飲食店経営を始める際、準備する必要がある設備の1つとして「レジ」が挙げられます。特に、会計処理や売上管理ができる「POSレジ」は業務の効率化を図ることができ経営をサポートしてくれるので、導入検討の選択肢に入れておくのが良いでしょう。
ただし、店舗の規模や業態によって求められる機能は変化するため、商品選びに失敗してしまうと、返って業務の効率を下げかねません。そこで本記事では、飲食店に合うPOSレジを選ぶポイントを解説し、必要な機能も併せて紹介します。
目次
POSレジとは?
POSレジとは、会計機能に加えて商品販売時のさまざまな情報の記録や集計が行えるレジのことです。「Point Of Sales」の略で、日本語では「販売時点情報管理」という意味があります。
バーコードを読み込んだ時点(販売時点)で情報が入力され、1日の売上や各商品の在庫数、顧客情報の管理などをリアルタイムで行えるのが特徴です。伝票や在庫と売上を照合する作業がスムーズに行え、データ処理の効率化が図れる点が大きなメリットです。
POSレジは大きく次の3種類に分類されます。
種類 | ターミナル型 | パソコン型 | タブレット型 |
---|---|---|---|
概要 | POSシステム専用に作られたレジのことを指す。通常のレジと見た目は変わらない | パソコンにPOSシステムをインストールしたものを指す | タブレット端末にPOSシステム、もしくはアプリをインストールしたものを指す |
メリット | ・1台で基本的なPOS機能を網羅できる ・POS機能 ①自動釣銭機 ②キャッシュドロア ③レシートプリンタ ④キャッシュレス決済用端末 |
・コストを抑えてPOSレジを導入できる ・パソコンとしてPOS以外の作業に使用することも可能 |
・持ち運びが可能 ・場所を取らない ・テーブルで注文を取って、その場で会計ができる ・低コストで導入できる ・直感的な操作ができ簡便 |
デメリット | ・導入費用が高額になりがち ・毎月数万円の運用費がかかる ・場所を取る |
・レシートプリンターやキャッシュレス決済端末は付属されていない ・周辺機器を別途購入する必要がある ・インターネット環境が必要 |
・レシートプリンターやキャッシュレス決済端末は付属されていない ・周辺機器を別途購入する必要がある ・インターネット環境が必要 |
導入をおすすめする業態や店舗形態 | ・1つでレジ業務が完結する高機能レジが必要な飲食店 ・周辺機器などがまとまっているレジが欲しい店舗 ・レジ設置スペースを広く確保できる店舗など |
・既に利用しているパソコンを活用したい店舗 ・既にレジ周辺機器の一部を持っていて、それらを組み合わせて使いたい店舗など |
・レジ設置スペースが限られる小規模な飲食店や、キッチンカー、移動販売店 ・持ち運んで場所を固定せずにレジ関連業務がしたい店舗 ・スタッフの教育や業務のスムーズさを考慮してタブレット操作ができるほうが良い店舗など |
これらの特徴やメリット、デメリットを踏まえ自身の飲食店にあった種類を選びましょう。
参考:【2022最新】タブレット型POSレジ比較12選!おすすめもご紹介
参考:飲食店におすすめのタブレットPOSレジ13選! 規模や業態別の選び方をプロが解説 | POSレジの比較・購入なら「レジチョイス」 レジ選びで迷っている人に
POSレジを選ぶときのポイント
メリット・デメリットを理解できたところで、次はPOSレジを選ぶポイントを確認していきましょう。主なポイントは次の4つです。
- 飲食店が使用できるプランがあるか
- POSレジの導入にどのくらい費用がかかるのか
- 誰でも使いやすいPOSシステムになっているか
- 他のアプリやシステムとPOSレジの連携は充実しているか
POSレジを導入してみたものの、「活用できない機能がある」や「かゆいところに手が届かない」といった事態になるケースもあります。機能や費用、利便性、汎用性の観点で、POSレジを選ぶポイントを確認していきましょう。
飲食店が使用できるプランがあるか
POSレジにはさまざまな種類があり、メーカーによってサービス内容や機能性に違いがあります。そのため、飲食店でPOSレジを導入する際は飲食店向けのサービスや機能が充実したメーカーを選びましょう。飲食店向けのPOSレジプランとして、次の機能が例として挙げられます。
- オーダーエントリーシステム(注文入力やキッチンとの連携など)
- 同じテーブルでの個別会計
- オプション付きオーダー(大盛り、トッピングなど)
- セルフオーダー
POSレジの導入を検討する際は飲食店向けのプランや実績があるかを確認して選んでみてください。
POSレジの導入にどのくらい費用がかかるのか
導入するPOSレジによって、導入費用や月額利用料にばらつきがあります。その理由は、タブレットPOSレジによっては導入費用がかからないものや、補助金を活用できるものなど、さまざまな種類があるためです。
機能を拡張するほど月額料金は高くなる可能性があります。そのため、どのくらい費用がかかるのかを事前にチェックし、自身の店舗にあったPOSレジを選びましょう。
以下の記事では、POSレジの費用やサービスを比較して紹介しています。
誰でも使いやすいPOSシステムになっているか
POSレジを導入する前には「スマートフォンやモバイル端末を使い慣れていない人でもすぐに使いこなせるか」といった操作性についても確認しましょう。
POSレジを実際に運用していくには、当然それを扱うスタッフが使いこなせる必要があります。機能があまりに複雑だと覚えて使いこなせるようになるまでに時間がかかり、場合によってはミスの原因にもなります。また、操作に戸惑う従業員を見て、会計中のお客様が不安を感じてしまうような事態も招きかねません。
導入後に想定されるリスクを事前に避けるためにも、誰でも簡単に使えるものであるかを入念に確認することをおすすめします。どうしても難しい部分があったとしても、導入後のスタッフへの指導の仕方を考えて、最低限必要な機能を確実に使えるようになってもらうなど、教育方法でカバーするとよいでしょう。
他のアプリやシステムとPOSレジの連携は充実しているか
導入を検討しているPOSシステムが、他のアプリやシステムと連携できるかも事前に確認しておきましょう。POSシステムの中には、メーカー自身が提供するアプリしか連携できないなど、拡張性の低いサービスもあります。
特に、現在自身の飲食店で使用しているシステムと連携できるかによって、導入後の作業効率は変わります。飲食店では、メニューの変更や新規開発のほか、サービス形態の変動など、店舗を運営する中で変わっていく要素も多くあります。そのため、それらのデータを変更した際にも容易に対応できる仕組みがあるかどうかが重要になります。
既存で使用しているものと連携ができなければそのような変更などにあわせて都度手間が発生してしまう可能性があります。他のシステムやアプリと広く連携できる拡張性の高いサービスを選びましょう。
飲食店のPOSレジに必要な機能
POSレジを選ぶポイントを押さえたところで、次は、飲食店のPOSレジに必要な機能を紹介します。主な機能は次の6つです
- 売上の集計や分析
- キャッシュレス決済
- 顧客管理機能
- セルフオーダーシステム
- 予約管理機能
いずれも飲食店経営をサポートする機能です。それぞれの特徴について詳しく解説します。
POSレジの機能1:売上の集計や分析
POSレジの多くは各商品の売り上げや顧客の属性、稼働状況の把握などのさまざまなデータが会計処理と同時に積みあがる仕様になっています。データが積み上がれば、商品が売れやすい時間帯の分析や売れ筋商品と不人気商品の分類などが可能です。
また、分析結果をもとに、新たなメニューの開発やスタッフの配置など、店舗運営の戦略立てにも役立ちます。売上の伸び悩みを打開するためにも、売上の集計・分析機能は欠かせない機能の1つといえるでしょう。
POSレジの機能2:キャッシュレス決済
クレジット決済やアプリ決済などに対応しているかは重要な要素です。キャッシュレス決済は、利用によるポイント付与やクレジットカードの付帯サービスが使えるなど、顧客側に多くのメリットがあります。さらに、ポイント決済機能もあるとユーザーにとってはより決済の選択肢が増え、利便性の向上につながります。
また、店舗側にとっても、お釣りの受け渡しがなくなり会計時の手間が省けるため、業務の効率化・ミス防止も図れます。会計業務がスムーズになれば、レジ付近での混雑を避けられるなどのメリットもあります。
お客様が保有するキャッシュレス決済機能に広く対応していくために、多くの種類の決済機能に対応したレジを選んでみてください。
キャッシュレス決済について詳しくはこちらの記事も参考にしてみてください。
POSレジの機能3:顧客管理機能
顧客管理機能は、名前や電話番号といった顧客のデータを登録できる機能です。来店した顧客に会員登録をしてもらうと顧客データと売上がひもづき、来店回数や飲食金額などを確認できます。
他にも、飲食店からのイベント告知やお誕生日クーポンの配信なども可能です。お客様にリピートしてもらうための有効な施策の打ち出しに役立ちます。
POSレジの機能4:オーダーエントリーシステム
オーダーエントリーシステムとは、ハンディ端末での料理の注文やキッチンとの連携が可能になる機能です。POSレジとハンディ端末を連携させればオーダー管理がより簡単になり、フロアスタッフの負担を減らせます。
最近では、スマートフォンにアプリをインストールしてオーダーエントリーシステムとして活用できる事例も増えてきました。オーダー管理のシステム化によって料理の出し忘れやオーダーミスを減らせれば、顧客サービスの向上にもつながるでしょう。
POSレジの機能5:セルフオーダーシステム
セルフオーダーシステムとは、テーブルにタブレット端末を設置して顧客自身が注文をする仕組みです。タブレット端末でメニューを確認でき、店員に気遣うことなく自分の好きなタイミングで注文できます。
顧客にとっては「店員を呼んでもすぐ来ない」や「大きな声を出すのは恥ずかしい」といった不満の解消につながります。お店側もホールスタッフの人員を削減でき、メニューの入れ替えなどの手間や費用を減らせます。
また、セルフオーダーシステムには中国や韓国、英語などの各言語に対応する種類もあり、訪日外国人にとっても便利です。日本人だけでなく、外国人観光客も取り込みたいと考える店舗は、セルフオーダーシステムを利用してみてください。
こちらの記事ではセルフオーダーのメリットや選び方を紹介しています。
POSレジの機能6:予約管理機能
予約管理機能があれば24時間いつでも予約を受け付けられ、電話やネットの予約をまとめて管理できます。予約状況がリアルタイムに把握できるため、スタッフ間での情報共有もしやすくなり、予約の取りこぼしを防げるでしょう。
なお、飲食店の予約は「食べログ」などの飲食店予約サイトで行われることもあります。そのため、顧客との接点が多い外部の予約システムと連携できるかも併せて確認しておきましょう。
予約管理システムについてはこちらで詳しく解説しています。
POSレジを設置するメリット
飲食店でPOSレジを設置する主なメリットは次の3つです。
- 情報を一括管理でき、サービス向上に繋げられる
- 業務を効率化し、人件費を削減できる
- 場所を選ばず会計ができる
POSシステムを利用すれば情報管理も簡単に行えるようになり、場合によっては業務改善にもつながります。導入前にメリットをよく確認しておきましょう。
メリット1:情報を一括管理でき、サービス向上に繋げられる
1つ目のメリットは、さまざまな情報を一括管理でき、サービス向上に繋げられる点です。
POSシステムを導入すると売上や商品、顧客、在庫などのデータを一元化して管理できます。POSシステムで得られたデータは、売れ筋商品の調査や顧客属性の傾向を把握するデータとして活用でき、顧客分析が可能です。
そのため「昨年の同時期にはクリームパスタがよく売れているため、クリームパスタの新商品を出して、写真映えする見た目にしよう」といったような具体的な施策を打てます。
データに基づいた施策を打てば、顧客の満足度向上やサービス向上にもつながるでしょう。また、情報を一元化すればデータがどこにあるかを探すことも少なくなり、管理者やオーナーは業務の負担軽減を期待できます。
メリット2:業務を効率化し、人件費を削減できる
2つ目のメリットは、飲食店における業務を効率化して人件費を削減できる点です。従業員向けにマニュアルを用意する必要があるPOSレジもありますが、その中でもタブレットPOSレジは日ごろからタブレットやスマートフォンを使用している人であれば同じ操作で使うことができます。
そのため、スマートフォンやタブレットに慣れているスタッフが多いほど、マニュアル伝達や研修の時間を削減でき、業務を効率化できるでしょう。
また、タブレットPOSレジなら会計時の金額を打ち込む必要がなく、バーコードを読み込むだけで会計が完了します。誰でもスピーディーに操作ができ、お客様の待ち時間を減らす効果も期待できます。
さらに、閉店後に行うレジ締め作業の効率化も図れます。POSアプリで会計を受け付ければ、売り上げ計算の自動化ができるためです。アプリの管理画面からその日の売上額が一目でわかるようになり、レジ締め作業の手間と時間の削減につなげられるでしょう。
メリット3:場所を選ばず会計ができる
コンパクトなタブレットPOSレジタイプを選ぶと、場所を選ばずどこにでも設置できます。また、端末自体を持ち運ぶことも可能で、お客様の席でも会計を済ませることができます。
そのため、固定のレジスペースを設けない場合や、お客様が会計のために移動しなくて済むお店にしたい場合など、店舗の作りやコンセプトに合わせたレジの導入が可能です。
さらに、元々レジを設置していた場合はそのスペースを他の用途に有効活用でき、席数を増やすなどの空間活用につながることも期待できるでしょう。
POSレジを設置するデメリット
業務の効率化や人件費削減などを期待できるPOSレジですが、いくつかのデメリットがあるのも事実です。主なデメリットとして、次の2つが挙げられます。
- 停電や電波障害に弱い
- POSレジだけでなく周辺機器が必要になる
導入後に後悔することがないよう、ここではそれぞれの詳しい内容を確認していきましょう。
デメリット1:停電や電波障害に弱い
POSシステムは、コンピューターで制御されています。そのため、地震や台風などの影響で停電が起きた場合、システムが使用できなくなる可能性があります。
また、停電や電波障害などが影響してデータを損失する可能性も否定できません。不慮のデータ損失を防ぐためにも、セキュリティ面が万全なメーカーのタブレットPOSレジを選ぶのがおすすめです。万が一に備え、自動でデータを保存できる機種も検討するのがよいでしょう。
デメリット2:POSレジだけでなく周辺機器が必要になる
周辺機器が必要になるPOSレジもあります。特にタブレットPOSレジは、レシート発行やキャッシュレス決済など、利用方法によっては周辺機器の用意が必要になる可能性があります。また、それらの機器を揃えるために別途導入費用が発生してしまうこともデメリットです。タブレットPOSレジで別途用意する必要がある周辺機器は、次の通りです。
- レシートプリンターやキャッシュレス決済に必要な端末
- インターネットに接続するためのネット回線など
従来のレジには標準で搭載されていた機能も、タブレットPOSレジ単体では使用できない可能性があります。導入時には自身の飲食店で必要となる機能を洗い出し、準備すべき周辺機器もあわせて用意しましょう。
飲食店におすすめなタブレットPOSレジとは?
最後に、飲食店におすすめなタブレットPOSレジを3つ紹介します。特徴もまとめましたので、自身の店舗にあったタブレットPOSレジ選びの参考にしてみてください。
タブレットPOSレジ1:ユビレジ
株式会社ユビレジが提供する「ユビレジ」は、低価格でありながらレジ機能や売上・分析管理、顧客管理、クレジットカード決済などPOSレジに必要な機能が充実しています。ユビレジの特徴は次の3つです。
- 利用継続率99%
- 売上データをリアルタイムで管理できる
- 単品での商品管理ができ、経営戦略を練りやすい
ユビレジの詳細については、次の公式サイトでチェックしてみてください。
(2023年12月時点)
参考:ユビレジ | カンタン操作で高性能iPad用POSレジアプリ
タブレットPOSレジ2:スマレジ
株式会社スマレジが提供する「スマレジ」は会計・レジ機能に加えて、売上分析や管理業務に対応した機能を備えており、店舗運営を強力にサポートするPOSシステムです。
2023年10月時点のアクティブ店舗数(直近1ヶ月の間に商取引の記録を行った店舗数)は「40,000店舗」を突破しています。スマレジの特徴は次の3つです。
- 1店舗だけで、アプリの使用のみであれば0円で始められる
- 13種類の分析機能がある
- 月間で99.95%以上のサーバ稼働率を保証、保障値を下回った場合は月額料金の10%を返還
スマレジの詳細については、次の公式サイトでチェックしてみてください。
(2023年12月時点)
参考:高機能クラウドPOSレジ「スマレジ」 – iPad/iPhoneアプリを使った無料で始められるPOSレジ
タブレットPOSレジ3:Airレジ
株式会社リクルートが提供する「Airレジ」は、0円でカンタンに使えるPOSレジアプリです。2023年3月末時点のアカウント数は「736,000」と利用店舗数最多を誇ります。Airレジの特徴は次の3つです。
- Airペイを活用すれば、各種電子マネー支払いにも簡単に対応できる
- 各種会計ソフトと連動している
- レジシステムだけは月額費用「0円」で使える
Airレジの詳細については、次の公式サイトでチェックしてみてください。
(2023年12月時点)
参考:利用店舗数No.1のPOSレジアプリ【Airレジ】 | iPad対応 無料レジアプリ
まとめ
今回は、飲食店に合うPOSレジを選ぶポイントを解説し、必要な機能もあわせて紹介しました。利用方法によっては周辺機器の用意が必要になるものの、POSレジを活用することで業務の効率化や人件費削減、サービス満足度の向上などが期待できます。
機能や費用、利便性、汎用性の観点から、自身の店舗にあったタブレットPOSレジを選びましょう。
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