広告宣伝の方法のひとつとして、ポスティングや新聞折込ではない「デジタルチラシ(電子チラシ)」を活用する企業も増えているとされています。チラシというと、ポスティングや新聞折込などが考えられましたが、デジタルチラシとはどのようなものなのでしょうか。今回は、デジタルチラシについて、その特徴や効果、作成方法などを詳しく解説していきます。

デジタルチラシとは?


はじめに、デジタルチラシとはどのようなものかを紹介していきます。

スマホなどのデジタル媒体用チラシ

デジタルチラシとは、ポスティングや新聞折込で配布されるような紙媒体のものではなく、スマートフォンやタブレット、パソコンなどを媒体にして配信するチラシのことを指します。電子チラシとも呼ばれます。

インターネットの普及と新聞購読者の減少に伴い、チラシのデジタル化が進み、エリアを絞らずに幅広い地域への広告宣伝が可能になりました。

デジタルチラシが持つ機能

デジタル技術を活用したデジタルチラシでは、紙媒体では実現できない機能を備えています。従来の紙のチラシのようなお買い得品の情報配信だけではなく、キャンペーンやクーポンなどの情報配信や、自社で運営しているサイトやアプリとの連携も可能です。また、チラシ配信サービスによってはデータ分析機能がついたものもあり、集客方法などマーケティングに関するさまざまなデータ集計や分析ができます。

デジタルチラシに期待できる効果とは?


チラシというものが紙媒体での配布に限られていたときは、チラシをデザインして印刷し、新聞に折り込んで、特定の住宅へ配布をするというのが主なチラシの配布方法でした。

一般社団法人全国スーパーマーケット協会、一般社団法人日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会による「2022年スーパーマーケット年次統計調査報告書」によると、国内にスーパーマーケットを保有する企業977社のうち回答を得られた企業301社のなかで、今後の新聞折込チラシ発行数の方針について「増やしたい」が1.7%、「減らしたい」が42.2%という結果になりました。また、新聞折込チラシ以外の販促手段実施率では、「自社ホームページ内にチラシ掲載」が68.7%、次いで「SNS」56.9%、「電子チラシ」50.5%となっており、デジタルチラシの利用が広がっています。

また、Google Trendsのキーワード検索では、2020年12月時での「チラシ」の検索数の人気度が、2004年1月時と比較して25倍まで増加し、デジタルチラシのニーズが高まっている傾向がみられます。

参考:2022年スーパーマーケット年次統計調査

デジタルチラシのメリット

実際にデジタルチラシを導入する場合には、どのような利点が考えられるでしょうか。デジタルチラシのメリットについて5つ紹介します。

デジタルチラシのメリット
  • 印刷や配布のコストがかからない
  • 保管の必要がない
  • アプローチできる範囲が広い
  • 自社サイトへの誘導がしやすい
  • 効果測定がしやすい

印刷や配布のコストがかからない

紙媒体でのチラシの場合、印刷費用以外にもポスティングや新聞折込といった配布のためのコストもかかります。しかし、デジタルチラシを利用すれば、デジタルチラシサービスの料金は必要なものの、印刷や配布にかかるコストは不要です。

保管の必要がない

自社でチラシを管理する場合、紙媒体の場合は保管場所を確保しなければならず、必要以上に印刷したチラシで余剰在庫を抱えてしまうというリスクも考えられます。一方デジタルチラシであれば、チラシをデータとして保管できるため、そのような在庫管理の手間はありません。

アプローチできる範囲が広い

ポスティングや新聞折込でのチラシ配布は配布エリアを広げるほどコストがかかるため、自社の商圏内に限定するなど一定の地域で配布する必要がありました。デジタルチラシであれば、エリアを限定せずに幅広く顧客へチラシ配布できるだけでなく、デジタルチラシサービスではそれまで自社をフォローしていなかった顧客に対してもチラシが表示されるため、新規顧客の獲得が期待できるというメリットがあります。

自社サイトへの誘導がしやすい

自社サイトを運営している場合、配布中のデジタルチラシのなかにリンクを設置することで自社サイトへの誘導ができます。自社サイトへ誘導することで、より多くの情報を提供でき、顧客の購買意欲を高める効果も見込めます。

効果測定がしやすい

デジタルチラシのサービスには、チラシの閲覧状況などのアクセス解析ができる機能がついているものもあります。チラシを公開した前後の来店状況を計測することで効果測定もできるため、分析次第でより効果的なチラシを作成することも可能です。

デジタルチラシのデメリット

デジタルチラシを本格的に導入する前に、どのようなデメリットがあるかも知っておく必要があります。ここでは、デジタルチラシのデメリットについて紹介します。

デジタルチラシのデメリット
  • ネットを利用しない層にアプローチできない
  • 紙のチラシよりも小さくて見にくい

ネットを利用しない層にアプローチできない

そもそもデジタルチラシとは、スマートフォンやタブレット、パソコンなどを媒体として配信するものです。そのため、それらのデジタル媒体を所有しない顧客に対してアプローチすることはできません。デジタルチラシの利用を検討する場合には、自社の顧客の属性を分析しながら、どの方法が適切かを考える必要があります。

紙のチラシよりも小さくて見にくい

スマートフォンなどの画面サイズが小さなデジタル媒体の場合は、新聞折込のチラシの大きさと比較して見やすさでは引けをとるというのはデメリットのひとつといえるでしょう。小さな画面でも見やすいように、文字などの記載する情報を限定するなどの工夫が必要です。

デジタルチラシを利用するには?


ここでは、デジタルチラシのサービスを導入したい場合にはどのような手順を踏めばいいのかを説明します。

デジタルチラシを作成する

デジタルチラシの作成にはふたつの方法があげられます。ひとつは折込チラシ用などで作成したチラシのデータをPDF化してデジタルチラシとして利用する方法です。紙でのチラシのデータさえあれば、PDF形式で保存するだけで済むため、紙媒体とは別のデザインを作成する手間はありません。

もうひとつは、デジタルチラシ作成ツールやサービスを利用することです。テンプレートがあるサービスもあるので作成経験がなくてもスムーズにチラシ作成ができます。

デジタルチラシを配信する

作成したデジタルチラシを配信するには、こちらもふたつの方法があげられます。ひとつは、自社サイトにアップしたり、メルマガを使って登録者へ配信したりする方法です。普段から自社サイトを閲覧・利用している顧客以外にも、チラシが掲載してあるURLをメルマガに設置することで閲覧数の増加につながることが見込めます。

また、デジタルチラシ配信サービスを利用して、作成したデジタルチラシを掲載することもできます。デジタルチラシ配信サービス内で自社をフォローしていない顧客へも配信されることから、新規顧客の獲得が期待できるでしょう。

デジタルチラシ作成サービス3選

ここでは、デジタルチラシを作成するのに便利なサービスを3つ紹介します。無料で試してみて比べてみるのもよいでしょう。

デジタルチラシ作成サービス3選
  • Canva
  • Adobe Express
  • VistaCreate

Canva

「Canva」はオーストラリア発の無料で使えるオンラインのグラフィックデザインツールサービスです。洗練されたデザインのテンプレートが多く用意されており、画像だけでなくPDFでの保存形式も選択できます。iPhoneとAndroid、パソコンからの利用が可能です。無料プランの「Canva Free」もありますが、使用できるテンプレート数やストレージ容量に制限があるため、いつでもキャンセル可能な有料プランの30日間無料トライアルで試してみてもよいでしょう。有料プランには1名のみ利用可能で年間12,000円の「Canva Pro」と、2名以上の利用を想定した年18,000円の「Canva for Teams」とがあります。

参考:無料デザインツール:プレゼンテーション、動画、SNS | Canva(2023年3月時点)

Adobe Express

こちらもiPhoneとAndroid、パソコンからの利用が可能なAdobe社のフリーサービスです。「Adobe Creative Cloud Express」から「Adobe Express」という名称になり、機能が強化されました。業種や雰囲気だけでなく、オープンや見学会実施中などの目的からもテンプレートを選ぶことができ、デザインスキルがなくてもチラシをすばやくデザインできます。チラシやバナーなどが作成できる無料プランのほかに、すべての機能がついたプレミアムプランもあり、月々プランなら1,078円、年間プランなら10,978円(いずれも税込)で、30日間の無料体験期間中にキャンセルすることも可能です。

参考:Adobe Expressにようこそ(2023年3月時点)

VistaCreate

キプロスに本社をかまえるVistaCreateによるデザインツールサービスです。無料プランでもプロフェッショナルな10万点以上のデザインテンプレートや100万枚以上の写真や動画を利用できます。こちらもiPhoneとAndroid、パソコンからの利用可能で、無料プランの場合は月間5枚までのダウンロードなどの制限がついており、有料プランの場合は月次払いなら月額13USD、年払いなら月額10USDで、14日間の無料トライアルとなります。

参考:VistaCreate – 100,000 以上の無料テンプレートを備えた無料のグラフィックデザインソフトウェア(2023年3月時点)

デジタルチラシ配信サービス3選

最後に、作成したデジタルチラシを配信できるサービスを3つ紹介します。

デジタルチラシ配信サービス3選
  • Shufoo!
  • トクバイ
  • チラシプラス

Shufoo!

株式会社ONE COMPATH(ワン・コンパス)が運営する「Shufoo!」は、デジタルチラシの配信と閲覧ができるウェブサービスです。取扱店舗が120,000店舗を超えており、閲覧ユーザー側には会員登録後にチラシを閲覧するとポイントが貯まり、賞品が当たるなどのサービスもあります。チラシ配布時には全国、都道府県、市区町村、郵便番号指定など地域を細かく設定することができ、無料で見積もりも可能です。

参考:店舗集客なら国内利用率No.1電子チラシサービス「Shufoo!(シュフー)」(2023年3月時点)

トクバイ

「トクバイ」は株式会社ロコガイドが運営するチラシ・特売情報サービスです。デジタルチラシだけでなく、クーポンやキャンペーンなどの配信も使い放題で、配信制限のない定額制のため、使えば使うほど費用対効果が高まります。掲載商品の閲覧ランキングや、競合店との獲得閲覧数の比較もできます。初期費用は0円、まずはデジタルチラシを始めたいという方には月額1店舗あたり8,000円(税抜)のプランから用意されています。

参考:デジタルチラシで店舗集客|チラシ掲載なら【トクバイ】(2023年3月時点)

チラシプラス

「チラシプラス」はセブンネット株式会社が運営するデジタルチラシ配信サービスです。デジタル配信以外にもタイムセール配信やアクセス解析なども利用でき、個店単位での配信やタイマー管理も可能です。自社サイトや自社アプリなどの配信を一元管理できます。

参考:チラシプラス|流通チェーン店の電子チラシ配信・スマホ販促をトータルでサポートチラシプラス(2023年3月時点)

まとめ


今回はデジタルチラシについて、その特徴や効果、実際に作成・配信する方法について紹介しました。

デジタルチラシは、ポスティングや新聞折込などの紙媒体のチラシにはなかった、チラシ配布以外のキャンペーンやクーポンなどの情報配信、自社で運営しているサイトやアプリとの連携も可能な新たな広告媒体です。印刷や配布コストがかからず、幅広いエリアに配布できるため、新規顧客獲得にも効果が見込める一方で、インターネットを利用しない顧客層には届けられず、スマートフォンなどの画面サイズが小さい場合には紙媒体のようなスケールを見込めないというデメリットもあるため、使い分けが必要となります。

デザインが苦手な場合やデジタルチラシ配布が初めてだという場合にも、無料で利用できるサービスが多く登場しているので、無料でできる範囲で試してみながら、自社にあったデジタルチラシ配布を検討してみてはいかがでしょうか。

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