居酒屋の成功には立地選びが重要なポイントのひとつです。自店の居酒屋の業態やコンセプトと照らし合わせながら、ターゲット層や地域性に見合った立地選びをすることで、理想的な集客や収益を得ることにも繋がるでしょう。
今回は、居酒屋を成功させるにはどのような点を重視しながら立地選びを進めていけばよいのか、立地の種類やポイントを紹介します。
居酒屋は立地選びが大切!なぜそんなに重要なのか?
居酒屋を開業する際に重要なポイントのひとつとして立地選びがあげられます。なぜ、立地選びがそれほど重要とされるのでしょうか。
居酒屋の営業時間は夜が中心であり、アルコール類を提供するという、他の飲食店とは異なる特徴を持っています。さらにお店の業態やコンセプトによっても適した立地が異なります。ただ単に利用客を増やしたいというだけであれば、駅前のような人通りの多い場所に出店して、商品を安く提供することで集客を得られることはあるかもしれませんが、利用客の全てが自店の理想に合ったような客層であるとは限りません。集客を得られたものの、滞留時間が長くうまく回転しないなどという事態も予想されるでしょう。
このように集客力だけに目を向けてしまうと、本来求めていた客層をうまく得られないことも考えられます。そのため、自店のコンセプトや業態がどのようなものであるかを照らし合わせながら、どのような立地がふさわしいかを見極めることが重要です。
居酒屋の立地を選ぶ5つのポイント
- 店のコンセプトに合わせた立地か
- 見つけやすい場所にあるか
- 夜の人通りがあるか
- 交通の利便性はどうか
- 土地勘のある立地か
居酒屋の立地を選ぶ際には5つのポイントがあります。具体的に紹介していきます。
①店のコンセプトに合わせた立地か
居酒屋の立地選びの際には、自店のコンセプトに沿って選ぶことが重要なポイントとなります。
自店のコンセプトがビジネスパーソン向けであり、会社帰りの客層を狙いたいというのであれば、オフィス街に近い地域やオフィス街から直結するような駅前を選ぶことで会社帰りの利用客が見込めます。また、隠れ家的に客単価の高い客層に利用してもらいたいのであれば、人通りが多く店舗の家賃が高い場所を避けて、その代わりに価格に見合ったサービスを提供することで、少ない集客であっても固定客を得られる期待は持てるでしょう。
②見つけやすい場所にあるか
居酒屋の利用客全てが常連であるとは限りません。特に駅前などでは出張や観光などで初めて店舗を利用するという顧客の来店も考えられるでしょう。そのため、初めて自店を訪れるという顧客にもわかりやすいように、大通りから視認しやすいというのが理想的な場所の1つと考えられます。また、待ち合わせなどに利用されることも想定して、地図で開いたときに目にとまりやすい場所や目印代わりの建物があることも検討材料にするとよいでしょう。
③夜の人通りがあるか
先にも述べたように、居酒屋は基本的に夜が営業時間の中心になります。そのため、夜の時間帯の人通りの量は事前に把握しておく必要があります。昼間の時間帯はとても賑わっている場所であっても夜になると人の往来がなくなってしまうことも考えられます。また、駅の近くの場所で人通りが多い場所であっても、その人通りのほとんどが寄り道をせず帰宅途中であるかもしれません。
出店を検討している地域が時間帯によって人通りに差があるのかどうか、入念に調べておきましょう。
④交通の利便性はどうか
アルコール類を提供する居酒屋では、利用客がスムーズに帰宅できるように利便性を考える必要があります。駅から近いのであれば、利用客が気軽に立ち寄ってスムーズに帰宅することができますし、大通りから離れた場所であってもタクシーをつかまえやすい位置であれば、顧客にとって時間の無駄にならないため、店舗を利用するきっかけに繋がります。
⑤土地勘のある立地か
居酒屋では利用客が客同士やスタッフとのコミュニケーションを楽しめる場でもあります。そのため、どのような会話にも柔軟に対応できるように、ある程度の土地勘のある立地を選ぶこともポイントです。その地域を初めて訪れた利用客に対しては地域の情報を提供することができ、地元に住む利用客であれば、共通の話題で盛り上がることでリピーター獲得の期待も持てます。
居酒屋の立地条件を決める3つの要素とは?
- 業態
- 収益モデル
- ターゲット
立地選びにはコンセプトや業態によって適した場所が異なるということを先にお話しましたが、具体的にはどのような要素があげられるのでしょうか。居酒屋の立地条件を決める3つの要素を紹介します。
①業態
居酒屋といっても業態はさまざまあり、そのタイプによって適した立地は異なります。客単価を安く抑えて滞在時間も短くしたいという集客重視の業態であれば、人通りが多いことだけに着目して駅の近くや繁華街など人通りの多い立地が向いています。一方で、隠れ家的にゆったりのんびりと滞在してもらいたいのであれば、人通りの少ない裏通りが適していると言えるでしょう。
これらの2つの業態パターンにはメリットとデメリットがあります。駅の近くや繁華街を選ぶ場合は人通りが多いため集客が得やすくなると考えられる一方で家賃が高い場合があります。裏通りを選ぶのであれば家賃は安く済む可能性があるものの、駅前や繁華街のような集客は得られないことも予想できるため、客単価をあげるなどの工夫が必要になるでしょう。
②収益モデル
収益モデルとは、お金の流れに着目した考え方をさします。回転率をあげて高い集客力で売上を獲得するなら駅に近い場所や繁華街が向いていると考えられますし、常連客を獲得して高い客単価で売上を獲得するというのであれば、人通りの少ない場所や駅から離れた住宅街などが考えられるでしょう。
③ターゲット
居酒屋の出店を検討する際に設定したターゲット層も、立地条件には大きな関わりがあります。具体的には、ターゲット層がビジネスパーソン中心であれば仕事帰りに立ち寄れるように駅に近い場所、学生や若年層向けに単価を抑えて気軽に利用してもらいたい場合には学生街や学生が多く住む地域を選ぶということが考えられるでしょう。
ターゲット層に沿った立地を探す際には商圏となる地域の住民の分析が重要です。インターネット上で調べるだけでなく、実際にその場所を訪れて調査をしてみると良いでしょう。
居酒屋の立地の種類
居酒屋の出店に考えられる立地にはそれぞれ特徴があります。最後にそれぞれの地域の種類やメリット・デメリットなどを紹介します。
駅前:家賃は高いが集客力がある
駅前は人通りが多いことが何よりのメリットです。集客力を重視したい場合にはおすすめの場所と言えるでしょう。ただし、場所柄家賃は比較的高額になる傾向があります。また、店舗数も多いことからビルの2階以上や地下に出店する場合には目に止まりやすい場所であるかどうかを考慮する必要もあります。ただし、駅前だからといって集客が必ず見込める訳ではないため、必ず現地調査を行いましょう。
繁華街:安全面に配慮する必要があるが集客力はある
飲食店が多く立ち並ぶ繁華街は高い集客力を得られる反面、駅に近い場所と同様に家賃は高くなりがちです。また、近い範囲で競合店が複数並ぶことも多いため、他店との明確な差別化を図る工夫が重要です。繁華街の中でも日曜や平日になるとぱったりと人通りが少なくなる場所も考えられるため、平日も土日も確実に集客が見込めるかどうかも調べると良いでしょう。
ビジネス街:仕事帰りの会社員が利用しやすい
ビジネス街は仕事帰りに立ち寄ったり歓送迎会などの集まりに利用したりするパターンが考えられます。しかしビジネス街である以上、会社勤めの人が休日になる土日の集客はあまり見込めない可能性もあるため、平日のランチタイムの営業や、低価格にすることで回転数を増やすなどで集客を図る工夫が必要です。
裏通り:人目につきにくいが工夫すれば「隠れた名店」に
大通りから離れた場所にある裏通りは家賃を安く済ませやすいことが何よりのメリットです。反対に大通りほどの集客は見込めないという欠点もあります。それらのメリット・デメリットを最大限に生かして、家賃を抑える代わりにサービスやお酒の質にコストを反映させたり、数名の利用客でゆったりと長く時間を楽しめたりできるような店舗展開にすることで、常連客だけの「隠れた名店」になる可能性もあります。
高級住宅街:意外性がポイント
高級住宅街に居酒屋を出す、という意外性を逆手に取った出店方法も、利用客の目を引くことが期待できます。競合店が少ない可能性があるということもポイントのひとつですが、高級住宅街の住民をターゲットにすることで客単価が高くなることも期待できます。ただし、高級住宅街に見合ったクオリティを求められ、店舗や料理、サービスなど細やかな配慮が必要になる事も視野に入れておきましょう。
学生街:回転数を上げる工夫が必要
学生街では、学生同士やサークルなどの飲み会で利用されることが考えられますが、客単価を低く設定しないと多くの集客を見込めないことがデメリットと言えます。駅等から離れていれば家賃は比較的安く抑えられるというメリットもありますが、集客によって売上アップを図るには工夫が必要になります。料理の提供スピードを上げたり、利用時間を設定した飲み放題プランにして回転数を上げたりするなどで、低い客単価をカバーできるような対策を考えると良いでしょう。また、学生をターゲットとした競合店の出店も考えられるため、明確な差別化を図りリピーター獲得を目指しましょう。
まとめ
今回は、居酒屋を成功させる立地の選び方について、立地の種類や具体的な選定方法を紹介しました。
居酒屋の立地選びでは、どのような業態やコンセプトにするか、どのようなターゲット層を設定しているかを明確にすることが何より重要です。ターゲット層の年齢、利用する時間帯や状況などによって、適した立地は大きく異なるため、立地を間違えることで売上に大きく影響する可能性があります。
また、売上を重視して回転率をあげるあまり、本来理想としてきたサービスが提供できなかったり、求めていた客層とは異なる客層が増えてしまったりということも考えられます。まずは自店がどのような客層でどのような営業を進めていきたいかを明確にして、適切な立地を慎重に検討してみてはいかがでしょうか。
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