商品開発とは、商品を生み出し、販売して顧客のもとに届くための重要な仕事です。開発とはいっても、商品の企画から市場調査、消費者の分析など、仕事内容は多岐にわたります。

今回は、商品開発とはどのようなプロセスを経て商品販売まで至るのか、商品開発に重要なポイント、どのような人材が商品開発の仕事に向いているのかなどを、具体的に紹介します。

商品開発の仕事内容とは?商品企画との違いも解説

まずは商品開発の仕事内容について紹介します。商品開発とはどのような仕事を行うのか、また、商品企画とはどのような違いがあるのかを詳しく見ていきましょう。

商品開発の仕事内容

商品開発とは、簡単にいえば「商いに関する品(商品)を開発すること」を指します。形があるものだけでなく、「サービス」という形のない品についての開発も商品開発と呼ぶこともあります。

商品開発は、具体的には下記のような4種類にわけられます。

  • 新規事業としての新たな商品の開発
  • 既存の事業における、新たなカテゴリーに関する商品の開発
  • 既存の事業における、既存商品から派生する商品や後継商品の開発
  • 既存商品の改良に関する開発

商品とは商いに関することであるため、製造工程などにかかるコストなども踏まえたうえで、ビジネスとして成り立つものであることが前提です。また、一般消費者向けと企業向けとして分類することもあります。

商品企画と商品開発の違い

商品開発と似たような職種として「商品企画」がありますが、簡単にいえば、商品企画は「どのようなものを商品として作るかを考える」のに対し、商品開発は「その考えられたものをどのようにして商品化するかを考える人」となります。

商品企画は考えたものが商品化できるかどうかまでは問われない場合もありますが、商品開発という職種の場合は、そのものを商品化させて市場に出回るまでがプロセスとしての成功であり、商品企画が優れていても、商品開発が成功しなければ、その事業は失敗ということになります。

そのことから、商品企画と商品開発は異なる職種であるといえますが、企業によっては商品企画と商品開発を同じ人材が担当する場合や、同じ部署のなかで分担するという場合もあります。

商品開発のプロセス

商品開発のプロセス
  • 市場を理解する
  • 商品を企画する
  • 関係部署にプレゼンテーションする
  • 販売計画を作成する
  • 市場へ投入する

ひとつのものについて商品開発を行う場合、どのような段階をたどるのでしょうか。ここでは商品開発のプロセスについて紹介します。

市場を理解する

商品開発に重要なのは、市場に対する理解を深めることです。「市場規模」「消費者からのニーズ」「競合の有無」「自社の強み・弱み」を分析し、市場として参入できるかどうかを判断します。

分析する際に用いられるフレームワークとしては「3C分析」というものがあり、自社でコントロールすることのできない外部環境として(1)顧客(Customer)、(2)競合(Competitor)、内部環境として(3)自社(Company)の3つの視点から分析を行っていきます。

なかでも商品開発として重要なのは、(1)顧客(Customer)の理解となります。顧客アンケートやモニタリングなどを行って顧客目線で理解を深め、「誰に、どのような価値を提供するか」を具体化することで、どのような市場を狙っていくかを整理していきます。

下記の記事では、3C分析などさまざまな分析のフレームワークについて紹介しています。
ぜひ参考にしてみてください。

マーケティング戦略に役立つフレームワークを場面ごとに紹介します!

商品を企画する

市場の理解を深めたあとに、実際に商品企画を行います。チームみんなでアイデア出しを行う「ブレインストーミング」で、たくさんのアイデアを出しあい、ブラッシュアップを行いながらアイデアを磨き上げていきます。また、商品開発のアイデアというのは、顧客の意見やクレームのなかから見つかることもあるため、日頃から顧客の声を集めることも重要です。

アイデアのブラッシュアップによって方向性が決まったあとは、商品コンセプトを明確にしていきます。

  • 誰の
  • どのような困りごとを
  • どのように解決するか
  • 他との違いはなにか、なぜ自社で行うのか

上記のようなことを整理し、仮説検証を繰り返します。仮説検証には、明確にしたコンセプトで顧客に受け入れられるか、競合に勝てるか、といったことを検証する「コンセプト検証」と、目標売上を達成し、利益確保が可能かを検証する「ビジネス検証」というものがあります。商品開発を進めたあとに数字が確保できなかったという事態にならないために、初期投資やコストをビジネス検証で進めていくのがよいでしょう。

関係部署にプレゼンテーションする

商品の仕様が明確になったあとは、いよいよ経営陣や製造部署など関係者にプレゼンテーションを行います。関係者はその商品開発が現実的であるか、どの程度勝算がみえるかといったことを判断していきます。ここで了承をえられなければ商品化ができなくなるため、ここまで進めてきた商品の魅力を詳細に伝えていきます。

販売計画を作成する

関係者からの了承が得られたら、販売計画の作成を開始します。マーケティング手法を考える枠組みのひとつとして「4P」というものがあります。4Pとは、下記の4つの要素が含まれています。

  • Product(製品・プロダクト)
  • Price(価格・プライス)
  • Place(流通・プレイス)
  • Promotion(プロモーション・販売促進)

これら4つの要素をひとつずつ考えていきながら、マーケティング戦略を練っていきます。

想定している市場や消費者の反応を確認するには、事前に顧客や販売ルートを限定したテストマーケティングを行います。また、商品化への計画については、製造ラインの設備や人員、コスト面の折り合い、生産準備、品質の問題のようなことを考慮しながら詳細な計画をまとめていきましょう。

もちろん、これらすべてが計画通りに進まないこともあります。その場合は、顧客視点、自社視点から適切な対処方法を再検討していきます。

マーケティング手法の「4P」について詳しくは、下記の記事もあわせてご覧ください。

マーケティングにおける4Pとは?戦略を立案するコツも教えます!

市場へ投入する

商品の販売計画まで進んだら、いよいよ市場への投入となります。上記の4Pで検討した施策を実行し、販路拡大・販路開拓を目指していきましょう。広告宣伝や口コミなどでプロモーションを行って販促し、実際に購入されるようになったら利用者の声をヒアリングしてみます。

ヒアリングの際には、購入理由、利用した感想、よかった点、悪かった点、現在の困りごとなどを細かく聞いていきます。顧客の声はプロモーションの見直しや改善に利用できるだけでなく、次の新たなアイデアとして活用できます。

商品開発に向いている人は?

商品開発の業務を行うにはどのような人材が適切なのでしょうか。次に、商品開発に向いている人について紹介します。

分析力が高い人

商品開発は、販売した商品が顧客に購入してもらって初めて成功となります。そこに至るには、市場の理解をするために、自社の状況や競合の情報収集、消費者アンケートなどをもとにさまざまな情報を分析する能力が必要となります。

3C分析やSWOT分析、PEST分析といったさまざまな分析方法がありますが、それらの分析方法を理解して、どうしたら売れる商品となるのかを見出し戦略立てできる能力が求められます。

発想力が豊かな人

情報をもとにした分析以外にも、どのような商品が求められるのかといった商品イメージや、目をひきそうな商品パッケージ、どのようなマーケティング戦略が注目されているかといった事柄をパッと思いつくような発想力の豊かさも商品開発の人材には重要となります。

プレゼンテーションスキルが高い人

商品開発では、最終的に販売のGOサインが得られるように、上層部や製造部門への説得が必要となります。どんなに内容のよい商品企画であっても、それをうまく相手に伝えられなければ実現できない可能性もあります。

根拠やデータをもとに相手の不安を解消し、期待を持ってもらえるような説得力のあるプレゼンテーションが必要とされるため、内容の組み立て方から話し方まで、プレゼンテーションスキル全般が求められます。

コミュニケーション能力が高い人

商品開発は、製造部門などの他部署や社内外の多くの人との関わりがあり、連携をとるためにはコミュニケーション能力も大変重要です。相手の状況を配慮しつつも、自分たちの主張を受け入れてもらえるような立ち回り方をすることで、商品開発のプロセスが円滑に進みます。

商品開発の仕事で重要なポイント

商品開発の仕事で重要なポイント
  • 商品開発の目的や理由を明確にする
  • 顧客や現場の声に耳を傾ける
  • 商品開発後も検証と改善を繰り返す

商品開発の仕事を成功させるには考慮すべき点がいくつかあります。最後に商品開発の仕事で重要なポイントについて紹介します。

商品開発の目的や理由を明確にする

商品開発を進める際には他部署との調整も必要となります。その際には、どうして商品開発を行うに至ったのかという目的や理念を明確にし、プロジェクトに関わる人すべてに共有されていることが重要です。

商品開発の目的として、顧客にどのような利益をもたらすのかという「顧客視点での目的」、自社にどのような利益があり、どのような理由で商品開発を行うのかという「自社視点での目的」を定義づけし、プロジェクト全体の理念として共有していきましょう。

顧客や現場の声に耳を傾ける

インターネットや既にある資料などから情報収集して市場調査を行うこともありますが、それらはあくまでも二次情報として得られたものです。実際に自分たちの目で確認し、現場や顧客の声に耳を傾けてリアルな情報を収集しましょう。そうして得られたフィードバックは、さらなる商品開発や改善、分析時の仮説検証など多くの場面で役立ちます。

商品開発後も検証と改善を繰り返す

商品を販売し、顧客に購入してもらうことで商品開発は成功であると先に説明しましたが、これで終わりではありません。商品の需要からみられる消費者ニーズや、販売部門から得られるフィードバックをもとに、検証と改善を繰り返していきましょう。改良を加えていくことにより、商品の成長にもつながります。

まとめ


今回は、商品開発についての仕事内容や、販売までのプロセスについて紹介しました。

商品開発は、商品企画されたものをどのようにして開発していくかを考える重要な仕事です。発想力やプレゼンテーション能力、分析力などさまざまな能力を生かしながら、顧客のニーズに沿った商品開発を目指してみてはいかがでしょうか。

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