新規開業の際に用意しておきたい設備として、会計処理や売上管理ができる「POSレジ」が挙げられます。しかし、導入するPOSレジの種類や必要とする周辺機器によって、導入費用は大きく変わります。また、導入を支援する助成金や補助金もできれば活用したいところです。

そこで、本記事では導入費用が低コストなPOSレジを紹介し、サービス内容も比較します。さらに、利用できる助成金や補助金の注意点もまとめていますので、ぜひ確認してみてください。

POSレジとは

POSとは「Point Of Sales」の頭文字を取ったもので、商品が売れた時に「何を」「何個」「いつ」「どこで売れた」といったデータを自動的に記録するシステムを指します。

何がいくつ売れて、いくらの売り上げが立っているかをリアルタイムに確認することが可能です。また、収集したデータを参考に、在庫管理にかかる手間や時間なども効率化できます。

さらに、売上分析だけでなく、予約管理やスタッフの勤怠管理など、多機能なシステムを有しているのがPOSレジの特徴です。中には在庫が不足すれば自動で発注業務ができるシステムもあり、業務効率を向上させるために一役買っています。

POSレジの種類とそれぞれにかかる費用

会計処理や売上管理などができるPOSレジの種類として、次の3つが挙げられます。

  • パソコン型POSレジ
  • ターミナル型POSレジ
  • タブレット型POSレジ

また、どの種類のPOSレジを導入するかで、初期費用や月額使用料は大きく変わります。店舗の規模によっても導入すべき種類が異なるため、それぞれ確認してみましょう。

パソコン型POSレジにかかる費用

パソコン型POSレジは、市販で売られているパソコンにPOSシステムを導入することですぐに使用できます。すでにパソコンを保有する店舗であれば、初期費用は0円からでも導入が可能です。

しかし、基本的なレジ機能は付いておらず、別途で周辺機器を購入する必要があります。POSシステムの使用料は「月々5,000円〜3万円」が目安となり、小〜中規模の店舗などに向く種類といえます。

参考:POSレジとは|比較11選・種類別の価格・システムの違い・おすすめタブレットアプリ・メリット |OREND(オレンド)

ターミナル型POSレジにかかる費用

ターミナル型POSレジは、レジスター本体とPOSシステムが一体化したタイプです。キャッシュドロアやバーコードリーダーなどの、レジ業務に必要な機器が標準で搭載されています。

POSシステムの使用料は不要なケースが多いですが、初期費用が「約50〜100万円」と高額になる傾向にあり、導入時には慎重に検討しましょう。

一方、後述のタブレット型POSレジに比べ通信障害の影響は受けづらく、1台でPOSシステムが完結するメリットがあり、中〜大規模の店舗に向く種類といえるでしょう。

参考:POSレジの価格の目安は?種類別から周辺機器の値段まで | 店舗経営レシピブック

タブレット型POSレジにかかる費用

タブレット型POSレジは、タブレット端末にPOSシステムのアプリをインストールし、POSレジとして利用できます。パソコン型と同様に、レジ業務に必要な周辺機器は別途購入が必要です。そのため、小〜中規模の飲食店に向く種類といえます。初期費用は「約3万〜30万円」で、POSシステムの利用料は「無料〜月2万円程度」が目安です。

種類によっては初期費用と月額利用料が無料で利用できますが、機能には何らかの制限があるケースが一般的です。必要に応じてプランをアップグレードすれば機能が拡張し、より使いやすくなるでしょう。

参考:POSレジとは|比較11選・種類別の価格・システムの違い・おすすめタブレットアプリ・メリット |OREND(オレンド)

POSレジに必要な周辺機器とその費用

POSレジの種類とかかる費用を理解できたところで、次は必要な周辺機器と費用を解説します。主に必要となる周辺機器として、次の6つが挙げられます。

  • POSレジアプリをダウンロードする端末
  • 決済端末
  • カスタマーディスプレイ
  • キャッシュドロア
  • バーコードスキャナー
  • レシートプリンター

導入するタイプによって費用が変わるため、必要な周辺機器の内容を確認してみてください。

POSレジアプリをダウンロードする端末

POSレジアプリをダウンロードする端末として、パソコンやタブレット端末が必要です。機種や購入する店舗にもよりますが、パソコンは手頃なものだと6万円前後から、タブレット端末は1万円前後から手に入るものもあります。

POSレジに使用する端末は、家電量販店やメーカーの直販店で購入する他、POSレジを提供している事業者からも購入可能です。

参考:各社POSレジの導入費用とランニングコストを比較

決済端末

決済端末はクレジットカードや電子マネー、QRコードなどキャッシュレス決済に対応するために必要です。対応したい決済手段によっては、機器の種類も変わります。

価格は決済端末によって異なりますが「2万円〜6万円程度」が相場です。端末価格以外にも、システム利用料として月額費用がかかる場合もあるため、確認してみてください。

参考:電子マネー決済端末はどうやって導入する?仕組みや決済端末の選び方について解説|決済代行のSBペイメントサービス

カスタマーディスプレイ

顧客に向けて、商品の値段や決済方法の案内を表示するのはカスタマーディスプレイです。BluetoothやUSB接続のタイプがあり、それぞれ「2万円前後」から購入できます。

POSシステムのアプリケーションによっては、タブレット端末の利用も可能です。初期費用を抑えたい場合は、タブレット端末の利用も検討してみましょう。

参考:各社POSレジの導入費用とランニングコストを比較

キャッシュドロア

キャッシュドロアとは、現金を保管する引き出しを指します。セキュリティ対策のために、鍵付きのタイプを導入すると望ましいです。

レシートプリンターと接続するタイプは「1万円前後」、USBでパソコンと接続して使うタイプは「1万5,000円前後」から導入できます。キャッシュドロアと周辺機器を設置できるスペースによって、導入するタイプを決めましょう。

参考:各社POSレジの導入費用とランニングコストを比較

バーコードスキャナー

バーコードスキャナーには「バーコードと離れていても読み取れるタイプ」や「幅が広いバーコードにも対応できる」といったさまざまなタイプがあります。価格はどちらも「1万円前後」から購入可能です。

また、Bluetoothなどワイヤレス接続が可能なものであれば「3万円前後」から購入できるものもあります。バーコードスキャナーを設置できるスペースによって、導入するタイプを検討しましょう。

参考:各社POSレジの導入費用とランニングコストを比較

レシートプリンター

レシートプリンターはレシートや領収書、伝票を印字するために必要です。据え置きタイプと持ち運び可能なポータブルタイプの2種類があります。

価格は「2〜10万円台」までと幅広いため、予算に合わせてタイプを検討しましょう。

参考:各社POSレジの導入費用とランニングコストを比較

POSレジの導入に活用できる補助金

POSレジ自体や周辺機器にかかる費用を理解できたところで、次はPOSレジを導入するうえで知っておきたい助成金・補助金を紹介します。主な助成金と補助金は次の3つです。

POSレジの導入に活用できる補助金
  • 働き方改革推進支援助成金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • IT導入補助金

また、助成金と補助金を受け取る条件や注意点についても解説します。

働き方改革推進支援助成金

厚生労働省が提供する働き方改革推進支援助成金は、小規模から中規模店舗向けの補助金制度です。働き方改革に取り組む中小企業事業主を対象に、環境整備に要する費用の一部を国が助成しています。

同助成金はさまざまなコースにわかれており、POSレジ導入であれば「勤務間インターバル導入コース」が該当します。

休息時間数 新規導入 適用範囲の拡大・時間延長
9時間以上11時間未満 80万円 40万円
11時間以上 100万円 50万円

(2022年4月時点)

参考:働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース) |厚生労働省

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者等の販路開拓や業務効率化の取組を支援し、それに要する経費の一部を補助しています。POSレジの導入で小規模事業者持続化補助金を利用できる対象者は以下の通りです。

業種 人数
商業・サービス業(宿泊・娯楽業除く) 常時使用する従業員の数・5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 常時使用する従業員の数・20人以下
製造業その他 常時使用する従業員の数・20人以下

POSレジの導入だけでなく、ECサイトの構築などにも補助金を利用でき、最大支給額は50万円です。

(2022年4月時点)

参考:令和元年度補正予算 日本商工会議所 小規模事業者持続化補助金 :: 持続化補助金とは
参考:令和元年度補正予算・令和 3 年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型> 公募要領

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者などを対象に、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助するものです。申請時には「gBizIDプライム」アカウントの取得、「SECURITY ACTION」の実施が必要となります。IT導入補助金の最大支給額は450万円です。

ただし、POSレジの購入や契約は補助金の交付連絡が届く前に行うと受け取れないため注意しましょう。

(2022年4月時点)

参考:IT導入補助金について | IT導入補助金

POSレジにかかる費用の比較

POSレジにかかる費用の比較を紹介します。比較するサービスは、以下の5つです。

  • ユビレジ
  • スマレジ
  • Airレジ
  • Square POSレジ
  • CASHIER POSレジ

ツールごとの詳しい特徴についてみていきましょう。

ユビレジ

株式会社ユビレジが提供する「ユビレジ」のお試しプランは基本的なレジ機能が使用できるため、まずは無料でPOSレジを使ってみたいという方におすすめです。プレミアムプランはポイントサービスの連携や売上情報の共有など、お試しプランよりも豊富な機能が揃っています。

基本はメールでの対応となりますが、プレミアムプランに加入していると電話でサポートを受けることが可能です。

無料での問い合わせは平日10:00〜18:00に限られますが、有料なら年中無休で10:00〜22:00まで電話サポートが受けられます。

(2022年4月時点)

参考:ユビレジ | カンタン操作で高性能iPad用POSレジアプリ

スマレジ

株式会社スマレジが提供する「スマレジ」のスタンダードプランは、基本的なPOSレジ機能を無料で利用できます。まずは無料で導入し、実際に使ってみて店舗に合うかを判断したい方におすすめです。

プレミアムプランやプレミアムプラスプランでは、複数店舗の管理や他システムとの連携、顧客管理やセルフレジ、電話サポートなどの多数の機能が利用できます。

また、フードビジネスプランは、オーダーエントリーシステムやキッチン伝票の出力機能が追加されており、飲食店に最適なプランといえるでしょう。

リテールビジネスプランは、小売店やアパレル店などにおすすめのプランです。高度な在庫管理が可能で、パスポートカメラ読み取りや免税票の印刷機能が搭載されており、免税販売にも活用できます。

(2022年4月時点)

参考:高機能クラウドPOSレジ「スマレジ」 – iPad/iPhoneアプリを使った無料で始められるPOSレジ

Airレジ

株式会社リクルートが提供する「Airレジ」は基本のレジ機能だけでなく、売上の自動集計や売上データからの分析、さまざまなサポートが0円で利用できます。iPadやレシートプリンター、インターネット環境を揃えればすぐに始めることができます。

また、AirレジとAirペイを一緒に利用すると、専用のカードリーダーにてクレジットカードや交通系電子マネーなどのキャッシュレス決済にも対応が可能です。決済情報もAirレジに反映されるため、利便性が高いサービスといえます。具体的な利用方法は公式サイトを確認してみてください。

(2022年4月時点)

参考:利用店舗数No.1のPOSレジアプリ【Airレジ】 | iPad対応 無料レジアプリ

Square POSレジ

Square株式会社が提供する「Square POSレジ」は、登録手数料や月額固定費はなく0円で利用できます。発生するのはキャッシュレス決済の決済手数料と、決済端末や周辺機器などの準備費用です。

会計機能だけでなく、売れ筋の商品やよく売れる時間帯や売上に貢献するスタッフなどのデータもリアルタイムで確認できます。店舗やレジ、従業員の数が増えた場合もSquare POSレジのアカウント1つで管理が可能です。

(2022年4月時点)

参考:POSレジ・POSシステム | Square(スクエア)

CASHIER POSレジ

株式会社ユニエイムが運営している「CASHIER」のPOSレジは、月額0円から導入可能なタブレットPOSやセルフレジなどを料金プランから選ぶことができます。POSレジには、売上管理や在庫管理、飲食店向け注文管理機能など、豊富な機能を備えたものがあります。

サポート体制も充実しており、電話・メールサポートが無料で平日10:00~21:00まで対応しています。

参考:キャッシャー | 店舗のDXを加速させるクラウドPOSレジ「キャッシャー」 (2024年7月時点)

まとめ

今回は、導入費用が低コストなPOSレジを複数紹介し、サービスを比較しました。導入するPOSレジはタブレット型を選ぶと、導入費用は抑えられます。

また、助成金や補助金を賢く使えれば、さらに導入のハードルを下げることができるでしょう。費用を抑えつつPOSレジを導入し、店舗経営の効率化をぜひ目指してみてください。

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