美容院開業における準備として重要なのが店舗の立地決めです。場所を一度選んでしまうと後から変更するのは難しくなるため、後悔のないよう地域の特性や物件の条件などを入念に調査しておきましょう。
今回は、美容院の立地を選ぶときのポイントや手順、注意点などを解説します。開業する美容院の条件を加味しながら、ぜひ店舗の立地選びに役立ててください。
目次
美容院の立地を選ぶポイントは「コンセプト」
美容院の立地選びを行う前に、まずは開業したいサロンの「コンセプト」を固めておくことが重要です。定めたコンセプトを軸にして考えることで、自店舗にあった立地を考えていきましょう。
美容院の立地の良し悪しはコンセプトで変わる
立地が良いか悪いかの基準は、開業する美容院のコンセプトによって変わります。例えば駅に近い場所は、「便利」「通いやすい」といったコンセプトがあるサロンにとって良い立地です。しかし、「落ち着いた空間」や「癒し」をコンセプトにしてるサロンにとっては、喧騒的な駅前は好立地と言えない場合があります。
コンセプトにマッチした立地であれば、ターゲットにしている顧客が足を運びやすくなります。自分の目指している美容院の形がある場合は、コンセプトを明確に先に決めてから立地を選ぶことがおすすめです。出店したい地域がある場合は、立地を決めた後に場所に合ったコンセプトを設定する方法もあります。
美容院のコンセプトの作り方についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
コンセプトが決まればターゲットが絞られる
美容院のコンセプトが明確に決まれば、ターゲットとなる顧客の層も自然と絞られていきます。例えば、トレンドを意識したコンセプトならターゲットは流行に敏感な若い世代に焦点が合いやすく、アットホームさをコンセプトにした場合は主婦や子ども連れの顧客がターゲットになりやすいです。
まずは、コンセプトからイメージを膨らまし、年齢や職業、趣味などターゲットを詳細に設定してみてください。
コンセプトとターゲットから好立地を求める
コンセプトが決まり、具体的なターゲットも定まれば、美容院の方向性に合った好立地が求めやすくなります。メインとなるターゲット層が足を運びやすい場所や時間を考えながら出店するエリアを絞っていきましょう。
働く女性がターゲットなら駅からアクセスのしやすい立地、主婦層がターゲットなら住宅街や商店街の近くの立地など、顧客の生活の目線に立って行きやすい場所を考えることが重要です。
美容院の立地を選ぶ4つの手順
- 立地や物件に掛けられるコストを明確にする
- ターゲット層が多い地域を探す
- 周辺地域の状況を確認する
- 条件に合った物件を探す
開業する美容院の立地条件がある程度見えてきたら、実際に立てる場所を選んでいきます。以下では、美容院の立地を選ぶ際の手順を細かく解説します。
立地や物件に掛けられるコストを明確にする
美容院を開業するには、前述した美容院のコンセプトやターゲットなども含めた具体的な事業計画を立てる必要があります。まずは、計画を立てるなかで、立地や物件にかけるコストを明確にしておきましょう。初期費用をかけすぎて開店後に広告などが出せなくならないよう、集客方法についても予め考えておくことがおすすめです。
「事業計画を立てる」ということは、必ずしも「事業計画書を書き上げる」という意味ではありませんが、書類に書き留めることで資金調達の準備に役立ったり、オーナーがコンセプトをかえりみたりすることができます。
ターゲット層が多い地域を探す
美容院の立地は、設定したターゲット層が多く集まる地域が望ましいです。候補となる場所を探すため、まずは都道府県・市区町村といった大まかな区切りで調査を行っていきましょう。
マーケティング専門業者に調査を依頼するやり方もありますが、以下のような無料で使える政府の統計情報(e-Stat)を活用することで、ターゲット層の多い地域を視覚的に探す方法もあります。
参考:政府統計の総合窓口
周辺地域の状況を確認する
大枠の地域が決まったら、さらに具体的な地域(町名番地)まで候補エリアを狭めていきます。周辺地域の状況を確認することが選定のポイントです。人口や世帯数はもちろん、集客施設や交通量、競合の有無なども確認しながら、地域の活性率が高い立地を探すのがおすすめです。
ライバルになりそうなサロンが近くにあった場合は、コンセプトやターゲットが被っていないかなどもチェックしておきましょう。
条件に合った物件を探す
最後に、絞りこんだ地域からコンセプトに沿った立地の物件を探します。イメージしている外観や内装が実現できるか、計画している施策や集客ができるかどうかもチェックしておくことが大切です。
候補となる物件のタイプは様々ですが、大きくは下記のような4つが挙げられます。看板が出せるかどうか、どの場所から目に入るかなど、立地的な認知のしやすさも確認しましょう。
タイプ | 特徴 |
---|---|
ビルイン型店舗 | 商業ビルやマンションに入っているため、ターゲットが明確に定まりやすい。外からだと視認性が悪く集客が難しい。内装費用については比較的抑えられるが、家賃が高額な場合が多い |
路面店舗 | 認知しやすい立地で顧客が来店しやすい。内装にこだわったり営業時間を自由に定めることができる。家賃や礼金が比較的高いケースがある |
商業施設型店舗 | 百貨店やショッピングセンターのテナントに入っているため、集客がしやすい。商業施設の規定に基づき営業時間や休業日が決まることがある |
ロードサイド型店舗 | 百貨店やショッピングセンターのテナントに入っているため、集客がしやすい。商業施設の規定に基づき営業時間や休業日が決まることがある |
求める条件に合致する物件が見つかったあとは、申し込みや交渉を経てから契約する流れです。後悔がないよう、内装業者を連れて開店後にやりたいことができるかをすり合わせながら内見することをおすすめします。
美容院の立地や物件選びに関する注意点
- 集客方法と連動できるか
- 物件の契約形態や必要経費
- 美容院の居抜きのデメリット
美容院の立地・物件を選ぶ際に気を配るポイントはほかにもあります。下記では、物件選びの際の注意点について紹介します。
集客方法と連動できるか
どれだけ美しい内装や美容師としての高いスキルがあっても、顧客が来店しなければ美容院としては意味がありません。立地や物件は、開業後にメインターゲット層を意識した施術や集客方法を実施することも踏まえて選ぶことも大切です。
例えば、夕方以降の利用客を意識した「ヘッドスパサービス」を行うことを考慮するなら、営業時間が自由に決められる立地を選ぶ必要があります。キッズスペースが見えるような外観・内装のサロンであれば、母親世代のターゲットへの集客にもつながります。
集客方法についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
物件の契約形態や必要経費
いざ物件選びをするとなると初期費用に気をとられがちですが、継続してかかる賃料や経費にも注意が必要です。特に、ターミナル駅の周辺など立地によって賃料が高額になるケースもあります。開店直後の来客数が不安定な時期に、経営ができるかどうかも考慮しておきましょう。
また、施設のテナントによって制約があったり、「定期借家」のため一定期間で退去しなければいけなかったりする可能性もあるので、契約形態や契約内容も抜け目なくチェックしておくことが大切です。
美容院の居抜きのデメリット
美容院の開業を考えている人のなかには、初期費用や工事費用を抑えるために、美容院の設備などが残った状態の居抜き物件を候補にしている人もいるでしょう。しかし、居抜き物件には以下のようなリスクもあるので注意しておきましょう。
- 器具や機材がすぐに壊れる可能性がある
- 前の店舗の固定客があり、考えていた営業スタイルができない
- 前の店舗の悪いイメージを引き継いでしまう
場合によっては、返ってお金や手間がかかる可能性もあるため、リスクとリターンを考えながら物件選びを慎重に行いましょう。
まとめ
美容院の立地・物件選びは、開業後の経営に大きく響く重要なフローです。コンセプトや希望条件の追求、地域の特性や市場調査など、手間や時間をいとわずに行いましょう。具体的なサロンのイメージやオーナーとしての夢がある場合は、その方向性に適した立地を選ぶことが大切です。
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