お客様が店舗に滞在する時間を快適に過ごしてもらうため、または顧客満足度の向上として、レストランやカフェなどの飲食店をはじめとして店舗用Wi-Fiが導入されている店舗があります。しかし店舗側にとっては、月々のコスト面やお客様の回転率の低下などさまざまな問題も考えられるでしょう。

今回は店舗用Wi-Fiを導入することで期待できる効果や注意点、おすすめのWi-Fiサービスについて解説します。

店舗用のWi-Fiを選ぶポイント

店舗内にWi-Fiの導入を進めるにあたって、どのような点に注意して選べばよいのでしょうか。ここでは、店舗用Wi-Fiを選ぶポイントについて5つ解説します。

導入・運用コストはどのくらいか

まず考えたいのは、導入時と運用時にかかるコストです。初期費用と月額としてどのくらいかかるのかを確認しましょう。初期費用では、端末代金と事務手数料がかかります。運用コストとなる月額料金については、キャンペーンにあわせて導入した場合、キャンペーン終了とともに料金が変わることも考えられるため、加入初月や初年度以降の月額料金についても確認しておきましょう。

ただし、コスト面ばかりを気にするあまりに、通信速度が遅かったり、同時接続数が少なかったりしてお客様が利用しづらくならないように、快適に利用できる通信速度や同時接続数の条件なども確認しながら選んでいきましょう。

スペックに問題はないか

座席数の多い店舗の場合、同時接続数の少ないWi-Fiを導入してしまうと、店舗のピークタイムの際に回線が重くなり、「つながらない、速度が遅い」といったお客様の不満につながることも考えられます。店舗の大きさや座席数に見合ったWi-Fiルーターのスペックを確認しましょう。

ランチやディナーなど食事がメインの店舗であれば、高いスペックである必要はないでしょう。一方で、ビジネスパーソンが仕事目的で滞在するような場合には、通信速度を重視する必要がありますが、長時間滞在のお客様ばかりにならないように注意しましょう。

セキュリティ対策は万全か

総務省が2022年に実施した「無線LAN利用者意識調査」によると、公共の場で提供される無線LANの利用者のうち、セキュリテイ上の不安があると回答した人は約9割にのぼります。店舗用のWi-Fiを導入し、業務用としても利用する場合には、業務上の重要なデータが不正アクセスの被害にあうことも考えられます。そのため、最新のセキュリティー対策が施され、店舗用のフリーWi-Fiと業務用のWi-Fiを分割利用できるWi-Fiサービスを選ぶことも重要です。

出典:「2022年度(R4年度)利用者意識調査 調査結果概要」(総務省)(2024年3月時点)

サポート体制は充実しているか

店舗用に導入したWi-Fiになんらかのトラブルが生じた際、お客様に不便を与えたり、業務用のアプリケーションや端末も使えなくなったりすることも考えられます。その場合に、店舗スタッフが対応しなければならなくなると、顧客対応などの従来の業務に支障をきたしてしまうこともあるでしょう。業務に影響が及ばないためにも、導入時だけでなく不意のトラブルにも対応してくれるようなサービスやヘルプデスクといったサポート体制が整っているかということもWi-Fiを選ぶ際のポイントとなります。

開通までにどのくらい手間がかかるか

Wi-Fiの設置には、インターネット回線の準備から必要になります。光回線などの固定回線のタイプと、4Gや5Gを利用したモバイル回線のタイプがあります。固定回線の場合には新設工事も必要となるため、開通までにどのくらいの手間がかかるか、どのような書類が必要になるかということも考慮しておきましょう。

店舗用おすすめWi-Fi7選

店舗用のWi-Fiにおすすめの7つのサービスを紹介します。特徴を比較しながら自店にあったものを探してみましょう。

店舗用おすすめWi-Fi7選
  1. ギガらくWi-Fi
  2. BiZiMo ビジネス Wi-Fi
  3. プラットWi-Fi
  4. カシモWiMAX for Business
  5. BizAir+5G for WiMAX
  6. AiR-WiFi
  7. 縛りなしWiFi
サービス名プランもしくは端末名初期費用(税込)月額費用(税込)接続端末数最大通信速度サポート体制
ギガらくWi-Fiハイエンド6プラン無料4,180円100台2.4Gbps毎日
9時~21時
ハイエンドプラン3,630円50台1.3Gbps
ライトプラン2,200円30台867Mbps
BiZiMoビジネスWi-Fiストロング6記載なし4,180円最大100台1.3Gbps毎日9時~21時
ハイエンドプラン3,630円
ライトプラン2,200円
PRO5,500円4,180円対象外
プラットWiFi8種類の端末から選べます。無料3,278円最大30台~最大200台※レンタルする端末によって変わります。1,167Mbps~6,759Mbps
※レンタルする端末によって変わります。
不明
カシモWiMAX for BusinessSpeed Wi-Fi HOME 5G L1327,720円※分割なら分割支払いサポートの利用で
月々の端末代の
負担は実質0円。+事務⼿数料 3,300円
初月
1,408円2ヶ月目以降4,818円
有線LAN 2台無線LAN 32台下り 4.2Gbps上り 286Mbps不明
BizAir+5G for WiMAXBizAir mini事務手数料3,300円※キャンペーンで0円になる場合もあり。4,928円※WEB限定4,378円31台下り:150Mbps上り:50Mbps9~18時
BizAir+5G for WiMAX6,778円※WEB限定6,248円Wi-Fi:32台有線LAN:2台下り:4.2Gbps上り:286Mbps
AiR-WiFi5Gホームルータープラン事務手数料3,300円端末代金0円5,280円30台下り2.7Gbps上り183Mbps不明
縛りなしWiFi10GB契約事務手数料3,300円(税込)5ヶ月目まで1,980円※6ヶ月目以降月額2,178円最大10台
※推奨5台
下り150.0Mbps上り50.0Mbps不明
30GB5ヶ月目まで2,800円※6ヶ月目以降月額3,278円
60GB5ヶ月目まで3,480円※6ヶ月目以降月額4,103円
90GB5ヶ月目まで3,940円※6ヶ月目以降月額4,818円(税込)

ギガらくWi-Fi

「ギガらく Wi-Fi」はNTT東日本が提供するサービスで、365日9時〜21時までサポートしてくれます。インターネット環境があれば全プランで初期費用は不要で、Wi-Fiアクセスポイント装置の初期設定はNTT東日本が事前に行うため、店舗側では、届いたWi-Fiアクセスポイント装置にLANケーブルと電源コードを挿し、電源を入れるだけですぐに使用することが可能です。

参考:ギガらくWi-Fi|オフィス・店舗向けの業務用Wi-Fi|法人のお客さま|NTT東日本 (2024年3月時点)

BiZiMo ビジネス Wi-Fi

「BiZiMoビジネスWi-Fi」は、初期設定不要で始められる、飲食店向けのWi-Fiサービスです。契約料無料で、月額料金だけで利用できます。サポート体制が整っており、トラブル時にも遠隔で対応してくれるほか、月額550円の追加料金で訪問修理オプションへの加入や機器交換も対応してくれます。

参考:BiZiMoビジネスWi-Fi – BiZiMo(ビジモ) (2024年3月時点)

プラットWi-Fi

「プラット Wi-Fi」は導入実績は24,000件以上、無線LANルーター世界シェアNo.1のTP-Link社の最新機種をレンタルできるサービスです。複雑な設定なしで到着当日からインターネットが利用でき、100台の同時接続も可能です。

参考:プラットWiFi|店舗向けの高性能WiFiで顧客満足度と集客をUP!月額利用でずっとおトク! | Wizcloud(ワイズクラウド) (2024年3月時点)

カシモWiMAX for Business

「カシモWiMAX for Business」はデータ通信無制限で、契約から最短翌日発送かつ、工事不要なため、すぐに使い始めることが可能です。4GやLTEにも対応しており、5G対応エリアではなくても利用できます。契約解除料も不要です。

参考:請求書払い可!WiMAX法人契約プランで最短翌日発送 – カシモWiMAX【公式】 (2024年3月時点)

BizAir+5G for WiMAX

「BizAir+5G for WiMAX」は、開通工事が不要でコンセントに挿すだけで回線使用できる5Gホームルーターです。申込手続き完了から最短3日で利用が可能で、WiMAX回線とau回線の併用で安定した高速通信を無制限で使用できます。

参考:法人向け5G対応店舗Wi-FiならBizAir+5G for WiMAX (2024年3月時点)

AiR-WiFi

「AiR-WiFi」は、docomo、au、SoftBank、楽天のエリア内であれば、最適なキャリアへ自動接続できるため、回線が安定しやすいのが特徴で、初回契約限定で契約前の10日間無料で利用できます。工事不要でウェブ申し込みから最短翌日到着、使用台数が増えるごとに割引額が多くなる「セット割引」もあります。

参考:法人のお客様へ | 【公式】AiR-WiFi (2024年3月時点)

縛りなしWiFi

6,000社以上に利用されている「縛りなしWiFi」は、契約期間がなく、いつ解約しても別途費用不要で、希望の期間内だけ利用可能というのが特徴です。最低10GBから契約でき、契約したデータ量を月内で使い切っても、追加料金でチャージできます。

参考:法人のお客様|月額料金を抑えてお得にレンタル|縛りなしWiFi《公式》 (2024年3月時点)
参考:よくあるご質問|月額料金を抑えてお得にレンタル|縛りなしWiFi《公式》 (2024年3月時点)

店舗用Wi-Fiの導入で期待できる効果

店舗内に店舗用Wi-Fiを導入するには、お客様だけでなく店舗にとってもさまざまな利点があります。ここでは、店舗用Wi-Fiを導入することで期待できる効果を4つ解説します。

店舗用Wi-Fiの導入で期待できる効果
  • 快適な環境が提供でき、リピーターの獲得に繋がる
  • ビジネス利用や外国人観光客など顧客層を広げられる
  • 利用できるデバイス種類が増え、サービスの幅が広がる
  • 配線が減り、自由なレイアウトが叶う

快適な環境が提供でき、リピーターの獲得に繋がる

飲食店の場合、店舗用Wi-Fiがあることでお客様が座席へ案内されるまでの待ち時間や、料理提供までの時間も通信料を気にせずにインターネットやアプリで待ち時間を過ごすことができます。快適なWi-Fi環境があることはお客様のストレス軽減となり、顧客満足度の向上やリピーター獲得にもつながります。

ビジネス利用や外国人観光客など顧客層を広げられる

テレワークをするビジネスパーソンにとって、Wi-Fiの設置状況はお店選びの際の基準のひとつともなります。さらに観光庁が令和元年度に実施した「訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート」では、日本旅行中に困ったこととして「無料公衆無線LAN環境」が回答にあがっています。そして、「無料公衆無線LAN環境」で困った施設として「飲食店」、「百貨店」があがっていることから、店舗用Wi-Fiの設置により、インバウンドの顧客層拡大につながることも見込まれるでしょう。

参考:令和元年度「訪日外国人旅行者の受入環境整備に 関するアンケート」調査結果
参考:カフェの予約アプリ『ONESEAT』が飲食店利用について独自アンケート実施 | 株式会社ONESEATのプレスリリース
参考:訪日旅行者が増えてます! やっぱりフリーWi-Fiってあったほうがいい? | Wi-Fiコラム Powered by NTTBP

利用できるデバイス種類が増え、サービスの幅が広がる

店舗用Wi-Fi導入における店舗側のメリットとして、スマホやタブレット、Wi-Fi対応の機器などLANポートのないデバイスでもネットワーク接続ができるという点があります。タブレットオーダーなどセルフ注文システムやキャッシュレス決済にも対応できるため、サービスの拡大や業務の効率化にもつながります。

配線が減り、自由なレイアウトが叶う

店舗用Wi-Fiの活用により、店舗側でも配線の必要がなくなり、店内や事務所のレイアウトがしやすくなります。もし、有線LANを使用する場合、インターネット回線や防犯カメラの機器、レジの周辺機器等、さまざまなデバイスをつなぐ必要があり、清掃がしづらいなどの問題が発生する恐れがあります。しかし、Wi-Fiを使用することでケーブルがなくなり、清掃がしやすく、清潔感のある空間を実現できるでしょう。

店舗用Wi-Fiを導入するうえでの注意点

顧客獲得やサービス拡大などのメリットがある店舗用Wi-Fiですが、導入するうえで注意しなければならない点もいくつかあります。最後に、店舗用Wi-Fiを導入する際の注意点を4つ解説します。

店舗用Wi-Fiを導入するうえでの注意点
  • パスワード設定が必要
  • 回転率が落ちる可能性がある
  • 通信速度が低下する可能性がある
  • 設置費用がかかる

パスワード設定が必要

店舗利用者以外の不正アクセスやサイバー攻撃から守るためにはセキュリティ対策はなにより重要です。店内でWi-Fiを提供する際には、店舗外からアクセスされないように必ずパスワード設定をし、店内のお客様だけがアクセスできるように、パスワードをテーブルや店内に掲示しておきましょう。

回転率が落ちる可能性がある

店舗用Wi-Fiを導入すると、お客様は通信速度や料金を気にせずインターネットを利用できるため、滞在時間が長くなり、結果として店舗の回転率が下がることにもつながります。例えば混雑する時間帯に限り滞在時間を90分間とするなど、お客様の回転が滞ることのない工夫が必要です。

通信速度が低下する可能性がある

お客様側と店舗側でWi-Fiを利用する時間帯が重なってしまうと、通信速度の低下につながることも考えられます。通信速度が遅い、つながらない、とお客様の不満にならないためにも、店舗側、お客様側とWi-Fiを分けて用意することもおすすめです。また、お客様が一時的に接続することを許可するゲストWi-Fi機能や複数のWi-Fi名(SSID)を用意できるWi-Fiサービスであれば、複数契約の必要なく店舗側とお客様側を分けることもできます。

設置費用がかかる

もともとインターネット回線がない店舗の場合は、店舗用Wi-Fiの設置には初期工事の費用がかかり、Wi-Fiルーターの設置にも購入費や契約費用、月額利用料がかかります。設置費用や月額利用料のコストはデメリットとも思えますが、顧客満足度向上や集客率向上を目指すのであれば、毎月の投資としてはメリットにもつながります。設置費用を抑えたい場合には、キャッシュバックキャンペーンのタイミングを狙うか、Wi-Fiルーターのレンタルなども検討するとよいでしょう。

まとめ

今回は、店舗用Wi-Fiを選ぶポイントや導入時の注意点を解説しました。お客様が店舗に滞在する間を快適に過ごしてもらうため、顧客満足度の向上として店舗用Wi-Fiの導入はメリットといえます。しかし、設置費用やお客様の長時間滞在による回転率の低下などさまざまな懸念材料もあるのは実情です。自店が店舗用Wi-Fiの導入を検討するにはどのようなメリット・デメリットがあるのかを考え、自店にあったサービスを検索してみてはいかがでしょうか。

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参考:Terms of Use | Wi-Fi Alliance (2024年3月時点)

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