ダイレクトメール(DM)は、企業やお店が顧客への販促を行う目的などで活用されるツールです。メールやハガキなどさまざまな形態がありますが、それぞれ効果を高めるうえで重要なのが「開封率」という指標です。
ダイレクトメールで紹介する商品やサービスがどれだけ優れていても、その内容がうまく伝わらなかったりそもそも読んでもらえなかったりすれば、その後のアクションには繋がりません。見た目やデザイン、文章などさまざまな要素によって開封率や得られる効果は変化するため、いかに「興味を持ってもらえる内容にできるか」が重要です。
本記事では、ダイレクトメールの種類を始め、作り方の手順や開封率を上げるポイント、送付時の注意点などについて詳しく紹介します。
目次
ダイレクトメール(DM)の種類
- 郵便はがき
- 封筒
- 電子メール
- サンプル入りDM
ダイレクトメール(DM)にはいくつかの種類があります。種類ごとの用途の違いやポイントを理解することで、ダイレクトメールをより効果的に活用できます。ここでは、4つの種類について、詳しくみていきましょう。
郵便はがき
郵便はがきは多種多様な形状があり、さらには手軽に導入しやすいのが特徴です。ハガキはそれ自体に訴求内容が印刷されるため、顧客にとっては開封の手間がなく、手に取ったそのタイミングで情報が目に入ります。
郵便はがきの種類は「定形はがき」「返信用はがき付き」「圧着ハガキ」「レター」などさまざまで、求める結果に合わせて使い分けることで、より効果的なアプローチを引き出せます。
封筒
封筒に入れて送るダイレクトメールは、チラシやカタログ、リーフレットなどを送付できます。封筒は封入できる情報量が多く、さまざまな商品やサービスを同時に紹介可能です。
また、封筒に入れることで中身が見えないのが特徴で、ハガキなどに比べてプライバシー保護の観点でも優れています。しかし、他のダイレクトメールと比べるとコストが割高になる点には注意しましょう。
電子メール
電子メールは、顧客のメールアドレス宛てに、商品やサービスの情報を送付する方法です。コストも安価で、大量のメールを一斉に送れる特徴から、キャンペーン案内などの告知に向いています。
また、メール内にリンクを貼って、企業のホームページへ誘導することも可能です。ただし、電子メールによるダイレクトメールは、迷惑メールとして削除されるケースも多いため、メールの開封を促すような工夫が必要となるでしょう。
サンプル入りDM
サンプル入りDMとは、美容関係商品や食品のサンプルを送るタイプのダイレクトメールで、開封率の高さが特徴です。商品やサービスの購入前に「まずは試してみたい」「効果があれば買いたい」と考える顧客に対してアプローチすることで、「購入」に移るための後押しとなる可能性が高いツールです。
ダイレクトメールを作る際の4つの手順
- 目的とコンセプトを決める
- レイアウトを決める
- まとまった文章を考えて作成
- 作成したものを音読して最終確認
いざダイレクトメールを作るとなった際、その「作り方」がわからず、頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。郵便はがきや封筒、電子メールなどの種類はさまざまですが、作り方には共通した手順が存在します。
そこで、ダイレクトメールの作り方の手順を4つに分け、それぞれの内容を詳しく解説します。
1.目的とコンセプトを決める
ダイレクトメールを作る際はまず「送る目的」と「コンセプト」を決めます。主な目的として、次のようなものが挙げられるでしょう。
- 既存顧客の掘り起こし
- 新規顧客の集客
- 新商品の告知
- キャンペーンの告知
- イベントの告知
- セール情報の告知
これらの目的によって、ダイレクトメールで伝えたい内容やターゲットも変わります。「誰に」や「何を」といった伝える内容を明確にし、具体的に突き詰めるようにしましょう。
たとえば、「地域密着型の洋食店で、価格は高単価。これまでディナーのみで対応していたが、今後はリーズナブルかつボリューミーなランチを始めて、サラリーマンを取り込みたい」というコンセプトがあったとします。
この場合の「誰に」はサラリーマン、「何を」はリーズナブルかつボリューミーなランチです。よってサラリーマンの目を惹くようなデザインを考え、ランチメニューの写真と価格は特にアピールするほうがよいでしょう。
このようにコンセプトが明確になれば、ダイレクトメールの意図が明確になり、相手の心をつかむことのできる内容も考えられるようになります。
2.レイアウトを決める
ダイレクトメールにおけるレイアウトは、詳しく読んでもらえるかどうかの基準といっても過言ではありません。
「ダイレクトメールを作るこの機会に、できるだけ多くの情報を掲載したい」と考える方も多いでしょう。しかし、あまりにも情報を詰め込み過ぎると、返って伝えたい内容が薄まり、何を伝えたいかがわからないダイレクトメールとなりかねません。記載する内容を取捨選択し、本当に伝えたい内容が目立つようなレイアウトを心がけてみてください。
また、写真を選ぶ際は、顧客がその商品やサービスから得られる効果やメリットをイメージしやすくなるようなものを選びましょう。
以下の記事では、チラシにおけるレイアウトやデザインのコツを詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。
3.まとまった文章を考えて作成する
ダイレクトメールに掲載できる情報には限りがあり、シンプルかつ、まとまった文章を考える必要があります。
長文にならないように、相手の興味関心やメリットをしっかりと整理して書くようにしましょう。具体的には、文の冒頭に「こちらが伝えたいこと」ではなく、「お客様が興味を持つこと」を記載することで、印象強い文章となります。
また、あまりにも専門的な情報や専門用語を多用した文章は、顧客の心にうまく響かない可能性があります。機能や性能、特徴などをただ書くのではではなく、その商品やサービスから顧客が得られる「変化」「メリット」「利益」などを、具体的に記載してみてください。
4.作成したものを音読して最終確認
ダイレクトメールの文章が完成したら、音読をして最終の確認を行ってみてください。音読によって違和感を感じたり、修正点がわかったりします。
特に文章の「語尾」には注意が必要です。「〜です」や「〜ます」が連続して2回以上続く場合は、重複を解消することで、文章にリズムが生まれます。また、音読時に意味が通らない箇所があれば、修正を加えましょう。
さらに、音読後はすぐに送付せず、一晩寝かせてみてください。時間を空けてから再度確認すると、新たな修正点に気付ける可能性があります。
このように、確認を重ねるほどに文章の質が高まり、その結果として、効果の高いダイレクトメールとなるのです。
開封率が上がるダイレクトメールを作るポイント
開封率とは、送付したダイレクトメールをどの程度の割合のお客様が開封したかを表した指標です。開封率が高いダイレクトメールには、いくつかの共通するポイントが存在します。
ただやみくもにダイレクトメールを作成しても、なかなか成果にはつながらないでしょう。お客様が「見たい!」と感じるダイレクトメールにするためのポイントを詳しくご紹介します。
ターゲットを絞って作る
ダイレクトメールは不特定多数に送るよりも、ターゲットを絞り、そのターゲットの興味に沿った情報を提供するほうが開封率は上がります。つまり、ターゲットのニーズに対し、自社の商品やサービスをどう伝えるかで、結果が左右するのです。
お客様の「欲しい情報」「悩み」を明確にし、自社の商品やサービスでどう解決できるのか明示しましょう。その際のコツとして「たった一人に向けて訴える」ことが重要です。
大量に送付するダイレクトメールでは、つい全員に向けて訴求しがちで、文章にも「すべての方へ」や「皆様へ」と書いているケースがあります。しかし、それでは誰に対してのメッセージかがぼやけてしまい、誰にも刺さらない内容となりかねません。
訴求するターゲットの顧客像を絞り、「1年以上ご利用いただいたあなたへ」や「そろそろマイホームをお考えの30代パパへ」といった形で、話しかけるようにしてみてください。
魅力的なキャッチコピーを考える
ダイレクトメールの開封率には、キャッチコピーも大きく影響します。ダイレクトメールの顔ともいえるキャッチコピーで顧客の興味を引ければ、開封率も高まることが期待できます。一方で、顧客が魅力を感じないキャッチコピーのダイレクトメールでは興味を持ってもらうことも難しくなり、開封されることなくその場で捨てられる可能性があります。
思わず読みたくなるキャッチコピーにするには、次の3つの要素を含めてみてください。
- 何を(商品やサービス)
- どのような(特徴)
- なぜ(なぜお客様に必要なのか)
これらを含めて、商品の魅力が伝わるキャッチコピーにしましょう。
顧客への特別感を演出する
ダイレクトメールを受け取った顧客に向けて、特別感を演出するのも有効です。そのポイントとして、文章の主語を「読み手」にしてみてください。
つまり、「私」「我が社」「弊社」ではなく、「あなた」「お客様」などにします。顧客への特別感を演出するための例文は次のとおりです。
- お客様だけにしか届かない特別なご案内です。
- 限られたお客様だけに、ひと足早くお知らせします。
- ご愛顧いただいているあなた様だけに、当案内は届いております。
また、手書きのダイレクトメールも特別感を与えます。誕生日や記念日などの特別な日に送る場合は、全文ではなくとも、手書きの一文を添えるだけで特別感を演出できるでしょう。
送付時期を見極めて送る
ダイレクトメールの送付時期も、開封率に大きく影響します。特にリピーターになる可能性の高い顧客向けのダイレクトメールは、再購入や再申し込みをしたいと感じる時期を見極め、送付する必要があります。
たとえば商品を買い足す時期や新規サービスの開始時期などは、リピートする絶好のタイミングです。お客様がどのような行動をとるかを予測し、適切な送付時期に送るようにしましょう。
覚えておきたいダイレクトメール送付の注意点
ダイレクトメールは、記載内容や送り方などによって法律に触れるケースもあり、施策として取り入れる際は事前によく確認しておく必要があります。
「知らない間に違法行為をしていた」といった事態を防ぐためにも、ダイレクトメール送付の注意点として、覚えておきたい2つのポイントをご紹介します。
法律に関する知識を身につけておく
ダイレクトメールに関する法律は、大きく分けて「内容」「送付先」「送付方法」「電子メール関連」の4つに分類されます。それぞれに関連する具体的な法律は、次のとおりです。
- 内容:著作権法、肖像権など
- 送付先:個人情報保護法など
- 送付方法:郵便法、信書便法など
- 電子メール関連:特定電子メール法など
ダイレクトメールに関連するこれらの法律に触れないよう、慎重な作成や管理が求められます。それぞれ法律の内容や違反の基準が異なりますが、次の4項目については必ず確認しましょう。
- ダイレクトメールを個人宛に送付する際、相手からの事前了承を得ているか。
- 他人の写真や文章などを掲載する場合に許可を得ているか。
- 郵便法や信書便法で認められたサービスを利用しているか。
- 相手からの送付停止希望に対して、対応できているか。
これらの項目については守ることで、いつのまにか法律に違反していたといった事態は大方防ぐことが可能です。定められたルールに沿って、正しくダイレクトメールを活用しましょう。
参考:ダイレクトメール送付で守るべき法律とは?内容から送り方まで全解説
個人情報の取り扱いに気をつける
前述の関連法律にあわせ、個人情報の取り扱いにも十分に注意しましょう。個人情報とは「個人に関する情報である」「「特定の個人を識別できる」の2点に該当する情報のことで、具体的な項目は次のとおりです。
- 氏名
- 住所
- 生年月日
- 性別
- 電話番号
- 会員ID
- 会員番号
- メールアドレス
- 購入履歴など
個人情報の内容は「個人情報保護法」という法律に沿って定められています。個人情報保護法とは、主に個人情報を取り扱う民間事業者の守るべき義務などを定める法律です。行政のホームページなどでよく確認し、ダイレクトメールの施策で扱う情報に問題が無いかを事前にチェックしておきましょう。
まとめ
より効果的なダイレクトメールを作るには、正しい手順と作る際のポイントを抑える必要があります。ただし、どのような商品やサービスを宣伝するかによって反応率は異なることから「これが正解」といったパターンは存在しません。
ダイレクトメールの基本は抑えながらも、さまざまな方法を試し、少しづつ改善を加えることで、集客や売上げによい効果を与えられるでしょう。今回ご紹介した内容をもとに、関連する法律などには注意しながらも、ダイレクトメールの効果をぜひ高めてみてください。