企業が手がける商品やサービスを認知してもらい、集客や売上につなげるマーケティング手法はたくさんありますが、中でもメルマガは以前から多くの企業で活用されている方法です。

しかし、近年スマートフォンやSNSが普及したことから、「メルマガを活用して売上を伸ばせるのだろうか」「どうすればメルマガの効果を高められるのだろうか」と思う人も多いのではないでしょうか。

今回は、メルマガを活用するメリットや効果を高めるポイント、効果測定で意識すべき指標について詳しく説明します。

メルマガを活用するメリットとは?

そもそも、メルマガを活用することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

メルマガのメリットとして、次の3つが挙げられます。

特定の顧客に向けて情報発信できる

メルマガを送信するためには会員登録などで顧客のメールアドレスを取得している必要があります。その手間は必要ですが、特定の顧客に向けてダイレクトに企業の魅力を伝えられます。

たとえば、「30代男性の顧客に向けて、新製品の案内メールを送る」「自社製品を2回以上購入した経験がある顧客に向けて、クーポン付きのメールを配信する」といった方法が挙げられます。不特定多数のユーザーに向けて情報発信するSNSなどの施策とは違い、ターゲットを絞って情報を届けられることから、興味を持ってもらいやすいのです。

商品やサービスの購入につなげやすい

チラシやDMといったオフラインのマーケティング手法とは違い、メルマガには「興味を持ったユーザーがメール内のURLや画像をクリックして、そのまま通販サイトの商品ページに遷移できる」という強みがあります。そのため、商品やサービスの購入につなげやすいといわれています。

また、メール配信サービスによっては「○○様におすすめの商品をご案内」「○○市在住の方限定」のように、顧客ごとにメールの内容を自動でカスタマイズできるものもあります。パーソナライズしたタイトルや文章で興味や関心を高められれば、来店や購入といったアクションにつなげやすくなります。

リピーターを獲得しやすい

メルマガで継続的に顧客にメリットのある情報を提供することで、リピーターを獲得しやすくなります。

たとえば、「次回来店時に使えるクーポンをプレゼント」「前回購入した商品に関連した商品をピックアップ」のようなメールを配信すれば、「次も店舗に足を運んでみよう」「似たような商品にはどのようなものがあるのだろう」といった意識を持ってもらうこともできます。このように、メルマガで顧客に役立つ情報を配信し続ければ、売上を安定させやすくなります。

メルマガの効果を高めるポイント

活用するメリットが大きいメルマガですが、ただ配信するだけでは集客や売上につなげられません。メルマガの効果を高めるには、次の4つのポイントを意識することが大切です。

配信する顧客をはっきりさせる

メルマガを配信する際は、まず「どの顧客層に向けて情報を届けるか」を明確にすることが大切です。それは、顧客層によってメールを開封する時間帯や興味を持つ内容が異なるからです。

たとえば、「オフィスで勤務するサラリーマンに向けて、ゴルフ用品のセール情報を伝えたい」と考えているのであれば、時間に余裕がある「毎週金曜日の19時」や「土曜日の午前10時」といった配信設定が適しているかもしれません。

また、子供向けのプログラミング教材を販売する企業であれば、「幼稚園から小学校の子供を持つ顧客層に向けて、プログラミング教材を導入するメリットや使い方に関する情報を配信する」のような内容を考えることができます。

このように、ターゲット層に応じて適切な配信頻度や文章を考えられれば、集客や売上につなげやすくなるでしょう。

魅力を感じるタイトルや件名にする

メルマガにどれだけ魅力的な内容が記載されていても、そもそも開封してもらえなければ情報を伝えられません。メルマガを開封してもらうには、顧客が魅力を感じるタイトルや件名を設定することが大切です。

具体例として「今年度最大の割引セールのご案内」「従来製品の性能を大幅に上回る新製品をご紹介」といったタイトルが考えられます。業種や企画、販売する商品やサービスによって設定すべきタイトルや件名は異なりますが、複数の候補を挙げて社内アンケートを実施したり、タイトルや件名ごとに顧客の反応を計測したりすると、より効果の高いメルマガをつくれるでしょう。

顧客に特典を付与する

タイトルや件名だけでなく、実際にメルマガを受け取った顧客がメリットを感じる内容にすることも大切です。特に、割引やプレゼントのように特典を付与する内容にすると、より多くの反応が期待できます。

たとえば、「期間限定で通常価格より〇%割引して商品を購入できます」「メルマガから来店予約をした方にはクオカード〇円分プレゼント」といった特典が考えられます。特典が魅力的であるほど集客や売上につながりやすいですが、内容によっては店舗に残る利益が少なくなる可能性があるので、事前に顧客の反応を予測した特典を設定しましょう。

定期的に効果測定する

メルマガは、配信すれば終わりではありません。

メルマガはあくまでマーケティング手法の1つであるため、きちんと費用対効果を測定する必要があります。

メール配信サービスによっては、効果測定ツールが設けられているので、どれくらいの顧客にメルマガが届いているのか、開封してURLをクリックした顧客がどれくらいいるのかを数値で把握できます。また、Googleが提供している「Googleアナリティクス」を使えば、メルマガから企業のWEBサイトにアクセスした顧客がどれくらいいるのか、どのメルマガの反応率が高いのかといった情報を無料で分析できます。

これらをうまく活用すれば、より集客や売上を高めるメルマガ配信ができるでしょう。

メルマガの効果測定で意識すべき指標とは?

先述したように、成果につながるメルマガをつくるためには、定期的に効果を検証することが大切です。では、効果検証する際は、どのような指標に着目すればよいのでしょうか?メルマガの効果測定で意識すべき指標には、次の7つがあります。

以下では、これらの指標について詳しく説明します。

開封率

開封率とは、メルマガに登録している顧客のうち、メールを開封した人の割合のことで、次の計算式で求めます。

  • 開封率(%)=(開封されたメルマガの数÷メルマガ配信数)×100

開封率が高いほど配信したメールが多くの顧客に開封されたことになるため、タイトルや件名にどれくらい興味を持ってもらったかを分析するのに適した指標だといえます。

開封率の平均については業種やターゲット層にも左右されますが、おおよそ15~25%だといわれています。まずは15%を目標に設定するとよいでしょう。

また、メルマガの開封率は、差出人情報によっても変化します。「○○店広報部」のように、誰が送ったメールなのかをはっきりさせれば、開封率を高められるでしょう。

配信日時を変えて開封率を比較したり、配信頻度ごとの開封率の違いを測定すれば、メルマガを配信するタイミングやペースを最適化させられます。

参考:メルマガ平均開封率レポート【2020年版】

クリック率

クリック率は、メルマガ登録者のうち画像やURLをクリックした人の割合です。クリック率の計算方法は、次のようになります。

  • クリック率(%)=(リンクのクリック数÷配信数)×100

たとえば、メールマガジンを1,000通配信して、そのうち50人がリンクをクリックしたのであれば、クリック率は5%になります。

クリック率の平均値について、アメリカのMailchimp社が2019年に実施した調査では、2~3%という結果が出ているそうです。参考にしてみると良いでしょう。

クリック率を手軽に測定する方法として、先述した「Googleアナリティクス」が挙げられます。また、メール配信サービスによっては、メールごとにクリック率を自動で表示してくれるものもあるので、導入する際は効果測定しやすいものを選びましょう。

参考:Email Marketing Benchmarks and Statistics by Industry

クリック反応率

クリック率と似た言葉に「クリック反応率」があります。クリック率は、配信したすべてのメルマガの数に対するリンクのクリック数ですが、クリック反応率は、開封されたメルマガの数に対するリンクのクリック数のことです。クリック反応率は、次の計算方法で求めます。

  • クリック反応率(%)=(リンクのクリック数÷開封されたメルマガの数)×100

クリック反応率では、メルマガを開封した人がどれくらいコンテンツに興味を持ってくれたかをより正確に把握できます。そのため、「メルマガの質を改善させたい」という人は、前回の配信と比較してクリック反応率が改善されたかを分析するのがおすすめです。

エラー率

エラー率は、配信したメルマガのうち、メルマガが顧客に届かなかった割合を指し、次の計算式で求めます。

  • エラー率(%)=(届かなかったメルマガの数÷メルマガ配信数)×100

メルマガが届かない原因は、「一時的エラー」と「継続的エラー」に分類されます。一時的エラーは、「相手側のサーバーのエラー」「受信ボックスがいっぱいになっていた」といった一時的な不具合によってメルマガが届かないエラーです。一方、継続的エラーは、そもそもメールアドレスが存在しないものであったり、登録されたメールアドレスが間違っていたりするエラーです。

一時的エラーであれば期間が経過すれば解消される可能性が高いですが、継続的エラーが生じている場合、リストに残し続けると悪意のあるメールだと判断されてメルマガ配信できなくなるかもしれません。継続的エラーに気づいたら、なるべく早く顧客リストから削除しましょう。

エラー率はエラーとなったアドレスを送信対象から外すことで下げられます。低ければ低いほどよいので、1%未満となるようにリストのメンテナンスを定期的に行いましょう。

コンバージョン率

コンバージョン率は、メルマガの配信数に対して、商品購入や申し込みにつながった件数の割合です。コンバージョン率の計算方法は、次の通りです。

  • コンバージョン率(%)=(購入や申し込み件数÷配信数)×100

たとえば、メルマガを1,000通配信して、資料請求が10件だった場合、コンバージョン率は1%になります。

コンバージョン率の目安は何をコンバージョンとするかによっても変わってくるので一概にはいえません。

ただし、メルマガはその他の集客方法と違って購入見込みの高い顧客に絞って配信をするので、自社のWEBサイトの平均コンバージョン率よりも高くなる傾向にあります。例えば通販サイトの場合、自社のWEBサイトのコンバージョン率が1.5%であれば、それより上の2~3%などの水準を目指してみるとよいでしょう。

コンバージョン率が高くなるほど、メルマガが売上や資料請求に役立っているといえます。コンバージョン率も、クリック率と同様にGoogleアナリティクスや一部のメール配信サービスで計測できるため、メルマガの効果分析に活かしましょう。

解約率

解約率は、どれくらいの顧客がメルマガを解約したのかを表す数値で、次の計算式で求めます。

  • 解約率(%)=(メルマガの解約者数÷メルマガの配信数)×100

たとえば、メルマガを1,000通配信して10人が解約した場合、解約率は1%になります。解約率は配信するメールごとに測定できるので、メルマガのコンテンツに魅力を感じてもらえたか、配信タイミングが適切であったかを見直す指標になります。

メルマガの解約率は業界にもよりますが、1%を超える場合は文面などを見直したほうが良いといわれています。

参考:メルマガ配信の効果を妨げる「退会率」や「解約率」を下げる方法とは?

ROI

ROI(投資対効果)は、メルマガにかける費用が適切かどうかを判断するのに適した指標です。ROIの求め方は次のようになります。

  • ROI(%)=(店舗に残る利益−メルマガ配信費用)÷メルマガ配信費用×100

たとえば、売上から経費を差し引いて店舗に残った利益が100万円の店舗が、メルマガ配信に20万円かけていた場合、ROIは400%になります。ROIがプラスであればメルマガの効果が高く、マイナスであれば効果が低いと判定するため、この場合はメルマガが効果的な戦略であるということになります。

まとめ

ここでは、メルマガを活用するメリットや効果を高めるポイント、効果測定で意識すべき指標について説明しました。

メルマガの効果を高めるには、効果測定と改善をなるべく早く繰り返すことも大切です。開封率やクリック率の高いメルマガがつくれれば、集客や売上がさらに伸びやすくなります。ここで説明した内容を参考にして、目標とする反応が得られるメルマガを配信しましょう。

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