企業サイトや商品・サービスのサイト内で見かけるページとして、質問に関する回答が掲載された「FAQ(エフ・エー・キュー)」があります。FAQとはどのようなことが掲載されていて、読み手側と掲載側にどのような利点があるのでしょうか。今回はFAQについての意味や期待できる効果、自社サイトに設置する際のポイントについて解説していきます。
FAQとは?
企業や商品・サービスに関するウェブサイトの問い合わせページにFAQという言葉を目にすることがあります。具体的にどのような意味を指しているのか、ここで解説していきます。
FAQの意味は「よくある質問」
FAQとは、「Frequently Asked Questions」の頭文字をとったもので、直訳すると「頻繁に(Frequently)尋ねられる(Asked)質問(Questions)」という意味です。日本語では「よくあるご質問」と訳され、実際にウェブサイトなどで使われる場合には、質問に対する回答も含めてFAQと呼ばれています。
主なFAQの種類
FAQが使用されるシーンは主に「顧客向けFAQ」、「社内向けFAQ」、「コールセンター向けFAQ」の3つがあります。
企業や商品・サービスに関するウェブサイトで見られるのが「顧客向けFAQ」です。企業や商品・サービスに関して問い合わせが多く寄せられる質問内容をまとめたもので、顧客が問い合わせ窓口に連絡する前に目を通してもらうためのコンテンツとなっています。自社のWebページに「よくある質問」として設置されることが一般的です。
「社内向けFAQ」は、企業内において従業員が業務に関しての疑問を自己解決してもらうためのものです。顧客向けFAQと同様に、問い合わせの多い業務内容をまとめておくことで、自己解決できるような軽微なことは従業員本人で解決してもらい、問い合わせ窓口担当の負担を軽減する目的にもつながります。
最後の「コールセンター向けFAQ」とは、顧客からの問い合わせを受けるコールセンターや顧客対応を行う部署向けにまとめられたものです。特にコールセンターの場合、顧客満足度や対応品質の向上のためにオペレーター向けのFAQが用意されています。
FAQとQ&Aの違い
「Q&A」とは「Question and Answer」の頭文字をとったもので、「質問と回答」を意味します。一問一答であることはFAQと同じですが、FAQは問い合わせ頻度が多い質問をまとめたものであるのに対し、Q&Aは問い合わせ頻度の程度は関係しません。しかし、似たような意味合いでFAQとQ&Aが使われている場合も多く見られます。
FAQの掲載で期待できる効果
自社のウェブサイトに顧客向けのFAQを設置したり、従業員向けのFAQを共有したりすることはいくつかの効果を期待できます。ここでは、FAQの掲載で期待できる効果について6つ解説します。
- 顧客満足度の向上に繋がる
- 商品やサービスへの理解に繋がる
- 問い合わせの削減に繋がる
- 顧客のニーズを把握しやすくなる
- サイト評価の上昇に繋がる
- ノウハウなどを共有できる
顧客満足度の向上に繋がる
顧客向けのFAQを設置することで、顧客が電話やメールで問い合わせる手間やオペレーターに繋がるまで長い間待たされるといったストレスの軽減を期待できます。手間をかけずに自分自身でトラブルを解決できることで顧客満足度の向上につながります。
また、FAQはコールセンターや問い合わせ担当の従業員が、必要な情報を共有できることも大きなメリットです。顧客が問い合わせをした際に対応したオペレーターによって回答が異なることがないように、手早く手厚く質の高い対応ができれば、企業自体のイメージ向上も期待できるでしょう。
商品やサービスへの理解に繋がる
FAQが充実していることは、顧客自身が商品・サービスに対する理解を深めるのに役立ちます。疑問が解決できることで商品・サービスの購入に繋がることも見込めます。
また、社内向けFAQの場合は、大企業など従業員数が多い場合は特に、同じ質問に何度も受け答えする手間の解消につながります。結果として教育担当者が教育そのものに時間をあてることができ、業務効率化に繋がるほか、質問をする従業員本人も自己解決を図るというスキルを身につけることもできます。
問い合わせの削減に繋がる
先の項目でも説明したように、社内向けFAQでは、大企業など従業員数が多い場合などに、同じ質問を受け答えする手間がなくなり、教育担当者の業務効率化につながります。また、顧客向けFAQについても、事前に自己解決できれば、問い合わせの時間待ちのストレスも軽減できるでしょう。
顧客のニーズを把握しやすくなる
FAQのコンテンツの構造次第ではアクセス解析ツールを用いて、よく見られているFAQを調べることで、顧客のニーズを把握しやすくなります。その結果、ニーズに基づいた製品開発や改善、マーケティング戦略など、幅広い分野に活用することができます。
サイト評価の上昇に繋がる
FAQのコンテンツを充実させた結果、顧客からのアクセス数が増加すれば、検索エンジンからのサイト評価の上昇につながります。検索エンジンはFAQのページも検索対象としているため、検索エンジンが理解しやすい記述にしたり、顧客にとって有益となる内容にしたりするなどのSEO対策を意識したページ作成を行うことで、検索エンジンからの訪問数増加も期待できるでしょう。また、トラブルや疑問の解決のために複数のFAQを参照できるようにすると、サイト内の回遊性の向上も見込めます。
ノウハウなどを共有できる
企業内で起こりがちなこととして、業務の情報を共有できていないために、特定の従業員本人以外が業務の進め方を理解できていないという属人化です。FAQがあることで、業務を引き継ぐ際や本人が欠勤となった際などでも他の従業員が滞りなく業務を進めることができます。また、新入社員が企業や組織に早く適応し、効率的に業務を遂行できるためにもFAQは役立ちます。
FAQを作成する流れ
自社サイトにFAQを設置するにあたって、どのような流れで作成すればよいのか、大きく3つの点について紹介します。
- 作成する目的を明確化する
- 質問の内容を決める
- ルールを決めて作成する
作成する目的を明確化する
見栄えをよくするために意味なくFAQを設置したのでは期待するような結果は得られません。顧客向け、社内向け、コールセンター向けといった種類だけでなく、作成する目的や掲載する内容などを明確にしましょう。
質問の内容を決める
冒頭に解説したように、FAQとは「頻繁に尋ねられる質問」を指します。そのため、問い合わせ頻度の高い質問を選別しなければなりません。過去の問い合わせデータを分析し、データがない場合には従業員から聞き取りを行いながら、顧客が必要とするFAQを見極めていきましょう。顧客がどのような疑問を抱いているかをしっかりと把握することが重要です。
ルールを決めて作成する
顧客や従業員などのFAQ利用者が理解しやすく利用しやすいようなルール作りもFAQ作成時のポイントです。フォーマットを作成し、文体や用語の統一、質問の分類方法など、一定のルールを決めておくことで、作成する側も効率的に作業を進めていくことができます。
FAQを作成する際のポイント
FAQ作成を進めるにあたって、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。最後にFAQを作成する際のポイントについて5つ解説していきます。
- 端的にわかりやすく回答する
- 専門用語は適切に使用する
- 質問をわかりやすくカテゴリ分けする
- 内部リンクを積極的に活用する
- 必要に応じてFAQシステムを活用する
端的にわかりやすく回答する
顧客向けFAQを例として説明すると、顧客が問い合わせを行う際は、できるだけ速やかに問題を解決したいと考えています。そのため、説明がわかりにくかったり、最後まで読まないと結論にたどりつかなかったりすると、顧客側もページを離脱してしまうでしょう。余計な情報は加えず、細かな手順などについては結論のあとに記載するなど、わかりやすさを意識して作成しましょう。ただし、簡潔さを意識するあまりに重要な事項の記載漏れがないように注意が必要です。文章だけでは長くなりそうな場合には画像や図版を使って説明するのもおすすめです。
専門用語は適切に使用する
顧客向け、社内向け、コールセンター向け、いずれのFAQにもあてはまることですが、読み手がFAQを理解できるためにはわかりやすい内容であることが重要です。そのため、読み手が理解できない専門用語の使用は避け、わかりやすい文章を心がけましょう。どうしても専門用語を使う必要がある場合には、記事の最後に説明したり、解説ページへのリンクを設置したりするなどの工夫をしましょう。
質問をわかりやすくカテゴリ分けする
顧客が問い合わせを行う際にはスムーズに端的に問題解決できることを望んでいます。そのため、顧客が求めているFAQに容易にたどり着けるかという検索性も意識する必要があります。顧客のニーズや行動などにあわせてFAQをカテゴライズすることで、検索効率を高める工夫をしましょう。また、検索機能をつけることでも目的の質問にたどり着きやすくなり、検索性も高まります。
内部リンクを積極的に活用する
ひとつのFAQページ内に、関連するFAQへのリンクを設置することで、顧客が万が一、求めている内容と類似したFAQにたどり着いてしまった場合でも本来のFAQにたどり着きやすくなることが期待できます。
また、FAQのページから、詳細が掲載されているページや商品・サービス紹介ページへの内部リンクを設置することでも、顧客がより詳細な情報を得たい場合にスムーズに誘導することができます。
必要に応じてFAQシステムを活用する
FAQの作成や管理を行える「FAQシステム」を活用するのも大切なポイントの1つです。FAQシステムは、簡単にページ作成や更新ができるだけでなく、分析機能や顧客の行動履歴などのデータベースを一元管理できます。自社がFAQを作成する目的や予算に応じて、FAQシステムの導入も検討してみるとよいでしょう。
まとめ
今回は、ウェブサイト内におけるFAQについて、掲載することのメリットや作成のポイントについて解説しました。日本語で「よくあるご質問」と訳されるFAQは、読み手がいかに素早く、適切な回答を得られるかがポイントです。顧客向け、社内向け、コールセンター向けなど、自社がどのようなFAQを作成する必要があるかを見極めながら、読み手も作り手も効率化を図れる理想的なFAQを目指してみてはいかがでしょうか。
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