さまざまなメディアがあらゆる形で登場する中、商品や企業の紹介などを消費者に伝える広告媒体もたくさんの種類があります。適切な方法でより多くの反響を得るためにはどの広告媒体を選択すればよいのでしょうか。広告媒体の種類や選び方を詳しく紹介していきます。
目次
そもそも広告媒体とは?
「広告媒体」とは、商品の宣伝や企業の紹介などの広告内容を消費者に伝えるための手段のことをいいます。大きく分けると、テレビ・ラジオ、雑誌や新聞などの「マス媒体」、交通広告やダイレクトメールなどの「SP(セールスプロモーション)媒体」、インターネットを活用した「インターネット媒体」の3種類があります。3つの媒体の特徴や具体的な内容を紹介していきます。
マス媒体
マス媒体のマスとは、英語のmassのことであり、大衆、多数という意味があります。文字通り、大衆向けに発信される媒体がマス媒体であり、テレビやラジオなど多数の人の目に留まる機会が多いため、情報を多くの人に広げたいという場合には効果が見込める媒体といえるでしょう。
ただし、マス媒体の中でも媒体によってアプローチの対象となりうる人の属性や人数も異なってくるため、どのマス媒体を利用するか検討する際には費用対効果を吟味することが重要となります。
テレビCM
テレビCM(テレビ広告)とは、テレビ番組の放送中に流すことができるコマーシャルのことです。広告主が提供している番組で流すことができる「タイムCM」と、番組の提供などに関わらず放送される「スポットCM」があります。
テレビを発信元として音声と映像で広告を流せるテレビCMは、視聴者の記憶にも残りやすいことが大きなメリットといえます。
テレビCMの費用の内訳は一般的に、広告会社へ支払う製作費用とテレビ局側に支払う放映費用に分けられます。放送網の中心となる「キー局」でCMを1本流す場合の放映費用は30万〜100万が相場とされています。一方で地方局の場合では1本5万円以下の放映費用で済む場合もあり、製作費用や内容によっては検討可能な媒体であるといえるでしょう。
ラジオ広告
ラジオ広告とは、ラジオで流すことができる広告のことです。よって、音声のみを利用した広告ということになります。
ラジオは「ながら媒体」とも呼ばれており、何かをしながら聴取することが可能なため、視聴者はCMに入ったからチャンネルを変えるということもなく、抵抗なく聴き続けることができるといえます。
ラジオ広告の場合の放映費用は、東京のラジオ局では1本20秒で2万円台〜10万円台、地方では1本1万円台〜5万円台です。ただし、台本作成や企画にかかる制作費は別途必要となり、15万円程度が一般的な価格となります。
雑誌広告
雑誌広告は、雑誌のページや裏表紙などに掲載する広告のことです。誌面に丸ごと広告を表示できるため、写真やイラスト、文字などを効果的に活用して訴求することができます。
雑誌そのものがターゲット層を明確に分けていることからもわかる通り、雑誌へ広告を掲載する場合は、アピールしたい商品や情報がその雑誌のターゲット層にふさわしいものであるかを吟味する必要があります。また、商品や情報だけでなく、実際に商品を利用した人の反応や口コミを合わせて掲載することで、読者の購買意欲を促進させる効果も見込めます。
雑誌広告への掲載費用は、雑誌の種類や発行部数、カラー広告かモノクロ広告かの違い、広告のサイズによっても大きく差があり、1本あたり50万円台から250万円台程度が相場といわれています。テレビ・ラジオ同様、地方誌か全国誌かでも異なる上に、制作費用も別途加算されるため、慎重に検討することが必要でしょう。
新聞広告
新聞広告は新聞の紙面に掲載する広告のことです。掲載には新聞社の審査が必要となります。
新聞広告を掲載することの大きなメリットは、上記の審査がある点や世間的な新聞に対する認識から、新聞に掲載される広告にも一定の信頼が得られる可能性があることにあります。
総務省が令和3年に調査した「各メディアに対する信頼」への回答では、「信頼できる」媒体として新聞が61.2%で最も高い結果となっています。さまざまなメディアが存在する現代においても、新聞はより多くの人から信頼を得ていることが分かります。
掲載費用は、地方紙と全国紙の違いや新聞社によって、さらに広告枠のページや大きさでも大きく異なり、数万円台〜数百万円台が見込まれます。
参考:総務省|令和3年版 情報通信白書|メディアに対する信頼
SP(セールスプロモーション)媒体
SP(セールスプロモーション)媒体とは、消費者の購買意欲を高め、購入する行動へと促す販売促進手段のことをいいます。チラシや交通広告、旗をはじめとしたツールが主なもので、マス媒体とインターネット媒体以外の販促ツールと考えるとわかりやすいでしょう。
交通広告
交通広告は、消費者の行動や生活において利用される公共交通機関や関連する施設のスペースを活用した広告媒体です。電車やバスなどの乗り物から、駅構内などが対象となり、掲載できる広告のサイズや種類も多岐にわたります。
例えば電車広告は、車内の中吊りポスターやドア横ポスター、ステッカー広告などのように掲載場所がさまざまあり、さらに路線や掲載時期などでも大幅に掲載費用は異なります。掲載費用がもっとも高額になるとされる、東京の山手線を例とすると、中吊りポスターはB3サイズを山手線単線に7日間の掲載で217万円、ドアガラスステッカーは首都圏全線1カ月間掲載で900万円です。路線や掲載期間で金額は異なり、さらに製作費用が別途必要となります。
チラシ広告
チラシ広告は、新聞折り込み広告、フリーペーパー折り込み広告、定期的に送付される商品カタログや会員誌などにチラシが同封されている同封同梱広告、ポスティング広告が主なものとなります。
新聞やフリーペーパーは、世帯や年齢といったターゲットが紙面によって異なり、商品カタログや会員誌はその内容によりターゲットはさらに絞られます。反対にポスティングはターゲットを特定せずより多くの世帯に配布したい場合に向いています。このことから、チラシ広告はその特性によって用途やメリットが大きく異なるため、内容に合わせた使い分けが必要です。
掲載費用の相場は、新聞折り込みが一部3〜4円、フリーペーパー折り込みは2〜4円台同封広告は6円〜、ポスティングは配布方法によって3〜10円台など、費用も用途によって異なります。
チラシ広告の種類や特徴について詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
デジタルサイネージ
店頭や公共交通機関など、近年さまざまな場所で目にするようになったデジタルサイネージは、ディスプレイ画面など電子機器を用いた情報発信メディアの総称のことです。
デジタルサイネージの導入費用は、ディスプレイにかかる費用やコンテンツの制作費など細かくわかれています。一般的なデジタルサイネージの導入費用としては、下記の通りです。
- ディスプレイ費用:屋内用10万円〜20万円、屋外用20万円〜40万円
- STB・CMS(動作確認や再生に必要な機器):各1万円〜
- コンテンツ製作費用:2万円台〜10万円台など
- 工事費用別途
さらに、ディスプレイはタッチパネル式にするとさらに高額になるなど、さまざまな金額設定があります。用途や必要に応じて調べてみるとよいでしょう。また、駅で使用するデジタルサイネージの場合、日数や秒数で金額設定されている場合もあるなど、どこで広告を出すかによっても費用形態はさまざまです。出稿場所や期間などから具体的に調べてみましょう。
タクシー広告
タクシー広告とは、タクシー内に広告を配置して、タクシーの乗客に目に留めてもらい宣伝する販促方法です。乗車時間内に見てもらう必要があるため、伝えたい内容を理解し共感してもらうことが目的となります。
掲載費用は契約期間や契約する台数によって異なりますが、1台につき1,000円台〜が相場とされています。
フリーペーパー
フリーペーパーは、無料で配布される印刷物の総称として使われることが多く、駅やコンビニなどの設置スタンドに置かれて配布されるものや、ポスティングで各家庭に届けられるものなどがあります。地域や生活に関係した情報が掲載され、1枚の紙から、冊子になっているものなど、形状もさまざまです。
フリーペーパー自体がターゲットとしている層や特集内容などと、広告主がアピールしたい商品やサービスが合致すれば、反響が期待できる媒体といえます。
フリーペーパーにかかる費用については、配布方法や発行部数、紙のサイズから仕様まで、内容によって変動します。印刷会社などに印刷を依頼する場合は、部数が多いほど1枚あたりの単価が下がる場合があります。
看板・旗
看板とは、屋号や商品名を記して屋外に設置するものです。初期費用がかかるものの、一度設置すれば長期間その場を通り過ぎる人に宣伝を続けられるというメリットがあります。デザインの工夫次第では目に留まる確率も高まり、繰り返し目にすることで記憶に残ることができれば、来店の促進に繋がります。
店頭に設置する旗も、店名やアピールしたい商品名などを記載できる販促ツールです。出し入れや設置が手軽にでき、収納にも比較的場所を選ばないため、時期や商品に合わせてストックを用意しておき、好きなように付け替えるといったこともできます。
インターネット媒体
インターネット利用者の増加に伴い、広告媒体として主流となったといえるインターネット媒体は、どのような種類があるのでしょうか。ここでは、インターネット媒体の具体例を6つご紹介します。
リスティング広告
リスティング広告とは、Google 広告やYahoo!広告に代表されるように、特定の検索キーワードに合わせて表示される広告です。アピールしたい商品や販促内容に合わせて検索キーワードを設定できるため、ターゲットを絞って決めることができます。
また、広告をクリックされたときに初めて費用が発生する仕組みになっていることや、広告の出稿が1,000円から始められることから、始めやすく費用対効果も高くなりやすい広告媒体といえるでしょう。
リスティング広告について詳しくはこちらをご覧ください。
バナー広告(ディスプレイ広告)
バナー広告とはディスプレイ広告とも呼ばれ、WEBサイト内の広告枠をはじめとしたさまざまな場所に画像形式で表示できる広告のことです。写真やイラスト、文字はもちろん、動画形式でも表示できるため、視覚的なアピールがしやすいことが特徴です。
販促内容や訴求したいターゲットに応じてデザインや出稿先を工夫すれば、広告効果を期待することができるでしょう。
掲載費用は掲載するウェブサイトや設置する場所によって異なります。Yahoo!のディスプレイ広告でも10万円〜のものもあれば、1000万円〜というものもあるので、「○○(掲載場所) バナー広告 掲載費用」のように、実際に検索サイトで調べてみるのがおすすめです。
メール広告
メール広告とは、メールを利用して配信される広告のことです。メールマガジンのように、既存の配信コンテンツ内に広告挿入する形式や、メールの内容が全て広告になっているものなどがあります。
メールが伝達手段の主流であった頃に多く活用された広告媒体です。SNSなどが普及し、メールを普段の生活でほとんど使用しないという人も出てきているので、訴求内容やターゲット層に見合っているかを見極める必要があります。
メールの本文は、絵文字などの装飾がないテキスト形式と、文字色や背景色などがある程度自由に設定できるHTML形式があり、ターゲットや内容にあわせて見た目を変えることができます。いずれも文章で訴求することがメインとなるため、アピールしたい商品やサービスの情報をを詳しく伝えることができます。もともとメールマガジンに登録している利用者への配信の場合は、興味関心を絞った訴求も可能でしょう。
「メルマガ配信システム」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
動画広告
動画広告とは、YouTubeなどの動画配信サービスをはじめとしたさまざまな広告枠において、動画形式で表示させる広告です。視覚と聴覚に訴求できる動画形式で配信することによって、観る人に内容が伝わりやすく、テレビCMなどと同様の訴求効果を期待することができます。
ただし、動画広告の再生から数秒後にスキップを選択できる機能があったり、プラットフォームの有料プランで広告を除外するサービスがあったりと、広告が正常に見てもらえない場合があります。また、そのような機能があることや、ユーザーにとっては求めているコンテンツを視聴する前や途中に広告が差し込まれることから、広告に対して悪い印象を持たれてしまう可能性もあります。
スキップされるまでの短い時間で興味を惹いたり、ユーザーの求めるコンテンツの合間に表示されても悪い印象を持たれないような内容にしたりと、工夫をこらせるかどうかが広告効果にも影響します。
アフィリエイト広告
アフェリエイト広告とは、インターネット上で掲載される広告の1つです。広告主はさまざまな媒体を通して広告を掲載でき、その広告を由来とした成果(成約やお問い合わせの送信など)があった場合に、報酬を支払う費用が発生します。そのため「成果報酬型広告」と呼ばれており、広告の掲載やただ広告をクリックをされるだけなど、成果として設定していないアクションが起きただけでは費用が発生しないことが特徴です。
広告主が直接、媒体に広告掲載の提案を行う方法もありますが、代理店やASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)と呼ばれるサービスを利用することもできます。ASPを利用する場合、広告主はASPに広告を出稿し、アフィリエイト広告を掲載したいと思っているサイトやブログの運営者は、出稿された広告からすきなものを選び自身の媒体に掲載することができます。
広告主にとっては自らが定めた成果の定義や報酬額を成果が発生した時のみ支払うことになるため、費用対効果を見込める広告と言えるでしょう。
SNS広告
SNS広告とは、ソーシャルメディアに掲載する広告のことです。FacebookやX(旧Twitter)など、それぞれのプラットフォームが持つ特徴やユーザーの年齢層などに合わせてターゲットを絞り込むことができます。SNSでは、投稿が拡散されたり広く閲覧されたりする仕組みがあるため、内容や見せ方を工夫すれば、多くのターゲットユーザーに情報を届けることができます。
SNSは、それぞれユーザーの特徴やサービスの使い方などが大きく異なることや、あたらしいプラットフォームが誕生したり既存のサービスがアップデートされたりと、変化の多い業界のため、状況や流行を見極めることが大切です。
結局どれがよいの?広告媒体の選び方とは
「マス媒体」「SP(セールスプロモーション)媒体」、「インターネット媒体」と3種類に分かれ、さらにそれぞれ細かい広告媒体がある中で、結局どれがもっとも効果の高いものだといえるのでしょうか。
どの広告媒体にもいえるのは、目的を明確にすることです。具体的には、幅広く知ってもらいたい場合にはマス媒体や交通広告、チラシが向いており、商品購入や会員登録など直接的に訴求したい場合はインターネット媒体を使ってターゲットを絞るのが向いています。また、通りすがりの人や特定のエリアなど身近なターゲットへ向けて訴求したい場合には、看板や旗といったアナログ媒体の方が効果を見込めるといえます。
商品の宣伝や企業の紹介などアピールしたいものと、どのような手段が相性がいいか、よく調べ見極めることが必要といえるでしょう。
まとめ
今回は、商品の宣伝や企業の紹介などの広告内容を消費者に伝えるための手段である広告媒体について紹介しました。
さまざまなメディアが登場したことで、どの手法が向いているのか選びにくいと思いがちですが、そのことでむしろ利用者層や訴求方法を具体化できるようになったことが現在の広告媒体の大きなメリットといえます。より多くの反響を得られるような媒体を吟味してみてはいかがでしょうか。
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