販促のツールとして、メルマガ配信を行っている企業は多いでしょう。しかしメルマガの効果を高めるには、ただなんとなくメールを配信するのではなく、開封率やクリック率などの反応をチェックしながら、分析と改善を行わなければなりません。
当記事ではメルマガの開封率を上げるポイントや調べ方などを解説します。
目次
メルマガにおける「開封率」とは何か
メールマガジンにおいて開封率とは、「メルマガを配信した対象ユーザーの内、何割が開封したか」を表します。つまり「どの程度の人がそのメルマガに興味を持ち読んでくれたのか」が分かる指標です。
そもそもメルマガは、顧客との関係性を強化することを主目的として行われることが多いツールです。メールの配信によって顧客と接点を持ち、配信内容を通して見込み顧客との結びつきを深めていきます。開封率は、現状の顧客との関係性がどの程度かを測るうえでも必要になります。
メルマガをより効果的に運用していくには、まず開封率の算出方法を知る必要があります。また、開封率の平均値や業界別の平均メルマガ開封率を知っておけば、目標値も設定しやすいでしょう。
メルマガの開封率を算出する方法
メルマガの開封率は次の数式によって算出します。
- (開封数÷メール到達数)×100%
例えば、メールが到達した数が4,000件だとして、メールを開封された数が200件だった場合、計算式は「(200÷4,000)×100%」となり開封率は5%となります。
開封数は、メルマガ内にある画像の表示有無によって計測されます。よって開封された画像の読み込みを途中で停止したり、特定の形式で受信をしていなかったりする場合には開封数としてカウントされない可能性があります。
よって、メルマガの開封率は算出された値よりも少し高めになる可能性があり、算出値はあくまでも目安として捉えておくのがよいでしょう。
メルマガの開封率の平均値
世界に50万社の利用実績を持つ「Benchmark Email」の2023年の集計データを参考にすると、メルマガの開封率は22%前後が平均値とされています。また業界別で見た場合のメルマガ開封率の例は次のとおりです。
- NPO/行政サービス・・・約32.65%
- 小売/消費サービス・・・約24.28%
- 観光/エンターテイメント他・・・約27.59%
- 不動産・・・約26.65%
- 広告/マーケティング他・・・約26.41%
- 医療・・・約28.14%
- 建築・建設・・・約16.86%
- フィットネス・・・約24.46%
開封率が高めの業種では平均を大きく上回り30%前後になるところもあれば、10%代の業種もあります。業種の違いだけでも開封率には大きな差があることから、取り扱っているサービスや商品、配信内容によって適した開封率の目安も異なると言えるでしょう。
参考:メルマガ平均開封率レポート【2024年版】 – Benchmark Email
メルマガの開封率を上げるためには分析が重要
メルマガの開封率アップを目指すには、「KPIの設定」と「PDCAの活用」の2点が重要になります。
KPIとは「Key Performance Indicator(キーパフォーマンスインジケーター)」の略称で、ゴールに向かうまでの達成状況を定点的に観測するための指標です。重要業績評価指標とも呼ばれます。メルマガでいえば、開封率や到達率、クリック率、コンバージョン率の4項目などがKPIとして考えられます。それぞれの項目でどの程度の数値を目指すのかという目標を定めることが「KPIの設定」であり、効果測定はそのKPIに対してどれだけ達成できているかを基準に行います。
もう1つの「PDCA」とは、「PLAN(計画)→DO(実行)→CHECK(評価)→ACTION(改善)」の頭文字を取った言葉で、分析と改善のサイクルを繰り返し施策の効果を高めていく手法のことです。このPDCAサイクルを用いた改善を継続することにより、メルマガの品質アップに繋がります。配信結果を分析して課題点を抽出し、その課題を解決する施策を続けながら決められた時点で評価をしましょう。
メルマガの開封率を上げる具体的なポイント
メルマガの開封率を上げるためには、内容の作り方や見せ方についてのポイントを正しく押さえることが大事です。効率的に開封率アップを目指せるように、どのようなことに気を付けてメルマガ制作を行えばよいのか見ていきましょう。
読者に価値のある情報を記載
メルマガの開封率と読者の当事者意識は大きく関係しており、読者の興味を惹くような価値ある情報を提供しなければなりません。
例えば、顧客の購買履歴やサイトへのアクセス情報などを参考にメルマガを作成すれば、顧客に「自分に関係する内容だ」と思ってもらいやすくなるでしょう。やみくもに文章やタイトルを考えるのではなく、まずはターゲットを明確にし、読者視点に立って内容を考える事が大事です。
開封したくなる件名をつける
読者がメール一覧を見た際、思わずメールを開きたくなるような件名にするのもポイントの1つです。メールが届く数には個人差があるものの、数件以上のメールが溜まっている状態では、より目立ち読者にアピールできる事が重要です。具体的な方法は以下の4つです。
件名の文字数は20文字程度にする
メルマガの件名は表示文字数の制限の観点からも20文字前後に収めましょう。メルマガのチェックをスマホで行う場合、パソコンに比べて画面サイズが狭く、一度に表示できる文字数は多くありません。
何を伝えるメルマガなのかを的確に伝えるためにも、件名は20文字前後として情報を簡潔にまとめましょう。
重要なことは冒頭に記載する
メルマガは必ずしも読む必要がないものと認識される場合も多く、他のメールに比べて優先度を低くされがちです。
メルマガを開いた読者に少しでも興味をもってもらうためには、最初に見る冒頭文に重要なことを記載して、インパクトを与える必要があります。
具体的な言葉や数字を記載する
件名の具体性も重要な要素の1つで、具体的な言葉や数字を使うことでよりユーザーの興味をひける可能性があります。
例えば「自動車特集」よりも「ドイツの車特集」と具体的に表したほうが、ストレートに内容を伝えられ特定のターゲットに訴求ができます。他にも「お安く提供!」という表現よりも「今なら30%オフ!」と具体的に数字で記載すると、実際にどの程度お得なのかが明確になります。
キラーワードを使ってアプローチする
キラーワードとは殺し文句とも呼ばれ、相手の心を掴む表現方法です。「限定」や「話題」などの単語がキラーワードに分類されており、これらの単語を使えば読者に対して印象を残しやすく、効果的なアプローチが期待できます。
特に新商品や話題商品などはキラーワードとの相性がよく、開封率も上がりやすいので活用してみてください。
開封されやすい時間帯や曜日を狙い配信する
メルマガは読者の手が空きやすい日時を狙って配信すると開封されやすいです。メルマガを配信するターゲットがメールをチェックするであろう時間帯や曜日を考えてみるとよいでしょう。例えば、主婦をターゲットにしている場合、家事がある程度落ち着く12~13時頃が目安になります。一方、ビジネスマンのプライベート向けの配信であれば帰宅時間や休憩時間などを狙うと効果が期待できます。
また、メルマガを配信する日時を一定の時間帯や曜日に固定しておくと、ユーザーが「毎週水曜日にこのメールが来る」と認識してメルマガのチェックが習慣化され、開封率が上がりやすくなるといわれています。
ターゲットの属性によってメルマガの配信に適した時間帯や曜日は異なるので、まずはどのようなターゲットを想定したメルマガなのかを考えることが大切です。ユーザーのライフスタイルを想像してより効果の出る配信日時を探りましょう。
配信頻度と配信リストを定期的に見直す
開封されやすい日時に配信すれば必ずしも開封率が上がるわけではありません。ターゲットを分析し、配信の頻度も調整する必要があります。
例えば、最新の情報を常に求めている読者であれば毎日配信でも問題ないかもしれませんが、少し興味がある程度の読者に対しては、毎日配信は頻度として多い可能性があります。最悪の場合、配信停止にもつながりかねません。ターゲット層や情報の質、配信する意図などを意識したうえで、適切な配信頻度に調整しましょう。
また、ユーザーによってはメールを受信しているものの迷惑メールに設定しているケースもあります。配信母数としてカウントされるにもかかわらずメールは開封されないため、正確な開封率が測れなくなってしまいます。加えて、迷惑メールに登録されている状態が継続したり増えたりすると、サーバー側にメルマガ自体が迷惑メールであると判断されてしまう可能性もあります。メルマガを届けたい人に対しても迷惑メール判定になってしまうことを防ぐためにも、定期的にリストを見直して非アクティブなユーザーへの配信頻度を変えるなど、必要に応じた対応を考えましょう。
メルマガの開封率の分析方法
メルマガの開封率を分析するには、主に「メール配信システム」の機能を使う方法と「Google Analytics」を活用する方法があります。Google Analyticsについてはどちらかといえばサイト分析のツールとして有名ですが、メルマガの開封率の分析にも利用可能です。
ここではメルマガの開封率を分析する2つのツールにおけるそれぞれの特徴を見ていきましょう。
メール配信システムを使う
複雑な設定に不安を感じる方はメール配信システムの利用がおすすめです。HTML作成エディタを利用すれば簡単にHTMLメールを作成できる他、複雑な設定を要することなく開封率を把握できます。
ITに関する知識があまり無い方でもすぐに利用しやすく、Google Analyticsでの設定が難しいと感じたら、メール配信システムへ切り替えを検討してみましょう。
Google Analyticsを使う
前述のとおり、サイトやブログ運営で多く利用されているGoogle Analyticsはメルマガ開封率の分析にも使用できます。メルマガに掲載している画像に「Measurement Protocolタグ」を設置すれば、Google Analyticsの合計イベント数から確認可能です。
しかしHTMLメールの使用が条件であることとMeasurement Protocolタグの生成には「Google Hit Builder」という別のツールを使用しなければなりません。以上の点から設定が複雑なため、難しく感じる方も多い方法といえるでしょう。
まとめ
メルマガの開封率を上げるには開封率を算出し、現状分析と改善を繰り返し実施する必要があります。
メルマガを効果的に活用するためにも、開封率の算出方法やKPI、PDCAサイクルについてもしっかりと理解しておきましょう。メルマガの基本は読者に価値のある情報が提供できるかどうかです。
メルマガの開封率ばかりを意識して読者への配慮を忘れないようにしましょう。
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