集客をするときに、まだ出会っていない見込み客や購入を検討している新規顧客へのアプローチ方法に悩んでしまうという方はよくいるのではないでしょうか。
この記事では、集めるべき「客」について基本に立ち返って見直し、顧客へのアプローチ方法を各段階ごとに集客方法と併せて解説します。
集客を増やすために必要な顧客層の種類は?
売上を上げるために集客を増やしたいと考える経営者や担当者は大勢います。しかし、具体的に誰に対してどうアプローチをすればよいのかを理解していなければ、集客施策を実施しても、期待している効果が挙げられない可能性があります。
では、アプローチする必要のある顧客層はどのように分かれているのでしょうか。アプローチする顧客層は大きく分けて下記の2つが挙げられます。
- 新規顧客
- 既存顧客
まずは、集客で集める「客」とは何かという原点に立ち返ってみましょう。集客で行うべき施策やアプローチの方法は、顧客層によって異なります。ここでは「新規顧客」と「既存顧客」、さらに新規顧客に至るまでに存在する「潜在顧客」と「顕在顧客」について詳しく見ていきましょう。
新規顧客の集客
まだ自社のサービスやブランド、商品を利用したことが無い顧客を獲得することが「新規顧客」の集客です。事業のどの段階においても新規顧客の集客は重要ですが、特に立ち上げたばかりの企業や開業したばかりのお店などでは注力する必要がある顧客層になります。
なお、「自社のサービスやブランド、商品を利用したことが無い顧客」にも「潜在顧客」と「顕在顧客」の大きく2種類が存在し、これらの顧客へアプローチすることが新規顧客の集客を行うということになります。それぞれの顧客層で認知や興味の状態が異なるため、その顧客層にあった集客方法や内容で段階的に新規客獲得に繋げていく必要があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
潜在顧客
潜在顧客は、「まだ自社の商品やサービス、店舗を認知していない」状態や「自身の悩みに気づいていない」状態の顧客を指します。顧客を種類分けした場合、もっとも購入から離れた位置にいる層です。そもそも存在やニーズを知られていない状態なので、購入や利用などの行動を起こさせるには時間がかかることもありますが、本来商品やサービスに興味をもつ可能性がある層のため、将来的に新規顧客として獲得できる可能性がある潜在的な顧客ということになります。
そのため、まずは存在を認知してもらうことや自身の悩みに気づいてもらうことを目的とした集客方法が必要になります。顧客に情報が届きやすい手段を利用し、悩みや課題を解決する商品やサービスが存在することを知ってもらいましょう。
顕在顧客
顕在顧客は、「すでに商品やサービスを認識し、一定の興味を持っている」状態の顧客になります。既に商品やサービス、店舗を認知をしたうえで、さらに情報収集や比較検討を行っていたり、自身の環境や生活などの状況から購入や利用を迷っていたりする状態の顧客層です。つまり、先ほど解説した潜在顧客の次の層として、購入や利用に近い状態にあります。提供する情報に対して魅力や必要性を今以上に感じてもらうことができれば、新規顧客として獲得できる可能性があります。
どこまで自社の商品やサービスについて知っているかは顧客によっても異なりますが、「利用することで悩みやニーズが解決されることに期待を抱いている」顧客ではあるので、最後の後押しができるようなアプローチ方法を考えましょう。また、競合と比較されている段階であることも考えられるため、自社がより優れている部分の情報を提供し「この商品がいい」「この企業がいい」と思ってもらえる魅力を伝えることが大切です。
既存顧客の集客
集客におけるもう1つの顧客は「既存顧客」です。既に商品やサービス、店舗を利用したことがある顧客のことを指します。集客を考える際、新規の顧客を集めることばかり意識してしまう人もいるかもしれませんが、既存顧客をリピーターに変えていくための集客は大変重要です。
マーケティングでは「1:5の法則」と呼ばれる考え方があり、新規顧客の獲得には既存顧客の維持の約5倍コストがかかるとされています。
また、積極的に購入や利用を継続してくれる既存顧客は自社のファンとも言える状態で、さまざまな商品やサービスを利用したり、1回あたりの購入数が増えたりすることで客単価の上昇が見込めるほか、長い期間で見た時に大きな売上に繋がります。このように、コストや売上の側面からも既存顧客への施策が重要であることがわかります。
また、既存顧客がリピーター化する仕組みができれば、新規で獲得した顧客も将来的にリピーターになる流れができていることになります。よって、既存顧客の集客やリピーター獲得の施策は、新規顧客の集客に力を入れるための根拠としても大きな役割を果たします。
合計客数の方程式とは
先の2つの「客」をふまえると、客数は以下の式から求めることができます。
- 合計客数=新規顧客数+既存顧客数×リピート率
この式を踏まえると、合計客数を増やすためには次の2点が重要です。
- 新規顧客を増やす
- 既存顧客のリピート率を上げ、離脱を減らす
下記では、新規顧客を増やすための具体的な方法について解説していきます。
新規顧客を増やすには
新規顧客を増やすためには、どのような集客方法を行う必要があるのか、既存のどのようなことを改善する必要があるのでしょうか。下記では新規顧客を増やす方法を3つ紹介します。
新規顧客を増やす方法1:サービスと商品を見直す
まず、新規顧客を増やす方法の1つ目として、そもそも自社のサービスや商品に需要があるか、なぜ新規顧客が集まらないのかを考えることが重要です。実店舗の場合、具体的に下記の4つを見直すと良いでしょう。
- ターゲットとしている層にアプローチできているか
- 接客態度や身だしなみは適切か
- 掃除が隅々まで行き届いていてお店が清潔か
- 競合店と比較して価格が高すぎないか、安すぎないか
新規顧客を増やす方法2:既存顧客の見直しを行う
新規顧客獲得には、既存顧客の見直しを行うことも大切です。なぜなら、既存顧客を分析することで、どの商品が人気かやどの顧客層の利用が多いかなど、お店の特徴やサービスの強みが見えてくるからです。どの商品やサービスが人気か分からない場合は、既存顧客にアンケートを実施して、集計をとることもおすすめです。
既存顧客に人気の商品やサービスを把握することができれば、人気商品をSNSに投稿で300円OFFや新規ご来店で人気サービスが10%OFFなどのキャンペーンを実施することも検討できるでしょう。定期的に来店イベントを実施することで新規顧客獲得はもちろん、既存顧客の離脱も防ぎやすくなります。
新規顧客を増やす方法3:ターゲットにあった集客施策を考える
既存顧客の見直しや分析ができたら、結果をもとにターゲットにあった集客施策を考えていきましょう。
例えば、お店が駅前のオシャレなカフェで、利用しているユーザー層が10代~20代前半の女性だったとします。その場合、考えられる集客施策としては、写真映えするメニューの考案や特定の商品をSNSに投稿で100円OFFなどのキャンペーンを挙げることができます。
集客施策を考える際は、競合が行っている施策も参考にしながら、自分のお店を利用するユーザー層がどのような施策を行えば、来店したくなるかに重点をおきながら考えていきましょう。
新規顧客を増やすための集客施策例
新規顧客を増やすためには、まずは商品やサービスを「認知」してもらう必要があります。商品やサービスを知らなければ顧客は購入することができません。まずは潜在顧客(自社製品のことをまだ知らないが、認知させることで購入につながる可能性がある人)にアプローチしましょう。
認知されたのち、自身の悩みを解決できそうな商品だと判断されれば、商品に興味を持ち、「購入検討」がなされます。商品やサービスの購入を検討している顕在顧客には、「今買わないと」と思わせるような販売促進活動を行うことで、収益につなげられる可能性が高まります。
下記の図は、パーチェスファネルという顧客が購買に至るまでの心理プロセスの変化を表したものです。
以下ではパーチェスファネルを構成する「認知」、「興味・関心」、「比較・検討」、「購入」の4つの要素をもとに解説していきます。
【認知】広告媒体の利用
商品・サービスを多くの人に認知させる手法として代表的なのが、広告です。
雑誌、新聞、TVCMなどの集客方法は世代を問わず大人数にリーチできるため、多くの人に自社商品を知ってもらいたい場合に有効です。
また、インターネット広告を活用すると、ネットを利用する潜在顧客に対して自社商品の情報を届けることができます。SNS上に配信されるSNS広告や検索エンジン上に出稿できるリスティング広告など、インターネット広告にも複数の種類があるので、それぞれの特徴を理解し、組み合わせて活用することで新規顧客の獲得に繋がります。
広告にどのような種類があるのかこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
【認知】コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、消費者にとって価値のある情報を発信し、Googleなどの検索エンジンからインスタグラムやX(旧Twitter)、FacebookなどのSNSを経由して自社サイトに見込み客を集客する手法のことです。コンテンツマーケティングを実施する場合、提供するサービスや商品に合致したニーズを持つ顧客と繋がることができます。
加えて、ECサイトを運営している場合は、特に検索エンジンでサイトが見つけてもらいやすくするために、SEO対策などを行い、検索結果で上位に表示されるようにすることが大切です。なぜなら、GoogleやYahoo!では初めのページに10サイトしか表示されず、以降のページの場合、ユーザーの目に留まりづらくなってしまうからです。
具体的な例をあげると、例えばニキビに悩む女性が「ニキビ 治す」など、ニキビを改善する方法を探しているとします。その女性はまだあなたの商品やサービスを知りません。そのような人をターゲットに、ニキビの原因や改善方法などの情報を発信した際に、検索順位の1ページ目に表示されていれば、女性があなたのウェブサイトに訪れる可能性は高くなるでしょう。
そして、コンテンツの最後の方に、悩みを解決するための手法の1つとして、商品を提示しておけば、売上を伸ばすチャンスが増えることにも期待ができます。
コンテンツマーケティングについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
【認知】既存顧客からの紹介や口コミ
既存顧客からの紹介は、古典的ながらとても有力な集客方法です。知り合いからおすすめされた製品やサービスの情報は信頼度が高く、成約率が高くなる傾向にあるため、積極的に取り入れたい手法です。
「友達を紹介すると次月の月会費が半額!」など、既存顧客に対してのメリットがあると、より紹介してもらいやすくなります。
また、既存顧客からの口コミも、新規顧客の集客につながります。インターネットが発達した現代では、商品の購入前に口コミの多さや、評価の高さをチェックする人が非常に多くなりました。「Googleビジネスプロフィール」や「ホットペッパー」の口コミなどをチェックする人も多いです。いい口コミがたくさん集まっていれば、それだけで購入の後押しになります。
なお、口コミでネガティブなものがあったとしても、真摯に応えることが重要です。クレームへ丁寧に返答し、サービスの改善につなげることによって、逆に良い評判が生まれることもあるのです。
口コミが購買行動に与える影響についてこちらの記事で解説しています。併せてご覧ください。
【認知】メディアなどを通して情報を発信する
X(旧Twitter)やInstagramといったSNS、新聞やテレビなどのプレリリースを通じて情報を発信することで商品やサービスの認知につながります。例えば、幅広い層に情報を発信したい時は、テレビを通じて発信を行い、10代~20代の層向けの商品やサービスであれば、Instagramを活用した情報発信を行うなど、ターゲットとするユーザーにあわせたメディアを選択することが重要です。
【購入検討】販売促進活動を行う
無料サンプルやクーポンの発行、商品に関連する販促グッズを付けるなどの販売促進施策を行うことで、購入の意思決定を後押しすることができます。また,販売促進活動は休眠顧客のアクティブ化にも有効です。休眠顧客とは以前商品を利用していたものの、しばらく購入していない顧客のことを指します。
休眠顧客がかつて購入していた商品や、関連する新商品が、お得に買えるキャンペーンを実施することで、再購入してもらえる可能性があります。しかし、割引率を高くしすぎてブランド棄損になる場合もあるため、キャンペーンや割引を行う際には注意をしましょう。
販促ツールの種類や具体例については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
既存顧客のリピートを増やすには
既存顧客のリピートを増やすためには、利用しているユーザーにどの商品が人気かやどのくらいの年齢の層が利用しているのかを分析することが大切です。なぜなら、分析を行うことでお店の特徴やサービスの強みを理解でき、利用しているユーザーに向けて、また来店したいと思えるような施策を考えることができるからです。
また、既存顧客にリピーターとなってもらうためには、積極的にコミュニケーションをして関係を深めていくことが必要です。顧客一人一人に合わせたメッセージを送る際に利用できる媒体の一つとして、メールがあります。例えば、誕生日メールを送ったり、購入商品を使い切りそうなタイミングで継続購入のリマインドを送ったりするなどの施策があります。他にも、商品を利用するうえでのコツや、おすすめの組み合わせ、新しく発売する商品の最新の情報など、顧客にとって役立つ有益な情報を提供することも効果的です。
顧客に忘れられないようにするだけでなく、「自分のことを覚えて提案をしてくれた」という感情が生まれ、また購入しようと思ってもらえることに期待が持てます。
下記の記事では、囲い込みが重要な詳しい理由と囲い込みに効果的な販促方法について解説しています。併せてご覧ください。
まとめ
この記事では、集客の集めるべき「客」を改めて考え直したうえで、新規顧客・既存顧客それぞれの集客を増やす方法を解説しました。
集客施策にはオンラインからオフラインまで、さまざまな手法が存在します。自社の商品やサービスを利用するターゲット顧客に最も相性の良いものを選びましょう。1つに絞り込むよりも、複数使い分けをすることで更に集客効果を高めることが可能になります。
また既存顧客の離脱を防ぐことは集客施策の費用を抑えながら利益率を上げることができるため、既存顧客にもアクティブにアプローチし続けることが大切です。
実施した集客施策は購買データなどの結果を見て改善点を見出し、次回以降さらに効果的に集客を増やしていきましょう。