飲食店でのメニュー表の良し悪しは、お店の売上にもかかわる重要な要素です。おすすめ料理やお得なサービスをより多く注文してもらうには、お客様が注文したくなるような魅力的なビジュアルで丁寧に作られたメニュー表であるかが大きく影響します。
今回は、飲食店のメニュー表の作り方と、無料で使えるテンプレートを紹介します。
目次
メニュー表にこだわるべき理由とは?
飲食店において、なぜメニュー表が重要とされるのでしょうか。
お客様が来店してテーブルについたとき、店舗の内装などを除いたサービス内容などにおいてはじめに目にするのがメニュー表です。内容をしっかりと吟味して作成されているメニュー表は、店員の代わりに料理の説明をしたり、おすすめ料理をアピールして注文へ促したりする効果も見込めます。
年配のお客様向けには写真や文字でわかりやすくし、子ども向けメニューではイラストを使うなどで親しみやすいデザインにするなど、利用者に合わせた工夫を凝らすことでより見やすくなるでしょう。
メニュー表の作り方・手順
自作でメニュー表を作成する場合、どのような点に気をつけたらよいのでしょうか。ここでは、メニュー表作成の手順を紹介します。
- メニュー表のデザインを決める
- メニューの写真を用意する
- パソコンなどでメニューを作成する
- 作成したメニューを印刷する
メニュー表のデザインを決める
メニュー表への注目を集めるのに重要な要素のひとつはデザインです。お客様の目線に立って、わかりやすいデザインにすることがポイントです。また、お店の雰囲気やコンセプトにあわせて、ファミリー向けであれば賑やかに、シックなバーであればおしゃれなフォントを使うなどの工夫も取り入れましょう。文字を配置する場合には、メニュー表を見たときの目線の流れにあわせて、横書きであればZ型の流れに、縦書きであればN型の流れになるようにすると読みやすくなります。
メニューの写真を用意する
デザインを決めたら、それにあわせて料理の写真を用意しましょう。メニュー表では、料理の写真があるだけでより具体的に料理のおいしそうな雰囲気が伝わり、お客様が食べたいと思う意識を高める効果が見込めます。料理の写真を載せる場合には、ひと目でどのような料理かわかるような写真を選びましょう。
また、セットメニューの場合には、セットのなかでもメインとなる料理を中央の目立つ場所に配置し、ドリンクなどの高さのあるものを後方に配置するなどでバランスがよくなります。写真をメニュー表だけでなく、自店のウェブサイトなどに掲載する場合には、パソコンのモニターにあわせて縦長ではなく横位置で撮影すると使いまわしができます。
パソコンなどでメニューを作成する
自作でメニュー表を作成する場合には、基本的にはパソコンやスマホを使うことになります。インターネットには、エクセルやデザインツールで活用できるテンプレートも紹介されており、ある程度決まったデザインの中に文字を入れ込んだり、写真を配置したりするだけで作成することも可能です。
また、限られた操作だけでメニュー表を作成できるようなスマホアプリも普及しています。パソコンやスマホでメニュー表を作成するとなると難しいイメージがあるかもしれませんが、まずは1枚ものなどで少しずつ、できることから試してみるとよいでしょう。
作成したメニューを印刷する
作成したメニュー表を印刷する場合には、用途やお店の雰囲気にあわせて用紙を選んだり、水をこぼしても拭くだけで済むようにラミネート加工をしたりするなど、用途にあわせた工夫ができます。ラミネート加工は100円ショップなどで手貼りでできるものも販売されているので、専用機器がなくても対応できます。また、和風のお店であれば雰囲気にあわせて和紙のような用紙を選ぶなど、内装にあわせた工夫もおすすめです。
メニュー表を作成する際のポイントやコツ
実際にメニュー表を作成する際、さまざまな工夫を加えることでより伝わりやすいメニュー表にすることができます。ここでは、メニュー表を作成する際のポイントやコツを紹介します。
料理の魅力が伝わる説明やコメントを入れる
例えば、おしゃれな雑貨店やドラッグストアの商品棚では、スタッフによるおすすめポイントが書かれたプライスカードが貼られてあることがあります。それにより商品のよさがよく伝わり、一度使ってみようと購買意欲を高める効果が期待できるのです。
それと同様に、飲食店のメニュー表にも料理名だけでなく、その料理のおすすめポイントや産地、こだわりなど、料理長や店舗側からのメッセージとしてひと言添えてあるだけで、その料理への期待が高まり、「一度注文してみようかな」という意欲を促す効果が見込めます。例として、以下のようなコメントがあります。
- 店長イチオシ!迷ったらこれを選んでみてください!
- ○○県で獲れた野菜たっぷり!地元ならではのメニューです!
- 1日10食限定!早いもの勝ちです!
人気メニューやお得なサービスを目立たせる
すべてのメニューのなかでも特におすすめしたい料理やお得なサービスがある場合には、1ページ目のもっとも目立つ場所に配置したり、そのメニューだけ1枚もののメニュー表にして他のメニュー表の一番上に置いてわたしたりするなど、目立たせることもポイントです。他のメニューとの差別化として写真を大きく掲載することでも目に留まりやすくなります。
また、自分ではどれが人気のメニューなのか判断できない場合には、売上高をもとにランクづけして優先度をつける「ABC分析」を活用してもよいでしょう。ABC分析について詳しくは、下記の記事を参考にしてみてください。
ネーミングを工夫する
料理のネーミングは、注文数やお店の売上にもかかわる重要な要素です。人がおいしさを判断する際、味覚だけでなく、嗅覚、聴覚、視覚など五感すべてを活用して判断します。料理の魅力や特徴がひと目でわかるような言葉を使って、お客様が「これはおいしそうだ」と感じられるようなネーミングの工夫をしてみましょう。
適切な価格を設定する
メニューの適正な価格の設定は判断が難しいところではありますが、売上に大きく影響するため慎重にしっかりと見極めることが重要です。集客を得るためには安い金額を設定したくなることもあるかもしれませんが、安すぎる場合にはかえってお客様が「なにか訳があるのではないか」と不審に受け取ってしまう可能性もあります。自店のあるエリアの競合店の価格を入念に確認し、安すぎたり高すぎたりしないように調整しつつ、自店のコンセプトやターゲット層に見合った価格設定にするとよいでしょう。
また、安さを売りにしたい場合には、先ほど説明したような一言コメントを添えるなどして、顧客が安さに納得できる理由を書いておくとよいでしょう。
英語や中国語など多言語に対応する
近年、訪日外国人旅行客が増え、今後も増加傾向であることが予測されます。そのため、いつ外国人旅行客が訪れても対応できるように、英語や中国語など外国語メニュー表を用意するのもおすすめです。メニュー表を別途用意しなくても、日本語の料理名にあわせて英語や中国語を併記したり、番号だけで注文できるようにメニュー写真に番号をつけたりするなど、お客様が店内で困らないような工夫を考えてみましょう。
なお、メニュー表は来店してから目にするものでもあるため、お店の外やインターネット上などで外国後に対応している事を伝える手段についても考えておきましょう。
訪日外国人旅行客、インバウンド集客については、下記の記事で詳しく解説しているのであわせてお読みください。
業界別に押さえておきたいポイント
飲食店のメニュー表といっても、居酒屋やレストランなど、店舗によって取り扱うメニューの方向性や種類は異なります。ここでは、メニュー表を作成する上でのポイントを飲食店の業界別に見ていきましょう。
業界 | ポイント |
---|---|
居酒屋 | ・看板メニューや定番メニューを分かりやすくする。 ・どの料理が何円なのか、値段を見やすく表示する。 ・料理や素材の写真を多く入れてイメージが湧きやすいようにする。 ・飽きられないように定期的なデザインのリニューアルを行う。 ・日替わりのメニューの枠を取る。 ・季節や期間限定のメニューやデザインを作る。 ・難しい漢字などにはルビをふる。 |
レストラン | ・カテゴリごとに料理を分けて載せる(洋食や和食、鍋物、揚げ物、鉄板など)。 ・ごはんやスープなどセットになるようなメニューは各ページの下側に定位置を作っておき、どのメニューを見ていてもセットで注文しやすくしておく。 ・家族連れや学生など、幅広い客層に対応できるように、文字の見やすさや写真の配置を工夫する。 ・お子様向けのメニューは、専用のページや別のメニュー表を作る。 ・季節限定のメニューや特集をしたメニュー表を作る。 |
カフェ | ・写真やテキストの量、配置、サイズ、フォント、配色などを店舗のイメージやコンセプトにあったデザインにする。 ・必要に応じてカロリーの表記や素材のセルシーさをアピ―ルするなど、ターゲットにあわせた内容を記載する ・ランチセットやケーキセットなどは分かりやすく独立したページや紙で用意する。 ・セットドリンクは対象となるメニューがどれか分かりやすい位置に表示する。 ・季節限定メニューは専用の枠を取ってアピールする。 ・時間や数量で限定するメニューは「数量限定」などのアイコンをつけて目立たせる。 ・SNSで紹介しているメニューなどは、それを見て来店した人が見つけやすいように分かりやすく載せておく。 |
バー | ・カクテルやビール、ウイスキーなどのお酒の種類ごとにメニューを分けて、お客様が探しやすい工夫をする。 ・店舗の雰囲気やコンセプトなどにあわせて、イメージを壊さないデザインにする。 ・一般的なお酒であれば名称からどのようなものかイメージできる場合もあるため、写真は入れないことも多い。 |
ラーメン屋 | ・看板メニューや人気メニューは写真を大きく載せて目立たせ、それ目当ての客が探しやすいようにする。 ・どのような種類のラーメンがあるのか一覧で見られるように配置する。 ・トッピングがある場合はラーメンとあわせて見やすいように配置する。 ・サイドメニューとセットで注文できる場合は、ページの下部や各メニューの横などにセットの案内を入れる。 ・麵の硬さやにんにくの有無など、注文時に指定できるオプションがある場合は記載しておく。 ・替え玉やライスなどは、後から追加で注文したい顧客がメニューを探しやすいようにしておく。 ・お子様用のメニューやセットがある場合は専用のページを作るなどしてまとめる。 |
これらの業界以外にもさまざまな飲食店があり、同じ業界でも店舗のコンセプトやターゲット層によって適したメニュー表は異なります。自分の店舗の場合どのようなデザインにするべきか、他の業界でポイントとなっていることも参考にして考えてみるとよいでしょう。
無料で使えるメニュー表のテンプレート・デザインツール
「メニュー表を自分でデザインするのはハードルが高い」と感じる方もいるかもしれませんが、インターネット上では、気軽にメニュー表を作成できる無料のテンプレートのサイトがあります。ここでは、無料で使えるメニュー表テンプレートについて紹介します。
- Canva
- パワポン
- エクセルで作る飲食店メニュー
- Menu Express
- Adobe Express
Canva
クオリティの高いデザインを簡単に作成できるのが、オーストラリアの企業が運営する無料デザインツール「Canva(キャンバ)」です。パン屋さん、バー、カフェなど飲食店向けのメニュー表無料テンプレートが多数あります。デザインの種類が豊富なため、店舗のコンセプトに合わせたメニュー表のテンプレートを選ぶことができるでしょう。既にクオリティの高いテンプレートが揃っているため、文字を入力するだけで簡単にメニュー表が完成します。利用するには会員登録が必要で、無料、有料とわかれています。無料のものでもテンプレートや素材の種類が豊富なので、まずは会員登録して無料の範囲内で調べてみるとよいでしょう。
(2023年7月時点)
パワポン
「パワポン」は、チラシ作成印刷や現場用品通販などを行っているアスクルが提供するテンプレートサイトです。居酒屋やカフェ、テイクアウト用のメニュー表だけでなく、会社案内やイベントチラシ、セールチラシなどさまざまなテンプレートがダウンロードできます。ダウンロードをするには無料の会員登録が必要です。実際に利用するだけでなく、デザインの参考としてみるのもおすすめです。
(2022年12月時点)
参考:無料でデザイン!パワーポイントのチラシテンプレート-パワポンbyアスクル
エクセルで作る飲食店メニュー
こちらは、個人でSOHOとして小規模飲食店向けビジネスをされている方が、エクセルで簡単に作成できるテンプレートを配布しているサイトです。テンプレートの利用法以外にも、画像の挿入方法やエクセルの簡単な操作方法なども説明されているので、エクセルの使用に不慣れな方にもおすすめです。
(2022年12月時点)
Menu Express
「Menu Express」は、株式会社メニューデザイン研究所が運営する料理メニュー作成アプリです。「写真を撮影」「写真を加工」「文字や金額を入力」「印刷やSNSで情報発信」という4つのステップをたどるだけで、簡単にオリジナルのメニュー表が完成できます。テンプレートも用意されてあり、メニュー表だけでなく店舗前の看板向けにも作成できるので、さまざまな使い方ができます。
(2022年12月時点)
参考:飲食店の様々なメニューをその場で作れる、料理メニュー作成アプリ「MENU EXPRESS」
Adobe Express
「Adobe Express」は、アドビ社が提供しているデザイン作成サイトで、テンプレートを利用すれば、デザインスキルがなくても最短わずか数分程度でオリジナルメニュー表を作成できます。ウェブ版とスマホアプリ版とがあり、無料会員登録が必要です。有料プランもありますが、メニュー表作成だけであれば無料プランでも充分なメニュー表作りができます。
(2022年12月時点)
まとめ
今回は、飲食店でのメニュー表の作り方について紹介しました。
メニュー表を目にして、「これはおいしそうだ」「ぜひ食べてみよう」と思ってもらうためには、料理の写真やデザインの吟味、ネーミングの工夫のほか、競合店と比較しながら適切な価格設定もしっかりと考える必要があります。
メニュー表を自作する場合にはパソコンやスマホを使って作成することになりますが、今ではインターネット上にさまざまなテンプレートやデザインツールが配布されています。ハードルが高いと諦めず、一枚ものから少しずつ作成してみて、魅力的なメニュー表を作成してみましょう。
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