集客の必要性は理解していても「具体的に何をすれば良いかわからない」「売上につながる集客とはどのようなものなのかわからない」など集客に関する悩みを抱える人は多いものです。

この記事では集客と顧客の購買行動を解説し、購買行動にのっとった集客アイデアを解説します。

集客とは

そもそも「集客」とは、自社の商品やサービスを利用してくれる「客」を集めることです。やみくもに人を集めるだけでは売上にはつながりません。購入してくれる可能性のある「潜在顧客」や「顕在顧客」を発掘し、新規顧客を獲得、さらに継続購入してもらう必要があります。

そのためには顧客の購買行動特性を把握し、集客施策を通じて顧客と適切なコミュニケーションを取り続ける必要があります。

集客アイデアに重要な購買行動『AISAS』とは

集客施策を実施するときに、ついSNSでの発信や広告など「集客方法」の選定から入ってしまいがちですが、その前に顧客の購買行動を把握する必要があります。

購買行動とは、顧客が商品を認識してから購入するまでの行動の工程を定義したものです。集客するために各工程ごとに必要なメッセージを随時発信し、顧客が次の工程に移行するように促して、最終的に購入につなげていきます。

そのためには購買行動を把握し、適切なコミュニケーション内容や方法を理解することが重要です。

インターネットが普及し、顧客の購買行動は「AISAS」と呼ばれるものに変化してきました。AISASとは次の単語の頭文字を取ったもので、この順番で購買行動を起こします。

  • A(Attention)=注意(認知)
  • I(Interest)=興味関心
  • S(Search)=検索
  • A(Action)=購買行動
  • S(Share)=共有・共感

インターネットが普及する前は、CMや新聞広告など幅広い大衆に向けて発信する「マスメディア」が使われており、購入がゴールでした。しかし、最近はマスメディアだけでなく、顧客自身が購買体験を発信できるようになったため、ゴールは購入ではなく、Share(体験した内容を共有し、その他のユーザーも共感をし購買行動を起こす)となりました。

『AISAS』における集客の役目とは?

まずは認知(Attention)してもらうことが集客の役割

顧客が商品やサービスを「認知」できなければ、購入してもらうことは出来ません。

まずは顧客に認知してもらうことが重要です。

認知施策としては、CMや新聞、雑誌、ラジオなどのマス広告が有名です。しかし、これらの施策は幅広い人を対象にアプローチできる分、費用もかかるので、ターゲットを絞って効率的に配信が可能なネット広告と組み合わせて実施すると効果的です。

また、SNSなどのオウンドメディアを活用することで、コストをかけず顧客にメッセージを発信し続けることも可能です。コストを抑えながら自社の魅力を発信できる施策も継続的に行いましょう。

興味関心(Interest)を持たせられるかは集客の訴求次第

顧客が商品やサービスを認知しても、興味をもたなければ購入にはつながりません。

顧客に興味をもってもらうためには、その商品を「顧客自身の悩みを解決する手段である」と思わせるような訴求をすることがポイントです。

しかし、どのような訴求が顧客の心に刺さるかは、実際に反応を聞いてみなければわかりません。集客施策を実施する前に、いくつかデザイン案やコピー案などを用意し、どれがよいかアンケート調査を実施することで、検証が可能です。

もし費用や時間が限られていて調査ができないという場合は、エリアやターゲットを絞って広告配信をする「スモールスタート」で様子を見て、効果があったら拡大する、という方法を取ると良いでしょう。

検索(Search)する人を逃さないようにネット施策は重要

興味関心を持った後に顧客がとる行動は「検索」です。

CMや新聞広告、SNSでは検索する顧客を取り込むことはできません。自社名や、商品名で検索する顧客を取り込むために、ホームページやブログを用意しておきましょう。

さらに、実際に検索した時にこれらのサイトを上位に表示させる必要があります。

そのためにはSEO(検索エンジンから良い評価をもらうためのテクニック)の知識と、ある程度の時間が必要になります。

手っ取り早く検索する人を取り込みたい場合は、検索エンジン上に配信される「リスティング広告」が効果的です。

また顧客は、企業から発信される商品情報だけではなく、実際に購入した人の口コミやレビューも見て購入を検討します。そのため、企業は自社商品やサービスの評価やレビューについてもチェックして、ネガティブな情報があればすぐに対応する必要があります。

購入(Action)のハードルが高いと離脱する

せっかく検索を乗り越えた顧客も、購入のハードルが高いと残念ながら離脱してしまいます。

たとえば、SNS広告から自社のECサイトへ送客できても「サイトが分かりづらい」など、顧客の思い通りにページが遷移できないと途中で離脱されてしまうことはよくあります。

そうならないように、集客施策を行う前に購入までの障壁をなるべく取り除いておきましょう。

集客には共感・共有アイデア(Share)が重要

インターネットやSNSの普及により、購入後のユーザー体験の「共有」が当たり前になりました。この「共有」とは、商品やサービスの写真をSNSでアップしたり、購入したサイトにレビューを投稿したりすることです。

その共有された口コミやSNSでのレビューなどのユーザー体験を他の顧客が検索段階で参考にするため、ShareとSearchがループするようになりました。

買って終わりではなくなった現代の顧客購買行動を理解すると、いかにSHARE(共感共有)が重要かが理解できます。ユーザーがSHAREしたくなるような感動的な顧客体験を提供し、新たな集客アイデアをつくることで効果の高い集客が可能となります。

AISASを踏まえた集客アイデア12選


現代の購買行動「AISAS」では、それぞれが異なる状態の顧客であるため、各段階にあわせた集客アイデアが必要になります。

また、これらの集客施策を行う前には、ターゲット層の絞り込みやペルソナ像の設定も行いましょう。ターゲットとなる顧客の年齢や性別といった属性を絞り込み、さらに1人の人間像が浮かんでくるレベルまで具体的に顧客のイメージを設定することで、施策の方向性や精度をより高めることができます。

以下では、各段階にあわせた集客アイデアを紹介していきます。

認知段階での集客アイデア

集客施策において認知段階はとても重要なフェーズです。いかに新規顧客になりうる潜在顧客に知ってもらえるかが要ですので、ターゲットを決め適切な媒体選択をする必要があります。

プレスリリース

放送局や新聞・雑誌社に向けて自社の取り組みや商品の情報を発信する手法がプレスリリースです。その目的は、自社の活動に興味を持ってもらい、メディアに商品やサービスを取り上げてもらうことです。ただし、新聞やCMで取り上げてもらうためには、記者の目に留まるようなインパクトのある商品を開発したり、社会的に意義のある活動をしたりする必要があります。

また、配信・放送された時には問合せやWEBサイトへのアクセスが殺到する可能性があります。放送日や広告掲載日にはサーバーの容量を一時的に増やしたり、顧客センターを増員するなどの準備も視野に入れておきましょう。

プレスリリースの書き方についてはこちらで詳しく解説しています。

基本的なプレスリリースの書き方と配信時に意識すべきポイントを解説

ターゲットに対して、チラシやWEB広告などの媒体を活用して情報を届ける

ペルソナ像ができたら、実際にその人の接触する媒体を想定してみます。

例えば先の50代の専業主婦の方をターゲットにした場合、ワイドショーの合間のテレビコマーシャルや、新聞の折込広告なども有効です。また最近では家事の合間にSNSを使う人も増えているようなので、オンライン施策も組み合わせるなど、ペルソナ像を想定してメディアの選択とメッセージを配信することで効果に期待ができます。

興味関心段階での集客アイデア

既に自社商品やサービスを認知している人に対しては、興味を持ってもらうように働きかけます。既に認知しているかどうかは、例えばWEB広告などであればクリック数やサイト流入率を分析することで把握することができます。

興味関心を引くためには、注力する商品や初回購入時の入口になるアイテムに特化すると良いです。

スターアイテムをつくる

例えば化粧品でスキンケア一式を取り扱っている場合、全てを同じ力量で販売するのではなく、美容液や洗顔フォームなどどれか1品をまずスターアイテム化します。

スターアイテム化とは、「美容液といえば●●」というように、特定のジャンルのアイテムでブランドが想起されるように、継続的に消費者にイメージを刷り込ませることを指します。

化粧品に限らず、飲食店のメニュー開発にも同じことが言えます。

オリジナルメニューやおすすめの一品をスター化させます。例えば焼肉屋さんであれば「●●の名物塩タン」など、商品からお店を想起してもらうようにするのです。

ベネフィットを伝える

ベネフィットとは、顧客がその商品を買うことで受けられるメリット、つまり商品の価値のことです。興味関心を惹きつけるためには、画像や動画、テキスト、音声などで商品の価値を分かりやすく伝えることが重要です。

他の顧客の顔を出す

興味関心の段階で他の顧客の顔が見えると、安心して購入検討することができます。自分以外の人も買っている事実や、自分と状況が近い人が購入していると安心できるのです。

上記3点を広告クリエイティブやウェブサイトに反映させると次の検索段階に移行させやすくなります。

検索段階での集客アイデア

次に検索段階での集客アイデアを紹介します。

自社サイトの運営

受け皿となる自社サイトをきちんと運営し、顧客が情報を収集する場として充実させることが重要です。初めてサイトに訪れた人が迷わないようにサイトのデザインや動線を丁寧に作りこむ必要があります。そうすることで検索エンジンから良い評価を受け、検索結果の上位に表示されやすくなります。

集客力のあるサイト作りについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

集客できるホームページを作るコツは?失敗しやすいポイントも解説!

リスティング広告の活用

キーワードを検索する人を逃さないようにリスティング広告も活用します。顧客は商品名を直接検索するよりも前に、悩みや不満の現状解決策を探すことがあります。

たとえば、肌のシワに悩む人であれば、「シワ 改善」などのキーワードで検索を行います。リスティング広告を活用することで、このような悩みの解決策を探している人を取り込み、顧客化できる可能性があります。

リスティング広告の運用方法やコツが知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
https://www.itamiarts.co.jp/media/2863

口コミサイトのレビューも確認

自社サイトだけを信用しない消費者が多いのも事実です。口コミサイトのレビューも自社サイトと同様にチェックし、顧客の要望には真摯に対応する必要があります。

口コミの影響力や増やし方などについて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

口コミが購買行動に与える影響力とは?口コミを増やすコツも紹介

購入段階での集客アイデア

購入ハードルを下げて集客数を増やすために以下のような集客アイデアがあります。

申し込みの簡素化

購入段階ではいかに離脱を防ぐかが重要です。既に購入する気持ちは醸成されているので、同じことを何度も入力させないなど、ストレスを取り除いてあげることが重要です。

支払い方法を増やす

2023年現在、国としてもキャッシュレス決済の導入が推進されています。支払い方法の種類が多いほど、顧客にとっての利便性は高まります。銀行振込やコンビニ決済だけでなく、クレジットカード会社の選択肢を増やしたりキャッシュレスの支払いにも幅広く対応したりするようにしましょう。

キャッシュレス決済については、こちらの記事で詳しく解説しています。

キャッシュレス決済を経営に導入するのはおすすめ?導入時のメリットと課題についてご紹介

シェア段階での集客アイデア

購入で終わるのではなく、購入時に顧客がシェアしたくなるようなブランド体験を提供することが重要です。

SNSなどで拡散される工夫

口コミやレビューだけでなく、SNSに映えるコンテンツ化をすることが重要です。顧客が発信することはもちろんですが、企業から発信することで拡散される可能性があります。

SNSコンテンツに向けた写真の撮影や、商品開発のストーリー、企業のミッションを発信することで共感を得ることができます。

まとめ

この記事では顧客の購買行動AISASと、AISASに基づいた各段階での集客アイデアを紹介しました。

購買行動を理解し、ターゲットごとに適切なメッセージを適切な媒体で発信することにより成果につながる集客ができます。また、集客施策の終了後には実施前後の比較など振り返りにより次回の集客施策の効果を高めることができます。

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