仕入れ管理業務は、仕入れに関する一連の流れを把握して適切な管理を行うことが重要です。商品の種類や数量、在庫数や消費期限などを適切に管理することで、安定的に商品を顧客に提供していくことが見込めます。どのような流れでどのようなことに注意して進めていけば、ミスが少なくコストのかからない仕入れ管理業務をできるのでしょうか。今回は、仕入れ管理業務に関しての一連の流れとチェックポイント、管理システムを導入する際の注意点などについて紹介していきます。
仕入れ管理とは
仕入れ管理とは、商品の発注や伝票への記入、仕入れた商品の検品といったような、仕入れを行う際に必要な一連の管理業務のことを指します。仕入れ管理の業務フローはある程度決まっており、具体的な流れについては次の項目で紹介します。
仕入れ管理の基本的な流れ
先に示したように、仕入れ管理の業務内容とは基本的なフローが決まっています。ここでは仕入れ管理についての基本的な流れを説明します。
- 見積もり・内容確認を行う
- 購買契約を締結する
- 発注する
- 入庫・検収する
- 支払いを行う
仕入れ管理の流れ1:見積もり・内容確認を行う
新たな仕入れ先との取引や、これまで仕入れていた商品が価格改定された場合などに行う流れです。仕入れたい商品の種類や数量、希望納期などを提示して、仕入れ先から見積もり書を発行してもらいます。
同じ商品を同じ取引先から長い間仕入れていた場合などは、他社へ定期的に見積もり依頼を行うとよいでしょう。市場価格を把握することで、より安い金額で仕入れられる企業が見つかる場合もあります。
仕入れ管理の流れ2:購買契約を締結する
見積もり書を確認して内容に問題がなければ、継続して発注を行うために仕入れ先との間で購買契約の締結を行います。継続ではなく、単発での注文の場合は見積もり書の確認後に発注書をやりとりするだけの場合もあります。
購買契約を締結する際には、取引条件項目を確認する必要があります。下記のようなものが主な取引条件項目です。
- 購買契約内容
- 支払いの締日
- 支払い日
- 支払いの方法
- クレーム対応について
- 保証内容
- 機密保持について
- 契約期間
- 解約条件
取引条件項目を確認して購買契約を締結したら、仕入れ先の企業名、連絡先とともに、取引先コードを作成して仕入先台帳に記入しておきましょう。
仕入れ管理の流れ3:発注する
必要な商品があった際に、仕入れ先に発注を行います。発注業務は仕入れ先企業の担当者が直接仕入れ先へ発注を行うケースと、発注業務を行う部署でまとめて発注を行うケースとがあります。仕入れ先に在庫があるか、希望納期通りに納品ができるかといったこともこの時点で忘れずに行います。
仕入れ管理の流れ4:入庫・検収する
発注した商品が入荷したら、発注書と内容が相違ないか、納期は発注通りだったかなどをチェックしましょう。この作業を検品といい、商品を受け取ることを検収といいます。検品作業が終わったら仕入れ伝票を作成します。この際に作成する仕入れ伝票は、発注した商品が適切に入荷したということをあらわし、これにより仕入れた商品の所有権が自社に移ったことを示します。書面に残しておくことでのちにトラブルが生じた際の証明として活用できます。
仕入れ管理の流れ5:支払いを行う
先に仕入れ先企業と締結した購買契約に則って、商品の代金の支払いを行います。発注ごとに請求書を受け取り、その都度支払う場合と、継続的な発注の場合には一定期間ごとにまとめて支払う場合とがあります。代金の振込や記帳などもこの段階に含まれます。
飲食店における仕入れ管理の方法
ここでは飲食店における仕入れ管理の流れと方法について紹介します。まず必要なのは、自店の在庫状況の把握です。その際は「シェルフライフ」とよばれる、食材の消費期限を意識することが重要です。販売店の場合は製品と半製品の賞味期限もあわせて意識しましょう。次に、適正な仕入れ量を設定します。今後の天気や気温、地域のお祭りやイベントなどの有無を踏まえて来店客の数を予測し、それに見合った仕入れ量を決めます。
また、仕入れの必要性を知るためには週ごとや月ごとの棚卸しを行います。在庫量だけでなく、品質や保管方法といった衛生状態を確認しましょう。
小売店における仕入れ管理の方法
食料品店などの小売店の場合は、生鮮食品や販売しているお惣菜などの時間単位での管理や、日用品や日配品の補充が主な流れです。食料品店以外の物販の場合には、型落ち品の確認や新商品の仕入れ、売れ残り商品の処分なども仕入れ管理にあたります。
小売店における仕入れ管理については、下記の記事もあわせてお読みください。
仕入れ管理のチェックポイント
日々の仕入れ管理をスムーズに適切に行うにはいくつか注意が必要な事柄があります。ここでは、仕入れ管理のチェックポイントについて4つのポイントを紹介します。
- 5つの「適正」を意識する
- 誰が使っても簡単に仕入れ管理できる方法で行う
- 情報のバックアップを取る
- 作成したデータを活用できるようにする
5つの「適正」を意識する
仕入れ管理の基本として、5つの「適正」が必要な箇所があり、それらを意識することが重要となります。5つの「適正」とは下記の通りです。
①適正商品:顧客が求める商品であるか、顧客の要望を満たしている商品であるかを指します。デザインや色、サイズ、品質などが該当します。
②適正場所:店舗そのものの立地や、店内の売り場が適切であるかを指します。それ以外にも在庫保管場所や入荷時の場所なども重要です。
③ 適正時期:顧客が求める時期にあわせて提供されているかを指します。この場合は、提供時と仕入れ時のタイミングが重要となります。
④適正数量:顧客が求める商品量と品揃えのことを指します。品切れにならず、過剰在庫にもならない、適切な数量の管理が重要です。
⑤適正価格:顧客が購入しやすい価格での商品提供のことを指します。そのため、業務の合理化やコスト削減を行い、仕入れ価格を可能な限り安くすることが重要です。
誰が使っても簡単に仕入れ管理できる方法で行う
仕入れ管理業務において、長期的・継続的な仕入れだけでなく、突発的な単発の仕入れが必要になることもあります。そのため、担当者が不在の際などでも他の従業員が簡単に仕入れ管理できる方法であることが重要です。入力者によって商品の書き方や数量や単位の記載が異なってしまうと問題が生じやすくなります。仕入れ管理のシステムを導入する場合には、見やすい画面で使いやすくわかりやすい方法になっているかを常に確認しましょう。
情報のバックアップを取る
先の事柄にも関連しますが、仕入れ管理の情報が手入力や手書きである場合、単位や商品名などの書き方が異なることで誤入力につながることも考えられます。また、システムに不慣れな従業員の場合、誤った操作をしてしまうこともあるでしょう。そのため、データの紛失などでも対応できるように、常にデータのバックアップを行うことが大切です。
作成したデータを活用できるようにする
仕入れ管理で作成したデータは、実際の仕入れや入荷時に使用するだけでなく、過去の実績の蓄積データをもとにして仕入れ先の評価をしたり、発注金額の設定をしたりするなど、今後の仕入れ管理にもおおいに役立ちます。また、仕入れデータを部署間で共有できる状態にしておくことで、仕入れ管理業務以外でもさまざまなデータ活用が可能です。
仕入れ管理の課題とは
仕入れ管理業務において生じがちな問題がいくつかあります。仕入れ管理業務をシステム化していない場合、帳面への手書きやエクセルでの手入力の際の誤入力による発注ミスや仕入れミスが生じやすくなります。さらに手書きや手入力の場合、どの時点でミスが生じたかを整理するのが非常に困難で、仕入れを複数の拠点で行う店舗の場合は特に、将来的に問題が広がる可能性もあります。
また、システム化しておらず、ひとりの担当者だけが熟知しているような状況で仕入れ管理業務を行うと、その都度その担当者に確認しなくてはなりません。万が一その担当者が離職した場合などで他に対応できる従業員がいなくなってしまうと、顧客や取引先にまで迷惑をかけてしまうことにもつながります。
仕入れ管理システムを選ぶポイント
仕入れ管理業務をスムーズにかつ適切に行うには、仕入れ管理システムの導入を検討することも重要です。最後に、自社にふさわしい仕入れ管理システムを選ぶためのポイントについて紹介します。
- 仕入れ管理システムについて知る
- 必要な機能がそろっている仕入れ管理システムを選ぶ
- ユーザビリティの高い仕入れ管理システムを選ぶ
- 他ソフトのデータ連携で選ぶ
仕入れ管理システムについて知る
仕入れ管理システムとは、これまで手作業で行ってきた仕入れ管理業務を一元化させるシステムです。商品内容や材料、仕入れ先情報などを適切に管理でき、複数拠点での在庫管理なども一元化できるため、人的コストや管理コストの削減も期待できます。また、手書きによる転記ミスや入力ミスといったヒューマンエラーを防ぐためには大きな効果が見込めます。
必要な機能がそろっている仕入れ管理システムを選ぶ
仕入れ管理システムは、自社内のパソコンに搭載するものやクラウド上で管理できるシステムなどさまざまな仕様の製品が販売され、搭載されている機能はそれぞれ異なります。自社でどのような仕入れ管理を行っていて、どのような機能を必要としているのかを確認したうえで、自社に適したシステムの導入を検討しましょう。また、クラウドタイプなどでは無料お試し期間を設定しているものもあるので、公式サイトなどで確認することがおすすめです。
ユーザビリティの高い仕入れ管理システムを選ぶ
仕入れ管理でのヒューマンエラーで起こりやすいのは、手書きでの記載ミスや担当者それぞれの表記の違いによる入力ミスです。そのため、仕入れに携わる従業員の誰が使っても同様に操作できるユーザビリティの高いシステムを選ぶことがポイントです。複雑な機能が多いシステムを選んだために使いこなせずにかえって効率が低下することのないように、吟味して選びましょう。
他ソフトのデータ連携で選ぶ
仕入れ管理以外の業務や他部署で既に使っているシステムやソフトウェアと、データの連携ができるかどうかも大きなポイントです。仕入れ先データや仕入れ情報などを他部署でも共有できることで業務の幅が広がります。そのため、すでに取り入れているシステムと同じメーカーの仕入れ管理システムを探し、連携が可能かどうかを確認してみるとよいでしょう。なかでも、会計システムと連携できれば財務管理までできるので効率化を図ることができます。
まとめ
今回は、仕入れ管理業務についての一連の流れとチェックポイントについて紹介しました。仕入れ管理業務は、必要な商品や数量、在庫数などを適切に管理し、適切な価格で仕入れた商品を顧客に提供していくことが重要です。従業員の誰でも適切に対応できるよう、システムを導入して一元管理するなどで、スムーズで適切な仕入れ管理業務を目指してみてはいかがでしょうか。
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