レストランや飲食店が安定的に経営をしていくには継続的な「集客」が欠かせません。ただし、集客と一言にいってもさまざまな方法があり「どの方法が自社にマッチするのかわからない」や「多くの手間や時間がかかりそう」といった悩みや不安を抱える経営者や店舗責任者の方もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、レストランの集客において重要な3ステップや集客ツール、無理なく実施できるアイデアなどを紹介します。

レストランの集客で重要な3ステップ

レストランは市場や景気、周辺地域の状況などさまざまな要素から影響を受けます。店舗によって適した集客方法は異なるかもしれませんが、集客を実施するうえでの考え方として、次の3ステップが重要です。

  1. 新規顧客を集客する
  2. 新規顧客の満足度を上げ、リピート促進するための情報を得る
  3. リピーターから固定客に育てる

いずれも安定的なレストラン経営に欠かせない要素ばかりです。それぞれの詳しい内容について解説します。

新規顧客を集客する

レストランに限らず多くの店舗経営において集客ターゲットは「新規顧客」と「リピーター」に分けられ、まずは新規顧客から集客する必要があります。

レストランの存在をお客様に知ってもらうため、さまざまな方法を用いて情報を発信しなければなりません。ただし、ただやみくもに情報を発信しているだけでは、実際の来店までは結びつかない場合もあります。

そこで、他のレストランと比べた場合の強みと弱みを明確にして「なにが違うのか」をお客様に伝えるなどの工夫が必要になります。来店のきっかけとなる「期間限定」や「数量限定」といった今行くべき理由付けも効果的です。

新規顧客の満足度を上げ、リピート促進するための情報を得る

新規顧客を集客したあとは、顧客満足度を高める施策によってリピートを促進します。

レストランで提供する料理の質はもちろんのこと、雰囲気や接客態度、居心地など、リピートを促進する要素はさまざまです。そこで「また次回も利用したい」「次に来るときは誰かを誘ってみよう」と思ってもらえるような施策を考えてみましょう。

例えば、ポイントカードを発行したり、次回に使える割引券を会計時に渡したりといった方法もリピートを促進する有効な方法の1つです。また、アプリやSNSなどの来店を促進するツールの利用もおすすめします。

新顧顧客が友人や家族を連れてリピートしてくれれば、1回あたりの食事単価も高くなります。また、リピーターから周囲の人に店舗が紹介されることによって新たな売上につながることも期待できるでしょう。

リピーターから固定客に育てる

新規顧客の満足度を上げ、リピーターとなったお客様の中から、次は固定客を育てる必要があります。固定客とは、何らかの理由でその店が気に入り、何度も購入してくれるいわばお店のファンのことです。

売上全体のうち8割は顧客の2割から生み出されるとする「パレートの法則」からもわかるように、一般に固定客がレストランにおける利益全体の多くを占めるとされます。そのため、いかに多くの固定客を獲得できるかが、レストラン経営の安定性にも影響する可能性があると言えます。

リピーターから固定客に育てるには、一般的なお客様は知りえない情報を特別に発信したり、会員限定のお得サービスを用意したりといったリピーターを囲い込むための情報発信が必要になるでしょう。

レストランで新規顧客を集客するのに向いている6つのツール

レストランの集客において欠かせないのが「情報発信」です。レストランにおすすめの情報発信ツールの例として、次の6つが挙げられます。

レストランの新規顧客集客ツール
  • Instagram
  • Googleマイビジネス
  • グルメアプリ・サイト
  • ホームページ
  • チラシのポスティング
  • 立て看板

ここでは、ツールごとの特徴や効果について解説します。

Instagram

写真や動画の投稿をメインとするSNSの「Instagram」は、レストランの内外装はもちろんのこと、料理やドリンク、スタッフ、雰囲気など実際に来店しないとわからない魅力を視覚的に伝えやすいツールの1つです。

写真映えする料理やスイーツの写真を掲載することで、Instagramでレストランの情報を探しているユーザーなどに見つけてもらえる可能性があります。また、多くのユーザーに投稿が注目され話題になると、Instagram上での露出が増えることも期待でき、レストランの存在をさらに多くの人に知ってもらうきっかけにもなります。

継続的に投稿や更新を行い、いいねやフォロワー数を獲得しながら新規顧客の獲得につなげましょう。

Googleビジネスプロフィール(旧:Googleマイビジネス)

Googleビジネスプロフィール(旧:Googleマイビジネス)とは、Google検索やGoogleマップの検索結果に店舗の情報を表示できるサービスです。Googleビジネスプロフィールに登録すると「地域名+業種」などで検索したユーザーに対して自社の情報を知らせることができます。

また、ネットマーケティング領域においてさまざまなサービスを展開する「株式会社フルスピード」が2020年8月に行った調査では、Googleマップを利用する「54.5%」の方が飲食店を調べたり、探したりすることを目的にしていると発表しています。

レストラン選びにGoogleマップを活用する人が一定数いるということからも、新規顧客に店舗の存在を認知してもらうためのツールとして、登録を検討してみましょう。

参考:Google マップ利用者へのアンケート調査結果を公開~MEOサービスをリニューアルし提供開始したフルスピードが調査~|株式会社フルスピードのプレスリリース

グルメアプリ・サイト

ホットペッパーグルメや食べログ、ぐるなびなどのグルメアプリやサイトもレストランの認知拡大に活用したいツールです。

飲食店向けの予約・顧客管理システムやポータルサイトなどを提供する「株式会社TableCheck」が2021年4月に行った「グルメサイトに関する意識調査」によると、飲食店を探す人の「7割」がグルメサイトを活用していると発表しています。

また、食の総合メディア「クックビズ総研」を運営する「クックビズ株式会社」が2017年に行った調査では、グルメアプリやサイトを利用する飲食店は全体の「約70%」であると発表しました。さらに、掲載によって売上に変化があったと回答した飲食店は「約71%」にものぼります。

情報の掲載にはコストが生じるものの、飲食店を探す方法として多く利用されるグルメアプリやサイトの活用はレストランの集客方法として有効といえるでしょう。

参考:【第2回グルメサイト意識調査】グルメサイト評価、「信頼しない」飲食店6割。飲食店探しは「Googleマップ」「ウェブ検索」が急増
※テーブルチェック調べ
参考:飲食店の7割が活用!気になるグルメサイト利用実態と口コミの信頼性 | クックビズ総研

ホームページ

レストランの集客方法として、ホームページも有効なツールといえます。提供する料理やドリンク、内外装などの情報を制限なく公開できる点はホームページの大きな魅力といえるでしょう。

さらに、レストランのこだわりや他店との違いを打ち出しやすく、内容次第では商品や企業のイメージアップにつながることも期待できます。

ただし、他の集客ツールと比べて準備や作成に時間とコストがかかる傾向にある点には注意が必要です。無料でホームページの作成や公開できるツールなども多くあるため、ぜひ調べてみてください。

チラシのポスティング

チラシのポスティングもレストランにおける重要な集客ツールの1つです。チラシの配布は店舗の周辺に住む住民からの認知を獲得しやすく、さらにインターネットを利用しない層へのアプローチにも向きます。

不特定多数の多くのユーザーに対して情報を発信するSNSと異なり、ターゲットへダイレクトに情報を伝えられるチラシは、即効性の高い集客方法といえるでしょう。さらに、割引クーポンやプレゼントの引換券などをチラシに付けることで、より集客効果を高められる可能性もあります。

立て看板

立て看板とは、紙や布を枠に貼ったり、板に印刷したりして作成する看板のことです。野立て看板やスタンド看板とも呼ばれます。

立て看板は「どのような料理を提供するレストランか」や「何を強みとしているか」といった点を訴求しやすく、お客様の来店を視覚的に誘導できるのが特徴です。また、「お一人様大歓迎です!」や「本日はまだお席に余裕があります!」などの来店を促すような言葉を添えておくと、入店を悩むお客様の背中を押す効果も期待できます。

レストランでリピーターを集客するのに向いている3つのツール

ここからは、リピートを促進するのに向いた3つの集客ツールを紹介します。

レストランのリピーター集客ツール
  • メールマガジン
  • LINE公式アカウント
  • X(旧Twitter)

いずれも客単価のアップなどに向けたリピーター戦略に活用できます。それぞれの詳しい内容をみていきましょう。

メールマガジン

メールマガジンとは、企業やWebサイトの運営者などが購読希望者に対してメールを利用して情報発信するメール配信形態の1つです。略して「メルマガ」とも呼ばれます。

メールマガジンの特徴は、定期的な配信による顧客接点を維持できる点です。日頃からメールによってレストランの存在を定期的に意識してもらうことで、顧客が「外食を利用したい」と思い立った際に、選択肢に入る可能性が高まります。

また、SNSでは発信しきれないような長文のキャンペーンの情報やクーポンなども紹介しやすいため、お客様を次の行動に導きやすい点も魅力といえるでしょう。さらに、あらかじめ登録した顧客にメルマガを一斉送信できる「メール配信サービス」を利用すれば、年齢や性別、地域といった条件をつけての配信も可能です。

LINE公式アカウント

LINE公式アカウントとは、コミュニケーションアプリの「LINE(ライン)」上で企業や店舗のアカウントを作成し、顧客に対して直接情報を配信できるサービスです。

友だち登録する全ユーザーへの情報配信や予約機能、スタンプカードといった2回目の来店を促す機能が豊富にあります。そのため、新規顧客からリピーターに育成する段階でのアプローチ方法として向いています。

ただし、LINE公式アカウントを活用するにはまず、LINE上でレストランと顧客が友だちになる必要があります。そこで、QRコードを記載したPOPやチラシなどを各テーブルやレジ横などに設置し、待ち時間やお店を出る際に友達登録してもらえるような工夫をしましょう。

X(旧Twitter)

140文字以内の文章を無料で投稿できるX(旧Twitter)も、リピーターの集客に向くツールです。リアルタイムに情報を発信しやすいX(旧Twitter)はキャンペーン情報などの訴求に活用でき、その結果としてお客様がレストランに来店するきっかけをつくれます。

例えば、平日の集客に課題を持つレストランであれば「平日15時まで季節のスイーツを1品プレゼント」といったキャンペーンをフォロワー限定に実施することで、新規顧客からリピーターへのステップアップを促せるかもしれません。

無理なく実施できるレストランの集客アイディア3選

ここまでご紹介した集客ツールについては、コストが発生したり、構築に手間と時間がかかったりと、実施までのハードルが高いと感じる方もいるでしょう。そこで、無理なく実施できるレストランの集客アイディアとして、次の3つを紹介します。

  • キャンペーンを実施する
  • コラボ企画を実施する
  • 閑散期や客数の少ない時間にサービスする

それぞれの詳しい内容について解説します。

キャンペーンを実施する

キャンペーンの実施は大幅な値引きが伴いコスト負担が大きくなると考える方も多いでしょう。しかし、割引の見せ方や景品の内容などを工夫することで、店側には負担の少ないキャンペーンも実施できます。

例えば「全品10%オフ」よりも「お1人1品無料」の方が最終的にはコストをより抑えられる場合もあり、内容次第では顧客にとって直接の割引と同等かそれ以上のインパクトを残せる可能性もあります。

また、これまでメニューの関係上で廃棄扱いになっていたまだ使用できる食材を景品として提供したり、スープを飲み干した方には次回の割引券を渡したりといった食材ロスの低減につながるようなキャンペーンも、無理なく実施できるアイディアの1つといえるでしょう。

コラボ企画を実施する

レストラン以外の業態とのコラボ企画もおすすめです。例えば「雑貨屋」と「レストラン」がコラボし、レストラン内でおしゃれな雑貨を販売することで、これまで獲得できなかった新たな層の顧客獲得を期待できます。また、場所を提供する代わりに、コラボ先との交渉などによって企画にかかる費用を抑えられる可能性もあります。

さらに、店舗同士だけでなく、有名なアーティストやデザイナーとコラボし、それらのファンをターゲットに集客するのも方法の1つです。レストランのこだわりや魅力、強みと組み合わせることで相乗効果を生むコラボ企画がないかもぜひ検討してみてください。

閑散期や客数の少ない時間にサービスする

閑散期や客数の少ない時間といったように、時期や時間を限定したサービス展開も無理なく実施できるアイディアの1つです。時期や時間に制限なく割引サービスを実施してしまうと、売上や利益の圧迫にもつながりかねません。

そこで、もともと集客できていなかった時期や時間を対象にサービスを展開することで、1回あたりの売上は下がったとしても相対的にみれば売上のプラスになる可能性もあります。

平日限定でランチメニューを用意したり、冬季限定でセットメニューを用意したりなど、時期や時間の有効活用を意識したアイディアの考案が重要です。

レストランの集客で注意すべきこと

ここまでご紹介した集客ツールやアイディアの効果を高めるためにも、次の2つの注意点について考慮する必要があります。

  • どんなお客様にきてほしいか考える
  • 入店率があがるよう外観を工夫する

集客に取り組んだものの、思ったほどの効果を得られていない場合、上記の注意点が影響しているかもしれません。それぞれの詳しい内容を解説します。

どんなお客様にきてほしいか考える

レストランや飲食店が集客に取り組む際は、まず「どのようなお客様にきてほしいか」について考える必要があります。

ターゲットとする顧客を明確にしていない状態では、顧客が本当に求めるものを理解することはできません。例えば、日常とは異なる優雅な時間を求めている顧客に、安さを全面に出したランチメニューを訴求しても効果は期待できないでしょう。

お店が提供できる価値と顧客が求めているものを合致させるためにも、店舗で呼び込むべき顧客の特徴を明らかにすることが大切です。

入店率があがるよう外観を工夫する

お店の前を通る人のうち、入店した人数の割合を示す「入店率」があがるような外観の工夫も必要です。

どんなに効果的な情報発信をしても外観が入りづらいと感じるレストランでは入店につながらないかもしれません。そのため、店の外からでもお店の情報が分かるような工夫も重要といえます。

前述の立て看板などは、入店率があがるような外観の工夫に適しています。ターゲットとするお客様の興味を引き、入店率を高めるための施策について考案してみてください。

まとめ

レストランの集客では、まず新規顧客の獲得を狙う必要があります。そして、新規顧客の満足度を上げるような施策によってリピーターへと育成して囲い込むことで、固定客に繋げていくことが重要です。

集客方法としてSNSやメルマガなどの効果的なツールの活用や、無理なく実施できるアイディアとして「キャンペーンの実施」や「コラボ企画の実施」をすることも有効です。

これらのツールや考え方を活かしつつ、来店してほしいお客様を明らかにし、入店率があがるよう外観を工夫することで、集客効果を高めていきましょう。

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