企業が開発した商品やサービスの魅力をより多くの顧客に知ってもらうには、プレスリリースを出してメディア取材を受けるのが効果的です。
しかし、「そもそもプレスリリースがどのようなものか知らない」「どうすれば魅力的なプレスリリースを配信できるのだろう」と思う人も多いのではないでしょうか。
メディアから興味・関心を持ってもらうには、基本を押さえたプレスリリースの作成方法を理解したうえで、魅力が伝わる内容に仕上げる必要があります。ここでは、プレスリリースの概要や広告との違い、プレスリリースの書き方や配信する際に意識すべきポイントについて詳しく説明します。
そもそもプレスリリースとは?
そもそもプレスリリースとは、企業などが新たに開発した商品やサービス、企画したイベントなどを各種メディアに知らせるための文書のことです。プレスリリースを配信するメディアには、次のものが挙げられます。
- 新聞
- テレビ
- 雑誌
- ニュースサイト
どれだけ魅力的な商品やサービス、イベントを手がけても、その存在が世の中に知られなければ集客数や売上を伸ばせません。それらの魅力が詳細に記載された文章を各メディアに配布すれば、ニュースや特集などに取り上げられて注目を集められます。顧客の興味や関心が高まるような情報であれば、集客数や売上のアップが期待できるでしょう。
プレスリリースと広告の違いとは?
先ほど紹介したプレスリリースと同様に、企業の情報を多くの顧客に発信する手段として「広告」があります。どちらも宣伝目的で活用するものですが、両者にどのような違いがあるのでしょうか。
通常、テレビCMや広告などのメディアに企業の情報を掲載して発信する方法には、費用が発生します。しかし、プレスリリースの場合、企業の商品やサービスの情報を取り上げてもらうのに費用を支払う必要はありません。
「配信代行サービス」のように、プレスリリースの配信を代行する業者に依頼すると費用がかかりますが、基本的にプレスリリースは業者に依頼しなくても、誰でも無料で配信できます。
しかし、プレスリリースを配信する際は、送付相手の連絡先を調べたり送付後の対応をしたりする必要があります。また、プレスリリースを送っても記事にしてもらえるとは限らないので、費用を支払えば必ず掲載してもらえる広告とは性質が異なります。
また、プレスリリースでは、メディアが最終的に発信する情報を企業が編集できません。どれだけ詳細に商品やサービスの魅力を記載しても、メディアの都合で配信内容が決められるため、場合によっては異なる解釈をされて情報が広まるリスクがあります。詳しくは後述しますが、正確な情報を顧客に広めるには、ポイントを押さえてプレスリリースを作成することが大切です。
基本的なプレスリリースの書き方を知ろう
プレスリリースを作成するときは、下図のイメージでつくることが大切です。
以下では、この図に沿ってプレスリリースの基本的な書き方を説明します。
①レターヘッドを記載する
レターヘッドには、次の項目を記載します。
- 「プレスリリース」「報道関係者各位」という文言
- 企業名、ロゴ
- 日付
「プレスリリース」という文言はカタカナでも英語でも構いませんが、プレスリリース情報であることが伝わるようにするのがポイントです。また、複数回プレスリリースを配信する場合、レターヘッドを統一させることでメディア関係者に企業の印象を残しやすくなります。
②タイトルを考える
レターヘッドを記載したら、次にタイトルを考えます。
タイトルは、どのような内容が記載されているかを端的に伝えるものです。プレスリリースの中でも最も力を入れるべきポイントと言えます。必要な要素だけに絞り、30文字程度に収めるのが理想です。これは、タイトルが長すぎると、メディアに取り上げられてSNSなどで配信されるときや、Googleなどの検索結果に表示される際に文字が途中で途切れてしまうためです。
字数が収まりきらない場合は、必要に応じてサブタイトルを記載すると、文字数が長くても自然な印象を与えます。
③リード文を記載する
リード文は、プレスリリース全体の内容を要約した文章で、書き始めを「株式会社○○(本社:○○県○○市、代表取締役:○○ ○○)では~」とするのが一般的です。
文章の前半に企業が特に伝えたい内容を配置すると、企業の意図がメディア関係者に伝わりやすくなります。
また、文章内には読み手の興味や関心を高めるキーワードを盛り込むことも大切です。「業界初登場の商品」「史上最安値に挑戦」のように、インパクトを与える言葉があると、「文章を読み進めてみよう」と思ってもらえます。文字数は500文字程度を目安に記載しましょう。
④本文を記載する
リード文ができたら、次は本文を記載します。本文は、リード文に記載した内容を噛み砕いて説明するので長くなりやすいです。そのため、適度に箇条書きやブロックごとのタイトル(見出し)を付けて書き進めると、読みやすくなります。
また、本文の文字数は8,000文字程度を目安にするのが一般的です。必ずしもすべて読んでもらえるとは限らないので、重要な内容をなるべく前半に記載しましょう。文章内に商品紹介ページやイベントの詳細が記載されたページのURLを1~2個程度入れると、企業の魅力がより伝わりやすくなります。
⑤画像を挿入する
文章だけでは視覚的なインパクトを与えにくいため、見ただけで内容が伝わる画像を挿入するのも大切です。
たとえば、新商品が魅力的に映る画像やイベントに参加したときの様子が伝わる画像などが挙げられます。必要に応じて図や表、グラフなどを活用すれば、本文に記載されている文章の信頼性を高められます。
⑥連絡先を記載する
プレスリリースの下部には、広報担当者につながる連絡先を記載します。プレスリリースの内容に興味を持ったメディア関係者は、ここに記載される連絡先をもとに取材の連絡をすることが多いので、相手が連絡しやすいよう複数の連絡方法を記載するがおすすめです。
具体的には、次の項目が挙げられます。
- 社名
- 部署名
- 担当者名
- 企業所在地
- メールアドレス
- 電話番号
- 携帯電話番号
- FAX番号
また、連絡先を記載する際は、「プレスリリースに関するお問い合わせ」のようにタイトルをつけると体裁がよくなります。
プレスリリースを配信する際に意識すべきポイント
ここまでは、プレスリリースの書き方について説明しました。プレスリリースを配信する際は、たくさんの企業の中から「この企業を取材したい」と思ってもらうことが大切です。
以下では、プレスリリースを配信する際に意識すべきポイントについて詳しく説明します。
タイトルだけで内容が把握できるかを意識する
先述したように、プレスリリースを配信したからといって、必ずしも興味を持ってもらえるわけではありません。知名度の高いメディアでは、プレスリリースが1日で数百通届くケースもあります。
そのため、メディアの担当者は「タイトルに魅力を感じたプレスリリースだけを読み込む」傾向にあるのが実情です。そのため、「業界初の機能を搭載した新商品発売のお知らせ」「海外セレブの間で話題!新サービス体験イベント開催のお知らせ」のように、見ただけで内容が把握でき、かつ好奇心をくすぐるタイトルを設定する必要があります。
目新しさや社会的意義があるかどうか確認する
タイトルを見て内容が分かるプレスリリースでも、そこに「目新しさ」や「社会的意義」がなければ興味や関心を高められません。
開発した新商品がすでにほかのメディアで取り上げられたものであったり、社会に与えるメリットがそこまで大きくなかったりすると、「取材してみたい」と思われにくいでしょう。
たとえば、「これまで市場に出回っていなかった商品を開発した」「自社製品で環境問題を大幅に軽減できるようになった」といった内容は、ニュースとして取り上げられやすくなります。
社会の流行や重要視されている問題、季節のイベントなどと関連づけてプレスリリースを作成すると、「取材してみたい」と思ってもらえるでしょう。
専門用語を使うときは解説を忘れずに
プレスリリースに正確な情報を詳細に記載しても、業種によっては専門性が高いためメディア関係者にうまく伝わらない場合があります。
内容があまりにも複雑だと、「どのように取材を進めればよいのだろう」「取材しても正しく伝えられるか分からない」と思われかねません。専門用語を使ったほうが専門性が伝わりやすいですが、読み手が理解しやすいよう適度に解説を入れましょう。
誤字脱字をチェックする
プレスリリースによっては文字数が多くなるため、それだけ誤字脱字も増えやすくなります。魅力的な商品やサービスの情報を記載しても、誤字脱字があることで意味が伝わりにくくなったり印象が悪くなったりします。
誤字脱字のないプレスリリースを配信するには、プレスリリースを記載した人だけでなく、複数の担当者で文章をチェックすることも大切です。
情報が正確か確認する
作成したプレスリリースをチェックする際は、誤字脱字だけでなく情報が正確か確認することも重要です。記載した情報に誤りがあると、そのまま記事になって顧客に届くので、念入りにチェックしましょう。
また、記載した情報が嘘でなくても、事実を誇張したり曖昧にしたりすると、顧客に誤解を与えかねません。「最高品質」「絶大な効果を認める」といった表現を安易に使うと、思わぬトラブルが生じる場合があります。
適切なタイミングで配信する
完成したプレスリリースを配信するときは、「配信するタイミング」を考える必要があります。
たとえば、暦通りの休日が多いメディアでは、月・金曜日に忙しくなりやすいと言われています。そのため、比較的業務量が少ない火~木曜日に送るのがおすすめです。
特に、10~11時頃は情報収集や取材準備などに時間を充てるケースが多いとされているので、メールを送る際には意識しましょう。
また、取り上げてほしいメディアがテレビや新聞、雑誌の場合、企画会議や取材、編集といった時間を考えて、情報発信したい時期の2ヵ月前ごろにプレスリリースを配信するのがおすすめです。一方、Webメディアの場合、取材から記事の投稿までの期間が比較的短いため、数日から数週間前に連絡するとよいでしょう。
参考:【現役広報が教える】プレスリリースの書き方10のコツ・基本の5構成
用途に応じてひな形を変える
プレスリリースはさまざまな用途で活用されるため、用途に応じてひな型を変えたほうが読んでもらいやすくなります。メディアごとのひな型作成で意識すべき点として、次のポイントが挙げられます。
メディア | ひな形作成時に意識すべき点 |
テレビ | 魅力的な画像を積極的に盛り込み、視覚的なインパクトを与える。番組中のコーナーにあわせて企画を提案する。 |
新聞 | 商品やサービス、イベントとの関連性が高い新聞社を選び、アプローチする部署に応じて「社会的視点」「経済的視点」といった切り口を変えて作成する。 |
雑誌 | 雑誌のジャンルや読者層を意識した企画や配信内容にする。 |
Web | 新規性のある情報が求められる傾向がある。人員が限られているメディアもあるので、掲載用の画像や記事に盛り込む内容をある程度準備しておくとよい。 |
これらを意識してプレスリリースを作り分ければ、多くのメディアで企業の魅力を発信できるため、集客数や売上アップにつながりやすくなります。
まとめ
ここでは、プレスリリースの概要や基本的な書き方、プレスリリースを配信する際に意識すべきポイントについて説明しました。
プレスリリースを配信したにも関わらず反応がないと落ち込んでしまうかもしれませんが、たくさんの企業の中から選ばれる企業になるには、継続的にプレスリリースを配信することも大切です。
ここで説明した内容を参考にして、「取材してみたい」と思われるプレスリリースを配信し、各メディアを通じて企業の魅力を広く発信しましょう。
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