最近は、インターネットやスマートフォンの普及によって、さまざまな媒体で顧客の口コミをチェックできるようになっています。媒体によっては顧客の利用体験がありのまま発信されているので、口コミを参考に商品やサービスを購入する人は多いでしょう。

口コミが購買の参考にされるということは、企業や店舗の業績が口コミ次第で左右されることもあるということです。経営者やマーケティング担当者であれば、口コミがどのような影響力を持っているのか知っておいたほうが良いでしょう。

今回は、口コミが購買行動に与える影響や悪い口コミの影響力を抑えるポイント、口コミを効率的に増やす方法について説明します。

口コミが購買行動に与える影響とは?

口コミを活用した店舗運営を成功させるためには、まず口コミが消費者に与える影響を理解しておかなければなりません。代表的なものとして、次の5つが挙げられます。

これらを意識して口コミを活用すれば、商品やサービスの認知度を高め、集客や購買につなげられるでしょう。以下では、口コミが購買行動に与える影響について詳しく説明します。

情報収集の手段として活用されている

総務省が2016年に発表した「情報白書」によると、オンラインショッピングをする際に約6割の人が口コミを参考にしていることが分かっています。

もちろん、実際に店舗に足を運んで商品やサービスを選ぶ人もたくさんいると思われますが、あらかじめ口コミを参考にしている人も一定数いるでしょう。

チラシやDMといった店舗からの一方的なアピールも大切ですが、口コミを充実させて情報収集の手段を増やすことも大切です。

また、同じ調査では、年齢が低いほど口コミを入念にチェックしていることも分かっています。販売対象の年齢層が低いほど、口コミを充実させる重要性は高まります。

参考:情報白書(総務省)

店舗の商品やサービスの信頼性を高める

「商品やサービスの情報を届けたいのであれば、店舗が発信する情報量を増やせばよいのでは?」と思うかもしれません。しかし、口コミは、情報収集の手段として利用されるだけでなく、店舗の商品やサービスの信頼性を高めることにもつながっています。

どれだけ豊富な情報を提供しても、消費者に信頼してもらえなければ来店や購入といった行動を起こしてもらえません。「店舗の新製品を使ってみたら前回のものよりも使い心地がよかった」「過ごしやすい店内環境と心温まる接客が印象的だった」といった顧客目線での口コミがあれば、店舗側の視点だけでは伝えきれない情報を消費者に届けられます。

「店舗を利用したときにどう感じるか」をイメージできる口コミであるほど、商品やサービスの信頼性は高まるでしょう。

口コミの鮮度も参考にされている

口コミは、内容や量に注目してしまいがちですが、「いつ投稿された情報か」という「鮮度」を意識することも大切です。

どれだけたくさんのポジティブが口コミが投稿されていても、投稿日が何年も前であればなかなか信頼してもらうのは難しいでしょう。口コミを活用した店舗運営をしたいのであれば、定期的に投稿日時をチェックし、鮮度が低い場合は口コミを増やす施策を検討することが大切です。

口コミの書き方も購買行動に影響する

消費者の信頼感を得やすい口コミですが、新しい投稿が多くても「満足した」「使いやすかった」といった内容ばかりでは、消費者は店舗の商品やサービスへの理解を深められません。消費者を購買に結び付ける口コミの特長として、次の4つが挙げられます。

  • 文章がしっかりしている
  • 似たような年代・立場の人が投稿している
  • 同じような考え方をしている
  • 有識者らしい投稿をしている

信頼されやすい口コミの例として、「妻との結婚記念日でおしゃれな場所を探していたが、隠れ家的な店舗で非日常を感じられるところだった。店舗は高級感があり、インテリアや食器は〇〇のブランドで統一されていた。コース料理は地元の特産品を厳選して使ったものになっており、特にメインの〇〇は焼き加減や味付けを好みにアレンジしてくれたので、特別感を感じられた。妻も満足していたので、来年もまた足を運びたいと思った。30代男性(会社員)」といったものが考えられます。

店舗に足を運ぶに至った背景や店舗の内装、料理などについて詳しく書かれていると、「足を運んで利用してみたい」と感じてもらいやすくなるでしょう。

悪い口コミは購買をやめる判断につながりやすい

口コミによっては、「二度と買わない」「接客の印象が悪かった」といったマイナスの口コミを投稿されることもあるでしょう。よい口コミは購入につなげやすいですが、悪い口コミが増えると「購入するのをやめたほうがよい」と判断されかねません。

悪い口コミが増えると店舗の売上が少なくなりかねないので、影響力を最小限に抑えたいものです。以下では、悪い口コミの影響力を抑えるコツを紹介します。

悪い口コミの影響力を抑えるポイントを紹介

悪い口コミの影響力を抑える方法として、次の3つが挙げられます。

冷静に返信をする

悪い口コミを見ると「早く消さなければ」と思うかもしれません。しかし、安易に口コミを削除したり「二度と店舗を利用しないでください」のように感情的に反応したりすると、かえって顧客の印象を悪化させ悪い口コミを増やしかねません。

「従業員の接客が悪かった」という口コミがあれば、「この度は不快な思いをさせてしまい大変申し訳ございませんでした。接客研修を充実させ、より快適に過ごしていただけるような店舗へと成長させていただきます」のように、謝罪とともに相手の気持ちを汲み取った冷静な対応をすることで、真摯な姿勢をアピールできるでしょう。

規約違反の場合は削除申請をおこなう

口コミ投稿機能を設けたWEBサイトを利用する場合、規約違反の口コミがあれば削除申請できます。削除申請が承認されれば悪い口コミを削除できるので、影響力を抑えることが可能です。

ただし、店舗にとって都合の悪い口コミが多いからといって削除申請を繰り返すと、ブラックリストに登録される場合があります。ブラックリストに登録されると、本当に削除したい口コミが削除できなくなるので注意が必要です。ブラックリストに登録されていなくても、規約に違反する投稿でなければ削除してもらえないので、あらかじめルールを確認しておきましょう。

必要に応じて弁護士に相談する

WEBサイトへの削除申請が通らなかった場合、サイトの運営者と話し合って解決するのは困難です。しかし、当事者同士で解決できなくても、弁護士に相談すれば悪い口コミを削除できるかもしれません。弁護士に依頼すれば、店舗運営に集中しながら悪い口コミに対応してもらえるので、売上に与える影響を抑えやすくなります。

ただし、弁護士に依頼するとそれなりの時間や費用がかかります。弁護士に依頼したからといって必ずしも悪い口コミを削除できるとは限らないので、依頼するメリットがあるか慎重に判断しなければなりません。

口コミを効率的に増やすコツとは?

ここまでは、悪い口コミへの影響力を抑えるポイントについて説明しました。口コミで店舗の魅力を多くの消費者に知ってもらうためには、よい口コミを集めることが大切です。口コミを効率的に増やす方法には、次の3つがあります。

これらを参考にして口コミを集めれば、集客数や売上を向上させやすくなるでしょう。

以下では、口コミを効率的に増やすコツについて詳しく説明します。

口コミ投稿者に特典を付与する

口コミを依頼しても、すべての顧客が投稿してくれるわけではありません。しかし、口コミ投稿者に特典を付与すれば、投稿してもらえる可能性を高められます。

総務省が2016年に発表した「情報白書」によると、ネットショッピングで口コミを投稿した理由として最も多かったのが「ポイントや割引等の見返りのため」となっています。これはどの年代でも共通しているので、ターゲットとする年齢層に関わらず口コミ投稿者に特典を付与する効果は高いでしょう。

特典の具体例として、「口コミ投稿者は割引チケットプレゼント」「口コミを投稿したらドリンク1杯サービス」といった内容が考えられます。ただし、特典を充実させすぎると店舗に残る利益が少なくなるので注意が必要です。

参考:情報白書(総務省)

口コミ投稿しやすい環境づくりをする

口コミを増やすためには、投稿しやすい環境づくりをすることも大切です。たとえば、「商品やサービスを購入した後にメールを送信して口コミ投稿を促す」といった方法が考えられます。購入した直後は使用感や効果を感じていない場合があるので、一定期間空けて送信するのがポイントです。

また、テンプレートを添付して入力する項目を決めておいたり、質問項目に沿って口コミを入力できるようにしておくという方法も考えられます。店舗が増やしたい内容に絞って口コミを増やせば、商品やサービスの魅力を的確に消費者に伝えられるでしょう。

SNSを活用する

X(旧Twitter)やInstagram、FacebookといったSNSは幅広いユーザーが利用しています。SNSへ口コミを投稿してもらえれば、これまでアプローチしていなかった消費者へ情報を届けることも可能になります。

また、上述した「口コミ投稿者への特典付与」と組み合わせることで、効率的にSNSへの口コミ数を増やすこともできるでしょう。

また、SNSごとに「X(旧Twitter)は不特定多数のユーザーに情報が拡散する」「Instagramは若年層の女性ユーザーが多い」「Facebookはリアルなつながりをもちやすく30~40代のユーザーにもよく利用されている」といった特長があります。これらを活かして情報を拡散させれば、ターゲットへ効率的に口コミを届けられるでしょう。

まとめ

ここでは、口コミが消費者に与える影響力や悪い口コミの影響を抑える方法、口コミを効率的に増やす方法について説明しました。

よい口コミを増やして店舗の魅力を広めるためには、「口コミをしたい」と思わせる商品やサービスを提供することも大切です。ここで説明した内容を参考にして、口コミをうまく活用できるようにしましょう。

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