飲食店などの店舗のプレオープンとは、お披露目やお祝いとしての意味だけでなく、グランドオープンまでの再確認としてなどさまざまな意味を持ちます。今回は、プレオープンを行うことは店舗にとってどのような意味を持ち、グランドオープンとはどのような違いがあるのか、メリットやデメリット、プレオープン実施時の注意点について紹介します。
プレオープンとは?
「プレオープン」とは、英語の接頭語である「pre」が「先、前」という意味をあらわすように、正式なオープンの前の練習として事前に店舗をオープンすることを指します。プレオープンの目的は利益を得るためではなく、お世話になった関係者へのお披露目であると同時に、接客や調理などのオペレーションに不備がないかを正式オープン前に再確認するリハーサルのような要素が含まれています。関係者以外にも一般客にも来店してもらうことにより、オープンすることを口コミで広めてもらう目的もあります。
プレオープンを行うメリットとは?
正式オープン前の慌ただしいなかであえてプレオープンを行うことには、明確なメリットがあります。ここでは店舗でプレオープンを行うことのメリットについて4つのポイントを解説します。
お客様の反応がわかる
本格的なオープンの前とはいえ、プレオープンの際にも関係者や一般客を招待して実際の接客や調理を行います。来店客に対して接客やサービスに関する感想を聞く機会はグランドオープン後では多く持てないものの、プレオープンであれば、招待客に対してアンケートを行って、接客やサービスに対する率直な感想を聞くことも可能です。アンケートでわかった招待客の反響によって、グランドオープンまでに改善を図ることができます。
接客・オペレーションの見直しにつながる
オープン前にどれほど綿密にサービスに関するマニュアルを設定したとしても、どのような問題が起こるかというのは実際にオープンしてみないとわかりません。プレオープンを実施することで、接客や導線などオペレーションの全体的なシミュレーションとなり、不具合が見つかり次第見直しを図ることができます。従業員にとっても、実際の接客時にどのようなトラブルがあるということを体感でき、接客の最終的な実践を行える最後のチャンスとなります。
設備の不備を改善できる
プレオープンでは、実際に来店客を迎えて営業を行います。そのため、接客などのオペレーションだけでなく、設備の不調や什器やテーブルの配置による導線の不具合の確認も同時に行うことが可能です。なかでも飲食店の場合には、グランドオープン後に厨房設備や空調設備に不具合が生じてしまうと、営業自体を止めなくてはならないことも起こりうるため、プレオープンを行うことで事前にどのような不具合が生じるかを確認し、改善を図ることができます。
お店を宣伝できる
プレオープンでは、メディア関係者や近隣の一般客を招待することがあります。招待客がプレオープン時のサービスや料理に満足することができれば、グランドオープン後にも来店してもらえるだけでなく、SNSに投稿してもらえることも期待できます。メディア関係者であれば地元情報誌や各媒体で宣伝してもらえる見込みもあるでしょう。プレオープン時によい反響を得られるように、招待客が満足できるような仕掛けづくりや雰囲気づくりを考えてみましょう。
プレオープンを行うデメリットとは?
プレオープンを行うことにはメリットがある一方で、実施のやり方によってはネガティブな結果につながることもあります。ここでは、プレオープンを行うことで起こりうるデメリットについて紹介します。
招待客が多いとオペレーションが悪くなる
なるべく多くの招待客に店舗をアピールしたいという思いから、サービスを実践していないうちから大勢の招待客を呼んでしまうと、想定外の出来事によってオペレーションが回らなくなったり、招待客が料理を食べ損ねたりするトラブルも起こりかねません。多くの招待客を招きたいのであれば、時間を区切って一定数ごとに招待したり、料理や飲みものは多く用意したりするなどの準備を怠らないようにしましょう。
口コミで厳しい評価を書かれる場合がある
プレオープンで招待する関係者や一般客のすべての人々が、必ずしも高評価をしてくれるわけではありません。家族や知人・友人であれば、少しのオペレーションミスは許容してもらえるかもしれませんが、SNSや口コミでネガティブな評価をされるかもしれないということを想定しておきましょう。もし、ネガティブなコメントを見つけた場合には、従業員と共有して改善を行い、改善策をSNSでアピールするなどの方法でよい印象につながるような対応をとりましょう。
プレオープンを行うときの注意点
実践練習やお披露目を兼ねたプレオープンだからこそ、店側も招待客側も満足のいくものに仕上げたいものです。そのためにはどのようなことに気をつけなければならないのか、プレオープンを行う際の注意点について紹介します。
- 赤字にならないように気をつける
- 招待客を厳選する
- 念入りに準備しておく
- 売り上げはグランドオープン時の予測に反映しない
赤字にならないように気をつける
関係者や一般客を招待するプレオープンの場合、無料での招待や、正式オープン時よりも安い価格で料理を提供することがあります。そのため、注文数が多く出てしまうと、かかった原価を回収できなくなる可能性も考えられます。お披露目だから大々的に料理を振る舞おうと、必要以上に費用をかけ過ぎてしまうと、開業資金や今後の運営が圧迫されかねません。プレオープンで何にどのくらいの費用を必要とするかを事前に明確にしておき、赤字にならないように気をつけましょう。
招待客を厳選する
グランドオープンが間近にせまったプレオープンということで、お世話になった関係者や身内など少しでも多くの人を招待したいという思いはあるでしょう。
しかし、招待客を多く招きすぎたせいで店内に入りきらないということがないように座席やスペースを考慮して招待客を厳選することが重要です。
また、プレオープン時にアンケートを行うなどのフィードバックを目的としている場合には、ただ盛り上げてくれるだけでなく、ネガティブな意見も率直に伝えてくれる人を選びましょう。宣伝を目的としている場合にはメディア関係者やインフルエンサーを招待するのもおすすめです。また、招待状を作成する場合には、トラブルを防ぐためにも来店時の料金設定や、プレオープンに関する目的もはっきりと記載しておきましょう。
念入りに準備しておく
プレオープン時にあらかじめ決めた招待客のみを招いた場合でも、店舗の華やかさが気になって招待客以外の通りすがりの人が店舗に入ろうとしたり、問い合わせを受けたりすることも考えられます。間違えて来店してしまった一般の人には招待客のみのプレオープンであることを伝え、グランドオープン後に再来店してほしいことを丁寧にお願いしましょう。そのようなトラブルを防ぐためにも、事前に張り紙などでプレオープンであることを周知させ、当日も入り口付近にスタッフを配置するなど、プレオープンに対する準備を念入りに行いましょう。
また、プレオープンでの出来事はグランドオープン後の改善につなげるものでもあるため、修正期間を設けるためにもプレオープンからグランドオープンまでは1週間から数日あけるなど余裕をもったスケジュールにしましょう。
売り上げはグランドオープン時の予測に反映しない
プレオープンでは、お世話になった関係者や身内を招待することが多く、目新しさも加わるため、来店客の数や特徴は通常営業時と同じとは限りません。プレオープンでの来客数を目安としてグランドオープン後の売り上げ予測をたててしまうと、大きく外れて売り上げを伸ばせない恐れも考えられるため、プレオープンとグランドオープンは別物であるということを理解しておきましょう。
プレオープンをグランドオープンに活かすには?
お披露目を兼ねたプレオープンは、フィードバックや改善点の発見などの目的も持ちます。グランドオープンを無事に迎えるために、具体的にはプレオープンをどのように活かしたらよいのか、最後に3つのポイントを解説します。
- クレームの内容を確認しておく
- 接客・オペレーションミスを確認し対策しておく
- お客様からされた質問は共有しておく
クレームの内容を確認しておく
プレオープン時にはどのようなことが起こるかは当日にならないとわからず、どのようなクレームに発展するかも想定できません。プレオープンの際に関係者や身内を招待するのには、ネガティブな意見や本音をはっきりと伝えてもらうことも目的としています。招待状を配布する際にはプレオープンの目的を伝えておき、いただいたクレーム内容や生じたミスは確認してグランドオープンに向けて修正を図るようにしましょう。
接客・オペレーションミスを確認し対策しておく
接客やオペレーションの最後の実践練習でもあるプレオープンでは、不慣れによる接客時の不手際やオーダーなどのオペレーションミスも少なからず起こることでしょう。ただし、グランドオープン後にも同じことを繰り返さないためにも、プレオープンで起こった問題は改善点として従業員全員で共有し、グランドオープンまでに対応を行っておきましょう。
お客様からされた質問は共有しておく
プレオープン時に提供された料理や飲みもの、店舗のことについてなど、招待客から質問されることも想定されます。どのような質問をされたのか、内容を必ずすべて残しておき、グランドオープン後に尋ねられた際にどのような答え方が適切か、従業員同士共有しておきましょう。明確な回答を用意しておくことで好印象にもつながります。
まとめ
今回は、飲食店をはじめとした店舗のプレオープンについて、メリットやデメリット、プレオープンを行う際の注意点などについて解説しました。店舗のプレオープンは単なるお披露目だけでなく、招待客からの声による改善点の発見や、設備やオペレーションの再点検につながる重要なイベントです。グランドオープンを無事に迎えるためにも、従業員全員の再確認としてプレオープンを実施してみてはいかがでしょうか。
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