企業サイトやブログで、社員や代表、顧客へのインタビュー記事が掲載されていることがあります。実際に現場で活躍している人材のインタビュー記事を載せることは、企業内の表情や方針を読み手に伝えるために効果を期待できるコンテンツのひとつといえるでしょう。では、インタビュー記事を実際に作成して公開するまでにはどのような手順が必要で、どのようなことに注意して進めたらよいのでしょうか。今回は、インタビュー記事の作成方法について、インタビュー記事の役割やインタビュー形式の種類とあわせて解説していきます。

インタビュー記事とは?役割や活用方法

企業が自社サイトやブログなどにインタビュー記事を掲載することには、どのようなメリットがあり、どのような用途があるのでしょうか。ここではインタビュー記事について、その役割や活用方法について解説します。

企業・商品への理解の拡大

自社サイトやブログに社員へのインタビュー記事を掲載する場合、例えば自社商品・サービスの担当者へのインタビューであれば、商品・サービスの宣伝に活用することができます。また、活躍中の社員や商品開発などになんらかのストーリーを持つ社員へのインタビューであれば、自社商品・サービスへの理解・関心を深めることに活用できるでしょう。このように、インタビュー記事は商品・サービスや企業そのものの理解を拡大したい場合に役立つコンテンツといえます。

不安の解消

不安の解消を目的とする場合には、既存顧客へのインタビューが主にあげられるでしょう。自社商品・サービスへの購入を迷っている顧客に対して、顧客が持つ不安を解消できるのは、既存顧客の生の声を伝えることも効果を期待できるひとつです。また、複数の既存顧客の声を多く掲載することで、さまざまな視点からの声を聞くことができるため、見込み顧客が商品・サービスへのイメージがつきやすくなります。

人材採用の促進

人材採用の促進を図る場合には、代表が抱く企業への思いや入社まもない従業員の入社前後の心境の変化を語ってもらうことで、読み手にとってリアルな声を聞くこととなり、企業の雰囲気や魅力が伝わりやすくなる見込みがあります。さらに企業の雰囲気が伝わるような画像やインタビュー時の画像を加えることで、読み手も実際にその場に行ったときのような印象を与えることに期待ができるでしょう。

インタビュー記事の形式・種類【例文つき】

実際にインタビュー記事を作成する場合、インタビューの方法にはいくつかの形式があることを覚えておいたほうがよいでしょう。ここでは、インタビュー記事の形式・種類を例文を加えて紹介します。

対談(Q&A)形式

もっとも一般的なインタビュー形式は、質問と応答という流れで、質問者であるインタビュアーと、回答者(取材対象者)のインタビュイーの対話形式で行うものです。質問と応答というテンポが決まっているため、読み手が読みやすく伝わりやすいというメリットがあります。

対談(Q&A)形式の例文

【インタビュアー】:今回、新商品の開発に結びついたきっかけを教えてください。

【インタビュイー】:既存商品だけでは売上に伸びが見られなくなったと悩んでいたときに、わたしの家族が既存商品を説明書とは違う使い方をしていた場面を目にしました。そのときに、「この使い方ができるかも」とアイデアが浮かんだことがきっかけです。

【インタビュアー】:正しくはない使い方をしていたことが、新商品の開発につながったのは興味深いですね!

モノローグ(一人称)形式

モノローグ形式とは一人称形式のことで、インタビュアーとインタビュイーというやりとりではなく、インタビュイーが一人で話をしている形式です。社員紹介など、その人の人柄を示したいときにも役立ちます。

モノローグ(一人称)形式の例文

新社会人として初めて就いた業務が営業でした。もともと人と流暢に会話をすることも苦手だったにも関わらず、自分に営業ができるわけがなく、実際にいろんな会社に飛び込み営業をしても何の手応えもなく、今年いっぱいで成果が出なければ辞めてしまおうかと悩んでいました。そのときにたまたま訪問した企業の担当の方と、地元が同じということがきっかけでお仕事をいただけるようになり、それがきっかけで複数の案件を受注できるようになりました。

ルポ(三人称)形式

ルポとは「ルポタージュ」の略称で現地からの報告、といった意味を指します。ここでは、第三者の立場で企業の情報を客観的に伝えるといった意味合いになります。

ルポ(三人称)形式の例文

既存商品の売り上げの伸び悩みの解決を模索していたA社の開発担当者は、あらゆる手を尽くしても伸び悩みが解決することなく悩んでいた。そんなある日に会社から帰宅後、家族が既存商品を通常とは異なる使い方をしたことでとてもよい効果を得られているという話を聞いた。さっそく翌日、他の開発担当者とともに試作を行い、売り出したところ、これまでにない反響を得られ、売り上げも増加したようだ。

インタビュー記事作成の流れ

インタビュー記事の作成の主な流れは下記のとおりです。1〜3が事前準備、4がインタビュー当日、5〜9が記事作成、10でいよいよ公開となります。

  1. 記事作成の目的決定
  2. インタビュイーの選定とリサーチ
  3. 質問リストや機材の準備
  4. インタビュー当日
  5. 文字起こし
  6. 構成作成
  7. 執筆
  8. 編集・校正・校閲
  9. 取材対象者によるチェック
  10. 公開

インタビュー記事作成の事前準備

先に示したように、インタビュー記事作成で最初に必要なのが事前準備です。具体的にどのようなことに留意したらよいのかを解説していきます。

インタビュー記事作成の事前準備
  • インタビュー記事を作成する目的を明確にする
  • インタビュイーの選定とリサーチ
  • 質問リストや機材の準備

インタビュー記事を作成する目的を明確にする

目的もなくインタビュー記事を掲載したのでは、読み手にとっても何を伝えたいのかわからない記事になってしまいます。インタビュー記事を掲載することが目的ではなく、何が自社に必要なためにインタビュー記事を作成しなければならないのか、というように着目点を変えて目的を明確にしましょう。そうすることで、どのような内容にすれば読み手に伝わるかというようなことも具体化されていきます。

インタビュイーの選定とリサーチ

インタビュー記事の目的が明確になったら、その目的にふさわしいインタビュイーを選定します。インタビュイーが決まったら、当日になって質問があいまいになることのないように、インタビュイーの事前リサーチを行いましょう。質問したい内容だけでなく、インタビュイーの背景や人物像、これまでの実績などをリサーチしておくと、当日の会話がどう進んでもさまざまな角度で進めることができます。また、「インタビューするのに、それも知らないの?」と思われることのないよう、インタビュイーに関する情報はSNSなどを活用して、最低限のことはリサーチしておきましょう。

質問リストや機材の準備

インタビュー記事の目的とインタビュイーのリサーチ内容をあわせて、ふさわしい質問を考えていきましょう。ここで気をつけたいのは「何のために」「何について」質問したいのか、ということを具体化することです。質問項目を整理する時には、「MUST(絶対に聞きたい質問)」と「WANT(できれば聞きたい質問)」に分けて考えるとよいでしょう。

さらに、インタビューとは、相手の事実確認をするのではなく、相手が何を思っているか、考えているかを質問する場であることを念頭にいれておくことが重要です。また、質問の方向性が決まったら、ある程度インタビュイーに伝えておくことで、相手もどのようなことを想定しておけばよいのかがわかりやすくなります。

インタビューにはボイスレコーダーやカメラなどの機材も必要となるので、当日操作方法がわからない、充電がきれたなどのことがないように準備しておきましょう。

インタビュー当日のポイント

事前準備のもとに迎えたインタビュー当日、どのようなことに留意しながら進めていけばよいのか、3つのポイントを解説します。

インタビュー当日のポイント
  • 時系列順に質問する
  • 事実や考えを理解して深掘りする
  • 本筋から外れた話もしっかり聞く

時系列順に質問する

インタビューを開始する前に、本日時間をいただいたお礼と今回の取材の趣旨や進め方の説明を欠かさずに行いましょう。また、本題の質問に入る前はアイスブレイクという雑談を行うことでお互いの緊張をほぐし、雰囲気づくりをすることも大切です。

インタビューに入ったら、過去と現在、未来という時系列で質問していくことで、インタビュイーも想像しやすく、また、記事を作成する際にもわかりやすく伝わりやすい文章になります。

事実や考えを理解して深掘りする

インタビュイーからの回答として、自身の考えや何かのエピソードを聞いた際には、「なぜそう考えるのか」、「そのエピソードが起こったきっかけは何か」といったように、理由や具体例をさらに深掘りするようにしましょう。そこからさらに「なぜ?」、「どうして?」と深掘りを進めていくことで、読み手にとってもインタビュイーの考え方やエピソードを理解しやすくなります。インタビュイーが話しやすくなるように、適度に相槌を入れるなどの雰囲気づくりも忘れないようにしましょう。

本筋から外れた話もしっかり聞く

インタビューを行う際は、インタビュアーだけでなく、インタビュイーも緊張しているものです。そのため、インタビュー前後や合間にはちょっとした雑談を踏まえるとお互いリラックスして会話を続けられます。また、そのような会話のなかからカギとなる話題が見つかることもあります。雑談や本筋から外れた話も丁寧に聞き、記録を残しておきましょう。

記事作成のポイント

インタビューが終わり、その記録をもとに記事作成をする場合、以下のような流れをたどっていきます。

  1. 文字起こし
  2. 記事構成案作成
  3. 執筆
  4. 編集、校正、校閲
  5. インタビュイーによる内容確認
  6. 公開

最後に、それらの流れのなかでも特に注意したいポイントを3つ解説します。

記事作成のポイント
  • 裏取りをする
  • インタビュイーの人柄が伝わるよう意識する
  • 編集・校正・校閲をする

裏取りをする

インタビュイーが話した内容になんらかの数値や日付、場所などの位置情報や商品名、地域名などが含まれていることもあるでしょう。その際、インタビュイーの話が間違いではなくても、取材後に価格が改定されていたり、位置情報や地域名が変更されていたりする場合もあります。必ず裏取りを行い、間違いがないかを確認しましょう。

インタビュイーの人柄が伝わるよう意識する

文章中にインタビュイーの人柄が伝わるような表現を加えることで、読み手も親近感を持って記事を読むことができるでしょう。その人らしさが伝わるようなエピソードを盛り込んだり、会話中に出てきた口ぐせや話し方をそのまま活かしたりして、読み手がその場を共有しているような内容を意識することがおすすめです。また、記事のなかにインタビュイーの会話中の画像を加えるのも臨場感が伝わる見込みがあります。

編集・校正・校閲をする

原稿が完成したら、より読み応えのある記事となるようにタイトルや全体的な編集を行います。タイトルと内容にズレが生じていないか、話が間延びしていないか、さらにスマートフォンで読んだときに文章が長すぎて離脱する可能性はないか、など全体的に確認しましょう。また、誤字脱字や事実関係のチェックなどの校正・校閲もしっかりと行い、インタビュイーが「この話は載せないでほしい」といった箇所はないかも忘れずに確認しましょう。

まとめ

今回は、思いが伝わるインタビュー記事の書き方と進め方について解説しました。インタビュー記事は企業の商品・サービスの認知・拡大や、人材採用の促進などさまざまなメリットがあります。そのインタビュー記事を掲載することで読み手に何を伝えたいのか、という目的を明確にし、インタビュイーの人柄が伝わりやすいインタビュー記事を目指してみてはいかがでしょうか。

記事のURLとタイトルをコピーする