酒類を提供する店舗で、夕方の開店時に「ハッピーアワー」というイベントを実施していることがあります。夕方に来店することで客側がどのような飲食を楽しめ、また店側にとってはどのようなメリットを得られるのでしょうか。今回は、ハッピーアワーについて店舗が導入するメリットとデメリット、また導入から成功するためのコツを紹介します。

ハッピーアワーとは?一般的な曜日や時間帯を解説

ハッピーアワーとは、レストランや居酒屋、バーなどの酒類の提供をしている飲食店が行う、時間限定の割引対策のことです。平日の夕方に実施されることが多く、深夜営業などのお店の業態によっては土日祝や午前0時などの深夜帯に行う場合もあります。ハッピーアワーは集客対策として行われることから、なかには二次会の利用にあわせて夜9時から10時をハッピーアワーとするなど、開店から混雑するまでの時間帯にあわせて実施されます。

ハッピーアワーのメリット

集客対策としてのハッピーアワーの実施は、店舗にとって具体的にどのような利点があるのでしょうか。ここでは、ハッピーアワーのメリットとして3つ解説します。

無駄な時間の削減につながる

ハッピーアワーとは、アイドルタイム、つまり閑散となる時間帯にあわせた集客対策です。お店が閑散としている時間帯であっても光熱費や人件費はかかるため、ハッピーアワーを実施して売上をカバーできれば無駄な待機時間を削減することができます。また、ハッピーアワー実施中と宣伝することで新規顧客の獲得も期待できるでしょう。

アイドルタイムについてはこちらの記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

アイドルタイムとは?メリット・デメリットと活用方法や集客方法もご紹介

集客率やリピート率の向上が期待できる

ハッピーアワーを展開することでお店が閑散としている時間帯の集客を補うことができれば、店舗全体の集客率アップにつながります。また、ハッピーアワーを狙って訪れた初来店の客が料理や店舗の内容に満足できれば、そのままリピーターとなることにも期待が持てます。ハッピーアワーを利用して集客率やリピート率の向上を目指しましょう。

人気店に見え、さらなる集客が見込める

初めて訪れた地域や通りすがりでお店探しをしている際、外から見て来店客が1人もいないお店に入ることを躊躇する場合も考えられます。そこで店内を少しでも賑わすためにハッピーアワーを行い、来店客を確保できれば、「夕方なのに来店客がいるというのは、何かよい理由があるのかもしれない」と通りすがりの人が興味を抱き、来店へとつながる効果も期待できるでしょう。

ハッピーアワーのデメリット

集客が見込めるハッピーアワーですが、実施の仕方によってはデメリットにつながることも考えられます。ここでは、ハッピーアワーを実施するデメリットを2つ解説します。

客単価や利益減少の懸念がある

ハッピーアワーは、基本的に酒類の割引提供であるため、本来なら正規の料金で得られた客単価が下がり、結果的に店舗の利益減少につながることも考えられます。そのため、酒類の割引を行っても利益が確実に得られるように、飲食店の売上向上の手法である、追加注文を促す「ワンモアドリンク・ワンモアディッシュ」の声がけを徹底し、利益減少とならないように対策を行いましょう。

人員や準備が必要な場合がある

閑散となる時間帯を見越して設定していた人員の数を、ハッピーアワーを実施して客数が増えれば、スタッフ数も増加させる必要があることも考えられます。また、お店が閑散としている時間帯だからといって最小限に抑えていた食材の仕込みや準備も増えてしまうかもしれません。ハッピーアワー限定のメニューを用意するのであれば、通常以外のメニューの把握も必要となるでしょう。ハッピーアワーを実施するには、スタッフが通常業務に支障が出ないように管理体制を整えておくことも重要です。

ハッピーアワーの導入例

自店でハッピーアワーの導入を検討する場合、どのような方法が考えられるでしょうか。ここでは、ハッピーアワーの具体例として4つ紹介します。自店にふさわしい集客方法を考えてみましょう。

ハッピーアワーの導入例
  • メニュー全品を値引きする
  • 1杯目だけ格安価格にする
  • おつまみセットを販売する
  • 食べ飲み放題を値引きする

メニュー全品を値引きする

ハッピーアワーを宣伝する際、少しでも飲食代を低く抑えたいという顧客に対し、強いインパクトを与えるひとつとしてメニュー全品の割引があります。ただし、原価率の高いメニューが多い飲食店の場合、利益の確保が難しくなることも考えられるでしょう。メニュー全品の割引は、軽食やおつまみといった原価の安いメニューを揃えたお店が適しています。そうでなければ、「ドリンク全品半額」「サイドメニュー全品100円引き」など、種類別で割引を設定するのがよいでしょう。

1杯目だけ格安価格にする

酒類の割引をメインとするハッピーアワーの場合、1杯目だけを大幅な割引価格にすることで顧客へのインパクトを与えやすくなります。「1杯目どれでも100円!」と宣伝すれば、夕方の仕事終わりのビジネスマンなどが帰宅途中に立ち寄ろうというきっかけ作りにもつながるでしょう。また、酒類に限らず、子ども向けに1杯目のソフトドリンクを100円と設定することでも、節約を重視したファミリー層をターゲットにできます。

おつまみセットを販売する

酒類の割引がメインのハッピーアワーでは、各種アルコールにあわせたおつまみセットを販売するのもひとつの案といえます。「ビール1杯と小鉢3品で1000円!」などとわかりやすい金額設定にすることで、仕事帰りに軽く一杯飲んで帰りたくても料理の量が多くて頼めない、といった場合でも気軽に注文しやすくなり、新規顧客獲得にもつながります。

食べ飲み放題を値引きする

満足度の高い食べ放題・飲み放題を、「18時までの入店で1,000円引き」のようにコース料金から値引きをしたり、時間制限なしに設定したりする方法もおすすめです。食べ放題・飲み放題は、多くのメニューを味わうことができ、初めて来店されるお客様にとってはそのお店を知る大きなきっかけとなり、リピーター獲得にもつながります。また、時間設定のあるコースメニューを割引する場合は、入退店時間を把握できることから、予約を受けやすくなるというメリットもあります。

ハッピーアワーを成功に導くコツ

自店にあった方法でハッピーアワーの導入を進める際、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。最後に、ハッピーアワーを成功に導くためのコツについて3つ解説します。

ハッピーアワーを成功に導くコツ
  • 割引の価格設定に注意する
  • 限定メニューで来店を促す
  • ハッピーアワーの実施を宣伝する

割引の価格設定に注意する

酒類の割引をメインとしたハッピーアワーでは、酒類によって原価が異なることが多いため、価格設定には注意が必要です。原価150円のビールと、原価50円の酎ハイをどちらも通常500円のところを半額で提供した場合、利益は大きく異なります。すべての酒類を半額にするのではなく、種類を絞って割引設定をしましょう。

限定メニューで来店を促す

ハッピーアワーだからといって、必ず割引しなければならないわけではありません。料理がイチオシであれば「料理長おすすめの限定メニュー」、日本酒がメインであれば「店主推薦の地酒」といった、ハッピーアワーだけ楽しめるメニューを用意して特別感を与えるのもおすすめです。限定として新たにメニューを開発するにはコストがかかるため、通常大皿で提供するメニューを小皿で数品楽しめるセットにするなどでも、常連客も変化を楽しむことができるでしょう。また、お客様を飽きさせないように週替わりや月替わりで提供するメニューを変えることもおすすめです。

ハッピーアワーの実施を宣伝する

ハッピーアワーを実施していることが伝わらなければ、時間限定で割引されたメニューを顧客が楽しむことができず、集客にもつながりません。初めて来店されるお客様や通りすがりの人にもハッピーアワーの実施がわかるように、ポスターや看板、のぼり旗などを設置して、目に留まりやすくしましょう。また、グルメサイトに掲載したり、自店のSNSを立ち上げてハッピーアワーを実施していることをユーザーに拡散してもらうようにしたりするのも効果が見込めます。宣伝方法は1種類にするのではなく、店舗前とSNSなど複数活用することで、幅広いターゲットに周知させることができます。

まとめ

今回はハッピーアワーについて、導入のメリットやデメリット、成功へのコツを紹介しました。酒類の提供をしている飲食店が割引対策として行うハッピーアワーは、お店が閑散としている時間帯を狙って行うことから、利益率や集客率アップを期待できます。酒類の原価によって利益が変わってしまうことに注意し、セットメニューと上手に組み合わせながら、自身の店舗により効果的なハッピーアワーを導入してみてはいかがでしょうか。

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