インターネットやスマートフォンの普及によって、レジで従業員と対面することなく商品やサービスを注文できる「モバイルオーダー」の開発・普及が進んでいます。
大手ハンバーガーチェーン店などでの導入が代表例ですが、小規模の飲食店でもモバイルオーダーを導入することは可能です。
しかし、「モバイルオーダーがどのような仕組みなのか分からない」「モバイルオーダーを導入するとどのようなメリットがあるのだろう?」と思う人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、モバイルオーダーの概要や導入するメリット、オーダーの流れや利用できるサービスを紹介します。
目次
そもそもモバイルオーダーとは?
そもそもモバイルオーダーとは、メニュー選びから注文・会計といった手続きをスマートフォンのみで完結させる仕組みです。
従来のようにレジで従業員とやりとりすることなく店舗を利用できるため、店舗型・顧客側双方にさまざまなメリットをもたらします。
モバイルオーダーは大きく「店内型」「店外型」の2種類に分けることができます。
店内型は店内でのオーダーを取ることを想定して開発されているサービスになり、テーブルにあるQRコードを読み取る方式が多いです。大手ハンバーガーショップや牛丼チェーン店でも導入されています。
店外型は来店前にオーダーを取ることを想定して開発されており、テイクアウトのサービスを行っている飲食店を中心に利用されています。
飲食店がモバイルオーダーを導入するメリット
では、飲食店がモバイルオーダーを導入すると、どのようなメリットが生じるのでしょうか。考えられるメリットとして、次の5つが挙げられます。
以下では、これらのメリットを詳しく説明します。
混雑時もスムーズに対応できる
飲食店がモバイルオーダーを導入すると、顧客が店舗に訪れる前に注文や決済を終えられます。混雑する時間帯でもスムーズに料理やドリンクを提供できるので、顧客を待たせる時間を抑えられます。
また、混雑を避けつつ多くの顧客に対応できるため、「待ち時間が長そうだからほかの店舗を利用しよう」と考える顧客を減らせます。以前は混雑によって取りこぼしていた顧客を獲得できるので、モバイルオーダーを導入すればさらに売上を伸ばせるでしょう。
人材不足をカバーできる
「人材不足が深刻でうまく店舗を運営できない」と悩む人も多いのではないでしょうか。モバイルオーダーを導入すれば、注文や会計といった業務を効率化できるので、人材が限られていても円滑に店舗の業務を進められます。
また、飲食店によっては、「以前はレジ業務をしていた従業員を、商品製造やチラシのポスティング業務に回す」などのような施策を取ることも可能です。モバイルオーダーの導入によって業務を最適化させれば、より集客や売上を増やせるでしょう。
リピート率を高める施策ができる
モバイルオーダーを導入すれば、顧客のリピート率を高めることもできます。ツールを通して顧客が魅力を感じる情報を配信すれば、「また店舗に行ってみよう」と思ってもらいやすくなるからです。
具体例として、店舗のアプリで「〇月限定のスイーツを発売開始しました」「再来店で使える割引クーポン情報」といった施策が考えられます。新規顧客の獲得だけでは売上を維持するのは難しいですが、モバイルオーダーとともにこのような施策もおこなえば、リピート率を高めて売上を安定させられるでしょう。
多言語に対応できる
「日本語で記載されたメニューしか用意していない」という飲食店では、外国人の需要に対応しづらいため、売上を取りこぼしているかもしれません。
モバイルオーダーのシステムの中には、ボタンひとつで外国語メニューを表示できるものもあります。わざわざ異なる言語のメニューを作成しなくてよいので、コストを抑えてメニューを管理できます。
顧客データを活用できる
顧客のニーズにあわせた飲食店であり続けるには、メニューごとの注文数や売上、顧客1人あたりの購入金額といったデータを分析して柔軟に戦略を改善させなければなりません。
モバイルオーダーでは、従来はアナログな方法でおこなっていたこれらのデータ分析を自動化させられます。「2種類の新商品のうち、商品Aよりも商品Bのほうがよく売れている」といった分析もリアルタイムでできるので、「商品Bを重点的にアピールしよう」といった施策を実践すれば短期間で売上を伸ばせるでしょう。
モバイルオーダーを利用する顧客のメリット
ここまでは、飲食店がモバイルオーダーを導入するメリットを説明しました。モバイルオーダーは、店舗側だけでなく顧客側にもメリットを与えます。その内容として、次の3つが挙げられます。
以下では、これらのメリットを詳しく説明します。
レジで並ぶ待ち時間を減らせる
どれだけ魅力的な料理やドリンクを提供する飲食店でも、レジに並ぶ時間が長くなると、顧客のストレスは高まります。人気店や席数が少ない店舗では、注文待ちの行列ができる場合もあるでしょう。
モバイルオーダーを導入すると、空席状況をリアルタイムで確認して来店したり、予約で座席を確保したりすることが可能です。あらかじめメニューを注文しておけば、レジに並ぶことなく座席に向かうこともできます。決済を完了させていればレジ待ちする必要もないので、より顧客満足度の高いサービスを提供できます。
衛生面の不安を軽減できる
メニューを注文する際に対面でコミュニケーションを取ったり、会計時に現金の受け渡しをしたりする飲食店では、衛生面に不安を感じる顧客もいるかもしれません。
モバイルオーダーを導入すれば、顧客のスマートフォンで注文や決済を完結できます。
従業員との直接的なやり取りを最小限に抑えられるので、より安心して食事を楽しめるでしょう。
会計金額を確認しながら飲食できる
顧客によっては、飲食店で複数の料理やドリンクを注文します。しかし、注文数が多くなるほど合計額を把握しづらくなるので、お金がかかりすぎていないか心配になる人もいるかもしれません。
モバイルオーダーを導入すれば、スマートフォンやタブレット上で注文した商品の履歴や会計をリアルタイムで確認できるため「想像以上に会計金額が高かった」という心配がなくなります。
飲食店におけるモバイルオーダーの流れ
飲食店と顧客双方にメリットを生じさせるモバイルオーダーですが、実際にどのような流れで利用するのでしょうか?
実際のモバイルオーダーの流れは、導入するシステムによって変わります。
ここでは「店内型」のモバイルオーダーシステムの手順例を紹介します。
- テーブルごとにQRコードを設置する
- 顧客がQRコードを読み込んで注文する
- 顧客の注文を受ける
- 商品を提供し退店時に会計する
テーブルごとにQRコードを設置する
店内型のモバイルオーダーの場合は、テーブルごとにQRコードを設置しているタイプが多いです。その際、QRコードの位置が分かりにくいと、モバイルオーダーを利用できることが顧客に伝わらないので注意が必要です。
テーブル上にPOPを設置したり壁面にカードを張ったりするなど、顧客の目につきやすいように工夫しましょう。
顧客がQRコードを読み込んで注文する
顧客が来店し座席に移動したら、スマートフォンやタブレットを利用して店舗が表示するQRコードを読み取ってもらいます。
顧客1人が読み込むのもよいですが、グループで来店する顧客の場合、1つのQRコードを複数人で読み込めるサービスを導入すると、よりスムーズに料理やドリンクを提供できます。
顧客の注文を受ける
QRコードを読み込んで顧客情報やクレジットカード情報などの入力を終えると、画面上にメニューが表示されます。
基本的に、どのサービスも操作性や視認性がよいので、「使い方が分からず注文できない」という事態は起こりにくいです。しかし、必要に応じてスタッフが使い方を説明したり、従来のメニュー表で注文してもらったりすると、安心して飲食店を利用してもらえるでしょう。
商品を提供し退店時に会計する
顧客から注文が入ると、それにもとづいて料理やドリンクを作成し、伝票と一緒にテーブルに運びます。サービスによっては伝票が発行されないものがあるので、用紙やプリンターなどの導入・維持コストを抑えることも可能です。
食事が済んだら、顧客は伝票をレジに持参して会計します。クレジットカード情報と連携できるサービスの場合、注文と同時にデバイス上で会計を済ませられるので、レジに並ぶ必要はありません。
モバイルオーダーが利用できるサービスを紹介
モバイルオーダーについての理解を深めるには、実際に利用されているサービスを知ることも大切です。代表的なモバイルオーダーサービスとして、次の3つが挙げられます。
- PayMine
- PayPayピックアップ
- 楽天リアルタイムテイクアウト
以下では、これらのサービスごとの特長を詳しく説明します。
PayMine
PayMineは、キャンペーン期間中であれば、初期費用や固定費用をかけずに導入できるモバイルオーダーです。最短で即日サービスを利用開始できるため、「すぐにモバイルオーダーを導入したい」「モバイルオーダーが適しているか試してみたい」という飲食店に向いています。
導入方法も簡単で、手順は次のようになります。
- 決済システム「PAY.JP」に登録する
- PayMineで飲食店の基本情報を入力する
- テスト運用で問題なければ利用開始
万が一モバイルオーダーが店舗にあわなくても、いつでも退会可能なので安心です。キャンペーン期間中であれば費用をかけずにサービス利用を中止できるので、店舗の負担を抑えられます。
PayPayピックアップ
PayPayピックアップは、フリーマーケットアプリである「PayPay」を利用してテイクアウト商品の注文ができるサービスです。PayPayを利用するユーザーがスムーズにサービスを利用できることから、ほかのモバイルオーダーサービスよりも顧客を獲得しやすいのがメリットです。
また、PayMineと同様に、無料でプラットフォームを利用できる期間が設けられているので、費用をかけずに店舗との相性を確かめられます。スマートフォンやタブレットさえあればサービスを利用できるので、専用の読み取り端末やレシートプリンターなどを用意する必要がないのもよいところです。
楽天リアルタイムテイクアウト
楽天リアルタイムテイクアウトは、顧客から近い場所にあるテイクアウトできる飲食店を検索し、注文できるサービスです。
初期費用がかからないのはもちろんのこと、テイクアウト受注できるウェブサイトを簡単に制作できるサービスも利用できるので、新たにホームページを立ち上げる費用を抑えてアピールできます。また、キャンペーンのポイント費用は楽天が負担してくれるので、楽天ユーザーを効率的に集められるのもよいところです。
まとめ
ここでは、モバイルオーダーの概要や飲食店・顧客双方に生じるメリット、オーダーの流れやサービスごとの特長を説明しました。
インターネットやITを活用したオーダーシステムを導入する店舗は今後さらに増えると予想されます。時代や顧客ニーズの変化にうまく対応できるよう、ここで説明した内容を参考にして、店舗に適したモバイルオーダーの活用方法を検討しましょう。
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