「効果的に集客できる方法を知りたい」
「スムーズに売上を伸ばせるような販促方法を実践したい」
このように、販促方法について疑問を抱える飲食店は多いもの。販促にも多種多様な方法がありますが、業種や事業規模、時期や狙っている効果によって選ぶべき販促方法は異なります。飲食店においても、適切な販促をおこなわなければ思ったような効果を得られず、せっかく捻出した費用や時間が無駄になってしまうケースがあるため注意が必要です。
飲食店のビジネスを成長させられるよう、ここでは、目的別に販促の手法について説明するとともに、効果的な販促をおこなうためのコツについて詳しく説明します。
目次
なぜ販促活動を行うのか目的を明確にする
まずは販促を行う目的を整理しましょう。飲食店のほとんどは売上を上げることを目的にしていますが、売上は「新規顧客の売上」と「リピート顧客の売上」の2つに分解することができます。また、新規顧客・リピート顧客の売上は、それぞれの「客数×1回の平均注文額(客単価)」に分解することができます。これらを式にまとめると以下のようになります。
- 売上=(新規顧客数×新規顧客の客単価)+(リピート顧客数×リピート顧客の客単価)
上の式のうち、どの指標を改善させたいのかによって、それに適した販促の手法も変わってきます。ただ「売上を伸ばしたい」という考えだけでは、選ぶべき販促方法を間違えてしまい、求めていた成果が得られなくなる危険性があるので注意が必要です。やみくもに販促を行うのではなく、目的を整理した上で、実施すべき施策を打つようにしましょう。
飲食店の新規客数アップに効果的な販促アイデア6選
飲食店が販促方法を決める場合、「新規顧客を増やしたい」や、「リピーターを増やしたい」といった目的をもとに検討するケースが多いです。新規顧客を増やしたいと考えている飲食店におすすめの販促アイデアとして、以下の6つが挙げられます。
- グルメサイトへの掲載
- Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)への登録
- 立て看板や旗を活用する
- インスタグラムを活用する
- チラシをポスティングする
- デジタルサイネージを導入する
これらの販促にどのような特徴があり、なぜ飲食店における販促として適しているのかを知っておけば、店舗が求める成果を目指して適切な販促方法を選べるようになるはずです。ここからは、飲食店の新規客数アップに効果的な販促アイデアについて、詳しく説明します。
グルメサイトへの掲載
1つ目は、グルメサイトに店舗の情報を掲載する方法。
特に予約が必要となるような客単価の高い飲食店を経営している場合、ユーザーはグルメサイトを通して飲食店を検索・予約する傾向があります。すでに多くのアクティブユーザーを抱えているグルメサイトであれば、時間をかけずに効率的に集客できるでしょう。
ただし、グルメサイトに店舗の情報を掲載するためには、それなりのコストがかかってしまいます。販促にかけられるコストによっては、グルメサイトへ掲載し続けるのが難しくなるかもしれません。掲載費用はグルメサイトごとに違いがあるため、複数のグルメサイトを比較してみるとよいでしょう。
Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)への登録
2つ目は、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)に登録する方法です。
飲食店を探す手段として、グルメサイトの他にもGoogleマップで検索する方法もよく利用されています。Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)に登録しておくことで、ユーザーがGoogleマップを利用した際の画面上に、自分の店舗の情報を表示させることができます。費用をかけずに登録することが可能なため、近隣住民や周辺エリアを訪れた人たちをコストを抑えて呼び込めます。
ただし、Googleマップ上での口コミの評価が低いと、ユーザーからの選択肢から外される可能性があるので注意が必要です。口コミ評価を高めるには、料理や接客を磨くだけでなく、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)に営業時間や休店日などの情報を正確に反映させたり、料理の写真を更新したりといった作業も必要です。周辺に飲食店の多いエリアでは競合他店の情報に埋もれてしまうケースもあるので、自店ならではのアピールポイントが伝わるようにしっかりと対策を講じることが重要です。
立て看板や旗を活用する
3つ目は、立て看板や旗を活用する方法です。
新規顧客を獲得しようと考える場合、いかに通行人の目を引く販促をおこなうかが重要になります。特に、カフェや単価の低いランチの場合、予約をせずにふと気になった店に足を運ぶという人は多いものです。そのため、飲食店の種類やターゲット層にもよりますが、アナログな立て看板や旗は店舗の販促活動としては効果が期待できるツールと言えるでしょう。
インスタグラムを活用する
4つ目は、インスタグラムを活用する方法です。
インスタグラムは、交流や情報発信などさまざまな目的で多くのユーザーが利用しているSNSのひとつですが、検索機能などで飲食店の情報を得るために利用するユーザーもいます。
SNS自体は他にもさまざまなサービスが存在しますが、飲食店においては画像投稿が主体でユーザーに視覚的に訴えかけられるインスタグラムが、より店舗の魅力を伝えやすい点がメリットになります。
必要に応じて画像を加工したり、プロのカメラマンに撮影を依頼して店舗の魅力を最大限に引き出した画像を投稿すれば、競合他店の差別化を図ることもできます。他にも、ハッシュタグ機能を利用してより多くのユーザーに見つけてもらったり、ビジネスモードを使ってインスタグラム上で予約をできるようにすれば、新規顧客の獲得も期待できます。
また、アカウントを通して顧客とダイレクトにコミュニケーションをとることもできるので、運用方法次第では販促活動だけでなく店舗のイメージアップやファンづくりにも活かすことができるでしょう。
チラシをポスティングする
5つ目は、チラシをポスティングする方法です。
チラシポスティングは、メニューや店舗の詳細情報を自由なレイアウトでアピールできるほか、クーポンを添付して来店を促すなどの方法で活用できます。
チラシには、料理の写真などメイン画像を大きく配置してインパクトを与えつつ、ほかの画像は小さく整えて並べるといった、強弱のあるレイアウトを意識しましょう。文字のフォントや色を工夫するだけでも消費者に与える印象が大きく変わるので、店舗のコンセプトが伝わるようなデザインになるよう心がけてみてください。
なお、チラシを配布するエリアは、店舗に集客可能な範囲(商圏)を加味して決定しましょう。店舗の商圏となる範囲は、飲食店のジャンルにも左右されます。カフェのようなジャンルであれば一般的に商圏は徒歩圏内に狭まりますが、単価が高いお店の場合は多少遠くても人が集まる可能性があるため商圏は広くなります。
デジタルサイネージを導入する
6つ目は、デジタルサイネージを導入する方法です。
デジタルサイネージとは、ディスプレイに画像や動画を表示させることによって店舗の情報をアピールする販促方法のことです。ディスプレイに情報を表示するため、紙媒体のポスターのように印刷や張り替えといった手間をかけずに済みます。たくさんの情報を提示できることから、飲食店でも導入されています。
ディスプレイにはメニューだけでなく店内の雰囲気なども映すことによって、新規顧客が入店する心理的なハードルを下げることにも活用できます。導入コストはある程度かかりますが、チラシを配布するためにかかる人件費や印刷費を抑えられ、何度も訴求内容を差し替えられることを考えると、長期的にはコストパフォーマンスの優れた販促方法だといえるでしょう。
飲食店のリピート客数アップに効果的な販促アイデア5選
新規顧客を多く獲得できれば、一時的に売上を伸ばすことが可能です。しかし、新規顧客の開拓にはコストがかかるため、一度来店した新規顧客をいかにリピーターにするかが重要。長期的に飲食店経営を続けるのであれば、リピーターの獲得につながる販促手法を身につけておく必要があります。
ここからは、飲食店のリピート客数アップに効果的な販促アイデアについて、詳しく説明します。
- メンバーズカードやポイントカードを作成する
- ダイレクトメールを送る
- ホームページ・ブログを運営する
- メールマガジンを活用する
- メニュー表をうまく活用する
メンバーズカードやポイントカードを作成する
メンバーズカードやポイントカードはリピーター獲得の販促方法として活用されています。
店舗によって異なりますが、一度利用した顧客に対してメンバーズカードやポイントカードを発行し、その後の来店回数や利用料金ごとに所定のポイントが貯まったり、特典を受けられたりするなどの仕組みがあります。紙製のカード形式のものから、アプリやWEB、SNSなどを使ったデジタル形式のものなど、導入方法もさまざまです。
顧客にとっては、貯まったポイントを会計に利用できたり、スタンプが揃って1品無料でサービスを受けられたりするなど、そのお店に何度も訪れるメリットが発生するため、一度でも利用した顧客に再来店を促せるツールになります。
これらの仕組みをうまく活用するコツは、特典やメリットが得られる最初のハードルを低くしておくことにあります。最初の特典は数回来店する程度で得られるようにしたり、カード発行時に初回だけポイントをプレゼントしたりなど、継続利用するメリットを早い段階で提示しましょう。ただし、あまりにも特典を豪華にしてしまうと、店舗側に残る利益が少なくなってしまうため、バランスを考えながら取り入れることが重要です。
また、メンバーズカードやポイントカードは顧客管理システムにデータを取り込むことによって顧客管理につなげられるというメリットもあります。利用頻度の高い顧客が好みそうな限定メニューを作るなど、顧客情報をもとに今後の販促方法を考えられるため、直接的なリピーター獲得対策として以外にも活用できます。
ダイレクトメールを送る
ダイレクトメールは、会員証などで個人情報を登録した顧客を対象として郵送形式で飲食店の情報をアピールする販促方法。ターゲットを絞って販促をおこなえるため費用を抑えやすく、休眠顧客を掘り起こして再来店を促すきっかけを与えることも可能です。
ただし、ダイレクトメールの送付頻度や内容によっては顧客に迷惑だと感じられることもあるため、内容がターゲットにとって利益になるかをよく考えたうえで活用することが大切です。
ホームページ・ブログを運営する
ホームページやブログの運営も、リピーター獲得の販促活動として活用できます。
ホームページやブログでは、店舗が発信したい情報を自由に記載することができ、新メニューやキャンペーンなどのお得な情報や、店舗の取り組みを紹介するなどといったファンつくりのためのコンテンツなどを顧客に届けることができます。
ホームページを立ち上げずに、ダイレクトメールやポスティングなどを主として販促活動を行う店舗もありますが、顧客が何か情報を知りたいと考えた際に受け皿となるホームページやブログが整備されていなければ、せっかく店名で検索してくれたユーザーに対してアプローチすることができません。お得な情報や店舗の魅力をしっかりと発信するためにも、ホームページやブログの作成・運営は重要だといえます。
なお、すでにホームページやブログを開設していても、検索エンジンで上位に表示されなければ、アクセスしてもらいにくくなります。SEO対策と呼ばれるような、検索順位で上位取得を狙うための対策を施したり、他の施策で利用している媒体にページのURLを載せたりと、顧客ができるだけ見つけやすい仕組み作りを同時に行うことも大切です。
メールマガジンを活用する
メールマガジンは、スマートフォンなどを利用して飲食店への会員登録をおこなった人に対してメール形式で情報提供する販促方法。定期的にイベント情報やクーポンを送付することによって、リピーターを獲得しやすくなるのがメリットです。
しかし、メールアドレスなどの個人情報を登録してもらえなければメールマガジンを送れないのがデメリット。店舗内にいるときに会員登録を済ませてもらうよう促したり、その場で会員登録をすることで特典を受けられる仕組みを設けることで、メールマガジンの登録者数を増やすことができるでしょう。
メニュー表をうまく活用する
メニュー表を活用する方法は、多くの飲食店が取り入れやすい販促手法です。
魅力的なメニュー表を作ることで、新規顧客には料理に対する期待値を上げてもらい、既存顧客には飽きさせないような仕組みを作ることで、顧客満足度を上げてリピーター化を狙います。
「美味しそうだから食べてみたい」と思わせるような写真を掲載したり、店舗の内装やインテリアと調和するようなメニュー表を選ぶなど、コンセプトやターゲットにあわせて工夫をしましょう。提供するメニューが期間などによって変わる場合は、季節に応じたデザインやメニュー表に変えるのも印象に残りやすくなります。
また、文字を羅列するだけでは読みにくかったり、料理のイメージがしにくかったりする場合もあるので注意しましょう。店舗のコンセプトにもよりますが、商品の適切なカテゴリー分けや、文字の大きさや色、フォントもうまく使い分けることで視認性をあげることが大切です。
なお、飲食店ではメニュー表を見て商品を注文することが多いため、そこに添えられている写真や説明書きなどは、直接客単価や売上にも影響します。メニュー表のアピール方法によって売上も左右される可能性があるため、客単価の改善をしたい場合や売り出したい商品をアピールする目的などでも積極的にメニュー表の改善を図りましょう。
飲食店が効果的な販促をするためのコツ
飲食店が効果的な販促をするためには、以下の4つのコツを知っておくことが大切です。
- 年間の販促計画を立てる
- ターゲットを明確にする
- 販促にかける予算を決めておく
- 販促を実施したら効果を検証する
これらのコツを意識して販促をおこなえば、目的とする販促効果を得やすくなり、さらに店舗を成長させられるでしょう。ここからは、飲食店が効果的な販促をするためのコツについて詳しく説明します。
年間の販促計画を立てる
1つ目は、年間の販促計画を立てること。
販促には、平常時から実施するものと、時期によって変えるものがあります。常に実施する販促であれば、頻繁に販促方法を変える必要性は高くないでしょう。しかし、時期によって変える販促の場合、あらかじめ年間の販促計画を立てておけば、スムーズに販促を進めることができます。
たとえば、年末年始であれば、忘年会や新年会といったイベントに焦点を当てた販促をおこない、7月や8月であれば、納涼会やビアガーデンといったイベントに焦点を当てて販促を実施するといった計画を立てることが可能です。イベントの時期が近づいてから慌てて準備していては、中途半端な販促になってしまいかねません。年間計画に沿って余裕を持って販促準備をするよう心がけましょう。
ターゲットを明確にする
2つ目は、ターゲットを明確にすること。
「なるべく幅広い消費者を対象にして飲食店を経営したい」と考える人もいるでしょう。しかし、最近は消費者一人ひとりのニーズが多様化しているため、目立った特徴がなければ集客力を高めるのは難しくなっています。
たとえば、同じラーメン屋でも「地元でしか味わえない素材を活かしたラーメン」や、「女性をターゲットにした低カロリーラーメン」のように、ターゲットを絞り込んだ戦略を考えれば、話題性を高めるとともに来店者数の増加が期待できます。
ただし、明らかに需要の少ないターゲットを対象にしてしまうと思ったような販促効果を得られない危険性があるので注意が必要。事前に地域のニーズを調査したうえで慎重にターゲットを設定することが大切です。
販促にかける予算を決めておく
販促をするためには、ある程度の予算が必要。あらかじめ予算を決めておくことで、予算の範囲内で最大限の効果を得られる販促方法を選べるようになるでしょう。飲食店の販促費用の目安は、売上の5%以内とするのが一般的。つまり、1ヵ月あたりの売上が300万円の場合、販促に充てられる予算は15万円程度ということになります。
ただし、販促費用は、定期的に発生するものだけでなく、イベントごとにまとめて発生するものもあるので注意が必要。計画的に販促費用を使うためには、年間を通して必要な予算を考えておくことが大切です。
販促を実施したら効果を検証する
ただ販促をおこなって満足しているだけでは、高い売上を維持するのは難しいでしょう。そのため、実施する販促ごとに効果を検証することが重要になります。
たとえば、チラシにクーポンを添付したり、メンバーズカードなどで来店日がわかるようにしておくといった方法を取り入れることによって、販促によって来店してもらえたかどうかを確認することが可能です。なるべく正確に検証結果を出すことによって、次回以降の販促方法を考えやすくなるでしょう。
また、多くの施策を実施しても期待通りの集客効果が出なかった場合は、競合店や同じ業界などですでに成功している販促事例を参考にすることも大切です。自社の取り組みと異なる点などを見つけて改善に活かせるほか、新しいアイデアなども得られることがあります。SNSやインターネットなどではさまざまな企業が次々と新しい販促の手法を生み出しているため、常に最新の情報やトレンドを得られるようアンテナを張ることも大切です。
まとめ
ここでは、販促をおこなう目的や、目的ごとにおすすめの販促方法、効果的な販促をするためのコツなどについて説明しました。
競合飲食店との差別化を図るために、オリジナリティのある販促を考えることは重要。しかし、まずは基本的な販促の特徴を抑えたうえで、効果を検証しながら少しずつ販促を実施していくのがよいでしょう。
ここで説明した内容を参考にして、店舗を成長させられるような販促を考えられるようにしておきましょう。