なのかを判別することで、ターゲットが定めやすくなるでしょう。
例えば、オフィス街であれば、お弁当は安価に済ませたいと考える単身者や、会議などでの接待用に豪華なお弁当を利用したい企業が対象になることが考えられます。ほかにも住宅街であれば、共働き世帯の食事用としても検討することができるでしょう。このように、出店を検討している地域にどのようなニーズがあるかを想定することで、価格帯や盛り付け方や容器の設定まで検討しやすくなります。
他店との差別化を行う
出店を検討している地域に競合店がある場合は、競合店との差別化によって顧客獲得を図る必要があります。特に自店舗が小規模で、競合店が全国チェーンのような大手企業の場合、販促にかけられる費用やアイデアの幅には大きな差があります。そのため、大手の競合店に負けないような斬新な方法や違った方法で差別化を目指さなくてはなりません。
競合店とは異なるオリジナル性の高いメニューを開発したり、競合店よりも安い価格帯で勝負したりすることも考えられますが、「親しみやすさ」や「接客のよさ」など、小規模店舗だからこその取り組みに注力することも考えておきましょう。地域に根づいた人間関係を構築していくことは大手との差別化として大きなポイントになりえます。
お弁当のメニューにこだわる
売上アップを目指すには、お弁当のメニューにも工夫が必要です。例として、通常のメニューに加え、5種類程度のお弁当を日替わりで提供できるようにすれば、立地にかかわらず、さまざまなニーズに応えられるでしょう。もっと多くご飯を食べたいという方向けには、小分けの追加ご飯を用意したり、お弁当にあわせたお味噌汁を用意したりして、「もう一品」の品揃えで満足感を与えることができれば、良い評判に繋げられる可能性があります。
店舗独自のメニューを用意するだけでなく、唐揚げやハンバーグ、餃子といったお弁当の定番のようなメニューや、どのような客層にも対応できるようにボリューム感やヘルシーさなどを重視したメニューを加えるのもおすすめです。
また、お弁当という特性を考えると、冷めてもおいしく食べられるようなメニュー作りも大切です。購入した人がいつどのような環境で食事をとるかはわからないので、肉や魚、揚げ物などは冷めても固くならないような食材を検討していきましょう。
飲食店からお弁当販売を始める場合には、既存店舗のメニューを軸としてお弁当向けのメニューを開発することで、食材の仕入れなどの管理がわかりやすくなるといったメリットもあるでしょう。
お弁当の見た目を変える
SNSが情報収集源として活用されている現代では、利用客がSNSに写真をアップしたり感想をつぶやいたりしたくなるような、見栄えのよい盛り付けにすることも大切です。おしゃれなロケーションやお花見などの季節行事に映えるような華やかな彩りにしたり、ボリューム感を売りにして通常の倍の盛りのメニューを売り出したりすることで、盛りつけのよさや意外性などが話題となって口コミで広まる可能性があります。
広告や販促を工夫する
小規模のお弁当販売店においても、販促は欠かせない営業活動のひとつです。チラシのポスティングや手配りで開店告知やメニュー紹介を行い、自店舗の存在を積極的にアピールしていきましょう。
また、インターネットを活用してGoogleビジネスプロフィール(旧:Googleマイビジネス)やSNSを開設し、本日のおすすめメニューなどのリアルタイムな情報発信を行うこともおすすめです。
いずれの場合も、自店舗のある地域にどのような特性やニーズがあるのか、実際に自分で動いてみないと見えないことも多いため、足を運んで情報収集を行ってみるとよいでしょう。
サービスを充実させる
お弁当の場合、オフィスや自宅だけでなく、公園などの野外で食べることも想定しながら、どのようなサービスがあると便利かを考える必要があります。自店舗だけで購入が済ませられるようにドリンクつきのセット販売をしたり、清潔に食べられるようにペーパータオルをつけたりすることも、購入者側にとってはうれしいサービスのひとつになりえます。野外での飲食の場合は、衣服が汚れないようなランチョンマット代わりになるペーパーを用意するのも1つのアイデアです。
また、物品でのサービスだけでなく、丁寧で親しみやすい接客を心がけましょう。何度も利用してくれる顧客の名前を覚えることで、リピーター獲得につなげていくことも大切です。
価格に気をつける
手軽さが売りのお弁当は、割安で済ませたいと考える顧客も多いと考えられ、ターゲットを考えずに高級志向を狙ってむやみに高価格帯の品揃えにしてしまうと、顧客獲得は難しくなる可能性があります。お弁当販売の場合、通常の店舗営業に比べ容器代やおしぼりなどといった食材以外の部分でのコストがかかりがちのため、それらを考慮しつつ、高価格にならないようなメニュー作りや価格設定を心がけましょう。
なかでも容器代は売価の10%以内におさえることが目安と考えられているため、デザイン性にこだわるあまりに割高な容器にならないよう、さまざまな選択肢のなかから自店舗のイメージにあった容器を選ぶことが重要です。
また、コスト面で考える必要があることとして、食品ロスをなくすこともあげられます。仕入れ時の量を気をつけるだけでなく、注文してから調理したり予約制にしたりするなどの方法も検討してみるとよいでしょう。
まとめ
今回は、お弁当販売において売上アップをさらに目指すためにどのような戦略が必要かについて紹介しました。
中食が注目されている今、お弁当やお惣菜の販売は、人件費もかからないことからも注目を集めている分野です。とはいえ、小規模で起業する場合には、出店地域に競合店がいるかどうか、地域でのニーズに順応しているか、などの事前調査が重要となります。お弁当の見た目やメニューの豊富さ、意外性などで競合店との差別化を図り、多彩なニーズに対応できるようにメニュー数や盛りつけなどに工夫をこらしましょう。
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